この記事では、福岡県福津市の乗馬クラブ「あんらいえんホース」を紹介します。
あんらいえんホースは、大人がメインのクラブが多い中、5歳から18歳の子どもたちをメインとしている「キッズ乗馬クラブ」です。
(※)「大人のためのオンライン乗馬コース」も選択可能
また、2023年には馬場の99.9%に遮光の屋根を設置して全天候型になったという充実した環境があるほか、小学校へのお迎えサービスを実施していること、さらには乗馬クラブとは思えないほどお手頃な料金設定も魅力です。
今回は、そんな「あんらいえんホース」の方針やレッスンの内容などについて、あんらいえんホースのGMであり、講師でもある河津さんにお話を伺いました。
この記事の目次
子どもと馬の居場所でありたい「あんらいえんホース」の理念
最初に、「あんらいえんホース」の理念についてお聞かせください。
私たちは、自分の思いを上手に表現できないお子さん、人に気を遣って自分の居場所を見つけられないお子さんの拠り所になりたいとの思いでこのクラブを立ち上げました。
あんらいえんホースの運営母体である「株式会社あんらいえん」が障害福祉に関する事業を行っていることもあり、本クラブには発達障害や知的障害を持つ子どもたちも通ってくれています。
このような場合、昔はクラスを分けて学ぶのが普通でした。しかし今は、障害を持っている子も持っていない子も同じ場所で一緒に過ごすことで、お互いを理解し、偏見をなくすことができると思っています。
本クラブでは、小さい頃から一緒に過ごすことで、障害の有無にかかわらず1人の人として関わることができるようになることを目指しています。そのため、子どもたちがレベル分けされることなく、全員が一緒に学び、活動することを大切にし、誰もが居心地よく感じられる環境を作っています。
また、私たちを含め、全国の乗馬クラブは引退競走馬の受け皿になっているという側面があります。将来的には、引退競走馬だけでなく行き場を失った馬たちと一緒に暮らせる村をつくりたいと思っています。
自分の思いをうまく表現できないお子さんも、クラブに通うことで、うまく表現できるようになっていくということでしょうか?
はい。本当に大きな成果が出てきていると思っています。例えばいつもレッスンの終わりに、「今日できたこと」と「次できるようになりたいこと」を聞くのですが、最初は全く発言できなかった子が、みんなの前できちんと話せるようになっていくんです。
この変化については、馬の力が大きいと私は思っています。乗馬が他の習いごとと決定的に違うのは、当たり前ですが、馬がいることです。馬はそこにいるだけなのですが、「自分ひとりではない」と思える心強さがあるのです。子どもたちは後ろ盾があると感じるのでしょうね。
また、犬や猫などのペットと違うところは「乗れる」ことです。乗る動作は、自分の意思を馬に伝えることの連続なのですが、次第に馬と意思疎通ができるようになります。そうすると、それが自信や自尊心に繋がっていくのです。
支持されるポイント:「小学校へのお迎え」や「リーズナブルな料金」
親御さんに支持されているポイントはどこでしょうか。
親御さんたちと話をすると、興味あるけれど乗馬クラブは敷居が高い、料金が高いから入れなかったという話を聞くんです。そうしたイメージを払拭したいと思い、平日は小学校へお迎えに行くサービスを行ったり、料金設定を下げたりしています。
また、施設についてもお褒めの声をいただいていますね。2023年に、99.9%遮光の屋根をつけて全天候対応のインドア施設になったんです。雨でも大丈夫ですし、夏は涼しく熱中症対策にもなります。福岡県内に乗馬クラブはたくさんありますが、インドアは3軒くらいしかないと思います。
入会される理由はどういったものが多いでしょうか?
動物が好き、馬が好きということで入会されるお子さんが多いですね。また、お兄ちゃん・お姉ちゃんが通っていて楽しそうだから自分もやりたいというケースも見られます。
一般的な乗馬クラブでは大人が中心で、そこに子どもが通っているケースがほとんどです。しかし、子ども専門のクラブにして馬と楽しく接する機会をつくることで、心理的に良い影響があったり、より専門的な乗馬教育をお子さんの成長にとって大事な時期に受けることができます。それが本クラブの目的です。
ヨーロッパでは、子どもの頃から馬と接点を持ちます。そうすると、「小さいときから自分で関わり、困難があっても乗り越えてきた」という自信が気持ちの中にできます。私自身がそうだったので、小さいお子さんの頃から馬に関わってほしいと思っています。
あんらいえんホースに通っているのは、何歳くらいの生徒さんが多いですか?
