伝統に独自のスタイルを取り入れた「梁山泊」の柔らかい空手で心身を鍛える|空手教室

この記事では、お子さまの習い事をお探しの読者に向け、東京・横浜で空手教室を開催している「梁山泊」を紹介します。

心身を鍛え、護身術としても役立つ空手ですが、一口に空手と言ってもさまざまな流派や手法があります。今回ご紹介する「梁山泊」は、伝統的な空手技術に加え、柔軟な動きを重視する独自のトレーニング方法を取り入れています。「柔らかい空手」と称され、子どもからご年配の方まで幅広い年齢層の方々に広く愛好されています。

そんな「梁山泊」について、世界梁山泊空手道連合の創設者であり、代表を務める富樫宜弘先生にお話を伺いました。

礼儀作用やマナーを身につけてほしいと考えている親御さん、強い心身を育てたいと考えている親御さん、自分を守る護身術を身につけてほしいと考えている親御さんは、ぜひ参考にしてください。

技と心を磨く「柔らかい空手」を実践。梁山泊の3つの哲学とは?

梁山泊の代表を務める富樫先生

▲取材に対応していただいた梁山泊の代表、富樫宜弘先生

編集部

最初に、梁山泊の成り立ちと概要についてお聞かせください。

富樫先生

私は今までキックボクシングや沖縄拳法空手などいろいろと学んできました。50歳になってから、天心古流拳法(旧神道天心流、現在は天心象水流)という1300年の歴史のある拳法に出会い、伝統を活かした上で新しい技術を取り入れ、独自に確立したものが現在教えている「梁山泊」です。

「梁山泊」では、他の伝統空手やフルコンタクト空手、ボクシング、古武術の技術など色々なものを取り入れており、中学生以上になるとヌンチャクやトンファーを使った型もやります。そういった古武道的なものや、「九鬼神傳流」という1300年の歴史がある杖術も行っています。

小学生以下の子どもは基本的に梁山泊独自の2つの型をしっかりと教えます。試合で使っている技をそのまま型にしたもので、ワンツーや回し蹴り、後ろ回しといった、基礎的な動きで作った型です。オリンピックで行っているような伝統的な型は、本道場ではほとんどやりません。

編集部

試合の技をそのまま型にしたのは、より実践的に組手で使える動きになっているということですか?

富樫先生

試合で使えるものを型に入れていますが、試合で使わない技も上級者の型の中には少し入っています。子どもに限って言えば、試合に近い技を型にしたものが戦士1の型、戦士2の型です。

中学生以上の一般になると、始めは護身術の型を学びます。手を取られたらどうするか、胸をつかまれたらどうするか、肩を押さえられたらどうするか。それを解消する方法、または反撃技を基本にした護身の型があります。その次にヌンチャク、サイ、トンファー、杖術に進んでいきます。

技術と心を鍛えるために掲げた「梁山泊」の3つの哲学

梁山泊の演武風景

▲型演武の様子。「梁山泊空手創作型」「雲竜 天心古流拳法型」「九鬼神傳流杖術」などさまざまな型を演じている

編集部

梁山泊の3つの哲学についてお聞かせください。

富樫先生

第一の哲学は「技は武術 心は武道」です。武術の技は、本来、戦闘技術であり、侍が刀をもって戦うわけですから殺し合いでした。それだけ真剣だったということです。つまり、技はそこまで高い水準に上げましょうということです。

ただ、精神的には武道です。殺し合いが目的ではなく、心身の成長や人間力を養うものです。ですから、技術の習得は重要ですが、それと同時に心を鍛えることも不可欠であるという意味です。

編集部

第二の哲学「分け登る麓の道は多けれど、同じ高嶺の月を見る」についてはいかがでしょうか?

富樫先生

これは書家である梁山泊の最高顧問がよく書いてくれる言葉なのですが、山に登る道はたくさんあるけれど、たどり着いたときには同じ光景が見えるという意味です。最終的に目的を達成すれば、その道、学び方は一人ひとり個性があっても良いということです。

編集部

第三の哲学「克励求法」とはどういった意味でしょうか?

富樫先生

第三の哲学「克励求法」は、精神的な成長や悟りを求める姿勢を常に持ちながら修行を続けましょうということです。

梁山泊の約束組手の練習風景

▲約束組手の練習風景

「梁山泊」空手を習い始める年齢、習い続ける期間は?

梁山泊の練習風景

▲6月から9月までは暑さ対策のためTシャツで稽古

編集部

何歳から始めるお子さんが多いですか?

富樫先生

今は幼稚園の年中くらい、4~5歳から始める子どもが多いですね。

編集部

そのあたりから始められて何年くらい続けるお子さんが多いですか?

