子どもが身につけたい、一生役立つ力を紹介するこの企画。今回は、株式会社しちだ・教育研究所が運営する「七田式教育」を紹介します。
七田式教育は、日本の幼児教育の第一人者、故・七田眞さんが生み出した教育法です。その教育理念は「知識を教える」のではなく、「子供の才能を引き出す」こと。子どもの脳は、年齢が低ければ低いほど成長しやすいとし、0歳から取り組める教材をそろえています。
例えば、イラストが描かれたカードをすばやくめくるフラッシュカードで右脳に刺激を与え、プリント学習で左脳を育みます。このように、左右の脳をバランスよく鍛えることで、記憶力や想像力、表現力、計算力などさまざまな力を培います。
この記事では、そんな七田式教育の学習法や教材、効果について詳しくお伝えします。子どもに早期教育を受けさせたいと考えているお父さん、お母さんは、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
世界17の国と地域で約100万人が学んだ七田式教育
七田式教育は、学力のほか、協調性や大きな志を持った子どもを育てることを目指しています。65年以上の歴史を誇るその教育法は世界的な評価も高く、日本を含めた世界17の国と地域で実践され、約100万人が学んできました。
そんな七田式教育の特徴を、創始者・七田眞さんの次男で、株式会社しちだ・教育研究所の代表取締役社長・七田厚さんに伺いました。
早期教育で子ども一人一人が持つ可能性を広げる
▲七田式教育の特徴について語る七田厚さん
七田式教育とは、どのような教育法なのでしょうか?
子どもたち誰もが持っている大きな可能性を最大限に引き出すために、「脳の成長の黄金期」といわれる幼少期から働きかけを行う教育法です。1958年から幼児教育について研究を重ねてきた私の父・七田眞が創始者です。
父は、ある仮説を持っていました。それは、何万冊の本を記憶していたという塙保己一ら歴史上の偉人が持っていたような並外れた記憶力は、実は一人一人が備えていて、その力の引き出し方を知らないだけなのではないかというものです。その仮説をまずは自分の子どもで実証し、ゆくゆくは世の中に広めていきたいと考えていたようです。
実証の結果はどうだったのでしょうか?
私には幼くして亡くなった兄がいたのですが、兄は父から早期教育を受け、1歳7ヶ月でひらがなとカタカナを全て読むことができ、簡単な漢字も読めたと聞いています。
一方の私は、3歳の時に親からひらがなを教わったのですが、兄よりも物覚えが悪かったようです(笑)。後にそのことを聞くと、早期教育は始める年齢が幼ければ幼いほど吸収力が上がると感じました。
また、私には妹と弟がいます。我が家では、私が5、6歳の時に食卓で英語のカセットテープを流していた時期がありました。私は「そんな変な言葉は聞きたくない」と抵抗していたそうですが、妹と弟は当時1、2歳だったので、抵抗なく聞いていたそうです。
その結果、私は英語を自由に喋れませんが、妹と弟はペラペラに話せるようになりました。二人は成人してから海外に住んでいますし、妹はアメリカ人の男性と国際結婚をしました。
早期教育に関して、なにか参考にされたものはあったのでしょうか?
1700〜1800年代のドイツの教師で牧師、カール・ヴィッテが提唱した「才能逓減の法則」に基づいています。
子どもの脳には驚くほどの可能性と吸収力がある一方、その力の伸び代は生まれた時がピークで、1歳、2歳、3歳と歳を重ねるごとに徐々に小さくなっていくという法則です。要するに「子どもへの働きかけが早いほど伸ばせる才能も大きくなる」という考え方です。
七田式教育の教育法は、そういった理論を根幹としているのですね。
左右の脳をバランスよく育む「全脳教育」が特徴
他の幼児教育と比べて、七田式教育の特徴はどんなところにございますか?
右脳と左脳のどちらの発達も重視する「全脳教育」をうたっているところです。「右脳はインプット、左脳はアウトプットに使う」「右脳は感性やイメージ力、左脳は言語力や論理力をつかさどる」とよくいわれますが、七田式では左右の脳をバランスよく育てます。そうすることで、子どもたちが本来持っている脳の力を十二分に引き出せます。
世間ではよく、百人一首やカルタ、神経衰弱、パズルなどが幼少期から得意な子どもが注目を浴び、右脳の大切さがクローズアップされます。ただ、右脳だけを鍛えていては、言語力や論理力が育たず、20歳を過ぎれば「ただの人」になってしまいます。
そのことを踏まえ、右脳の発達が著しい幼少期は右脳を重点的に鍛え、3、4歳の頃から左脳への刺激も加えていきます。左右の脳をつなぐ連結回路を育てていくのです。
右脳・左脳を育てるだけでなく、それぞれを連結させていく必要があるのですね。
大量のインプットなどで右脳を刺激し、記憶力や発想力を養う
七田式教育の学習方法について、具体的に教えてください。
代表例として、「かな絵ちゃん」というフラッシュカードがあります。カードの表には動物や果物、乗り物の「絵」が、裏にはその単語の「かな」が書かれています。大人は子どもに絵を見せながら単語を読み上げ、一枚につき1秒未満のスピードでめくっていきます。
▲カードに動物などの絵が描かれた教材「かな絵ちゃん」をめくる七田さん
▲「かな絵ちゃん」のカードの裏面には、絵の「かな」が書かれている
こうすることで、高速の情報処理機能を持つ右脳を強制的に動かします。
また、カードの表に複数の「点」が描かれ、裏にはその数が書かれた「ドッツカード」という教材もあります。ドッツカードは、かな絵ちゃんと同じような使い方で右脳を鍛えつつ、子どもに数字や数の概念を伝えることができます。
これらのフラッシュカードは、子どもの成長にどのような影響を与えるのでしょうか?
高速かつ大量のインプットにより右脳を刺激することで、物事を写真のようなイメージで覚える記憶力が身につけられます。加えて、ドッツカードは計算力や数学的センスも磨くことができます。
七田式では、同じ年齢の子どもが覚える語彙数の4倍の獲得を目指しているのですが、「かな絵ちゃん」などのフラッシュカードは語彙を増やすのに適しています。語彙が増えることで、思考力や表現力も向上します。
ちなみにこれらは、自宅で取り組める教材としても販売しています。教室に通えないお子さまにも幅広く七田式を利用してもらえるよう、その他にも、さまざまな教材を自宅で取り組めるようにしているんです。
俳句や古典文学の丸暗記は、中高生になった時の学習でも役立つ
フラッシュカードのほか、七田式教育にはどのような教材がございますか?
丸暗記を行う「暗唱シリーズ」という文集があります。暗唱シリーズには、古典文学編、現代文学編、漢詩漢文編などさまざまな種類があるのですが、一番最初は俳句に取り組みます。
CDのかけ流しで俳句を耳に馴染ませ、慣れてきたら倍速で聴くなどして右脳を刺激します。その後、黙読や音読を行い、最後に暗唱ができるようにします。俳句は一つ一つの文が短いので、幼い子どもの暗唱にぴったりですよ。
暗記の題材に俳句や古典文学を使うのはなぜでしょうか?
幼少期は何を覚えるにしても記憶力は高まるのですが、アニメやゲームのキャラクターよりは、中高生になった時に役に立つようなテーマを扱った方が良いと考えているからです。中高生の時期よりも幼少期の方が、記憶もはるかに定着しやすいです。
もちろん、小さなお子さまは俳句や古典文学の意味までは分からなくてOKです。意味は学校教育で学ぶタイミングで理解すれば良いのです。
暗唱は右脳を刺激することが目的ですが、どうせなら将来役立つ俳句や古典を覚えたほうが良いということですね。
私も幼い頃によく聴いていた歌手の曲を未だに歌うことができます。あの頃は歌詞の意味など分かりませんでしたが、今も記憶に残っているということは、記憶に意味の理解はあまり関係ないということなんですね。
「社会科・理科ソング」で、都道府県や植物の名前を歌って覚える
▲教材「社会科・理科ソング」と「さんすうマスター」
ほかにも、特徴的な教材・学び方がございましたらご紹介いただけますか?
