学校法人石川高等学校(学法石川)の「個人の興味をとことん突き詰める」探究学習

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、福島県石川郡にある共学校「学校法人石川高等学校(以下、学法石川)」を紹介します。

1982年に創立された同校は、2024年に132周年を迎える伝統校です。「グローバル+ローカル」のリーダーを育成していくために進学から就職まで多様なコースを設けており、生徒の能力や関心に応じた成長をサポートしています。

今回は、そんな学法石川の建学の精神や探究学習、クラブ活動などについて、イノベーション推進部主任の岩瀬先生にお話を伺いました。

建学の精神を身近に捉える、学校法人石川高等学校(学法石川)の教育理念

学法石川の野球部の応援(左)、サッカー部の応援(右)

▲サッカー部・野球部の応援をする様子。建学の精神を胸に秘めた生徒たちの絆の強さが感じられる

編集部

最初に、学法石川の建学の精神や教育理念についてお聞かせください。

岩瀬先生

本校では、建学の精神を常に身近なものとして捉えたいとの理念があり、各教室の黒板の上に、8つの建学の精神(※)を掲げています。生徒たちは「人間として必要な学問への自覚と情熱、創造的研究心を高める。」などの言葉を、常に目にしているわけです。
(※)8つの建学の精神については公式サイトを参照

また、本校では人間力の育成を自己評価して客観視する「ルーブリック」の取り組みを行っています。それも建学の精神をもとに作っています。学校の方針や教育目標に関わる建学の精神を非常に大切にしています。

その中でも特に大切にしている想いが2つあり、1つは「魚水」の考え方です。魚にとって水は切っても切れない関係であるように、生徒たちにとって私たち教員は必要不可欠な存在になろうということです。その魚水の精神は、入学時に校長が生徒全員に話しますし、普段から私ども教職員も意識しており、生徒たちに寄り添う指導を心がけています。

もう1つは「行学一如(ぎょうがくいちじょ)」です。これは、ただ学ぶために学ぶのではなく、学んだことを日常で活かそうと述べている建学の精神です。8つある建学の精神の中でも「魚水」と「行学一如」の2つは、常に意識しており、頻繁に生徒たちにも伝えています。

ロボットを使って防災を考える。学法石川の実社会で活かす探究学習

学法石川の生徒

▲探究学習でプログラミングする「あるくメカトロウィーゴ」を手にしている生徒

編集部

学法石川の探究学習への特徴的な取り組みについてお聞かせください。

岩瀬先生

高校のイノベーション探究コースについて、1学年で4単位、3年間で合計12単位の総合的な探究の時間を設け、教科を超えた横断型の学びを実践しています。さまざまなプログラムを通して、いわゆる「非認知能力」と呼ばれる資質能力を身につける取り組みです。

代表例としては、福島県の会社が作っている「あるくメカトロウィーゴ」というロボットを使った学習です。このロボットにはカメラもマイクも付いており、プログラムを入れていくと動くシステムで、プログラミングの学習を意識はしていますが、あくまでもツールとしての位置づけで、初心者でも動かせる「スクラッチ」を使っています。

ただ、それを複雑に組み合わせるところで、IF関数やNOT関数を使います。本校は今年2024年、DXハイスクール(※)に採択されたので、2024年度中に生成AIとつなげ、そのロボットとやり取りをするプログラムを行う予定です。
(※)ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校に対し、必要な環境整備の経費を支援する文部科学省の事業

学法石川のロボットを使った探究学習

▲ロボットを使った探究学習

岩瀬先生

また、思考力を育成するプログラムとして「STEAMライブラリー」という経産省の教材があります。その中の「防災×テクノロジー」のコンテンツ制作に私も携わらせてもらったのですが、そのプログラムとうまく組み合わせ、ロボットを使って、防災の場面で役立てることができるのではないかと考えています。

本校では、「行学一如」の考え方のとおり、学んだことを実社会で使える力につなげることを目指しているんです。

編集部

どのように防災に結びついていくのでしょうか?