富樫先生

一番古い道場生は、小学校1年で入ってきて、今45歳ぐらいです。空手から離れても、大会のときには手伝いに来てくれる元道場生も結構います。中学や高校で初めて、今40代、50代で続けている人もいますし、35歳で入って70歳近い人もいます。

編集部

みなさんかなり長く続けられているのですね。

富樫先生

はい。ただ、みんなが続けているわけではなく、1〜2年でやめてしまう子もいます。続ける人は心から好きになってくれて、納得して梁山泊空手と付き合ってくれています。

大学や就職で一旦離れて、戻って来る道場生もいます。そのとき、練習方法が変わっているのでまた新鮮な気持ちで取り組むことができます。梁山泊空手では常に、早く上手になる方法、より良い練習方法を考えています。

縦拳とステップトレーニングから始める。梁山泊独自の練習方法

梁山泊で前蹴りを指導している様子

▲年中の子どもに指導している様子

編集部

梁山泊の練習では、どのようなことを行っているのか教えていただけますか?

富樫先生

小学生以下の部と中学生以上の一般の部の2コースがありますが、教室によっては合同で練習を行っています。4歳でも5歳でも、小学6年生と内容は同じで、最初から同じ練習をさせます。足の使い方など何回も繰り返し、覚えていきます。

具体的な練習としては、まず、他の空手教室では騎馬立ちという立ち方で腰を落として左右両手を1、2と突きを出す練習から始まると思います。追い突きでも腰を落として前屈しがちになって、ピシッと手も横拳にして突くのですが、梁山泊の場合は縦拳と言って、手を横にしません。横の状態から縦にまっすぐ打ちます。

ボクシングなどは手を捻って横にして打ちますよね。しかし、日本拳法や中国拳法は縦拳で打っており、江戸時代など以前からあるものも、全部当て身と言えば縦です。そのほうが手に力が入りやすいのです。なので、うちも20年ぐらい前に横拳から縦に変えました。

編集部

まずは突きからやっていくということでしょうか?

富樫先生

はい。縦で打つことも覚えるし、自分の顔にきた突き、パンチを止める練習もします。両手を合わせて肘を伸ばして顔の前に出して顔を隠します。これを「もろ手受け」と言います。それから次は、足を前後に開いて、前屈立ちという立方から、後ろ足を前に持っていく「送り足/インステップ」と、前足を引く「引き足/アウトステップ」を練習します。

梁山泊でのもろ手受けの練習

▲顔面を防御するもろ手受けの練習

編集部

それはどういう動きなのですか?

富樫先生

前足から「引く」動きです。この動作が肝心で、普通は相手が急に出てきたら怖くて後ろ足を下げますよね。いわゆる後退りです。でも、まず前足から下げるのです。そうすると、その足の開いた幅の分が下がれるので、攻撃からその倍の距離を逃げられます。

前に出ようとしたときに前足から進むと、せいぜい半歩しか進めませんが、後ろ足から前に進むと、攻撃の当たる距離が変わってきます。下がるときも相手の攻撃を距離でさばくことができるのです。これをステップトレーニングと言い、まずは、その足の使い方を教えます。

練習前には必ずみんなが顔を両手で隠して、肩幅で横に動きます。横歩きしながら、道場の中を回ります。それがさっき言った、追い足と引き足の練習になります。左右をただ前後にしただけの動きです。

その練習をすると、例えばバスケット選手が横に動くときにも早く動けます。また、野球でゴロが右側に飛んできたときに、右の足を出すと遅いですが、左足から出すと早く届きます。これは私が古流の拳法を学んで覚えたやり方です。

梁山泊ならではの動きがある。防具を着用し、安全面も対策している

梁山泊の移動稽古

▲移動稽古の様子

編集部

梁山泊の空手は、一般的な空手にはない動きを取り入れているということですか?

富樫先生

そうですね。ステップワークについては、先ほどの後ろ足から前に送る足を「継足」と言い、剣道や日本拳法などにもあります。大抵の場合、人は前足から進んでしまいますが、天才的なボクサーの井上尚弥やナジーム・ハメドは「インステップ」や「アウトステップ」ができます。

編集部

一般的な空手のイメージとは少し違いますね。

富樫先生

そうだと思います。数年前に「柔らかい空手」という本を出版したのですが、追い突きという技一つとっても、出版社のスタッフが非常に驚いていました。梁山泊の弟子に言わせると、最初から習っていますから、何も難しいことはないと言います。

梁山泊の準備整理体操

▲中国拳法や太極拳等でも行う準備整理体操の様子

編集部

一番初めに顔を守る方法を学ぶわけですが、これは「護身」を意識されているということでしょうか?