七田式教育には、歌で覚える学習法があります。「社会科ソング」「理科ソング」「さんすうマスター」などのシリーズ教材です。例えば「社会科ソング」なら国・地域・川などの名前を、「理科ソング」なら植物・地層の名前・てこの原理などを歌詞に盛り込んだ曲を聴き、歌いながらそれらを覚えます。
テストで「日本で三番目に長い川は何でしょう?」という問題があったとして、「一番長いは信濃川、二番は利根川、三番石狩〜」と口ずさむと、自然と答えにたどり着きます。
このシリーズの中に「ゴロゴロイメージ都道府県」という47都道府県の名前と形を語呂合わせの歌で覚える教材があるのですが、最近はこちらが特に人気が高いですね。
▲ 教材「ゴロゴロイメージ都道府県」
左脳を鍛える「七田式プリント」で、アウトプットの力を培う
▲教材「七田式プリント」
先ほど伺った右脳のトレーニングに加えて、左脳はどのように鍛えるのでしょうか?
左脳を育む教材の代表格は「七田式プリント」です。このプリントには、読み書きする力を養う「もじ」や、数学力を育てる「かず」、考える力を培う「ちえ」などの種類があります。難易度はA〜Dの4種類に分かれています。
七田式プリントは、類題を4度繰り返す「400%学習」という復習法を取り入れているのが特徴です。着実に学力を培えます。
右脳のトレーニングで鍛えたインプットの力を基に、プリントでアウトプットの練習をするのですね。
そうですね。また、プリントはフルカラーでクイズのような問題を採用しているので、お子さまに興味を持ってもらいやすくなっています。さらに、一日にこなすプリントは3枚までと決めています。各5分で計15分の問題設計ですので、無理なく毎日学習を続けられ、学習習慣を身につけられます。
週6日の学習であれば、1ヶ月でプリント一冊を終えられます。この学習を2年半続けることで、小学校入学前に学ぶべきことは全て学習できます。
教室では、七田式教育についてきめ細やかな指導が受けられる
教材を使った自宅学習以外で、七田式教育を学ぶ機会はございますか?
全国各地にある七田式教室で、研修を積んだ七田式教育公認の講師から直接指導を受けることもできますよ。教室は少人数制で、お子さま一人一人にきめ細やかなレッスンを行なっています。親御さまに向けたレッスンの解説やアドバイスもしていますし、子育てに関する質問や相談も受け付けています。
また、コースは全部で11種類あり、これまで紹介してきた教材などを使った基礎プログラムのほか、運動や食学について取り組めるコースも用意しています。
運動や食学のコースを設けているのはなぜですか?
七田式教育が身体の発達や健康をとても大切にしているからです。「知育・徳育・体育」が教育の三本柱と呼ばれることが多いですが、七田式教育ではこれに「食育」を加え、「食・体・徳・知」を子育ての四本柱としています。
「食・体・徳・知」の順番にしているのは、食事や運動によってつくられた健康な体がベースとなり、そこから社会性を身につけてはじめて知識が役に立つと考えているからです。
七田式教育では脳だけでなく、体の健やかな成長も大事にしているのですね。
しちだ・教育研究所からのメッセージ
最後に七田式教育に興味を持った方に向けて、メッセージをいただけますか?
七田式教育は、子どもが将来なりたいものや取りたい資格を見つけた時に、目標を達成するだけの力を養うための教育です。子どもの力が伸びやすい時期にサポートをするのが親の役目で、身につけた力を使ってどのような道に進むかは子どもの意志によります。
幼児期は「テストで何点取らなければいけない」といった義務感やプレッシャーがありません。その時期に親子で楽しく素質を伸ばしていただければと思っています。
また、親御さまには子どもに愛情を伝えることを大事にしてほしいと思っています。そうやって親子の信頼関係を築くことで、子どもの脳はより活性化します。そうすると、「勉強しなさい」と伝えずとも自然と勉強を頑張るような子どもに育ちますよ。
七田式教育では、子どもたちが自ら夢を叶えるための基礎となる力を得られるのですね。まさに、「子供の才能を引き出す」教育だと感じました。本日は、ありがとうございました!