対象としては5歳からですね。最初は5歳で始めた子もだんだん年齢が上がっていくので、今は小学校の中学年・高学年が多いです。
子どもが楽しみ・成長する「あんらいえんホース」のレッスン内容
ここからは、あんらいえんホースの特徴的な取り組みや具体的なレッスンの内容、子どもたちの成長について伺いました。
レッスンの特長:馬のことを学び、お世話をすることからレッスンが始まる
レッスンの特徴としては、どんなことが挙げられますか?
本クラブでは、きちんと基礎から乗馬教育をしたいので、他のクラブではなかなか教えないようなことを教えていますね。例えば、馬の体の構造について解剖図を見せながら説明したり、馬の腹部に耳を当て、音を聞いたりします。
そのような体験が、乗馬にどのように繋がってくるのでしょうか?
私たちは、馬について知ることは「命」について考える機会でもあり、馬への愛着の気持ちを醸成することに繋がると考えています。
専門的な話になりますが、馬は嘔吐ができないため便秘で死に至ることがあります。また、具合が悪くなってから亡くなるまでの時間は24時間前後であることが多いです。今は餌の質も良くなっているので急に死ぬことは少なくなりましたが、今日乗っていた馬に、次は会えなくなる可能性もあるわけです。
そういう意味もあって、本クラブのレッスンは、御飯を作ったり、お掃除したり、馬のお世話をすることからスタートします。自分の乗る馬のお世話ができるようになっていくことで子どもたちは自信をつけていきます。
そして、「私が掃除したのよ!」と思いながら自慢げに乗るその気持ち、空気感を馬はキャッチしています。ですから、馬を知ること、馬のお世話をすることは、ひいては乗馬にも関わってくることで、馬とライダーの信頼関係を築く第一歩だと考えております。
レッスン内容:乗馬スキルと馬とのコミュニケーション力向上を目指す
馬のお世話をした後は、どういった内容のレッスンを行うのでしょうか?
実際に乗馬し、「体のどの部分に力を入れるとバランスが取れるようになるのか」など、馬に乗るスキルを指導していきます。乗馬は全身運動で、体幹でバランスを取るスポーツなので、体幹を鍛えながら乗れるようになっていきます。
その過程で、「ここに力が入っているから乗れない」「こういう心理状態だから力が入っているんだな」ということが、私にはわかるんです。これは本クラブの特徴であり、強みかなと思っています。他の乗馬クラブに通った経験がある大人の方からは、こんなに細かく教えてもらったことはないと言われます。
そのほか、どのようなことに重点を置いてレッスンを進めていますか?
楽しく乗馬ができるように心がけています。スキルを教えるということは、「正しく乗る」ことになるわけですが、どんなにスキルが上がっても、馬が今何を考えているかを感じ取りながら乗らなければ、乗馬は楽しくはなりません。
逆に言えば、正しく乗れるスキルを身につけた上で、馬とコミュニケーションを取りながら乗ると、ものすごく楽しくなります。
馬は人間の3〜5歳くらいの知能があると言われていて、とても感情豊かな生き物です。馬の進行はライダーが指示を出しますが、例えば乱暴に指示を出すと従わず、丁寧にお願いすると従ってくれるということもあります。その違いを察知し、馬の気持ちを推し量る力を培うことが、コミュニケーションをとる上で大切になってきます。
手綱の扱い方みたいなところにつながってくるのでしょうか?
手綱の使い方もそうですが、一番大切なことは、馬と呼吸を合わせること、つまりリズムです。
例えば、止まるときや発進するときに、息を吐きながら馬にちょっと近づくと、蹴ったり、ムチを入れたりしなくてもスーッと出てくれます。言葉にするのは難しいのですが、バランスに呼吸を合わせるといったことです。
乗馬の指導は河津さんがされているのでしょうか?
基本的には私が指導していますが、競馬の関係者や他クラブの講師を招いて指導していただくこともあります。私は馬場馬術という型見せ競技をメインにしていますが、ジャンプ競技を教えに来てもらうなどします。いろいろな影響を受けた方が、視野や可能性が広がると思っています。
身につく力:一人ひとりに合わせた指導で自信や思いやりを養う
御クラブに通うことで、子どもたちはどういったことが身につくと思いますか?