富樫先生

そうですね。空手は自分の身を守るための護身術だと教えています。だから試合で負けたとしても、それで終わるわけでありません。怪我でもしたら本末転倒なので、梁山泊では安全に配慮し、防具を着用して試合をします。子どもの場合は手にはグローブを付けて、お腹には胴防具、足にはサポーターをつけて行います。

梁山泊空手の道場生、防具を着用したカラテキッズ大会の様子

▲防具を着用して出場しているキッズカラテ大会の様子

礼儀作法、集中力、忍耐力ほか梁山泊で身につく数々の力

梁山泊の練習風景

▲約束組手、膝で蹴りを受ける練習

編集部

梁山泊の空手を習うことで得られる力についてお聞かせください。

富樫先生

礼儀作法、集中力、忍耐力、闘争心などいろいろな力が身につきます。健康のためにも良いですし、努力することを学べます。また、もしもの時の護身術として自分の身を守ることができます。

このように心身が鍛えられて強くなるだけではなく、人の痛みがわかり、優しい気持ちも養われます。さらに、異年齢の友だちができることから派生する学びも多くあります。

編集部

日ごろの修練の発表の場、目標としては試合があるのでしょうか?

富樫先生

自分が今まで練習してきた技がどれぐらい通用するかの成果を見るために、春には型と組手の試合、秋には組手のトーナメントの試合があります。春の大会は連盟の道場も参加して開催し、秋の大会は全国の選手が出場する規模の大きな試合となっています。

梁山泊の大会前稽古

▲大会前の稽古

梁山泊からのメッセージ

梁山泊の生徒たちの練習風景

編集部

最後に、梁山泊空手に興味をもったお子さんや保護者の方にメッセージをお願いします。

富樫先生

継続は力なりで、続けることで自信がついていきます。いきなり強くなれなくても、続けることには大きな意義があると思っています。ある程度覚えたからやめようと思ってしまうと、それで終わってしまいます。

例えば、就職の面接のときに「空手を3年間習っていました」よりも、「今でもやっています」の方が、面接官の印象が良いでしょう。この子は継続する力がある、うちの会社に来ても辞めないと思ってくれます。

私の所感ですが、梁山泊には気が強い子は少ないです。気の強い子は他の空手道場に行っていると思います。例えば体力に自信がない、精神的に弱いとか、そういう側面がある子どもであっても、みんなで共に学び継続するうちに力になってくるはずです。一人ひとりの成長をきちんと見ながら、指導しています。

もし興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、雰囲気を感じてみてください。いつでも見学していただいてOKですし、無料体験も行っています。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

梁山泊のミットトレーニング

▲ミットトレーニング

梁山泊の練習日時・場所・月謝など

【横浜道場】
■練習時間:日曜日 10:00~12:00
■練習場所:横浜市鶴見区下末吉2-15-15 (ヨコヤマ・スポーツガーデン内カルチャーセンター)
■練習回数:週1回の練習(月平均4回) ※大会・合宿・夏期・年末年始5月連休時は練習日3回
■月謝:6,500円/2人目5,500円(ファミリー割引)
■入会金不要 

【ユニオンクラブ】
■練習時間:木曜日 小学生以下の部は17:30~19:30、一般の部は19:30~21:00
■練習場所:練馬高野台駅前地域集会所(練馬区高野台1丁目7番29号)
■練習回数:週1回の練習(月平均4回)※大会・合宿・夏期・年末年始5月連休時は練習日3回
■月謝:6,500円(月謝6,000円+共益費500円)
■入会金不要

【光が丘クラブ】
■練習時間:土曜日 小学生までは、18:00〜20:00/中学生からは一般の部で21:00まで
■練習場所:旭町南地区区民館(練馬区高松5丁目23番15号)
■練習回数:週1回の練習(月平均4回)※大会・合宿・夏期・年末年始5月連休時は練習日3回
■月謝:5,000円
■入会金不要 

【セイフティ空手クラブ】
■練習時間:日曜日 10:00~12:00
■練習場所:高松地区区民館(練馬区高松3丁目24番27号)
■練習回数:週1回の練習(月平均4回)※大会・合宿・夏期・年末年始5月連休時は練習日3回
■月謝:6,500円(月謝6,000円+共益費500円)
■入会金不要 

※入会時には空手着・教則本・サポーターの購入、保険の加入が必要です。
※見学や無料体験を行っていますので詳しくはお問い合わせください。
※紹介している金額はすべて税込です。
※練馬区の各空手クラブは直接見学等でご確認ください。

梁山泊へのお問い合わせ

運営 梁山泊空手道連合
住所 東京都練馬区石神井郵便局私書箱28号
電話番号 080-8041-5619(月・木・金・土曜日13:00~18:00)
公式ページ http://www.ryozanpaku-karate.com/

※詳しくは公式ページでご確認ください