稽古を通して、心身の優しさと強さを磨く。国際空手道連盟 極真会館

この記事では、稽古を通じて心身の優しさと強さを育む「国際空手道連盟 極真会館」をご紹介します。

国際空手道連盟 極真会館は、大山倍達氏の創始した極真空手道を推進する空手団体です。その支部は国内のみならず海外にも多く、今や「極真空手」は世界共通語とも言えるほどに広がっています。

「頭は低く、目は高く、口を慎んで、心広く、孝を原点として他を益する」を理念とする、極真会館。各道場ではその言葉にもとづき、体力や技術面以上に、礼儀など精神面を重視した稽古を行っています。

「突き」や「蹴り」など、実際に“当てる”武道である極真空手では、相手の痛みを知ることができ、そのことによって人への思いやりや精神的な強さが育ちます。

今回は、そんな国際空手道連盟 極真会館の魅力や特徴について、詳しくお伝えします。

世界で親しまれる、国際空手道連盟 極真会館

今回は、総本部代官山道場責任者であると同時に現在の日本代表監督であり、ご自身も世界4位に輝いた実績をもつ、赤石誠さんにお話を伺いました。

国際空手道連盟 極真会館の理念は“精神の成長”

赤石誠さん

編集部

まずは、極真会館の理念、どういうところを大事にしているのかをお話いただけますか。

赤石さん

極真会館の理念とは、大山総裁が提唱された「頭は低く、目は高く、口を慎んで、心広く、孝を原点として他を益する」という言葉に集約されていて、それに基づいて全ての稽古を行っています。

わかりやすく言えば、常に謙虚で、目標は高く持ち、言葉多く語らず、周りの人に優しく。親孝行を始めとして社会貢献しましょうという精神です。

編集部

礼儀や精神性をとても大切にされているんですね。

赤石さん

そうですね。極真空手というと、試合や競技のイメージが強いかもしれませんが、根幹になっているのはそういった精神修行であり、精神を成長させる普段の稽古です。

「極真空手」は世界共通語。各国での裾野も広い

国際大会で、体育館に多くの人が整列している

▲ 東京体育館で行われた国際大会の様子(2023年)

編集部

極真会館は、全国、全世界規模の団体ですが、現在の会員数や道場数はどれくらいなのでしょうか。

赤石さん

国内の総支部数が112ヶ所、総道場数が724(同好会などを含む)で、実働会員数が約5万人です。海外の総支部数でいうと、78ヶ国、274ヶ所。道場数が9200、実働会員数が約85万人です。(2023年現在)

編集部

ありがとうございます。世界中に、日本の何十倍もの会員様がいらっしゃることがよく分かります。極真会館は本当にワールドワイドなんですね。

こんなに世界に広がっていることや、実力のある海外の方が増えていることを、実感される場面はよくありますか?

赤石さん

はい。日頃から感じていますが、海外に合宿の指導に行かせていただくと、より強く感じますね。

日本で活躍している海外選手もたくさんいますが、それは全体のごくごく一部です。各国で多くの黒帯の人達が道場を運営して、そこに老若男女問わず多くの生徒がいて日々稽古に励んでいます。海外でも小さい子が道着を着て一生懸命取り組んでいる姿を見ると、ここまで広がっているんだと感慨深いです。

国際的という部分で言うと、極真会館では年に1回は、子どもから大人までの国際大会を行います。そこで基本稽古のようなことをすると、色々な国からの参加者が一糸乱れず、同じ動きができるんです。

外部の方が見ると、事前にリハーサルをしているのかと思われたりしますが、そうではありません。皆さん、その場でできてしまうんです。大山総裁が作られた伝統が、どの国であってもしっかり守られてる。あれを見ると、やっぱりすごいなといつも感じてしまいます。

国際大会で、体育館に多くの人が整列している

国際空手道連盟 極真会館での稽古の様子

道場で子ども達を指導する赤石さん

▲日本代表監督でもある赤石さん。総本部代官山道場では子どもから大人まで直接指導している

空手は生涯武道。始める年齢は4歳くらいが目安

編集部

ではここから、実際の道場での稽古についてうかがっていきたいと思います。まず年齢的には、何歳から始めるのがいいのでしょうか。

赤石さん

道場によりますが、基本的には4歳ぐらいから受け入れているところが多いですね。“自分のことを自分でできる”というのが1つの目安なので、1人でトイレに行ったり着替えができたりするなら、その限りではないと思います。

編集部

4歳くらいから始めて、もちろん大人になっても、またシニアになっても続けていけますか?