本クラブには、発達障害のお子さんや定型発達のお子さん、ボーダーのお子さんまで、さまざまな子どもが通っており、一人ひとりに合わせて指導しています。ゆっくり学んでいくお子さんでも何ら問題はなく、個性を活かして進めることができるので、精神的に自信がつくと思います。
学校では、おそらく乗馬経験があるお子さんは少ないなか、自分は馬に乗ることができるわけです。なので、本クラブへ通うようになり、自信を持って学校生活を過ごせるようになったという声をよく耳にします。
また先程も触れましたが、生活やスポーツの基礎となる体幹を鍛えることができますし、命の大切さを学ぶこともできます。さらに、馬と接するうちに相手を思いやる心が育まれ、性格面でも穏やかになると感じています。
レッスンはどのような雰囲気で実施しているのでしょうか?
最初の頃は、他の乗馬クラブから移ってきた競技選手も多かったので厳しい場面もありましたが、今は本クラブが初めての子どもたちがほとんどなので、笑顔も多く見られ、みんなで楽しくやっていこうという雰囲気です。
また、本クラブは全国乗馬倶楽部振興協会に入会していて、子どもたちは同協会が開催している「ポニーライダー技能認定」にチャレンジしているんです。この認定は5級から1級まであり、試験に合格するとオリジナルバッジがもらえます。そのバッジ欲しさにみんなとても頑張っています。
バッジは一つの象徴であり、やはり子どもたちは、馬のお世話にしても乗るスキルにしても、できることが増えていくのはうれしいようです。
あんらいえんホースからのメッセージ
最後に、あんらいえんホースに興味を持ったお子さんや保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
本クラブは、安全に配慮した施設で基礎から乗馬を学べます。続けやすい料金設定で、お子さまが安心して楽しめるように配慮しています。
自信がないお子さん、自分の意見が言いづらいお子さんは、馬が後ろ盾になってくれて、意見が言えるようになるケースが本当に多くあります。乗馬は、大人になってからの自己肯定感を確立する礎になると思います。
もし本クラブに興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、実際の雰囲気を感じてみてください。予約制になりますが、体験会も実施しております。
本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
あんらいえんホースの料金・レッスン回数
体験会 | おひとり様3,300円(お子様のみ) |
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入会金 | 22,000円 |
年会費 | 5,500円(保険料込み) |
月6回クラス | 26,400円/月 |
月3回クラス | 19,800円/月 |
※すべて税込みの金額。詳しくはお問い合わせください
レッスンの頻度は月3回と6回があり、まずは馬に慣れたいという場合は3回コースを選び、「乗りこなしたい」「スキルも身につけたい」というお子さんは6回コースを選ぶことが多いようです。
あんらいえんホース利用者の保護者の声
ここからは、あんらいえんホースを利用されているお子さんの保護者の口コミを紹介します。
幼稚園年長さん5才/女の子の保護者
最初は怖がりな部分が出て乗るのも触るのも泣いていましたが、7か月間通って、今では幼稚園の踊りも先生に負けないぐらい踊れるほど体力がつき、体の芯がしっかりしました。自転車も馬も乗りこなします!本人も自信がついて表情が変わって以前より積極的になりました。引用元:あんらいえんホースの公式サイト
小学3年生8才/男の子の保護者
人との競争が向かない子なので勝負事ではない習い事を探していました。始めて、6ヶ月ですが自分で考えて、相手のことを考えて対応できるようになってきているのを感じます。それが自分のペースでできるのが合っていたのかなと思います。引用元:あんらいえんホースの公式サイト
幼稚園年長さん6才/女の子の保護者
マイペースなところがあり、人に合わせられないところがある子なので心配していましたが、オリジナルコースなどその子に合った、やりかたでしてくれるのでみんなと一緒にやる馬の手入れは参加できなくても、本人が選んでできることをして楽しんでいるようです。今、半年くらいですが少しずつ出来ることが増えてきているようです!引用元:あんらいえんホースの公式サイト
幼稚園年長さん6才/女の子の保護者
お友達に教えてもらって、体験から参加しました。入会の決め手は本人が生き生きしていた!生き物を大事にする気持ちが育つと思った、というところです。ほかの習い事もしながらなので行けないときもありますが、参加してから6か月間、偏食な子ですが、馬に乗れるようにと、よく食べてくれるようになりました。週に2回をお迎えにも来てもらえるので安心して仕事帰りに迎えにいけます~引用元:あんらいえんホースの公式サイト
あんらいえんホースの基本情報
運営 | 株式会社あんらいえん あんらいえんホース |
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住所 | 福岡県福津市奴山1230-1 |
お問い合わせ | ■電話 090-3783-0936 ■問い合わせフォーム https://uma-anleihen.c-co.jp/inquiry.php |
公式ページ | https://uma-anleihen.c-co.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください