青森県十和田市の川上スクールが実施するアメリカ練習会での指導風景

部活や他の習い事と両立できる。オンラインそろばん教室「川上スクール」の独自のレッスンとは

この記事では、お子さまを中心にオンラインそろばん教室を展開している青森県十和田市の「川上スクール」について、代表の川上武則さんにお話を伺いました。

創立からおよそ半世紀の川上スクールは、かつて本拠地の青森のほか、東京都品川区や川崎市などにも教室を構えていましたが、コロナ禍を受けてオンライン指導に転換。生徒が全国大会で日本一を獲得するなどの実績でも人気を集め、現在、全国はもとより海外も含めて約630人の生徒が在籍しています。

レッスン方針として、入門当初は個別でゆっくり丁寧に行い、そろばんの指使いを徹底。基本をしっかりと押さえることが上級に進める条件としており、誰一人取り残さず、上達できる指導体制にしています。またオンライン中心の指導である一方、生徒が集まる場も設け、リアルの交流も大切にしています。

そろばんは計算力を高めるだけではなく、短時間で計算する繰り返しにより、集中力を養うことができる習い事でもあります。子どもの集中力向上にご関心がある保護者の方はぜひご一読いただければと思います。

オンラインそろばん教室「川上スクール」の独自のレッスンとは

青森県十和田市にある川上スクールの写真

▲青森県十和田市にある川上スクール。この地からそろばんのオンライン指導を発信しているほか、定期的に対面式の学習会も開いている

ここでは、そろばんのオンライン指導の特色、それを実践する川上スクールの指導の特徴や、塾の様子などについて代表の川上さんにお話をうかがいました。

都合に合う時間に場所を問わず指導を受けられる。海外からの受講者も

編集部

まず、「オンラインのそろばん教室」とはどういう内容なのか教えていただけますか?

川上さん

わかりました。川上スクールではそろばんのオンラインレッスンを実施していて、生徒は設定された時間帯の中から好きなタイミングで1時間、指導を受けることができるのが大きな特徴です。

一般的なそろばん教室ですと、指導の開始時間が「15時から」などと決まっていますが、当スクールは異なります。「随時制」という仕組みで、例えば国内の生徒なら月曜日・火曜日・木曜日の15時~20時に、常に5〜6人スタンバイしている講師からリアルタイムで教わることができるんです。

オンラインに移行する際に、「都合が合う時間に参加できた方がいい」というご家庭からの要望があったため、現在の形になりました。このような制度にしたことで、部活動や他の習い事とうまく両立できている生徒が多いです。

編集部

非常に柔軟なスケジュールで指導を受けられるのですね。生徒は一度に何人くらい参加しているのですか。

川上さん

多い時間帯ですと、70人くらいが入室しています。初心者・経験者問わずいろんなレベルの生徒が入りまじって同じ時間に指導を受けていますが、オンライン化の前からこのような体制でやってきているので、講師も手際よく一人ずつ教えることができています。

編集部

どのような生徒が受講しているのでしょうか。

川上さん

もちろんお子様が多いですが、そろばんは子どもの習い事としてではなく、最近は大人の脳トレとしても人気を集めています。そういうトレンドもあって、保育園や幼稚園に通う子どもから70歳代のお年寄りまで、幅広い世代の方に受講いただいています。

さらに、その国籍もさまざまです。オンラインという特性を生かして、アメリカやイギリス、カナダ、シンガポールなど海外23か国から約220人が参加しています。時差を考慮し、午前は海外、午後は国内の生徒がそれぞれ受講します。そろばんの実力を試す日本計算技能連盟の珠算検定はオンラインで受けることもでき、国内外の生徒が挑戦しています。

画面を通して、生徒一人ひとりをきめ細かく指導できるメリットあり

編集部

オンラインのレッスンでは、実際どのように指導を受けるのでしょうか。

川上さん

いわゆるオンライン会議のように、生徒と講師が画面上で顔を合わせて指導が始まります。基本的には暗算の課題などを出して、タイムを計測しながら問題を解くことを繰り返します。

オンラインなので、生徒側はそろばんの玉をはじく手元をカメラで映し、それを見て講師がアドバイスします。質問があるときはツールにある「挙手ボタン」を押して、カメラを切り替えて顔を映します。まだ生徒が小さい場合、となりにいる保護者にカメラの操作を手伝っていただくこともあります。

編集部

そろばんの指導というと教室に集まって受けるイメージがありますが、オンライン開催でも支障はないのでしょうか。

川上さん

手元を見たり、表情を見ながら指導したりするのは、そろばん教室の当たり前の光景ですが、オンラインに移行してみて感じるのは、コロナ禍前で実施していた対面形式とほぼ変わらないということです。

むしろオンラインレッスンにしてから、教室の端にいて手元や顔の表情を細かく見ることが難しかった生徒の様子をしっかり確認できるようになり、さらにきめ細かく指導できるようになりました。