赤石さん

はい。極真空手は生涯武道だと思っています。

年齢層も幅広いため、色々な人との関わり方が自然に身につくのも極真空手のいいところかなと思います。

例えば、子どもだけのクラスでも、異学年で一緒に稽古します。年下の子が年上の子を見て、憧れて真似をしたり、反対に、年上の子は年下の子に教えてあげるとか、組手でも実力が離れていれば優しくやったり、いい技があったら褒めてあげるとか。

異学年と一緒に稽古することで、精神的にも成長していきます。

編集部

ちなみに、赤石さんご自身が入門されたのは高校2年生だそうですね。入門後、ご自身も精神的なところで、変わっていったっていう実感がありますか?

赤石さん

大きく変わりました。本当にもう、180度変わったと言っても過言でないくらいです。私が入門した頃は、大学生や若い社会人の方が周りに多く、考え方なども当然同世代の友人より大人だったので、そこに自然に感化され、精神的にも成長させていただきました。

子どもは男女一緒に稽古。初心者から無理なく取り組める内容

代官山道場の看板

編集部

稽古は、成人では男子の部・女子の部が分かれると思いますが、お子様のうちは男女一緒ですか?

赤石さん

そうです。試合などは分かれていますけど、普段の稽古は基本的に一緒に行います。女の子の生徒さんも多くいらっしゃいますよ。

特に小学生の間は、女の子の方が体つきがしっかりしていて、強いことも珍しくありません。同じ年であれば女の子の方が精神年齢が高いのではないかと思う時もあり、技の覚えや理解も早かったりします。

編集部

なるほど。男女関係なく一緒に取り組めるのは、お子様達にとっても嬉しいところかもしれませんね。続いて、実際に日々の稽古でどんなことをするのか教えて頂きたいです。

赤石さん

極真空手は礼に始まり礼に終わるので、まず一礼をして道場に入っていきます。稽古の準備をして、その後はその場で行う「基本稽古」です。空手の象徴的な、突きや受け、蹴りといった、基本の形をそこで身につけていきます。続いて、その基本の動作を移動しながら行う「移動稽古」ですね。

編集部

そのあたりは全員で一斉に行う感じですか?

赤石さん

そうです。それから、四方八方の相手を想定して行う「型」、そして実際に相手と向き合って一緒に戦う「組手」の稽古もします。

お互いに技を出して当てあう「自由組手」のほか、「約束組手」といって、片方の人が突きを打って片方が受けをするなどのルールに沿った組手もあります。初級の方から、無理なく身につけていける内容だと思います。

編集部

組手を行って、日々の稽古としては一通りおしまいでしょうか。

赤石さん

時と場合にもよりますが、そうですね。あとは柔軟体操をしたり、体の色々な部分を鍛えるフィジカルトレーニングを行います。

防具やサポーターで安全面に配慮。「受け」の技術も磨く

ヘッドガード

編集部

組手のお話に関連して、お子様が打ち込みなどを行うとなると、安全面も少し気になるところです。防具やサポーターなどはあるのでしょうか。

赤石さん

はい。子どもに関しては、まず頭を守るヘッドガード、拳サポーター、膝サポーターを着けます。それから、スネと下腹部も守ります。女子の場合は、胸部用のチェストガードもあります。

ヘッドガード

拳サポーター

膝サポーター

編集部

大事なところをしっかり守っているんですね。それは安心感があります。

赤石さん

はい。稽古の中で衝撃はありますし、多少アザができたりもしますが、防具で守ると同時に、受けの技術などもしっかり習得していきます。

国際空手道連盟 極真会館で、体力と精神力が育つ

道場で稽古をする子ども達

始めるきっかけは人それぞれ。アニメの影響も大

編集部

空手を始める方は、皆さんどういったきっかけで、何を目指して始められるんでしょうか。

赤石さん

私も気になって、聞いてみることがあります。

比較的多いのが、いじめられていたりとか、怖い思いをして強くなりたいと思ったという方ですね。海外ですと日本の文化が好きで、その文化の一部として空手に惹かれたという話も聞きます。それとアニメの影響も大きいみたいです。

編集部

アニメですか。

赤石さん

どのアニメかは色々だと思いますが、私が聞いたのは「名探偵コナン」。登場人物の、空手の強い女の子「蘭ちゃん」に憧れて始めたということでした。

編集部

なるほど、きっかけも幅広いのですね。

空手の稽古では全身がバランスよく鍛えられる

編集部

次に“空手で身につく力”というところを、特にお子様の場合についてうかがいたいです。まずは体力面で、空手をするとやっぱり体が強くなりますか?

