伝統文化を学ぶ「佐藤 池坊いけばな華道教室」で身に付く力とは|東京

この記事では、東京都内(国分寺市、千代田区)でいけばな(華道)に親しむことのできる「佐藤 池坊いけばな華道教室」の親子教室を紹介します。

同教室では、お花に向き合う人の「綺麗だな」「生けたいな」と感じるその思いを大切に、自由花(決まった型でなく、思いのまま自由に生ける形式)の指導を行っています。植物に触れることは、お子様の心に、命の大切さへの感受性や小さなものに対する思いやりを育むほか、日本古来の美的感覚を知ることにもつながるでしょう。

今回は、同教室代表の佐藤さんに詳しくお話を伺いました。

「国際化が進む現代だからこそ、親子で日本文化の良さを見直したい」「子どもには、植物に触れ、優しい心や美しいものを見る目を養ってほしい」という方は、参考にしてみてください。

佐藤 池坊いけばな華道教室の「親子教室」で、伝統文化を子どもと一緒に体験

佐藤 池坊いけばな華道教室で花を生ける親子

編集部

いけばなというと、大人のお稽古事というイメージもありますが、親子教室を開催されているのには、どのような思いがおありなのでしょうか。

佐藤さん

いけばなは日本の誇る伝統文化です。その基礎を、大人の方だけでなくお子様も一緒に、気軽に体験して頂きたいという思いで教室を行っています。

特に都会育ちのお子様ですと、自然に触れ合う機会が少なくなっているかと思います。いけばなを通じて植物に触れ、命の大切さを知ったり、思いやりの心を育んだりして頂ければ幸いですね。

編集部

どのようなきっかけでいらっしゃいますか?

佐藤さん

親御さんのほうにいけばなの経験やいけばなへの興味があり、お子様にも習わせたいと一緒にいらっしゃるケースが多いですね。

植物を触るのが好きなお子さんを見た親御さんが「この子はいけばなに向いているかも」とお考えになって参加されることもあります。

編集部

年齢的にはどれくらいのお子様がいらっしゃるのでしょうか。

佐藤さん

小学生以上のお子様がメインです。これまで参加された中で一番小さい方では、幼稚園の年長さんがいらっしゃいましたよ。

お子様が中心になってお花のお稽古をして、親御さんも同じ花材・道具を使い、それぞれのお花を生けて頂きます。

命への感受性を養う。いけばなは、暮らしに密着した「生活文化」

花を生けている親子の後ろ姿

ここからは、いけばなをすることによって身につく力や、ご家庭でのお花の飾り方について伺っていきます。

感受性や思いやりを高め、日本古来の美的感覚が身に付く

花を生けている子ども

編集部

いけばなを通して身につく力は何でしょうか?

佐藤さん

お花を見る習慣が身についてくることが大きいかと思います。

そうすると、例えば道端に生えている草などでも目に留まる。なぜ留まるかというと、やはりそこに「命」を感じられるようになるからですね。ただの物ではなくて、雑草にしても頑張って生きているんだな、と。大なり小なりその生命感を感じる下地ができてくるというのが、いけばなの良いところかと思います。

編集部

お子様への情操教育として「命」の大切さを伝えたい親御さんは多くいらっしゃいます。それを理屈で説明するのではなく、お子様自身が肌で感じられるというのは素敵ですね。

佐藤さん

そうですね。それから、いけばなというのは実際にやってみると、とても集中力が必要になる作業です。お子様であれば、机にじっと座って集中力を要する作業をすることも良い経験かもしれません。

また伝統文化を習うことの利点として、だんだんと、日本古来の美的感覚が自然に身についてくるという部分もあります。

編集部

日本古来の美的感覚というのは、例えばどういうものですか?

佐藤さん

やはり余白、空間を感じさせる美的感覚ですね。

例えばですが、掛け軸や障子などでメインのモチーフが真ん中でなく端の方に描かれていたり、白一色の襖に小鳥が一羽描かれていたり。余白を大きくとることで、見る人に考える余地をもたせる美意識があります。

何もないところに何かを感じる感覚っていうのは、大人も子どもも、絵の鑑賞はもちろん、暮らしや人生を豊かにしてくれるものだと思います。

自身の暮らしに密着した、ふさわしいお花を生ける楽しみ

花器に生けられた、ひまわりなどの花

編集部

現代は洋風のお宅が多いこともあり、いけばなを持ち帰った後、どこに飾ったらいいのかと考えられる方もいらっしゃるかと思います。この点はいかがでしょうか?