七田式教育の教材購入・受講方法
七田式の学習方法には、市販の教材を使った自宅学習と、全国の七田式教室で学ぶレッスンがあります。
自宅学習用の七田式教育の教材は、「七田式オフィシャルストア」で販売しています。扱っている主な教材の価格は、以下の通りです。
【主な教材の価格】
価格 | |
---|---|
七田式プリント | 14,800円 |
かな絵ちゃんカード | 17,600円 |
七田式ドッツセット | 19,250円 |
社会科ソング | 3,520円 |
※最新の料金はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※金額は税込です。
※2024年2月13日時点
そのほかの教材については「七田式オフィシャルストア」をご確認ください。
続いて、七田式教室の主なコースについてご紹介します。
【七田式教室の主なコース】
入室料(新規入室時のみ) | 受講料(月額) | |
---|---|---|
赤ちゃんコース(0歳5ヶ月まで) | 0円 | 5,500円/回 |
幼児コース・小学生コース | 11,000円 | 15,400円 |
幼児英語コース | 11,000円 | 10,450円 |
小学生英語コース | 11,000円 | 15,400円 |
プログラミングコース | 11,000円 | 14,300円 |
脳育運動コース | 11,000円 | 8,800円 |
※地域によって価格が異なる場合がございます。料金の詳細はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※金額は税込です。
※2024年2月13日時点
幼児コースには、月齢ごとのプログラムが用意されています。フラッシュカードや七田式プリントなど市販の教材を使ったレッスンのほか、教室オリジナルの教材も用い、記憶力やイメージ力、言葉を理解する力、表現力を育みます。
小学生コースでは、記憶力の養成などに加え、偉人の紙芝居の読み聞かせや作文創作、速算などに挑戦し、人間力や教科ごとの学習力も身につけます。
七田式教室にはほかにも、胎教コース、赤ちゃんコース、幼児・小学生英語コース、プログラミングコース、音楽コースなど計11コースがあります。各コースの詳細は公式サイトの「全国の七田式公認教室に通う」からご確認ください。
また、各コースの入室前には、体験レッスンが受けられます。「教室検索」でお近くの教室を探し、専用フォームからお申し込みください。
保護者や卒業生の口コミ・感想
子どもが七田式教育で学ぶ保護者や卒業生からは、以下のような感想がありました。七田式教育にご興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
(卒業生の声)七田式教育で育んだ発想力を生かし、東京大学大学院の修士課程で心理言語学の研究に取り組み、日本最大の言語学会の一つ「日本言語学会」で発表賞を受賞しました。受賞理由となった研究の独創性やプレゼン力も、幼少期から七田式教育で磨かれた力です。
(保護者の声)七田式教室に通っている長男と次男は、二人とも記憶力と集中力が良く、興味を持ったことを調べる探究心も強いです。教室で幼い頃からたくさんの情報を吸収する取り組みをしたことが、言動に現れています。早くから教室に通わせて本当に良かったです。
(保護者の声)教室への入室を決めたのは、他の幼児教室と違ってきちんとイスに座って課題に取り組み、「ほめる」「しかる」のメリハリがしっかりしていたからです。家で2歳の娘が、自分から七田式プリントを「やるよ!」と言い出すようになり、驚きました。学習が習慣として身についていることをはっきりと感じます。
卒業生からは、教育が学びの礎となったという意見が上がっていました。また保護者からは、教育を通して、子どもが能動的に学ぶ姿勢や意欲が身についたといった声が目立ちました。
七田式教育の基本情報
運営会社 | 株式会社 しちだ・教育研究所 |
---|---|
本社所在地 | 〒695-0016 島根県江津市嘉久志町2345-5 |
教室数 | 国内約230教室(2024年1月現在) |
公式サイト | https://www.shichida.co.jp/ |
問い合わせ | 0120-707-415 ※受付時間/10:00~17:00 (土日・祝日休み) |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。