自由表現のアート教室「アートランド ヴィレッジ」で子どもの心と個性的な能力を育む

この記事では、東京都港区北青山にある、3歳から高校生向けのアート教室「アートランドヴィレッジ(※)」を紹介します。
※「子どものアトリエ・アートランド」のリニューアルに伴い、現在の名称に変更

対象年齢は3歳〜高校生あたりまでで、「子どもの絵に上手下手はない。一人ひとり違ってみんな素晴らしい!」を合言葉に、作品に一切優劣をつけることなく個性的な能力を育む教室です。

今回は、そんな同教室の特徴や子どもが身に付けられる力などについて詳しく紹介していきます。

創作を楽しみながら心が育つ「アートランド ヴィレッジ」とは

「アートランド ヴィレッジ」の創設は約50年前。美術家であり児童画の研究者でもある末永蒼生さんが、都内の教会の一室でスタートしたのが、「子どものアトリエ・アートランド」。それが2024年「アートランド ヴィレッジ」としてリニューアルしました。

アトリエのスタッフは、色彩心理とアートセラピーを専門的に学んだ「チャイルドアートインストラクター」。子どもの自主性を大切にして見守り、子どもに求められたときのみ、その成長の段階に合わせたサポートをしています。

今回はインストラクターである馬目さんに、教室のコンセプトや特徴、これまでのクラスで印象的だったエピソードなどを伺いました。

子どもの自由な発想を妨げない。“自分で考える”を重視するアート教室

「アートランド ヴィレッジ」の馬目さん

▲「アートランド ヴィレッジ」の馬目さん

編集部

はじめに、「アートランド ヴィレッジ」のコンセプトについてお伺いできますか。

馬目さん

単に創作の場に留まらず、幸せな人生をクリエイトする力を育む場をつくるということが、当アトリエのコンセプトです。

幸せな人生をクリエイトするためには、自分のことを自分で考える力、思考力が大切です。そのため、それらの力を育めるよう、当教室ではすべてを自由にしています。例えば、当教室には「その日のテーマ」というものは一切なく、何を創作してもいいですし、ときには何もしない時間を楽しめます。

また、私たちインストラクターの関わり方も、子供たちの「自由」を邪魔しないようにしています。子どもたちを全面的に信頼し、必要なとき以外は口を出すことなく、描き方・作り方も、子どもたちがそれぞれ自発的に考えながら試行錯誤できる環境です。

編集部

それほどまでに自由にこだわるのは、何か理由があるのでしょうか?

馬目さん

このような自由メソッドの理念は、「子どもたちの絵には心や能力そのものが秘められている」という考えに基づいています。

創立者の末永蒼生は自身の創作活動と並行して、色彩や美術の心理を研究していますが、その中で、「子どもの表現力を引き出すには、メンタル面や潜在意識を理解することが大切である」と気づき、それを当教室で実践しているのです。

また、「ときには何もしない時間も必要」という点についても、しっかりと意味があります。現在では、大人の能力開発の分野でも、脳のデフォルトモード、つまり“ボーッとしている時間”の必要性が知られていますが、子どもたちにとっても同じです。何もしていないときこそ、心の中でイメージや構想を膨らませ、アウトプットの準備となる大切な時間だと考えています。

でも、実際にはほとんどの子どもたちはアトリエに入ってくると最後まで創作に熱中していますけどね(笑)。

編集部

安心できる自由表現の場があるということが、子どもたちの心と個性的な能力の成長に繋がっているのですね。

講師は全員、色彩心理とアートセラピーを専門的に学んでいる。子どもの心理状態をキャッチしたサポートが可能

編集部

「アートランド ヴィレッジ」さんでは、どのような方がインストラクターを務めているのでしょうか。

馬目さん

講師は全員、「色彩学校」で色彩心理とアートセラピーを専門的に学んだ「チャイルドアートインストラクター」です。

「チャイルドアートインストラクター」は、創作活動を通して子どもたちを元気にし、個々の能力を育てる知識を習得しています。そのため、子どもが自由に表現した創作の中から、子どもの今の心身の状態や芽生え始めている、伸びている能力の種をキャッチし、その子が得意なところに光をあてた関わりをしていけるのです。その内容は、保護者の方にもシェアするので、子育てのヒントにもしていただけます。

また、保護者に対して「絵を介したカウンセリング」ができる資格を持つスタッフもいます。

編集部

子どもの心身の状態や伸びているところをシェアしていただけるのはありがたいですね。例えばどういうことがわかるのでしょうか?