赤石さん

そうですね。

体力がつくのはもちろんですし、空手は全身を使う稽古法で、また右で打ったら必ず左でも打つというふうに、左右対称に鍛えるのが基本となります。そういった面で、全身バランスよくトレーニングされると言えますね。

編集部

なるほど、右利きだから右だけで突くといったように偏ることがないんですね。

赤石さん

それから、突きでも蹴りでも、手足の技ではありますが、体の真ん中の体幹がしっかりしていないと技が綺麗に出せません。なので自然に体幹が養われたり、姿勢がまっすぐに整っていくところも、体力面・成長面としてはいいのかなと思います。

空手は頭の天辺から手の指先、つま先まで意識して動くんです。

大人になって入門した方からは、「いかに自分の体を使えていないかが分かった」という声をよく聞きますが、子どもの頃から空手をやっていれば、バランスよく体を使ったり、思ったように体を動かす方法が自然に身につけられると思います。

この能力は空手だけでなく、他のスポーツなどでも活きてきます。小さい頃に空手を始めて、もちろん空手を続けてもいいですし、成長して色々なスポーツに興味を持っても、空手で習得したことが大いに役立つと思います。

編集部

成長していくうえでの可能性を広げることにもつながりますね。柔軟性はどうですか?

赤石さん

空手の蹴り技には、相手の顔を蹴るというのがあります。顔よりも高く足が上げられないとうまくコントロールして蹴れないので、柔軟もよく行います。

痛みを知ることで、人を思いやる心が育つ

編集部

精神力や礼法についても教えてください。精神面でもやはり変化が見られますか?

先ほどおっしゃったような、いじめられる経験をした子が入門されて強くなったとか、あるいは、あまり人の言うことを聞けなかった子が、周りの人を見習ってちゃんとするようになったとか。

赤石さん

まず最初に道場に入ってきたときに、挨拶、道場への礼儀作法、人に対する礼儀作法などから伝えていくんですね。なので、そこは自然に身につくのではないかなと思っています。

精神的な強さも得られると思います。

それは、極真空手が実際に“当てる”武道であることが大きいかもしれません。自分が当てて攻撃を入れる一方、打たれることもあるので、実際の痛みを知ることができるんですね。

自分が攻撃するばかりだと、相手の痛さを知ることがないので、人に優しくなることには繋がらないでしょう。打たれて痛みを知れるからこそ、人の痛みを思いやることができる。そういった“強さ”が育っていきます。

日々の稽古の向こうに、黒帯や大会出場を目指す

世界大会で演武をする子ども達

昇級審査は日々の稽古の確認の場

編集部

「いつか黒帯を締めたい」という目標を持って稽古する子も多いかと思うのですが、級や段はどのように決まっていくのですか?

赤石さん

年に何回か、昇級審査というのがありまして、その審査に合格すると1つ上の帯が渡されるという形です。

初めは白帯の、級がない「無級」から始まります。次が10級、9級と進んで1級まであり、その次の審査に合格すると初段で黒帯になる。子どもの場合は、ジュニア初段です。

編集部

なるほど。昇級審査ではどういったところを評価するのでしょうか。

赤石さん

普段やっている稽古の確認の場ですので、特別なことをするわけではありません。基本や移動稽古、型、組手、あとはフィジカルですね。

試合を通して、お互いに技術を伸ばし合う

試合をする子ども達

編集部

お子様の成長ですとか、目標ということに関して、赤石さんの印象に残っているエピソードがあったらうかがいたいです。

赤石さん

小学校1年生で入門した子がいるのですが、当初、恥ずかしがって稽古に参加できないくらいでした。並んで稽古をする時でも、列に入れないとか。

その子が、1年経った今はもうしっかり稽古ができるようになって、今度初めての試合に参加することを目指して頑張っています。そんな姿を見ると、本当に頼もしく、嬉しく思いますね。

編集部

まさに成長ですね。お子様でも、大会に出ることもありますか。

赤石さん

はい。まず年に1~2回、公式の全国大会や国際大会があります。他には、関東大会や東日本大会などの地区大会。また、各県の大会や道場単位の練習試合もあるので、試合はかなりの数になります。

編集部

なるほど。大会を目指して日々励んでいるっていうお子様も多いですか?

