運動会の競技を児童が考案!山梨学院小学校は「プロジェクト学習」で主体性を育む

この記事では、特色ある教育に取り組む注目の学校として、山梨県甲府市にある共学の私立小学校「山梨学院小学校」をご紹介します。

子ども主体の教育を大切にする同校では、児童が自分たちの力で行事を作り上げる課題探究型プログラム「プロジェクト学習」に取り組んでおり、運動会では児童が競技を考え、自ら運営も担います。

また、2019年には国際バカロレアのPYP(初等プログラム)認定校となり、特色ある英語教育や国際交流などを通じてグローバル人材の育成を行っています。

今回は、そんな山梨学院小学校のプロジェクト学習やグローバル教育について、瀬端校長、樫原副校長、長田教務主任に詳しくお話を伺いました!

「YGESメソッド」で感動や学ぶ楽しさに出会う山梨学院小学校

山梨学院小学校の児童が大きなボールを転がすようす

▲上級生が考えた競技を下級生に伝えているようす

編集部

はじめに、山梨学院小学校の教育目標についてお聞かせください。

瀬端先生

本校は「自律・思考・表現・共生」という4つの柱に基づき、グローバルな社会で活躍できる人の育成を行っています。

感動や学ぶ楽しさに出会う独自のカリキュラム「YGESメソッド」を掲げており、子どもたち自身が決定権を持ってやりたいことに取り組む授業や行事を多く行っています。

編集部

2019年には国際バカロレアが定めた初等教育プログラム「PYP」の認定校となりましたね。

瀬端先生

先の見えない時代を生きる子どもたちには、自ら学ぶ力や生涯学び続けられる力、異なる考えを持つ人とも協力して問題を解決する力が必要です。

国際バカロレアのプログラムを取り入れることによって、本校が目指す教育をより推進し、自ら未来を切り拓けるたくましい人を育成したいと考えています。

児童が行事を作り上げる!山梨学院小学校の「プロジェクト学習」とは

児童が決定権を持ち、主体的にやりたいことに取り組む山梨学院小学校。その代表的なカリキュラムが、児童が自ら行事をつくり上げる「プロジェクト学習」です。

ここからは、メインプロジェクトである「スポーツプロジェクト」と「サミットプロジェクト」の内容や狙いについて詳しく伺っていきます。

「スポーツプロジェクト」では児童が新しい競技を考える

山梨学院小学校の児童が城壁を壊す競技に挑戦するようす

編集部

まず、「スポーツプロジェクト」の概要からご紹介いただけますか?

樫原先生

スポーツプロジェクトは運動会を子どもたち自身で作り上げるもので、児童がオリジナル競技を考えるだけでなく、用具の準備や応援方法の考案、進行アナウンスなど、運営に関わること全てを児童が行います。

競技を考える競技係のほか、美術係、アナウンス係などさまざまな係に分かれて準備を行うのですが、開催直前の2週間は通常の授業を全てストップしてプロジェクト活動だけに集中します。

編集部

競技を児童が考案するというのはユニークですね。どのようにして競技ができあがっていくのでしょうか?

樫原先生

スポーツプロジェクトは、宇宙や恐竜など、毎年異なるテーマで開催します。そのテーマに合う競技を競技係の6年生が中心となって考え、同じ係の下級生と一緒に準備します。

競技を作る際、子どもたちは競技を成立させるうえで必要となる要素が書かれたシートを使いながら大枠を考えます。その後、先生たちが「このルールはこうしないと成立しないよね」といったアドバイスをしながら一緒にブラッシュアップします。

「古代中国」がテーマだった2024年は、積み重ねた段ボールを城壁に見立て、ボールを投げて城壁を崩すチームと城壁を守るチームで対戦しました。チームごとに作戦もさまざまで、子どもも観客も一緒になって盛り上がりました。

山梨学院小学校のスポーツプロジェクトのオープニングで児童たちがアナウンスをするようす

▲オープニングで演出係が製作した映像の前で、アナウンス係がアナウンスをするようす

編集部

テーマに合わせた競技を考えるためにはテーマへの理解も必要になると思います。古代中国についてはどのようにして知識を深めたのでしょうか?

樫原先生

「学習推進係」の児童がまずテーマについて学び、それをほかの児童にも伝えることで、全員がテーマへの理解を深めます。

今回は古代中国という難しいテーマでしたが、子どもたちはカルタゲームを用いるなどの工夫をしながら楽しく学んでいましたよ。

低学年の子どもが全てを理解することはできないかもしれませんが、その後につながる「きっかけ」づくりとしては重要だと考えています。彼らが上級生や大人になって同じようなテーマについて学ぶ時に、きっと「あ、1年生の時に学んだことだ」と思い出し、知識の開花を迎えるはずです。

山梨学院小学校の児童が下級生に授業を行うようす

▲学習推進係の上級生は、テーマについて学習したことを下級生に教える。

編集部

徹底的に児童主体で行う狙いについてもお聞かせいただけますか?

樫原先生

子どもたちの個性や得意なことをしっかり伸ばしてあげることがこのプロジェクトの目的なので、すべて子どもに任せています。

絵が得意な子やアナウンスをするのが得意な子、競技を考えるのが得意な子など、それぞれが得意な分野で活躍することは、本人の自信にもつながると考えています。

山梨学院小学校の児童が塗料で壁画を制作するようす

▲美術係は競技で使用する大きな壁画を制作。

樫原先生

どの係を担当するかは子どもが自分で決めるので、美術係は25人だけれど演出係は10人しかいない、ということも起きます。それでも、人数に枠を設けるよりも子どものやりたいことを尊重し、本人の選択を応援することが一番大切だと考えています。

また、あまりにも係の人数に偏りがある場合は「競技を成功させたいから、僕はこっちの係をやるよ」と言って自ら係の変更を買って出る児童もいますよ。

編集部

自分のことだけでなくチーム全体のことを考え、それに応じて柔軟に動く力も身に付くのですね。

保護者も全面協力する「サミットプロジェクト」

山梨学院小学校の児童がポスターを使って研究発表するようす

編集部

「サミットプロジェクト」についてもご紹介いただけますか?

樫原先生

各学年が1年間の学習の成果を発表するプロジェクトです。特に6年生は卒業研究と位置付け、6年間の成果を「エキシビジョン」という形で児童や教職員、保護者のみなさんの前で発表します。

編集部

どのようなテーマで発表を行うのでしょうか?

樫原先生

通常の授業で習ったことをさらに深く探求するケースが多いですね。1学期のはじめに研究テーマを設定するのですが、児童が考えたテーマについて教員が「それは研究に値するのか」「実際に研究可能なテーマなのか」といった質問をしながら、1〜2ヶ月かけて少しずつ内容を固めていきます。

過去には「発電の研究」として廃材などを使って再生可能エネルギー発電機を作り、実際に電気を作り出す研究をしたグループもいました。

編集部

プロジェクトに取り組む様子を見て、樫原先生はどのようなことをお感じになりましたか?

樫原先生

スポーツプロジェクトなどのほかのプロジェクトと同様に、児童が主体性を持って興味あることを追求していると感じます。また、保護者が積極的に研究をサポートする点は、このプロジェクトならではだと思います。

例えば先ほどご紹介した発電の研究では籠やホースなどを使ったのですが、児童が運ぶのは難しいので保護者が率先して学校まで運んでくれました。子どもの探究心をみんなで育て、応援しようという雰囲気があると感じますね。

プロジェクト学習を通じて何事にも率先して前向き関わる人に成長する

サミットプロジェクトの発表準備をする児童

編集部

プロジェクト学習を通じて、子どもたちにはどのような成長が見られますか?

樫原先生

いろいろなことに率先して前向き関わる子どもに成長していると感じます。

本校の卒業生は、中学・高校に上がっても学校行事の際に「ああしたい」「こうしたい」というアイディアをたくさん出すそうで、卒業式を自分たちで企画したいと提案した生徒もいるそうです。

編集部

小学校時代に自分たちで作り上げる楽しさを実感できたからこそ、その後の人生においても主体的な姿勢でものごとに取り組むことができるのですね。

独自の英語学習や国際交流も。山梨学院小学校のグローバル教育

山梨学院小学校の児童と台湾の小学生が集合写真を撮るようす

▲台湾の小学生と国際交流をしたときの集合写真

ここからは、国際バカロレアPYP認定校としてグローバル人材の育成を行う山梨学院小学校が実践する英語教育や国際交流について紹介します。

オリジナル教材を用い「本当に使える英語」を学ぶ

リコーダーを持った児童が「英語で音楽」の授業を受けるようす

編集部

山梨学院小学校の英語学習にはどのような特色がありますか?

長田先生

本校では1年生の時から英語の授業が週3回あり、基本的には英語ネイティブの教員と日本人教員が一緒になってレベル別の授業を行っています。

授業ではオリジナルテキストを採用し、日常生活で使える自然な英語を学んでいます。例えば、「How are you?」という質問には「I'm fine.」と答えると教わることが多いと思いますが、本校では「great」や「good」「sad」「hungry」など、自分の本当の状態を表現できるように練習します。

また、先生が「Sit down」と言ったら児童が実際に椅子に座るなど、体を動かしながら英語を身につけることも意識しています。

編集部

ただ単語を暗記するのではない、実用的な英語学習を実践しているのですね。

長田先生

その通りです。英語に慣れ親しんでもらうため、音楽や美術、体育など、英語以外の教科を英語で学ぶイマージョン学習も行っています。

例えば「英語で音楽」という授業では、先生が英語で出した指示に合わせてリコーダーを吹きます。初めは何を言っているのか理解できない子も、何度も繰り返し英語のシャワーを浴びるうちに聞き取ることができるようになっていきます。

系列大学の留学生や海外から来た小学生と交流

山梨学院小学校の児童と外国人留学生が習字作品を手に持ち記念撮影するようす

編集部

国際交流の機会としては、どのようなものがありますか?

長田先生

系列大である山梨学院大学には海外から来た学生も多く、本校では大学の留学生と交流することができます。

先日は、ベトナムやインドネシア、タイ、コロンビア、ポーランドなどから来た留学生が5年生と一緒に書道に挑戦しました。

大学の留学生以外に、海外の小学生が本校を訪問して交流することもあります。2024年6月に台湾の小学生15名が訪れた際には、中国語でじゃんけん遊びをしたり、一緒に歌を歌ったりしました。給食の時間には、覚えたばかりの英語や中国語を使って会話を楽しんでいました。

編集部

国際交流に参加した子どもさんからは、どのような感想が寄せられていますか?

長田先生

子どもたちは、「国が違っても通じ合えることを知り、嬉しい気持ちになった」と言っていました。

あとで保護者の方に聞いたところ、何日も前から「当日はこんなことを話そう」と言って英語や中国語を練習していたそうです。子どもたちが積極的に海外の人たちと繋がろうとしていたことを知り、私もとても嬉しくなりました。

山梨学院小学校からのメッセージ

山梨学院小学校の瀬端校長・樫原副校長・長田教務主任

▲今回お話しいただいた瀬端校長(左)・樫原副校長(中)・長田教務主任(右)

編集部

最後に、記事をご覧の保護者や子どもさんにメッセージをお願いします。

瀬端先生

保護者のみなさまの一番の願いは、子どもさんが楽しく学校に通うことではないでしょうか。学校にその子の居場所があることが大切だと考えています。

本校には、一人ひとりが得意なことを伸ばし、課題があれば先生と一緒に少しずつ克服しながら生き生きと楽しく学校生活を送れる環境がありますので、ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にお問い合わせいただきたいと思います。

樫原先生

子どもたちには、ここで過ごす6年間で将来に役立つ力をつけてもらいたいと思っています。

漢字や計算も大切ですが、主体性や自信、コミュニケーション力など、これからの時代に必要になる力を本校で伸ばしていただきたいと思います。

長田先生

本校では人前で発表を行う機会もたくさんあるので、自信を持って堂々とプレゼンする能力や表現力もつくと思います。実際、子どもたちは学年が上がるにつれてアウトプットが上手になり、6年間で大きく成長していると感じます。

発信力を高めて、国際社会で活躍できるようなお子さんに育てていきたいと考えています。

編集部

本日はありがとうございました!

山梨学院小学校の卒業生や保護者の口コミ 

山梨学院小学校の校舎外観

最後に、山梨学院小学校の卒業生や保護者の声を紹介します。

(卒業生)山梨学院小学校では、好きなことを見つけることができます。そして、先生方は、あなたが思っていることを表現することが大切だと教えてくれます。

(卒業生)この学校には、さまざまな体験学習やプロジェクトを通して経験できる、たくさんのチャンスや感動があります。

(保護者)イベントやプロジェクトが多く、ユニークな教育を行っています。先生は子どもに明るくハキハキと接してくれます。

口コミからは、プロジェクト学習をはじめとする山梨学院小学校ならではの教育が、子どもたちの成長や探究心の向上につながっていることがうかがえました。

※卒業生の声は、山梨学院小学校のデジタルパンフレットより一部抜粋し引用しました。
https://www.ygu.ac.jp/ygu-hondana/es

山梨学院小学校へのお問い合わせ

山梨学院小学校のグラウンド

運営 学校法人 C2C Global Education Japan
住所 山梨県甲府市酒折1-11-1
電話番号 055-224-1200
問い合わせ先 https://www.yges.ed.jp/form/inquiry/
公式ページ https://www.yges.ed.jp

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