本記事で紹介するのは、大分県佐伯市にある子ども連れファミリー向けの施設「番匠(ばんじょう)おさかな館」です。
番匠おさかな館は、身近な川にいる生きものについて深く学べる水族館!
実際の川の様子を再現した水槽で泳ぐ生きものを間近で眺められるだけでなく、飼育員さんが作った面白い解説パネルを読んだり、学習コーナーで調べたりもできるので、どんどん興味の扉が開いていきます。
タイミングが合えば、飼育員さんがエサやりをしながら直接説明してくれるので、きっと子どものワクワクが止まらないはず!
今回は、番匠おさかな館の主任を務める宮島さんに、施設の良さについて具体的にうかがいました。
この記事の目次
小ぢんまりとしているのに満足度が高い番匠おさかな館
番匠おさかな館は、「道の駅やよい」内にある水族館です。そこまで大きな施設ではないものの、展示に体験にと充実していて、想像以上に満足感があると思います。
公式サイト:道の駅やよい
特に文字を読めるようになった子は、「じっくり観察して」「説明を読んで」を繰り返したり、あっちへ行きこっちへ行きして、生きもの同士を見比べたりしたくなるはずです。
では早速、番匠おさかな館の宮島さんにお話をうかがいましょう。
番匠川に生息する身近な生きものを中心に約100種2,000匹を展示
番匠おさかな館は、どのようなことをテーマにした水族館なのでしょうか?
番匠おさかな館は、地元を流れる清流・番匠川をテーマにした、身近な生きものが主役の淡水魚専門の水族館です。すぐ近くにある自然の大切さや、面白さを伝えることを目的としています。
展示している生きものは魚類がメインでして、両生類や爬虫類、甲殻類、水生昆虫類などを合わせると約100種2,000匹になるんです。
メインの水槽が感動的!番匠川の上流から下流までを表現
番匠おさかな館の、一番の見どころはどちらでしょうか?
入口からすぐのところにある、2つのメイン水槽です。見学するのは屋内ですが、水槽自体は屋外にあり、まるで川をそのまま切り取ってきたような雰囲気があります。
晴れた日には日光が、雨の日には雨が降り注ぎます。木々が生い茂り、森林浴をしているような癒しの空間になっています。
1つ目のメイン水槽は番匠川の上中流域にすむ魚を展示しており、滝が作る流れの中をヤマメやアユ、カワムツなどが舞い泳ぎます。
2つ目のメイン水槽は、番匠川の下流域にすむ魚の展示です。緩やかな流れの中をゆったりと泳ぐコイやフナ、ナマズなどを見られます。
ときには魚たちが、自然とやって来た小さな虫をたべることや、野鳥のサギの仲間が魚たちを獲ろうと見定めにやって来ることもあります。
外国の熱帯淡水魚コーナーあり!番匠川の生きものと見比べよう
番匠おさかな館には、番匠川の生きもの以外にも、なにか見られるものはありますか?
外国の熱帯淡水魚コーナーがあり、淡水魚の多様な世界を紹介しています。
また、年に2回開催している特別展示も魅力的ですよ。過去には、次のような内容の特別展示を行いました。
▼過去の特別展示の内容
- 大分県の両生類:県内の両生類の特集
- カニコレクション佐伯2021:市内のカニ類の特集
- 違う魚み~つけたⅡ:似ている魚を見分ける「動く間違い探し水槽」
- ホントに?!海にいそうな魚たち:淡水域に適応した海水魚っぽい魚の特集
常設展示にはない切り口から、地元の自然や世界の熱帯魚について深堀りするので、さらに深い学びを得られるはずです。
金のスッポンが話題!番匠おさかな館の人気の生きもの
番匠おさかな館の生きものの中で、子どもに人気があるのはどちらですか?
人気があるのはカメたちですね!お子さんはもちろん、大人の方もカメの動きに興味津々です。
▲上から、クサガメ・ミシシッピアカミミガメ・ニホンイシガメ。
佐伯市で見つかった突然変異の「金のスッポン」は、特に人気があります。実際にはきれいな黄色で、その色味に目を奪われると思いますよ。ただし、金のスッポンは1匹だけなので、展示している間に見に来てくださいね。
▲珍しい金のスッポン。
大きくて愛嬌のある顔つきのレッドテールキャット、シュレーゲルアオガエルやコガタノゲンゴロウなども人気です。
▲アマゾン川の大型魚・レッドテールキャットはかわいい顔立ちで、思わず釘づけになる!
佐伯市とゆかりの深いオオイタサンショウウオに注目を!
番匠おさかな館には、ほかではあまり見られないような珍しい生きものはいますでしょうか?
「当館だけ」という生物はいないのですが、大分県を中心に分布するオオイタサンショウウオを見られるのは珍しいと思います。
オオイタサンショウウオは、佐伯市の城山で捕獲された個体を基準として発表されたサンショウウオなんですよ。佐伯市とゆかりの深い生きものですので、じっくり観察していただけたらと思います。
宮島さんのお気に入りはアカメ!エサを食べる瞬間が大迫力!
ちなみに、宮島さんのお気に入りの生きものはどちらですか?
私のお気に入りは、汽水域で見られる大型魚のアカメです!その名の通り、見る角度によって目が赤く光ります。正確には赤でなくオレンジ色なんですが、フラッシュ撮影するときれいなオレンジ色になるので試してみてください。
アカメは、普段はゆったりと泳いでいますが、水面に落としたエサを食べるときは、エサと水と空気を同時に吸い込むため大きな音とあぶくが出て迫力満点です。音はガラス越しにも聞こえますよ。
強いオスの証!コイの仲間を観察するときは追星を探そう
番匠おさかな館で生きものを観察する際に、知っているとよい豆知識があれば教えてください。
コイの仲間の多くは、繁殖期(主には春から夏)になるとオスの体のどこかに追星(おいぼし)ができます。追星が特に目立つのはカワムツという15cmほどの魚で、アゴに大きな白いコブができるので、探してみると面白いと思います。
追星はプラスチックのようにかたく、基本的には体が大きいほど追星も大きくなります。
ブツブツしているので病気ではないかと勘違いする方がいますが、実は強いオスの証なんです!オス同士で、追星を激しくぶつけ合って喧嘩するシーンを見られることもありますよ。ぜひご期待ください。
▲追星をぶつけ合ったり、噛みついたり!カワムツのオスの闘争は、結構激しい。
興味が深まる!番匠おさかな館のエサやり&体験
番匠おさかな館では、エサやりも公開されていますか?
はい、エサをあげながら飼育員が解説することもあるんですよ。
人気がある肉食魚へのエサやりは、火・木・土曜日に行います。ただ、お客様が多いと身動きが取れなくなってしまうため、比較的お客さまが多すぎない夕方の時間帯に行いますので、見られればラッキーという気持ちでお越しいただけたら嬉しいです。興味のある方は、来館時に受付で詳細を確認してください。
ガイドつき♪SUP体験で番匠川に出て、本物の自然を体感しよう
番匠おさかな館は、体験イベントが充実しているのだそうですね。詳しくご紹介いただけますでしょうか?
館内での体験は、外国産のコイの仲間であるガラ・ルファのクリーニング体験です。1人50円でできる気軽さも人気の理由なのだと思います。
▲不要な角質を食べてもらうと、指先がきれいになって嬉しい。
ガラ・ルファはドクターフィッシュとも呼ばれ、私たちの角質を食べてお掃除してくれる魚なんです。角質を食べられる感覚がくすぐったくて、ヤミツキになる子どもたちが続出しています。
また、番匠おさかな館は「本物の自然との触れあい」も大切と考えており、野外体験(※)も行っているんですよ。
※野外体験は要予約。
小学校4年生以上のお子さまがいるご家族でしたら、SUP体験がおすすめです。番匠おさかな館の裏手を流れる川は透明度が高く、SUPにぴったりなんです。川の上から眺める景色はまさに非日常ですし、暑いときには川へドボンと飛び込むと気分爽快!
体験時にはガイドがつき、漕ぎ方だけでなく危険なこともしっかりレクチャーし、サポートします。SUPが初めてでも問題ありません。
川へ行き、生きものを捕まえて解説する観察会もおすすめですが、観察会は基本的に団体のみでの受付となります。お友だち家族を誘うなどして、ご参加いただけたら嬉しいです(※)。
※野外体験は出張も可能。場所や内容は予約時に相談の上、決定する。
生きものを自分で捕まえると、身近なところにも多くの生きものがいることがわかり、自然の面白さが実感できると思います。
番匠おさかな館にあるその他のおすすめスポット
番匠おさかな館の生きものをひと通り観察した後、おすすめの過ごし方はありますか?
ぜひ、学習コーナーをご利用ください!生きものに関する書籍やスタッフお手製のおもちゃがあり、遊びながら学べます。
また、館内にあるフォトトリックを使って記念撮影をするのもおすすめです。大きなアユが描かれているので、アユを捕まえようとする写真など、工夫次第でいろんな雰囲気の写真を撮れます。
▲写真撮影用に、特別に用意されている網を持ってパシャリ!
ゆっくり休憩するのなら、館外にあるベンチや河原の階段がおすすめです。
年間パスポートになるポイントカード!?番匠おさかな館のお得情報
番匠おさかな館は、興味をひかれる生きものたちにバリエーション豊かな体験にと魅力あふれる水族館だと思いますが、ほかにもおすすめポイントがあれば聞かせてください。
番匠おさかな館のメイン水槽の周りには、さまざまな植物を植えています。春は桜やシャクナゲ、夏は新緑、秋は紅葉するイロハモミジ、そして冬は落葉した木々が見えガラリと印象が変わります。
季節や天気、時間によって雰囲気が異なるので、訪れる度に新しい感覚になれると思いますよ。
▲水槽越しにシャクナゲを眺めるのは、なかなかできない体験!
ぜひ、時期や時間帯を変えて、二度、三度といらしてください。
ちなみに番匠おさかな館には、4回来館すると次回1回分の入館料が無料になるポイントカードがあります。1年以内に4回分が貯まると、最初にポイントのついた日を起点にした年間パスポートにもなるんです。
ポイントカードの発行は無料ですので、得になれど、決して損にはなりませんよ。
番匠おさかな館の周辺にある子ども向けお出かけスポット
番匠おさかな館をメインにしたお出かけの場合、あわせて立ち寄るのにおすすめの場所はありますか?
番匠おさかな館のある「道の駅やよい」内をたっぷりご満喫いただけたらと思います。
「お食事処 くうちくり」では、しらす丼やアジフライ定食などの海鮮料理のほか、7月〜8月頃にはアユの天ぷら定食、10月〜11月頃にはガニ汁定食など川の幸を使った料理も登場します。
▲ガニ汁には、モクズガニがたっぷり!川の幸を存分に堪能しよう。
小さなお子さま用のランチもありますので、お子さま連れにぴったりです。
「Cafe Rin」ではパンケーキや、季節のフルーツをたっぷり盛りつけたパフェなどを食べられますし、直売所では地域のお土産品を買えます。
▲季節のパフェは、大人と子どもで分け合うのにちょうどいいサイズ感♪
屋外では遊具や小川で遊ぶことができ、小さな池での鯉へのエサやり(※)は、お子さんはもちろん大人も楽しめると思います。
※エサは100円。数に限りあり。
裏手の川でも遊べます(※)ので、暑い日は水に濡れてもよい服や着替えを持って来るのがおすすめです。
※川に監視員はいないため、大人は子どもから目を離さないこと。
たっぷり遊んだ後は、温浴施設も併設されているのでお風呂に入ってスッキリできますよ。
▲「やよいの湯」には洋風風呂と和風風呂があり、男女日替わりで入浴できる。
道の駅やよい内だけでも、たっぷり半日遊べるはずです。
番匠おさかな館から子ども連れファミリーへのメッセージ
番匠おさかな館へのお出かけを検討している方へ、メッセージをお願いします。
身近な生きものたちの世界にも、知らないことや面白いことがたくさんあります。今、一度身近な自然に触れてみてください。
多くのお客さまのお越しをお待ちしています!
コイのオスにできる追星について、恥ずかしながらまったく知らずとても興味深く思いました!コイは公園などでよく見かけるので、「当たり前のもの」として注目していませんでしたが、新たな知識を得るともっと知りたい気持ちが湧いてきます。
番匠おさかな館は、身近なところにも「ワクワクのきっかけ」があることに気づかせてくれる、素敵な施設ですね。本日はどうもありがとうございました。
番匠おさかな館の口コミ・感想・評判
ここからは、番匠おさかな館を訪れた方の口コミを紹介します。
お財布に優しい料金設定でありながら、思った以上に見応えがあった!
ガラ・ルファ体験が面白かった。大人も子どももハマってしまった
コンパクトなつくりなので子連れにGood。小さな子どもでも、最後まで集中力をキープできる
生きものについて紹介している、飼育員さん手作りの生き物の解説パネルが面白い。カエルは獲物をのみ込む際、目玉で押し込むと説明されていて驚いた
魚に関するクイズや本があり、子どもとたっぷり遊べた。特に夢中になったのは、魚偏の漢字のクイズ!
水族館だけでないのがいい。ご飯を食べられて外で遊べて、お風呂にも入れるので帰宅後が楽で助かる
「入館料以上の満足感」があることを感じさせる声が、とてもたくさんありました。生きものについて紹介している手作りの解説パネルも興味深いようですし、学習コーナーも子どもの好奇心をくすぐるしかけがいっぱいなようです。
川が好きな子、生きものが好きな子であれば、連れて行ってあげると自由研究の題材にしたくなることもあるでしょう。知る・学ぶ喜びを感じさせたいときに、ふさわしい施設だと思いました。
番匠おさかな館の入館料・予約
入館料 | 中学生以上:500円(団体450円) 小学生以下:300円(団体250円) 3歳以下:無料 |
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予約 | 野外体験のみ、電話またはメールでの予約が必要 (SUP体験はLINEでも予約可能) |
番匠おさかな館の基本情報(アクセス・駐車場)
住所 | 〒876-0112 大分県佐伯市弥生大字上小倉898-1 |
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アクセス | 【車】 東九州自動車道:佐伯ICから約10分 大分市方面から約60分 【バス】 バス停「佐伯駅」より大分バスに乗車(約20分)、「道の駅やよい前」下車後徒歩1分 |
営業時間 | 10:00~17:00(最終受付は16:45) |
休館日 | 毎月第2火曜日(祝日の場合は第3火曜日に変更) 12月31日、1月1日 ※8月は休まず営業。 |
駐車場 | 無料(普通車200台・大型車8台・身体障害者用3台) |
年齢制限 | なし |
備考 | 熱帯魚コーナーが温室で暑いため、暑い時期は汗拭きタオルがあると便利。 |
公式URL | https://www.michinoeki-yayoi.com/banjou-osakanakan |
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