馬目さん

以前、自閉症スペクトラム症(ASD)で発語も少なく、アトリエに来るとバケツに絵の具を溶かす色水遊びばかりしている小学1年生のお子さんがいらっしゃいました。

さまざまな色を混ぜ溶かしていくので、最後はいつもグレーの水になります。お母様には、「触感遊びは情緒を育てます。様々な感情が形成されていくことで自分の気持ちを理解し、それを表現する方法も自然に身についていきますよ」とお話ししていました。

それが、あるときクラスが終わった後でその2つのバケツの中を空けてみると、底に残った絵の具が暖色系と寒色系にきれいに分かれていたことがありました。

そこで、バケツの写真を撮って、「物の性質や違いを認識し分類する力、観察力、思考力が確実に育っている」ということを親御さんにお話したところ、子どもの成長を知ることで安心し、気持ちに余裕が出たようです。

「子どものアトリエ・アートランド」自閉症のお子さんの色水遊びの後のバケツ

▲自閉症のお子さんの色水遊びの後のバケツ。暖色系と寒色系に分かれていた

親御さんが穏やかでいると、お子さんの気持ちも落ち着いてきます。その頃から、学校でも先生とのコミュニケーションがうまくいくようになってきて、自分のペースで過ごせるようになってきたそうです。

「子ども心理」の研究をもとに、子ども一人ひとりの力が伸びるような環境を提供

「アートランド ヴィレッジ」で制作した作品

編集部

「アートランド ヴィレッジ」さんならではの特徴はありますか。

馬目さん

当教室の特徴は、「絵が子どもの心の表現である」ことを尊重しているということと、長年の色彩心理をベースにした「子どもの心と心理」の研究を実践している点です。

上手な絵の描き方やコンクールに入選するための技術指導というよりは、子ども一人ひとりの独自の発想と能力が伸びるような環境を提供しています。

どの子どももたった一人のかけがえのない存在であり、その心が生み出した表現は世界に一つしかありませんし、それぞれに独自の輝きを放っています。その心の表現を大切にすることが、子どもにとって心のエネルギー源となり、どんな環境の変化にもしっかりと立ち向かって生きる力を養うと考えています。

その成果は、末永の多数の著書やメディアでの紹介によって広く認知されています。

また、かけがえのない存在というのは子どもだけではなく保護者の方についても当てはまります。当アトリエのコンセプトは、「子どもが幸せな人生をクリエイトする力を育む場をつくる」ですが、子どもだけでなく保護者の幸せについても一緒に考えていけるような場所でありたいと思っています。

選べる画材は100種類以上!それぞれが好きに過ごす、伸び伸びした雰囲気

「アートランド ヴィレッジ」の画材棚

編集部

教室はどんな雰囲気ですか。

馬目さん

黙々と絵を描いている子や粘土や工作をしている子がいたり、インストラクターやお友達とおしゃべりを楽しみながら創作している子もいたり、各々がそのときにしたいように自由にのびのびと過ごしています。

選択の自由を広げるため、教室には100種類以上の豊富な画材を準備しています。子どもたちは教室に入るとすぐに、その日の気分や自分で設定したテーマにあわせて自由に画材を選んでいます。

ホッププラス(3〜6歳くらい)は70分、ステップクラス(6〜10歳くらい)は90分、ジャンプクラス(10歳〜高校生くらい)は120分の中で、自由に創作に取り組みます。1つの創作に集中する子もいれば、複数の創作をする子もいてさまざまです。

私たちインストラクターは、子どもの自主性を尊重しながら見守りますが、子どもに求められたときは、その子の成長段階に合わせた助言や手助けをしていきます。自主性、自立性を育てるため、先回りして指示やアドバイスをすることはありません。

豊かな感性や心のバランス、知的好奇心や表現力が育つ

「アートランド ヴィレッジ」で制作した作品

編集部

「アートランド ヴィレッジ」ではどのような力が身につきますか?

馬目さん

アトリエの創作体験では、大きく2つの大切な力が育っていきます。一つは表現を通した豊かな感性や心のバランス、もう一つはそれぞれの発達段階に応じた知的好奇心や表現力です。

創作体験は楽しいだけでなく、心のバランスや安定したメンタリティに役立ちます。アトリエという喜怒哀楽を表現できる自由で安心な場で、心のままに感情を表現することで安定したメンタリティが育ち、自分の感情を自分でコントロールできるようになります。

また、感情が安定していると、何かを学びたいという意欲や集中力が高まりますし、自分のイメージしたものを表現する喜びや達成感は、自己肯定感の基盤になると考えています。

今の時代はAIによって無くなる職業があるなど先が見えない部分がありますが、自己肯定感があれば、そんな中でも自分で道を切り開いていけるような生きる力が育つと思います。

「アートランド ヴィレッジ」で制作した作品

アートランド ヴィレッジからのメッセージ

「アートランド ヴィレッジ」代官山クラスの教室の様子

▲2024年6月にオープンした「アートランド ヴィレッジ」代官山クラス

編集部

最後に「アートランド ヴィレッジ」に関心を持った読者の方にメッセージをお願いします。

馬目さん

当教室では、どんな感覚や感情でも自由に表現できることが保障されています。心のバランスを取るためには、喜怒哀楽、どんな感情も溜め込まずに表現することが大切ですが、創作なら安心して出すことができます。

そして、心のバランスがとれていると、自分らしい心も育っていきます。子どもの絵はどれも一点ものの個性に満ちています。それと同じように心とパーソナリティも唯一無二の素晴らしさを持っています。

また、お子さんの絵をともに見ながら、保護者の方々と気軽に語り合うことも大切にしています。お子さんの良い面や可能性などに多くの希望を見出し、きっと子育ての助けになると思います。まずは体験にお越しください。

「アートランドヴィレッジ」イメージ

2024年の6月からは代官山クラスもオープンしました。青山クラスと代官山クラスでは、雰囲気もまったく違うので、会員がより自分に合ったクラスを選んで通っていただくことができるようになりました。

編集部

今後はもっとたくさんのお子さんに自由の場を提供していくのですね。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

アートランド ヴィレッジの月謝

「アートランド ヴィレッジ」の月謝は次のとおりです。入会金は一律22,000円(税込)。

クラス・対象年齢目安 回数・時間 月謝(税込)
ホップクラス
(3〜6歳くらい)
月2回・70分/回 15,400円
ステップクラス
(6〜10歳くらい)
月2回・90分/回 15,400円
ジャンプクラス
(10歳〜高校生くらい)
月1回・120分/回 8,030円
おやこクラス
(年齢不詳)
月1回・100分/回 11,000円

アートランド ヴィレッジを利用した人の声

「アートランド ヴィレッジ」の会員や保護者からは次のような感想がありました。入会を検討されている方は参考にしてみてください。

(OB)教えられただけでは自分の身につかないけど、アトリエは思い切り試行錯誤できる環境だったので、体験が身につき、たくさんの引き出しが増えた。

(OB)子どもの頃、好きなことを邪魔されずに思いっきりできたのはアトリエの時間だけだったし、先生たちが指示せず話しを聞いてくれて、自分にとっては癒やしの場でした。大人になって苦しくなったときに、あの時の喜びや解放感を思い出し、また手書きの絵を描きはじめました。

(保護者)娘が小さい頃、人見知りがとても激しくて私たちから片時も離れず、どうしたものかと思っていたときにアートランドと出会いました。常に第三の居場所であり続けてくださり、アトリエで先生やいろんな人とお話しするのがとても楽しかったようです。悩みに寄り添っていただいたり、話を聞いてくださったり、親子ともども本当にお世話になりました。心から感謝しております。ずっと通いたいと話していた娘が、そろそろ卒業かな、と言ったときには驚きましたが、それだけ満たされている証拠なのかなと嬉しくも思いました。自立の一歩ですね。

(保護者)子どもたちが安心して自分を表現することが保障された空間で、子どもたちが表現する“いま”、そして保護者である私たちの“いま”をおぼろげながら把握することができて、定期的に立ち止まり考える時間を得られたことは大変貴重でした。

少し育てるのが難しいと思うところがあり、親子共々辛いこともあったのですが、アトリエに通うことで発散の仕方を見つけることができ、今の心の状態をわかってあげることで親として対応を変える必要があることに気付けました。母親の私も何度も心が救われ、とてもありがたかったです。習い事をしている子どもだけではなく、親にまで寄り添ってくださる習い事は、他にはないように思います。

アートランド ヴィレッジの基本情報

運営会社 株式会社 ハート&カラー
名称 ■新名称:アートランド ヴィレッジ
■旧名称:子どものアトリエ・アートランド(2024年に新名称へ変更)
住所 ■青山クラス
東京都港区北青山2-12-20 山西ビル1F「Salon de T」

■代官山クラス
東京都渋谷区恵比寿西1-25-9「アートスペース まときとわ」
問い合わせ先 https://arttherapy-color.jp/artland/index.php/lnquiry/
公式サイト https://arttherapy-color.jp/artland/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。