この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、広島県広島市にある「AICJ中学・高等学校」をご紹介します。
AICJ中学・高等学校は、JR可部線の下祇園駅から徒歩約3分のところに位置する男女共学の私立中高一貫校です。西日本で一条校として最初に国際バカロレア(IB)認定(※)を受けた学校としても知られており、中学では34時限中14時限の授業をオールイングリッシュで行うなど、英語教育に大きな特色があります。
(※)国際バカロレア(IB)認定:国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムで、必要条件を満たせば世界各国の大学への入学資格を得られる
今回、ぽてんではAICJ中学・高等学校の校長であり英語等の授業も担当されているデービッド・クーパー先生をはじめ、教頭および高校化学担当の大平充先生、スーパーバイザーの宮平政知先生、広報主任および国語科担当の佐々木真一先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラムなどを詳しく教えていただきました。ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
国際的に活躍できるエリートの育成を目指す「AICJ中学・高等学校」
▲AICJ中学・高等学校の校長であるデービッド・クーパー先生
まずは、AICJ中学・高等学校の教育方針について教えてください。
本校では、グローバル社会で成功するためには「自立」と「貢献」の2つのスキルが大変重要であると考えており、この2点を教育目標として掲げています。英語教育を中心とした独自のカリキュラムによって学力を磨くことはもちろん、自主性やボランティア精神といった社会的ニーズの高いスキルを養うことで“グローバル社会で活躍できる国際的エリート”の育成に尽力しています。
なお、学校名であるAICJは「Academy for the International Community in Japan」の頭文字をとったものです。国際社会の一員として力を発揮してほしいという願いが、校名を見てもおわかりいただけると思います。
“国際的エリート”になるためには、具体的にどのような資質・能力が必要であると生徒さんへ説明されていらっしゃるのでしょうか?
本校はIBの認定を受けた一条校であることから、IBが理想の学習者像として掲げる10のラーナープロファイルをもとに教育指導を行っております。
具体的には「探求する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「信念をもつ人」「心を開く人」「思いやりのある人」「挑戦する人」「バランスのとれた人」「振り返りができる人」であり、生徒には常にこれらの学習者像を意識して日々の勉強や生活に臨むよう指導しています。
▲校内にはIB関連の展示がたくさんあり、生徒たちへの良い刺激になっています
▲10の人物像は、目指すべき道を明確に照らしてくれます
AICJ中学・高等学校が展開する特色のある英語教育
国際社会の一員として欠かせないコミュニケーション手段である「英語力」の向上に向け、AICJ中学・高等学校では独自の学習プログラムを整備しています。具体的にどのような特色があるのか、先生方にお話を伺いました。
「イマージョン教育」かつレベル別の授業で自然に英語力アップ
AICJ中学・高等学校には、充実した英語教育に惹かれて入学された生徒さんも多いのではと思います。御校ならではの魅力についてご紹介いただけますか?
英語を“目的”としてではなく“手段”として学ぶ「イマージョン教育」に力を入れていることが大きな特徴です。英語の授業だけでなくその他の教科についても英語で教わることで、より自然に英語力を伸ばしていくことができます。
中学において生徒が英語で学ぶ授業の割合は約40%で、具体的には週34時限のうち14時限をオールイングリッシュで指導しております。中学校の3年間で英語の基礎を完了させることが目標で、高校からは希望する進学先に合わせたカリキュラムで一段上の英語指導を行います。
オールイングリッシュだと、特に入学当初は「授業についていけるかな」と不安に思う生徒さんもいるのではと思いますが、実際はいかがでしょうか?
そういった心配をされているご家庭が結構多く、実際にご質問も受けています。ただ、英語の授業に関しては生徒のレベル別で授業が展開されるため、全くわからないまま進んでしまうということはありません。
レベル分けでは実用英語検定を判断基準としており、準2級以上の生徒はハイレベルの授業を、3級以下の生徒は基礎からの授業を受けます。そのため、英語がペラペラの子と基礎からスタートする子が同じ授業を受けた結果、「難しすぎて意欲が湧かない」「簡単すぎて退屈する」という事態は起きないようになっています。
もちろん、生徒たちが英検にどんどん合格していけばクラス全体の英語レベルは上がりますが、その中で特に伸びた生徒については上のクラスに上がっていくイメージです。
ちなみに、英検準2級以上の生徒には「AI(Advanced Immersion class)」という特別クラスを設けています。中学1年生の頃から原書を読んでいくくらいのレベル感ですね。
▲図書室の洋書コーナー。たくさん洋書を読んでいくことで、英語力が身についていきます
ネイティブの教員が多く、授業以外の時間でも英語を使う機会がたくさん
AICJ中学・高等学校では、授業以外の時間にも英語を使える機会が多くあるそうですね。
本校は校長もイギリス人ですし、ネイティブの教員も19名在籍(2024年4月時点)しており、日常的に生きた英会話に触れられる環境です。たとえば廊下を歩いていてネイティブ教員とすれちがう時や職員室に行って話しかける時、ネイティブ教員が監督しているエリアの掃除を行う時など、日々の学校生活におけるさまざまなシーンにおいて英語を使うチャンスがたくさんあります。
また、校内の展示や学校行事などで英語と日本語の両方を表示しており、視覚的にも英語に触れる機会が多いです。そういった環境は学校としての大きな特色でもあるし、それを期待して入学される生徒さんも多くいらっしゃいますね。
ネイティブの先生は19名いらっしゃるということですが、ご出身もさまざまでしょうか?
はい、出身地はイギリスやアメリカ、フィリピン、オーストラリア、カナダなどさまざまです。ネイティブ教員は開校以来81名程度在籍しており、出身地としては約18か国におよびます。
英語の教員というと、一般的にアメリカ人やイギリス人のイメージがあるかもしれませんが、本校では多彩な国の教員からいろいろなイントネーションの英語を聞くことが可能です。この点は、これから国際化社会を生きていく生徒にとって非常に貴重な経験になると思います。
高校からは「IBディプロマコース」も選択可。海外大への進学を視野に入れる
▲AICJ中学・高等学校で広報主任を務める佐々木先生
英語教育に特徴のある御校では、海外大を目指す生徒に特化したカリキュラムもあると伺っています。入学後は、どのようなコースを選択できるのでしょうか。
AICJ中学・高等学校では、中学で「東医Hコース(※)」「早慶/国立大コース」の2つ、高校からはそれらの継続に加えて国語以外の教科をネイティブ教員が担当し、国際的に通用する大学入学資格の取得を目指す「AIC IBディプロマコース」が選択できます。
(※)東大・医学部医学科・ハーバード大が目標。高校からは海外進学を目指す生徒は別コースになるため、「東医コース」という名称になる
それぞれの割合としては、年によって前後しますが「IBディプロマコース」に30名程度、「東医コース」と「早慶/国立大コース」に100名ほど在籍しています。クラス設定としては「AIC IBディプロマコース」が1クラス、「東医コース」と「早慶/国立大コース」が合計3クラスのイメージです。
「AIC IBディプロマコース」の卒業生は2024年の春で13期生になるのですが、コースを設立した初年度は1名しか在籍していなかったことを考慮するとしっかり定着してきていると感じます。
希望するコースには、どのようにして進学できるのでしょうか?
中学校からそのまま高校に入学する生徒には、高校受験で外部から入ってくる生徒たちと同じように試験を受けてもらいます。3つのコースの試験を受けてもらった後に合否判定を出すため、3つすべてのコースに合格する生徒もいれば、1つだけ合格する生徒もいる形です。
その中で、英語が得意な子は「IBディプロマコース」への進学が多く、日本の東大・京大を含め医学部系に進もうとする生徒は「東医コース」、英語を活かして難関私立大学への進学を目指す生徒は「早慶/国立大コース」を選ぶことが多いですね。
補足すると、本校はどうしても海外進学のイメージが強いのですが、国内の難関大を目指す生徒に対しての指導もしっかり実施しています。
なかには「どのコースを希望すればいいのかわからない」といった生徒さんもいると思いますが、その場合に先生方はどのようにサポートされていますか?
「あなたは東大に行きなさい」「海外に行きなさい」などと学校側から働きかけることは一切ありません。中学3年間で先輩の姿や声に刺激を受けながら、自分で自分の進路をしっかりと見つめて決定するよう促していますね。
AICJ中学・高等学校のスクールライフについて
続いて、AICJ中学・高等学校の雰囲気や部活動についてお話を伺っていきます。
自分の好きな分野で積極的に活動する生徒が多い。部活動はサッカー部が強豪!
▲AICJ中学・高等学校の教頭である大平先生
AICJ中学・高等学校には、どのようなタイプの生徒さんが多いでしょうか?
何事にも積極的な生徒が多いですね。外部のイベント等にも主体的に参加するなど、全体的にアクティブな印象です。たとえば自治体主催のワークショップに参加したり、英語のスピーチコンテストに出場したりと、思い思いの活動をしています。
部活動を行っている生徒さんも多いと思いますが、学業との両立についてはいかがでしょうか。
本校は部活動が必須ではないため、学業との両立はしやすいと思います。学内のクラブに所属せず、外部のスクールに通う生徒も多いですね。基本的には生徒の“主体性”に任せています。
ただ、高校の女子サッカー部のみ状況が異なり、5年連続で全日本高等学校女子選手権全国大会に出場したり、WEリーガーやなでしこリーガー、女子Fリーガーなどを数多く輩出するなど、実績を残しています。
AICJ中学・高等学校からご家族・お子様へのメッセージ
最後に、AICJ中学・高等学校を検討しているご家族・お子様へメッセージをお願いします。
英語を本格的に学ぶことで、新たな世界が広がります。生きた英語が飛び交う生活空間に身を置くことは大変貴重な経験になるので、「英語をしっかりと学びたい」というモチベーションの高いお子様に、ぜひ本校をご検討いただきたいです。
まずは学園祭や学校説明会等で、本校の魅力に触れてみてくださいね。
▲AICJ中学・高等学校でスーパーバイザーを務める宮平先生
英語教育に優れた御校の特徴について、すごくよく理解できました。実践的な英語を学んでいきたい、海外大を目指したいというお子さんにとっては、さらに魅力的なのではないでしょうか。本日はありがとうございました!
AICJ中学・高等学校の在校生・卒業生の声
AICJ中学・高等学校の在校生・卒業生からは、英語教育の充実度に関して満足している意見が多くみられました。施設や学内設備などの環境も優れているという声も多く、きれいな校舎で仲間たちと楽しい学校生活を送れそうだと感じました。
AICJ中学・高等学校の進学実績
AICJ中学・高等学校では手厚い進路指導のもと、例年輝かしい進学実績を残しています。
2023年度においては卒業生125名(IBディプロマコース24名・東医・早慶/国立大コース101名)のうち、海外大学へ42名、国公立大学へ41名、難関私立大学へ51名、医学科や歯学科等の医療系へ33名が進学しています。
AICJ中学・高等学校では海外の大学と日本の大学のどちらにも道を開いており、希望する進路に合わせたカリキュラムで効率的に対策できることが高い進学実績に繋がっている印象です。また、IBディプロマコースに進む・進まないにかかわらず、入試の武器になるようなしっかりとした英語力が身に付くこともひとつの理由といえます。
AICJ中学・高等学校へのお問い合わせ
問い合わせ先 | AICJ中学校・高等学校 |
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住所 | 広島県広島市安佐南区祇園3丁目1−15 |
電話番号 | 082-832-5037 |
公式サイト | https://aicj.ed.jp/ |