赤石さん

多いです。やはり、日ごろの稽古の成果を発揮できる場ですからね。一方で、気が優しくて、相手の体に打ち込むのが嫌だから試合に出たくないっていう子もいます。

編集部

そのようなお子様にはどういうふうにお声がけするのですか?

赤石さん

試合はケンカじゃないんだよ。始まる前にお願いしますって言うのは、一緒に技術を伸ばしあいましょうねっていう、そういう意味なんだよ」と伝えます。そして「試合してくれてありがとうって、きちんと礼をして終わりにするんだよ」とも。

また子どもの競技に関しては、顔に蹴りを当てれば、倒さなくてもポイントが入って勝ちになります。なので、ちょっと遊びみたいな形で「顔に蹴りが入ったら1ポイントもらえるから、ポイント取って勝とうね」と言うこともあります。

国際空手道連盟 極真会館からのメッセージ

編集部

それでは最後に、国際空手道連盟 極真会館への入門を考えている方に向けたメッセージをいただけますか?

赤石さん

極真空手は実際に当てるので、怖いとか厳しいというイメージがあるかもしれませんが、道場では、理不尽に厳しくすることは一切ありません。

また、黒帯を目指すにしても、試合で勝つことにしても、一つひとつ細かい目標設定をしながら、無理なくレベルを上げていきます。

ですので、初心者からでも、どなたでも強くなれる、今の自分よりも良くなれる場所です。ぜひ遠慮せずに、怖がらずに、体験から始めてもらえれば嬉しいですね。

極真空手は、子どもでも大人でも一緒の稽古ができるんです。

道場によっては親子クラスがあったり、お子様を通わせているうちに見学していたお父さん・お母さんが興味を持って一緒に稽古をすることもよくあります。

そうして同じ話題や目標を共有して、家族で盛り上がれるのもいいところです。一緒に帯を上がっていくとか、大会を頑張るとかですね。こうしたコミュニケーションは、親子の関係性にとてもいい影響を与えてくれると思います。

編集部

とても心強く、温かいお言葉をありがとうございます。

空手を通して親子の絆を深めていくこともできるのですね。一緒に稽古に励んだ思い出は、大人になってからも大切な宝物になりそうです。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

国際空手道連盟 極真会館への入門。まずは体験がおすすめ

国際空手道連盟 極真会館への入門を希望される方は、まずは公式サイトの道場一覧を参照して、どこの道場へ通うのかを検討しましょう。マップ検索を利用して、お住まいの近くを探すことも可能です。

詳細:道場一覧

道場を選んだら、見学や体験をしてみるのがおすすめです。(※道場によっては受け付けていないこともあります)

その道場の雰囲気を実際に味わい、指導者の方と話などをしてみることで、よりお子様に合った稽古場所をぜひ見つけてください。

生徒保護者の感想・口コミ

国際空手道連盟 極真会館について、インタビューでうかがったお話や、ネット上の情報を参考に、生徒保護者の口コミをまとめました。

入会を検討している方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

体験の際、道場生たちの礼儀正しく人に親切な様子を見て感動した。我が子も、入門後は以前と比べて落ち着きが出て、兄弟にも優しくできるようになった

ちょっと内気だった子が、稽古で「えい、えい」と発声するうちに、大きな声が出せるようになり快活になってきた

もともと運動を何もしていなかったけど、目標を少しずつ上げてもらえるので無理なく取り組めている

試合前には毎回緊張しているけど、だんだんと芯が強くなってきた。学校での発表や行事でも堂々とした姿が見られる

道場で、親子で稽古に励んでいる方をたくさん見て、自分も子どもと入門した。2人も楽しく続けられているし、子どもと共通の話題ができて嬉しい

空手を始めたことで「強くなった」「優しくなった」という声が多く見つかりました。

心身の充実は空手においてだけでなく、家庭や学校での生活にも色濃く表れているようです。

国際空手道連盟 極真会館の基本情報

総本部住所 東京都豊島区西池袋2-38-1
問い合わせ先 03-6452-5777
連盟規模 <国内>
総支部数:112ヶ所(含む、本部直轄道場)
総道場数:724道場(含む、同好会)
実働会員数:約50,000人
※2023年現在

<海外>
総支部数:274ヶ所
総道場数:9,200道場
実動会員数:約850,000人
※2023年現在
公式サイト https://www.kyokushinkaikan.org

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。