今回子どもと一緒にお出かけしたいおすすめスポットとして紹介するのは、京都市伏見区にある「京エコロジーセンター」です。
京エコロジーセンターは、その名の通り、地球温暖化やごみ問題などの環境問題をテーマにした施設です。小さな子どもから大人まで、環境について楽しく学べるよう、体験型の展示物が数多く展示されているのが特徴。イベントも多数開催されており、近隣に住むファミリーからも人気のスポットです。
今回は、京エコロジーセンターの特徴や見どころ、さらに子ども連れでの楽しみ方についておうかがいしました。
この記事の目次
子どもが楽しく環境問題を学べる「京エコロジーセンター」
地球温暖化やごみ問題と聞くと、少し子どもには難しいテーマのように感じる方は多いのではないでしょうか?
京エコロジーセンターは、そんな“子どもにはちょっと難しいかも”な環境問題について、小さな子どもでも理解できるような工夫をしている施設です。館内では、小さな子どもでも楽しめるよう、体験しながら学べる工夫がたくさんある他、さまざまなイベントを開催しています。
近年注目されている「持続可能な社会」の実現のために、できることややるべきことを考える場にもなるとあって、SDGsに興味を持つ方からも注目されています。楽しみながら環境問題について学べるため、きっと子どもにごく自然にSDGsに興味を持ってもらうことができるはずです。
今回は、そんな「京エコロジーセンター」を管理運営する公益財団法人「京都市環境保全活動推進協会」の環境教育推進室室長補佐・石田さんにインタビュー取材を行い、センターの特徴や見どころ、さらに子ども連れでの楽しみ方についておうかがいしました。
建物自体が展示!実際に「見て、触れて、感じる」展示でメッセージを伝える
まずは京エコロジーセンターのテーマやコンセプトについて教えてください。
世界規模の地球温暖化から身近なごみ問題、SDGsや京都ならではのエコロジーの知恵まで、楽しく学べるよう「見て、触れて、感じる」体験型の展示にしています。展示物を動かしたり鳴らしたりすることで、”展示のメッセージ”を子どもたちに印象づけ、興味を持ってもらえるようにしています。
例えば、「建物自体がひとつの展示」というコンセプトがあり、この施設では太陽光パネルや雨水利用などの自然の力、再生木材や珪藻土といった環境負荷が少ない素材を積極的に活用しているのですが、これも実際に体験いただくことができます。
▲建物にも注目し、どこにエコがあるか探してみよう!
「どのように雨水を利用しているのか」が体験できる「雨水ポンプ・タンク」や、木材を再利用してできた本棚、珪藻土の壁などには実際に触れることができるので、エコな工夫を取り入れた暮らし方について、より体験的に知ることができますよ。
子どもの年齢や関心に合わせた案内で、全年齢が楽しめる!
次に、京エコロジーセンターならではの取り組みについてご紹介いただけますか。
京エコロジーセンターでは、ボランティアスタッフによる案内を行っています。展示物を見ながらボランティアスタッフの話を聞くことによって、より学びある体験を目指しているんです。
ただ解説するだけでなく、子どもの年齢や経験・関心に合わせて、コミュニケーションをとりながら案内することを大切にしています。遊び方が分からない展示の場合は、使い方を教えてくれるので、小さなお子さまでも楽しんでいただけますよ。
京エコロジーセンターの見どころは体験型の展示
体験型の展示物だけでなく、ボランティアスタッフの解説によって、より深い学びが得られる京エコロジーセンター。ここからは、館内にある展示物について詳しく見ていきましょう。
暮らしの中で取り組める“エコ”を学べる!電気や水・ごみなど身近なテーマの展示物を設置
次に、京エコロジーセンターの展示物について教えてください。
環境問題に対して、電気や水の使い方、ごみの減らし方など、身近な暮らしの中で取り組むことのできることを知ってもらえる展示を中心に置いています。
例えば、館内に入ってすぐのところにある「人力発電マシン」という展示では、自転車をこぐことによって照明を点けることができるのですが、これは電気を作る大変さを体験することで、電気を大切にしようという気持ちを育もうとするものです。
▲自転車をこいで電気を発生させる展示「人力発電マシン」
また、「雨水ポンプ・タンク」という展示では、実際に京エコロジーセンターに降った雨水を手動でくみ上げることができ、本当の雨水が流れていく様子を間近で見ることができます。雨水の利用方法について、リアルに考えることができる展示です。
▲雨水の流れを体験できる展示「雨水ポンプ・タンク」
ごみをテーマにした展示も複数あり、その中の1つは、ポリバケツのごみ箱の中に少し驚くものが詰まっていて、ごみを減らす工夫を考えるきっかけとなる展示となっています。
親子で考えさせられる「これがごみ?」の展示は必見
京エコロジーセンターの中でもメインの展示についてご紹介ください。
メインという位置づけではありませんが、インパクトがあるのは「これがごみ?」の展示物です。高さ2mほどで、正面から見ると、あまりの存在感につい見入ってしまうような展示ですよ。
「これがごみ?」の展示は、「まだ使えるもの」「手つかず食品」「プラスチック容器包装」の3本の柱で構成されており、そのなかには実際に捨てられていた子ども服やおもちゃ、マンガ雑誌などがあります。
これらのごみが、そのまま捨てられている現状を知ることができ、「どうしてそうなるのか?」を考えるきっかけにもなりますよ。子どもだけでなく、大人も一緒にごみ問題について考えることができます。
意外と難しい!?家族みんなで楽しめる食材クイズ
ここまでさまざまな展示について紹介いただきましたが、石田さんがとくに好きな展示物を教えてください。
私のイチオシは、食べ物の旬について学べる「食材クイズ」です。台所のような展示スペースで、引き出しの中には、果物・魚・野菜の模型がそれぞれ入っています。それらの旬の季節を当てて楽しむクイズ形式の展示です。
旬でない季節の食材は、外国から運ばれていたり温室栽培されたりと環境負荷が大きいことをご存知でしょうか。食材クイズで旬の食材について学ぶことで、環境負荷が少ない食材が自然と分かり、環境に良いエコな活動につながるわけです。
食材にはスイカやキュウリのように季節が分かりやすいものから、意外と旬を知らない食材まであり、新しい発見をすることができると思います。案内をするボランティアスタッフから少しずつヒントをもらってもよし、親子で問題を出し合ってもよし。家族みんなで楽しめる展示物です。
フォトスポットや参加型展示のある企画展が人気
常設展もとても充実しているようですが、企画展も人気とおうかがいしました。これまでに行われた中で、とくに人気だった企画展について教えてください。
フォトスポットや参加型展示のある企画展は人気でした。全国から収集した海洋プラスチックごみを展示した「海ごみミュージアム」では、海のごみで作られたアート作品を展示して、フォトスポットとしてたくさんの方に活用いただきました。
その他、開館20周年を記念して開催した企画展では、過去20年間の写真をモザイクアートとして、大きなタペストリーにしました。来館者の方が写真を撮っておられるのを何度も目にし、大変うれしく思ったことを覚えています。
▲過去20年間の写真で作ったモザイクアートを活用したフォトスポット
さらに、20周年記念企画展では、葉っぱ型のカードに未来への想いを描き、大きな木の枝に貼り付けて樹を創る参加型展示も開催しました。こちらもたくさんの方にご参加いただきましたよ。
▲未来への想いが詰まった葉っぱで作った大きな木
”エコ虫”は子どもたちから大人気!
子どもからとくに人気のアクティビティについて教えてください。
館内の「環境にやさしい工夫があるところ」にいる「エコ虫」を探すアクティビティ「エコ虫を探そう」は、子どもたちからとくに人気です。1階から屋上まで、各階にいるので、ぜひ探してみてください。
また、チャレンジするたびに、京エコロジーセンターの楽しみ方やエコについて分かる「エコセン通い帳」も用意しています。チャレンジをクリアしたらスタンプをもらうことができ、スタンプを集めれば景品をプレゼント!スタンプを集めるために通ってくれるお子さまもいますよ。
どちらも体験を重視しているので、見るだけ・聞くだけではなく京エコロジーセンターならではの特徴を生かした取り組みです。さらに、環境問題やSDGsについての理解をより深めることにもつながります。
楽しいと評判!京エコロジーセンターのイベント
子どもがわくわくするような展示物が多数ある京エコロジーセンターですが、イベントも充実しています。家族で訪れた際に体験したいイベントについて、石田さんにうかがいました。
毎回内容が違う!定期イベント「ちきゅまるひろば」も必見
定期的に開催されているイベントについてご紹介ください。
毎月第1・第3日曜日には定期イベント「ちきゅまるひろば」を開催しています。「事前申込なしで、だれでも楽しめる」がコンセプトで、所要時間も20分~40分程度です。内容も毎回異なり、何度も京エコロジーセンターに足を運んでみたくなる仕掛けになっています。
気軽に参加できるとあって、近隣にお住まいのご家族にも多数ご利用いただいていますよ。
学校の宿題にも活用できると人気!楽しい体験型イベントも開催
その他のイベントも人気とうかがいました。どんなイベントがありますか?
年間を通して、さまざまなテーマでイベントを開催しています。とくに工作やクッキングのイベントが人気です。また、夏休みなどの長期休みの際にはイベントが充実しており、学校の宿題のヒントを得るために参加される方をよくお見かけします。
工作では、空きびんや牛乳パック、廃棄野菜など、ごみになってしまいそうなものを材料にすることが多く、再利用する工夫について楽しみながら学べますよ。
まだまだある!京エコロジーセンターのおすすめの楽しみ方
京エコロジーセンターには、子どもが楽しくエコを学べる工夫が満載です。ここまでで紹介しきれなかった展示以外の楽しみ方について、紹介します。
未就学児から楽しめる!年齢に合わせてSDGsの理解を深める仕組み
子ども連れのご家族におすすめの楽しみ方があれば教えてください。
京エコロジーセンターでは、お子様の年齢が上がるにつれて、エコロジーや環境問題、SDGsについての理解を深めていくことができます。
未就学児のお子様には「木のおもちゃひろば」がおすすめです。たくさんの木のおもちゃを通して、木のぬくもりや触りごこちを感じていただけます。
また、「かんきょう図書コーナー」には自然や生き物に関する絵本やDVDもあり、環境に興味を持ってもらうきっかけにもなりますよ。
▲京エコロジーセンター内にある図書コーナー
少し年齢が上がると、「エコ虫を探そう」や「エコセン通い帳」、エコに関するすごろくやカルタなどが入った「ちきゅまるのはこ」などもお楽しみいただけます。より深くエコについて学べますよ。
▲通って楽しめるエコセン通い帳にチャレンジする子どもも多数!
なお、「エコ虫を探そう」や「エコセン通い帳」は、大人でも難しいものもありますので、ぜひ家族みんなで一緒に取り組んでもらえたらと思います。
季節ごとに違った楽しみがあるのも京エコロジーセンターの魅力
時期や季節、天気など来館の時期が違うことにより違う楽しみがあれば教えてください。
京エコロジーセンターの屋上には田んぼや畑があります。
子どもたちと一緒にお米や野菜を育てており、季節ごとにさまざまな植物を見学いただけますよ。さらに、虫や魚などの生き物が暮らしている池もあります。季節によっていろいろな野菜や植物の育つ様子、生き物の姿を観察することが可能です。
生き物観察用の虫メガネもあり、ボランティアスタッフと一緒に見つけた生き物をノートに記録するのは屋上ならではの楽しみ方です。
さらに、夏から秋にかけては1階から3階、そして屋上まで伸びる大きな「グリーンカーテン」もご覧いただけます。数日見ない間に、どんどん大きくなるので、ぜひ写真を撮って帰っていただき、次に来た時に見比べてみてほしいと思います。グリーンカーテンは、太陽の光を遮り、植物の持つ蒸散の力によって周囲の熱を奪うことで、暑さを和らげる効果があります。
「建物自体がひとつの展示」を体現しており、まさにエコな取り組みでもあるので、展示物と合わせてご覧ください。
ちょっと見学orじっくり見学のどちらでも楽しめる施設
これまでたくさんの展示物やイベントについて紹介いただきましたが、おおよその所要時間を教えてください。
さっとひと通りの展示をご覧になられるだけなら1時間ほどで見終えられます。「かんきょう図書コーナー」でじっくり読書したり、イベントと展示物の両方を楽しんだりするなら半日程度かかるかと思います。
反対に「エコセン通い帳」をしに来ただけの近所の子なら10分位で帰っていかれることもあります。来館者の方のご都合に合わせて、短時間でも1日中でも滞在いただける施設です。
京エコロジーセンター周辺のおすすめスポット
子どもと一緒に京エコロジーセンターへ訪れた際に利用できる、ランチにおすすめの飲食店やお出かけスポットについてご紹介いただきました。
徒歩10分程度の範囲にカフェやお食事処がたくさん!
京エコロジーセンターに来館される前後で利用できる飲食店などがあれば教えてください。
京エコロジーセンターのから徒歩10分程度の範囲には、さまざまなお店があります。とくに京阪藤森駅方面には、子どもも喜びそうなメニューの多いカフェがたくさんあり、来館前後のお食事にぴったりですよ。
また、パンの街・京都らしく、おいしいパン屋さんもあります。買ったものを京エコロジーセンター3階の交流コーナーや、近くの公園で食べることもできます。気候が良い春や秋は、ピクニックがてら立ち寄られる方も多いんですよ。
ごみクレーンの体験ができる「さすてな京都」などもおすすめ!
京エコロジーセンターとあわせて楽しめるおすすめのスポットがあれば教えてください。
隣には「京都市青少年科学センター」があります。喋る恐竜や化石、巨大な地球儀やプラネタリウムなどがあり、多くの家族連れで賑わっていますよ。
また、少し離れたところですが、「さすてな京都」は、京エコロジーセンターと同じく環境について体験的に学ぶことができます。日曜日には、さすてな京都と京エコロジーセンターをつなぐ無料のシャトルバスも出ていますよ。
▲日曜にはシャトルバスもあり!さすてな京都
クリーンセンター併設である強みを活かして、ごみに特化した展示物が多いのが特徴で、ごみクレーンの操作体験ゲームや収集車のトリックアートが人気のようです。さらには展望台や足湯まである素晴らしい施設です。
【伏見区】ごみ処理施設を活用した「さすてな京都」で環境問題について楽しく学ぶデート
京エコロジーセンターからファミリーへのメッセージ
最後に、京エコロジーセンターへ来館を検討している子連れファミリーへのメッセージをお聞かせください。
京エコロジーセンターは、入館無料の施設です。ふらっと立ち寄って自由に見学できるのも魅力のひとつ。もちろん、夏休みなどに行われるイベントや企画展も多数開催しているので、ぜひ参加いただければと思います。
また、児童館や保育園、幼稚園、小学校、自治会など団体見学の受入れも行っております。団体見学では、より詳しく館内の展示のご案内をすることも可能です。また、団体見学でしか体験できない学習プログラムもございますので、ぜひご活用ください。
“地球環境について学ぶ”と聞くと、難しいことととらえてしまい、なかなか家族で取り組むのも難しいと考えていました。ですが、京エコロジーセンターであれば、展示物に触れて楽しみながらしかも無料で環境について学べるので、家族みんなで気軽に訪れることができると思います。
また、ボランティアスタッフの方に丁寧に対応いただけるので、知識があまりないパパ・ママも安心して利用できると感じました。
夏休みなどに開催されるイベントも充実しており、家族の思い出になること間違いありませんね。
本日はどうもありがとうございました。
京エコロジーセンターの口コミや評判をチェック
ここからは、京エコロジーセンターに来館された方の口コミを紹介します。
ボランティアの方がとても親切で子どもたちもとても楽しそうでした
「エコ虫を探そう」が楽しくておすすめです。他にもたくさんの展示があったのでまた来館したいと思います。
開館20年以上の施設ですが、館内もきれいで過ごしやすいと感じました
1階から3階、さらに屋上までたくさんの展示物が無料で見学できました。とても有意義に過ごせました
京エコロジーセンターは、無料でありながらも、体験しながらたくさんの学びを得られる施設です。ボランティアスタッフによる解説もあるため、子どもから大人まで充実した時間が過ごせると口コミでも好評でした。
なかには、1度は訪れてほしいとの声も聞かれましたよ。家族のお出かけスポットをお探しの方は、ぜひ気軽に訪れてみてください。
京エコロジーセンターの料金・予約
料金 | 無料 |
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予約 | 不要 |
京エコロジーセンターの基本情報(アクセス・駐車場)
住所 | 〒612-0031 京都府京都市伏見区深草池ノ内町13 |
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アクセス | ・京阪電車「藤森駅」下車西へ徒歩約5分 ・地下鉄・近鉄「竹田駅」下車東へ徒歩約12分 ・市バス「青少年科学センター前」下車南へ約2分 |
営業時間 | 9:00〜21:00 ※1・2階展示コーナー及び木のおもちゃひろばは17:00まで。 ※3階図書コーナーは21:00まで。 |
休館日 | 木曜日(祝日の場合は翌平日) 年末年始(12月28日~1月3日) |
駐車場 | なし |
公式URL | https://www.miyako-eco.jp/ |
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