そろばん講師というのは、ふだん逆側から生徒がそろばんを弾く様子を見ていますので、指導にも特段の支障はありません。保護者の方にとっても、お子さんの様子を画面越しに見ることができて安心できますし、講師にとってもより緊張感をもって、指導に当たることができます。

熱心に取り組む子どもが多い。SNSを通して課題プリントも提出

川上スクールが出している暗算の課題プリント

▲暗算の課題プリント。SNSを通じて提出してもらう

編集部

実際、そろばんの指導はどのようにステップアップしていくのでしょうか。

川上さん

まず幼稚園、保育園の生徒の場合は、教室に参加する条件として「数字が書けること」を設けています。そして足し算や引き算をそろばんの操作で覚えていくことから始まります。

慣れてきてレベルアップすると、問題の桁数も増えていきます。年長さん(5歳)で一番上達している生徒だと、4桁の掛け算くらいはそろばんなしで暗算してしまいますよ。

個人的にも、小さな子の方がやる気がみなぎっていて、毎日取り組んでくれていると感じます。保護者の方々はその頑張りを間近で見ることができるので、それもオンライン教室の良いところだと受け取っていただいているのではないかと思います。

編集部

オンラインレッスン以外に、宿題はあるのでしょうか。

川上さん

宿題とは銘打っていないのですが、生徒に応じた特別プリントを作っており、解いたらSNSアプリを使ってこちらに送ってもらい、採点して返す仕組みです。

生徒には「なるべく毎日取り組んで報告して」と伝えていますが、プリントが届かない時には「今日、プリントをもらえなくて先生は寂しいな」などとメッセージを送るなど、やる気を促すようなこともしています。気軽に生徒とやり取りができるオンラインの特性を最大限活用しています。

全国一の生徒を育てた講師陣。保護者から子育て相談を受けることも

川上スクールの生徒たちがトロフィーを持ってポーズを決める様子

▲そろばんの全国大会で団体3位になった生徒たち。このときはオンライン教室で唯一の入賞となった

編集部

先生方は、どんな経歴の方々なのでしょうか。指導実績についても教えてください。

川上さん

先ほど、授業がある時間帯に講師が常にスタンバイしていると伝えたとおり、講師は全国各地からオンラインで参加しています。20歳代から60歳代と年代は幅広く、そろばんの最高の段位である10段を持つ人もいます。

実は60歳代の講師というのは、私の母親でして、そろばん指導は40年超というキャリアがあります。保護者の方々からは、授業後に子育ての相談を受けることもありますね(笑)。あと、私の弟や妹も指導者ですが、それぞれ教えていた生徒が日本一に輝いたこともあります。

そんな指導体制で、2024年には年長の子どもさんが日本一の栄冠を勝ち取りました。「オンライン指導だと、対面指導に比べて劣るのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の快挙はオンラインでも立派に上達できることを示せたと考えています。

リアルの場も重視。川上スクールが開催するさまざまなイベント

川上スクールのアメリカ練習会での生徒たち

▲アメリカで練習会を実施したときの参加者。リアルでの交流も大事にしている

編集部

川上スクールでは、オンラインレッスン以外で生徒が集うイベントのような機会は設けているのでしょうか。

川上さん

はい。私たちはオンラインが主軸の教室ですので、生徒に実際に会うオフラインの機会をとても大事にしています。単純に楽しいですし、生徒のモチベーションにもつながります。

例えば、2024年は7〜8月の夏休みに海外在住の日本人の生徒たちが帰国した際、「みんな浴衣を着る」という趣向で、そろばんの指導を受けに教室へ来てもらいました。外国人の生徒も参加し、大いに楽しんでいました。

このほかには、講師が出張するかたちで、各地で練習会を開いています。7月は大阪・名古屋で開催、10月には青森でも行います。11月の東京開催は100人以上が参加します(取材は2024年8月に実施)。

普段、画面を通してでしか講師を見たことがないためか、実際に講師に会うとまるで芸能人のように接してくれるなど、大変盛り上がります(笑)。2023年はアメリカにも行って、60人くらいの生徒とそろばんの練習会を開きました。

また、オンラインでも楽しく学べるよう、通常の授業でも、クリスマスやハロウィーンの際は生徒や講師が仮装して画面ごしに登場するなどの工夫を凝らしています。

クリスマスの仮装をして受講する川上スクールの生徒

▲クリスマスやハロウィーンなどでは仮装することも。オンラインでも楽しく授業が受けられる工夫もいっぱい

他の学習にも生きる!「川上スクール」がそろばんを通して育む力とは

編集部

川上先生は、そろばんを習うことで生徒にどのような力や経験が身につくと考えていますか。

川上さん

計算力、暗算力はもちろんですが、集中力が身につくのも大きいと思います。

そろばんでは、ちょっとでも気を抜くと計算ミスが起こってしまいます。小さいうちから短時間とはいえ、常に集中しなければならない環境に身を置くことで、子どもたちにとって、やるべき時に集中するという習慣が当たり前になります。

就学前や低学年でそろばんを習い始めて、その後学習塾に行き始める生徒も多いですが、「そろばんに通っていたから、塾でも集中できている」とお話しになる保護者の方々は多いです。

また、自分の成長を実感しやすいのもそろばんの特徴と言えます。当スクールでは、オンラインで指導を受け、練習し、検定を受け、また練習というサイクルを繰り返します。検定合格という目に見える形で、少しずつ小さな成長を生徒本人が感じることができ、前向きになれることもそろばんの魅力ではないかと思います。

さらに言うと、周囲のサポートによって生徒は粘り強さも身につけていけると感じています。我々はオンラインを通して「お子さんがどんな状況か」を保護者の方と日常的にやり取りしています。もし生徒が少し壁にぶつかった場合でも、スクールと保護者が一緒になって「その壁を乗り越えて、頑張って卒業しよう」などと生徒を励まします。

すると生徒は粘り強く課題に挑み、壁を越えて結果を出すんです。そうやって自信をつかみ、成長していく子どもたちをこれまでにたくさん見てきましたね。

川上スクールからのメッセージ

川上スクール代表の川上さん

▲お話しいただいた代表の川上さん。手に持っているにんにくやリンゴなどの特産物も販売し、受講生の保護者から人気を集めている

編集部

最後に、この記事をご覧になっている読者の皆様へメッセージをお願いします。

川上さん

現在は習い事の選択肢が非常に多い時代ですが、そろばんに取り組めば、さきほど申し上げた集中力や、諦めない心が身につき、学校の授業や塾、他の習い事、スポーツに至るまで、様々な面での効果が見込めると感じています。

そんな特色が注目されていることと、オンラインでの指導をしていることが口コミで広がり、当スクールは国内では46都道府県から受講していただいています。あとは島根県からも受講いただければ、「全都道府県に生徒がいるスクール」となりますので、オンラインの特性をアピールして、早く島根の生徒さんをお迎えしたいと意気込んでいます(笑)。

最近は、海外からの問い合わせが増えています。先日はベトナムの方から、「そろばんをやりたいので一度来てほしい」というオファーを受けました。また、アメリカのシアトルの教室では、開設1年半ほどで50人ほど生徒が急増しており、計算力・暗算力・集中力を高めたいという思いは世界の潮流になっている印象を受けています。

小さいころからの成長の土台を作るうえで、ぜひそろばんをお子さんの習い事として検討いただければと思います。

編集部

オンラインそろばんという新しいスタイルについて、詳しくお話をうかがいました。本日はありがとうございました。

川上スクールの料金

コース(1コマ60分) 月会費(税込)
8コマコース(小さなお子さん、マイペースの人向け) 7,700円
12コマコース(少しでも早く計算力を身につけたい人向け) 9,350円
16コマコース(大会出場を目指す人向け)  11,000円

入会金として、未経験者は10,000円(5,000円のそろばんをプレゼント)、転塾者は5,000円が必要です。また、その他、教材費や検定料などは別途必要となります。

※詳細については、公式サイトをご覧ください。
https://kawakami-school.com/

川上スクール受講生の保護者の声

ここでは、受講生の保護者の方の口コミをご紹介します。川上スクールの入会を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

★はじめてのオンラインでの習い事でしたが、先生が優しく丁寧にお話ししてくださったので緊張せずに楽しく学習出来ました。(大分県)

★娘が「体験して良かった。楽しかった。でもちょっと緊張した」と。短い時間でしたが、子どもに分かりやすく丁寧に教えてくださり嬉しかったです。(神奈川県)

★子どもが楽しみながら学習できることが分かりました。また、そろばんを習うことで期待できる子どもの能力開発のイメージが持てました。(アメリカ)

★先生が子どもの動きや反応をよく見ていて、集中してられているのが感じられとても良かったです。名前で呼びかけてもらえて、嬉しそうに答える娘を見て私も嬉しくなりました。(シンガポール)

★初めてのオンラインの習い事でドキドキしていましたが、とても楽しく体験していました。楽しすぎて興奮しすぎてしまいましたが、先生が温かく見守ってくださってとてもありがたかったです。(カナダ)

口コミからは「先生が丁寧で親切だった」「子どもが楽しそうだった」などと、オンライン授業ながら、生徒と先生の近い距離を感じさせるコメントが寄せられています。定期的にイベントを開催するなど、川上スクールの先生方の工夫が実を結んでいるようです。

川上スクールの基本情報

運営会社 川上スクール
住所 青森県十和田市西四番町14-43
お問い合わせ先 https://kawakami-school.com/#contact
公式サイト https://kawakami-school.com/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。