岩瀬先生

例えば、教材の中では、ヘビ型ロボットが狭いところへ入って、2次被害を防ぎながら家屋の中に残っているものを見つけに行くものがあります。発想は無限にあるので、生徒たちが面白いアイデアを出してくれると思っています。

いろいろな災害に対して、どんな困った人に対してどんなツールがあればいいかのヒントが教材に入っており、それぞれ自分たちが考えたテクノロジーの商品をプレゼンすることが最終ゴールとなっています。

実際には、小さなロボットを使って防災の分野で出来る事というのは限られていますが、モノづくりを通してどのような仕組みがあり、どのように作っていけばいいのかを考えさせることが狙いです。

起業ゼミや個人探究などの取り組みで将来のキャリアを意識する

学法石川の起業ゼミ

▲起業ゼミの様子

編集部

そのほか、探究関連で何かあればお聞かせください。

岩瀬先生

2023年には、外部の方に来てもらい「起業ゼミ」という起業家教育プログラムを行いました。そのとき、睡眠の質を上げるためのアプリ開発をテーマにした生徒が20人中3人もいました。3人ともスポーツをしている男子で、全国大会に出場している生徒です。そのほかも健康系のテーマが多かったのは本校の特徴なのかもしれません。

起業ゼミは8時間のプログラムで、まずは株式会社とは何なのかを学ぶところからスタートし、いくつかの事例を知った上で、実際にヒアリングする流れで、月1回ずつぐらいで進めました。今年はリクルートさんのスタディサプリの「高校生Ring」を行っています。

2年生からは個人探究がメインになってくるので、この起業ゼミと並行して行っていました。

編集部

個人探究はどのようなテーマがあるのでしょうか?

岩瀬先生

最初の頃は、しりとりで探究した生徒がいました。どの単語を使うとしりとりで勝ちやすいかという面白い内容で、どうやらキラーワードがあるらしいです。既にその研究を行っている人がいたので、そういう先行研究も調べながら、生徒自身も友人としりとりをやってみながら探究を進めていました。

ドラマが好きな生徒は、テレビドラマの特徴を調べていました。ヒットドラマはすべて三角関係が登場するそうです。本校では、年に2回、探究学習の全体発表があり、それが終わると新たな探究テーマに移ってもいいし、同じテーマを探究し続けても良いのですが、その生徒は引き続きドラマを探究しています。

他には、依存症について探究した生徒もいます。寮の通学路にパチンコ屋さんがあり、シンプルに「なぜパチンコをしているのだろう」と疑問に思ったらしく、依存症について調べていました。

同じ頃、スマホゲーム依存の自分をテーマに探究した生徒がいました。スマホを使い過ぎる自分をどうやったら止められるかを試してみようということで、スマホのロックを友達にかけて使えない状態にし、自分に出てくる禁断症状を記録していました。

学法石川のプレゼン風景

▲探究学習では何度もプレゼンテーションを行い、プレゼンテーション力も身につけます

編集部

先生方のサポートとしてはどのようにされているのですか?

岩瀬先生

最初の頃は探究になっていないケースが多いので、探究に持ってくためにはどうすればいいか、あなたにしかできないもの、あなたにしか得られないデータや結果でなければ探究ではない、ネットで調べたことを発表していたのでは探究にならないといったことをひたすらやり取りしていました。

私が心がけているのは、生徒の興味をつぶさない、この1点です。その上でテーマも内容も、本人の意志を尊重し、自由にさせています。

例えば、音楽でストレスがどう緩和するかを調べたいと思った生徒がいましたが、そのときは脈ぐらいしか取れる手段がありませんでした。脈だけでリラックスしているかどうかを測るのは十分ではないと思ったのですが、その生徒がとてもそれに興味を持っていたので、見守りました。

そうした緩さを大事にしながら、「探究的」になるような学習を実践しています。この段階では完全な研究でなくても良いと思っていますね。

学法石川がSDGs博に出展したときの様子

▲SDGs博に出展したときの様子

サッカー部専用の寮とフルコートのグランド完備。学法石川の部活動

学法石川のサッカー場

▲130周年記念事業でサッカーグラウンドを建設

編集部

次に学法石川の部活動についてお伺いできますか?