佐藤さん

池坊の華道家元も言っていることですが、いけばなというのは伝統的な文化であり、一方で生活文化、要するに生活に密着した文化なんですね。

昔と違って床の間がなくても、だから飾る場所がないということではなく、出窓や食卓など、ご自身の生活環境にふさわしい場所にお花を生けたら良いと思いますよ。

大きいお花が邪魔になってしまうなら小さいお花を生けたり、食卓に飾るなら低いものにしたりと、そういった工夫もぜひ楽しんで頂きたいです。

編集部

お子様と一緒に家の中のお花を飾る場所・似合う場所を探すのも、親子の素敵なコミュニケーションになりそうですね。

自分の思いを大切にし、お花と向き合う

ここでは、実際のお稽古の流れや、佐藤 池坊いけばな華道教室の、いけばなへの思いやこだわりについて伺っていきます。

お稽古の流れ:落ち着いた空間で、自分のペースでお花を生ける

先生にアドバイスをもらいながら花を生ける親子

▲先生からアドバイスをもらいつつ、真剣かつ和やかな雰囲気の中でお花を生けていく

編集部

具体的なお稽古の流れについて教えてください。

佐藤さん

まずはご挨拶。それからお花の準備をして実技、講師が少し手直しをして、デッサンや写真撮影をします。最後にまたご挨拶でおしまいですね。

編集部

お子様にとっては、ご挨拶で始まってご挨拶で終わる、その礼儀や和のお稽古ならではのお作法も身につきそうですね。

実技については、まず自分の思うように剣山に挿していき、先生が回ってこられた時にアドバイスを頂きながら調整という感じでしょうか。

佐藤さん

そうですね。出来上がったなと思ったタイミングで、講師が席を交代させてもらって、感想や「こうした方がもっと良いですよ」という提案をお伝えしています。

編集部

先生からご感想やアドバイスを頂いて、少し直してみて、その完成形をデッサンや写真で記録に残すということですか?

佐藤さん

強制ではありませんが、おすすめはしています。アドバイスされたことについては、書き留めたり写真を撮ったり、時間があればデッサンしてもらえると、やはり次に繋がりますから。

編集部

教室の雰囲気はどのような感じでしょうか。

佐藤さん

親子教室は、主に国分寺と御茶ノ水の教室で行っています。どちらも駅から近いので、お子様連れでも通いやすいと思います。

国分寺教室は、1回の時間帯で入れる人数が4人くらいなので、リラックスしてゆっくり生けて頂けますよ。

御茶ノ水の教室の方は、池坊の東京拠点でもある、池坊東京会館の教室を借りて開催しています。いけばなをするための教室なので、生けやすさは抜群です。こちらは20人くらい入れますが、広々としているので、他の人のことは気になりにくく集中できると思います。

お手本や型はなし。「生けたい」思いを大切にした、自由な作品づくり

剣山に花を挿していく子ども

編集部

お花の生け方について、詳しく教えてください。何かお手本を見ながら進められるのでしょうか?

佐藤さん

当教室では「見本のお花」というものを作りません。

というのも、お手本があるとやはりそれを見てしまいますよね。お子様は比較的、お手本にとらわれず自由に生けられますが、大人の方はやはりお手本になぞらえて、同じお花を同じように挿されることが多くなります。

私たちには、手元にあるお花をご自身の思いで完成させてもらいたいという気持ちがありますので、お花を見て自分の思うように挿して頂いています。

編集部

いけばなには基本の型があると思いますが、いかがですか?

佐藤さん

確かに型は存在しますし、お稽古を長く続けていく中では、いずれ、伝統的な型やバランス感覚を身につけて頂くことになります。

ただ親子教室では、そういうものも一切お伝えしていません。それはレベル的な理由ではなく、もともといけばなというもの自体、型を生けるものではないからです。繰り返しになりますが、お花を見て「綺麗だな」「生けたいな」と感じるその思いを大切にして頂きたいので自由に生けて頂き、その中で、いけばな的なバランスについて少しアドバイスをしています。

編集部

いけばな的なバランスというのは、例えば空間のつけ方などでしょうか?

佐藤さん

はい。これは池坊に限らず、いけばなはフラワーアレンジメントとよく比較されますが、いけばなはいらないものを除いていく、フラワーアレンジメントは足りないところを補っていくという違いがあります。

いけばなでは、作品そのものに対してもっと大きい空間を感じさせたいので、そうなるようなアドバイスを心がけています。

バランスという点でありがちなのは「お花が綺麗だからどんどん入れていたら、お花同士がぶつかって窮屈になってしまった」というようなことです。そういった時は空間を感じさせるために、生けた人が何を一番見せたかったかを聞いたうえで、お花を少し除くアドバイスなどをしています。

「たまにいけばな」もOK。初心者から気軽に参加できる

編集部

いけばなについての予備知識などがなくても、少しお花に親しむというところから始められますか?

佐藤さん

はい、もちろんです。始めた後も、継続的に通われるのはもちろんですが、月1回ですとか数ヶ月に1回、たまにいらっしゃるのも大歓迎ですよ。

特に親子教室については入会金や年会費もなく、1回ごとの指導料のみを頂いていますので、参加しやすいと思います。

編集部

持ち物についても教えてください。何か準備するものはありますか?

佐藤さん

まず服装について、植物の汁などがつくこともありますので、汚れても良い服装で来て頂ければと思います。

お持ち物としては、花ばさみはやはり、ご自分のものをお持ちになった方が手になじみます。貸し出しもできますが、続けていかれる場合にはご用意されることをおすすめしています。

佐藤 池坊いけばな華道教室からのメッセージ

佐藤 池坊いけばな華道教室代表の佐藤さん

▲お話をしてくださった、佐藤 池坊いけばな華道教室代表の佐藤さん

編集部

最後に、親子でいけばなを体験してみたいという方向けにメッセージを頂けますか?

佐藤さん

いけばなの良いところは、哲学というか、作者の思いが集中しているところだと思います。

綺麗なお花があった時、空間を生かすためにあえて1輪だけを選ぶような、この研ぎ澄まされた感じはなかなか他では味わえませんし、その思いが込められた作品は見た人を心地よくするものです。

伝統文化というと敷居が高く感じられるかもしれませんが、昔から日本人に伝わってきた楽しい感覚が詰め込まれているのが伝統文化です。大人の方もお子様も、ご興味を持って頂いたら、お気軽にご連絡頂ければと思います

編集部

本日は貴重なお話をありがとうございました!

佐藤 池坊いけばな華道教室「親子教室」の口コミ

ここでは、実際に佐藤 池坊いけばな華道教室「親子教室」へ通っている方の口コミをご紹介します。

親子教室には、学校の長期休みなどを利用して参加しています。1年生の時にはじめて行き、オアシスを使い簡単に花を生けていましたが、今は、剣山を使用して自由に思いをふくらませて集中している姿を見ると成長を感じます。

息子は、自分の作品に先生がアドバイスや褒めていただける事が勉強になり嬉しいと話しています。また、道に咲いている花に興味をもったり、花屋で好きな花を選んで飾ったりと花のある生活を楽しんでいます。今後も親子教室で学びたいと思います。

口コミからは、子どもの成長を感じる、そして花のある生活を楽しむ親子の声が見られました。佐藤 池坊いけばな華道教室「親子教室」では、植物の美しさを学べること、また観察力や集中力が身に付き、感性が磨かれると感じました。

佐藤 池坊いけばな華道教室「親子教室」の基本情報

運営 佐藤 池坊いけばな華道教室
講座名称 いけばな親子教室
住所 ○国分寺教室
東京都国分寺市本町4丁目13-12 第七荒田ビル(6階)6003

○御茶ノ水教室
東京都千代田区神田駿河台2丁目3-12 池坊東京会館内
問い合わせ先 https://ikebana.tokyo/contact/
公式サイト https://ikebana.tokyo/guide/family-friendly/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。