岩瀬先生

本校では石川町内に4つの寮を完備しています。その中のひとつはサッカー部専用の寮です。また、本校130周年記念事業として2023年にフルコートのサッカーグラウンドを新設しました。

同じ福島県内に尚志高校さんという全国レベルの強豪校があり、本校としては何とか勝ちたいと思ってがんばっています。ここ最近はあまり結果が出ていないのですが、数年前には尚志高校さんを破って全国大会に出場しました。

編集部

御校のサッカー部が強豪になるまでには、どういった背景があるのでしょうか?

岩瀬先生

もともと、サッカー部は最初は20数年前に女性教員が同好会から始めたらしいです。彼女自身はサッカーについての知識はまったくなかったのですが、生徒に顧問を頼まれ、それに応える形でサッカー部が発足しました。

転機があったとすれば、寮ができたことだと思います。ただ、尚志高校さんに勝てたのは、一つ一つの地道なプレーの積み重ねで何とか突破したと聞いています。

編集部

サッカー部の部員の方はどんなタイプが多いのでしょうか?

岩瀬先生

強豪部は態度が大きくなりがちかと思うのですが、本校のサッカー部の生徒は礼節を重んじる謙虚なタイプが多いですね。周りのことを考えて動ける生徒ばかりで、朝に学校前の掃除を自主的に行っているのが印象的です。

学法石川のサッカー部の応援

▲全校生徒がサッカーの応援に行きます

サッカー部員へのインタビュー

学法石川のサッカー部の伊藤さん

▲学法石川サッカー部の伊藤さん

編集部

学法石川のサッカー部が強い理由はどんなところにあると考えますか?

サッカー部:伊藤さん

現在たまたま部員数が多いこともあるのですが、最近、サッカー部のルールを見直し、新しくしたことも影響していると思います。例えば、朝練の時間を短くして回数を増やすなど、いくつか変更したんです。

編集部

ルールの部分を自分たちで考えて変えたきっかけは何だったのでしょうか?

サッカー部:伊藤さん

2023年10月の福島県大会の準決勝で尚志高校に敗退したとき、今までやってきたことは間違っているのではないかと思ったことがきっかけです。ルール変更と、監督やコーチとの個人面談などを通して、今、ようやくチームが一つにまとまってきたところです。

編集部

自分たちの強みはどういったところでしょうか?

サッカー部:伊藤さん

普段からハードな練習に耐えているので耐性はあると思っています。また、練習場へは30分、40分かけて自転車で行っています。そうした積み重ねで体力も根性も鍛えています。土壇場での強さ、粘り強さは負けないと思うので、次の試合でこそ、そうした力を発揮したいと思っています。

女子硬式野球部員インタビュー

学法石川の女子硬式野球部の大原さんと小野さん

▲学法石川女子硬式野球部の大原さんと小野さん

編集部

女子硬式野球部について、部員数や戦績、練習の頻度などを教えていただけますか?

女子硬式野球部:小野さん

部員はマネージャー含めて33人います。福島県内で女子硬式野球部があるのは2校だけで、全国大会にも出場し、今年はベスト16に進出しました。練習は月曜日がオフで、それ以外は毎日活動しています。

編集部

野球部の魅力について、教えてもらっていいですか?

女子硬式野球部:小野さん

つらい練習もありますが、その中でもみんなで助け合って、全員で乗り越えるのはすごく楽しいです。私たちのチームでは、「苦の中に光あり」のスローガンを掲げていて、苦しい中でも光が見えてくるからそのためにがんばろうということを意識して練習に励んでいます。

女子硬式野球部:大原さん

あと、監督のオン・オフがしっかりしているので、気持ちを切り替えてみんな笑顔でがんばっているところも良いと思っています。

編集部

練習はどんな雰囲気なのでしょうか?

女子硬式野球部:小野さん

たくさん走ったりするのですが、その中でもつらく感じないような雰囲気づくりを大切にしています。

編集部

そのほかに、野球部の特徴的なことがあれば教えてください。

女子硬式野球部:小野さん

これは男子野球部も実施していますが、アップのときにアップ係が考えてくれた「曲に合わせて踊るダンス」があります。普通のアップだとどうしても飽きてしまうので、飽きずに楽しめるような工夫を盛り込んでいます。

編集部

男子野球部も強いと思いますが、それは良い影響がありますか?

女子硬式野球部:小野さん

男子野球の試合の結果を見ると、自分たちももっと頑張って練習して、勝ち進みたいという気持ちになります。

岩瀬先生

最後にひとつだけ。本校のサッカー部と女子野球部には公式のInstagramがありますので、ぜひご覧ください!

■学法石川高校サッカー部公式Instagram
https://www.instagram.com/gakusekifc/

■学法石川女子硬式野球部公式Instagram
https://www.instagram.com/gakuseki_gbc/

学法石川からのメッセージ

学法石川の岩瀬先生

▲教育系YouTuberでありスタディサプリ講師でもある、イノベーション推進部主任の岩瀬先生

編集部

最後に、学法石川に興味をもったお子さまや保護者へのメッセージをお願いします。

岩瀬先生

本校では生徒の2割くらいが全国大会に出場しています。各教室に7~8人が全国大会に出場している計算になります。そこに入るのはちょっと不安かな、自信がないかなと思う方がいるかもしれませんが、全国大会で新聞に載ったり、テレビインタビューされたりするような生徒たちも教室では普通の生徒です。

クラス全体が、部活動でがんばっている生徒に引き上げられるような、自分もがんばればできるのではないかといった気持ちになり、何事にも意欲的に取り組む傾向にあります。全国レベルの力はない方、すごい特技があるわけでもない自信がない方もぜひ本校に来てください。勉強も部活動も学校生活の楽しさも、相乗効果があります。

本校では「人間力」を大切にしています。そして本校で一番のアピールポイントは在校生です。もし本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、本校の在校生を見て、そして学校の雰囲気を感じてください。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

学法石川の進路実績

学法石川では、ほとんどの生徒が進学しており、国公立大学や難関私立大学への合格者を多数輩出しています。令和5年度入試の合格実績としては、国公立大学に20名、準大学に2名、私立大学には176名が合格しています。

その内訳は、国際教養大学1名、東北大学2名、筑波大学1名、筑波大学1名、電気通信大学1名、新潟大学1名、宮城教育大学1名、福島大学4名、山形大学1名、茨城大学1名、東京海洋大学1名、会津大学1名、公立はこだて未来大学1名、釧路公立大学1名、都留文科大学1名、京都府立大学1名となっています。準大学には、防衛大学校1名、海上保安大学校1名が合格しています。

私立大学は、早稲田大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、同志社大学、立命館大学などの難関大学・有名私立大学に合格しています。

■進路実績(学校法人石川高等学校公式サイト)
http://ishikawa-gijuku.ac.jp/news/detail.html?CN=365367

学法石川の保護者・在校生の口コミ

ここからは、学法石川の保護者や在校生の口コミを紹介します。

(保護者)先生が熱心で、補習などに力を入れているし、授業も楽しくて成績が上がっていた。

(在校生)サッカー部が全国レベルなので、自分で技術を磨くことができるほか、寮生活で自立心も身につく。

(在校生)オーストラリアでの語学研修に魅力を感じて入学した。留学経験がある先生に教わることができるので安心できる。

(在校生)探究の時間やSTEAM教育のおかげで、能動的に学ぶことが身についた。

学校法人石川高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人 石川義塾
住所 福島県石川郡石川町字大室502番地
電話番号 0247-26-5151
問い合わせ先 http://ishikawa-gijuku.ac.jp/contactform/
公式ページ http://ishikawa-gijuku.ac.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください