和洋国府台女子中学校高等学校の学園遠景

和洋国府台女子中学校高等学校の「凛として生きる」女性を育む探究型教育

ぽてんをご覧の皆様に注目の学校をご紹介する本企画。今回ご紹介するのは、千葉県市川市にある私立の女子中高一貫校「和洋国府台女子中学校高等学校」です。

創立127年の歴史を持つ同校は、「凛として生きる」女性の育成を掲げ、主体的で対話的な学びを重視しています。特筆すべきは、3年間にわたる体系的な探究学習プログラムです。1年次から段階的に探究の基礎を学び、企業と連携した実践的な課題解決学習にも取り組みます。

課外活動でも、全国レベルの実績を誇るダンス部をはじめ、生徒の自主性と協調性を育む取り組みが充実しています。また、和洋女子大学への進学を前提とした「和洋コース」では、高校2年生から大学の授業を履修できるなど独自の教育を展開しています。

今回は、和洋国府台女子中学校高等学校の教育方針や探究学習、部活動について、広報部長の本城先生、高1学年主任(前探究科主任)の村上先生、高2担任(和洋コース担当)の土田先生にお話を伺いました。

和洋国府台女子中学校高等学校の建学の精神と教育方針

和洋国府台女子中学校高等学校のキャンパス風景

編集部

はじめに、和洋国府台女子中学校高等学校の建学の精神や教育方針についてお聞かせいただけますか。

本城先生

本校は明治30年(1897年)に、堀越千代という女性が裁縫学校を立ち上げたのが始まりで、建学の精神として「女性の自立」を掲げています。127年経った現在も、この方針は変わっていません。ちなみに、3年後に津田梅子先生が女子英学塾を設立しているので、本当に女性教育の先駆けと言えるでしょう。

現在の教育方針は「凛として生きる」です。自分の考えをしっかり持ち、受け身にならず、柔軟なリーダーシップを身につけて社会に貢献する。そんな女性の育成を目指しています。

書道、華道、箏、茶道など日本文化の授業で「凛として生きる」女性に

和洋国府台女子中学校高等学校の華道の授業(左)、茶道の授業(右)

▲華道と茶道の授業。中1の華道の授業は高校での日本文化探究学習に繋げる

編集部

教育方針は「凛として生きる」とのことですが、具体的にはどのような教育を行っているのでしょうか。

本城先生

日本文化教育に力を入れています。中学1年生では書道と華道を学びます。中学2年生になると箏の授業があり、初心者でも2月には発表会で演奏できるレベルになります。中学3年生では表千家の茶道を学びます。

茶道の授業は専用の教室で行います。普通教室2つ分の広さがあり、畳を敷いて炉も切って(炉をつくること)あります。20~30名ずつくらいで授業を受けられる環境です。卒業生の中から茶道の師範の方を招いて指導してもらっています。

編集部

日本文化を学ぶことで、生徒たちにはどのような成長が見られますか。

本城先生

穏やかで礼儀正しい立ち振る舞いが身についてきますね。ですから、本校には落ち着いた生徒が多く、廊下ですれ違うときもしっかり挨拶ができるようになります。

村上先生

学校の中ではリラックスして過ごしていても、いざという時にきちんとした対応ができるようになります。これは日本文化教育の大きな成果だと思います。

私も本校の卒業生なのですが、学んだことが社会に出てからも役立っていると感じています。お茶会でのお菓子のいただき方や、きちんとしたお作法が身についているので、大人になってから恥ずかしい思いをせずに済んでいるという話もよく聞きます。

和洋国府台女子中学校高等学校の歌舞伎鑑賞

▲高3の遠足では歌舞伎鑑賞を行っている

段階的に丁寧に学ぶ和洋国府台女子中学校高等学校の探究学習

和洋国府台女子中学校高等学校の探究発表(上、左下)、探究発表の評価をする先生方(右下)

編集部

和洋国府台女子中学校高等学校では探究学習に力を入れていると伺いました。どのような取り組みをしているのでしょうか?

村上先生

本校の探究学習の特徴は、3年間かけて段階的に学ぶところにあります。高校1年から3年まで、「探究基礎1」「探究基礎2」「総合探究」という流れで進めていきます。

まず基礎から始めるのは、いきなり「探究しなさい」と言われても難しいですからです。「リサーチメソッド」と名付けた、探究に必要な基本スキルを学ぶところから始めています。

リサーチメソッドでは、アンケート調査の方法やパソコンの使い方、質問の作り方などを1学期中に5回分ほどの授業で学びます。それから、グループでの話し合い方も練習します。人の発言は最後まで聞くことや、応援するつもりで聞くことなど、安心して発言できる環境作りを大切にしています。

1年生と2年生の授業は同じような流れですが、2年生の方がより高度になります。例えば、アンケート結果をグラフ化して人に伝える方法や、自分が伝えたいときにどんなグラフを作ればいいかを学ぶ、などです。

プライム上場企業などと連携したプログラムを実施。研究が進路につながるケースも

編集部

基礎を固めた後は、どう進んでいくんでしょうか?

村上先生

1年生の最初は、企業と連携した「クエストエデュケーション」というプログラムを行っています。例えば、パナソニックさんに協力していただき、「モヤモヤをワクワクに変える新商品」というようなミッションに取り組みます。これは大人でも難しいテーマですが、グループで話し合いながら考えてプレゼンテーションします。

3学期には、日本文化をテーマにした個人研究に取り組み、ゼミ形式で文献調査やフィールドワークなどを進めます。研究内容としては、和菓子作りや地元の史跡巡り、和算などがあり、生徒は仮説を立て、それに対する答えを見つけるレポートを作成します。

2年生の探究プログラムでは、困っている人を笑顔にすることをテーマに、生徒自身が課題を見つけていきます。その後、SDGsをテーマにした個人研究を進め、進路と関連付けた独自の課題を探究します。この探究活動は段階的に進め、3年生で完成させます。

これらは教員も生徒と一緒に探究していけるようなプログラムであり、教科書に頼らない授業となっています。

編集部

生徒が選んだテーマで、印象に残っているものはありますか?

村上先生

高校1年生の日本文化ゼミで漬物や味噌をテーマに個人研究を行い、発酵食品に興味を持っている生徒が印象的でした。最初はネットで調べていたのですが、「おじいちゃんやおばあちゃんが持ってる技術はネットに載ってないよね」と気付いて。そこから味噌メーカーに直接電話をかけ、発酵について教えてもらったりしながら、味噌作りに熱心に取り組んでいました。

結局その生徒は、東京農業大学・醸造学科の公募制推薦に手を挙げ、面接で自分の熱い思いを語って合格しました。

編集部

すごいですね。自分で課題を見つけ、解決方法を考えて、それが進学にも繋がったんですね。

村上先生

そうなんです。ネットに載っていない情報を自ら探しに行く行動が素晴らしいと思いました。

和洋女子大への進学を前提とした高大接続の「和洋コース」

和洋国府台女子中学校高等学校の詩吟舞踊

▲体育大会での伝統行事である詩吟舞踊

編集部

和洋国府台女子高等学校の和洋コースについて詳しく教えていただけますか。

土田先生

和洋コースは、高校から和洋女子大学への進学を前提とした7年一貫の大学進学プログラムです。特徴的なのは、高校2年生から大学の授業を履修できることですね。

大学の先生とも繋がりができて、高校では難しいような内容も学べます。中には「難しいな」と思うこともあるようですが、そこで試行錯誤しながら基礎の大切さに気付くきっかけになったりもします。

編集部

7年一貫のプログラムになっていることで、どんな良い影響がありますか?

土田先生

まず、大学受験に縛られずに自分が本当に知りたいこと、研究したいことに取り組めることです。例えば、個人探究で行き詰まったときに大学の先生に質問に行くことができます。高校の教員では答えられないような専門的なことも、大学の先生なら教えてもらえることもあります。

生徒たちにも、高校1年生のときから「大学受験がない分、好きなことに挑戦しよう」と声をかけ、探究や和洋コースの授業を通じて、自分の興味に積極的に取り組める環境を整えています。

豊富なプレゼンの機会で、発信力やリーダーシップが磨かれる

編集部

和洋コースならではの学びの機会はありますか。

土田先生

プレゼンテーションの機会を多く設けています。例えば、国語の授業では毎回自己紹介をします。その中で大事にしているのは、自分の考えを伝えて、聞く側の姿勢も大事にしながら、みんなで考えを深めていくことです。

そうすることで、最初は人前で話すのが苦手だった生徒も、卒業する頃には全く平気になっています。大学に進学してからも、グループワークなどでリーダーシップを発揮する場面が多いと卒業生から聞きます。

編集部

面白い取り組みですね。何か印象に残っているエピソードはありますか。

土田先生

地理の授業で自分の好きなことと地理を掛け合わせて研究しようというテーマを扱った時に、プロサッカークラブの鹿島アントラーズのファンだった生徒が、なぜ鹿島アントラーズが鹿嶋市にあるのかを地理的な観点から調べたんです。それを千葉県の高校生が参加する地理の発表会で発表したら高く評価されて、千葉県の地理学会で発表するよう依頼されたことがあります。

編集部

生徒さんの興味と学びがつながった良い例ですね。

土田先生

そうなんです。生徒に好きなことを探究させていくと、私たち教員も楽しいし、気づいたら周りからも評価されるようなことになるんです。和洋コースは本当に学びたいことを学べるコースだと思いますね。

全国制覇の経験がある和洋国府台女子中学校高等学校のダンス部

和洋国府台女子中学校高等学校の学園祭でのダンス部発表(上)、ダンス部発表(下)

編集部

続いて、和洋国府台女子中学校高等学校のダンス部について教えてください。全国レベルと伺いましたが、どのような活動をされているのでしょうか。

本城先生

本校のダンス部は中高合同で活動していて、45名の部員たちが芸術性の高い創作ダンスに取り組んでいます。毎年8月初めにはNHKでも放送される「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」に出場しています。また、中学生は座間で行われる全国舞踊コンクールに参加します。

実績もあり、高校生は2014年に「全国中学校・高等学校ダンスコンクール」という大会で全国優勝しましたし、2023年の神戸大会では創作コンクール部門奨励賞、東京新聞主催全国舞踊コンクールの群舞ジュニア部で3位をいただきました。中学生は座間全国舞踊コンクールのジュニアアンサンブル部門で奨励賞を受賞しています。

衣裳から照明まで部員自ら作り上げる

編集部

御校のダンス部の特徴的な点はありますか。

本城先生

本校のダンス部の特徴は、生徒たちが主体的に活動していることです。

音楽も自分たちで選びますし、照明や衣裳まで自分たちで作ります。生徒たちはやりがいを感じているようですね。自分たちで考えて作り上げたものが評価されるわけですから。ダンス部に入って裁縫が上手になったという生徒もいるんですよ。

活動を通しマナーや協調性も養われる。部員の振る舞いは学校の雰囲気にも好影響

編集部

ダンスの技術以外にも、子どもたちの成長を感じることはありますか?

本城先生

ダンス部の活動を通して、礼儀や協調性も身につきます。顧問の指導方針として「礼儀・挨拶の重視」「学習をおろそかにしない」「仲間との助け合い・協力」の3本柱を定めているんです。

ですから、ダンス部の子たちは廊下ですれ違うときも「おはようございます」としっかり挨拶をしますし、姿勢もいいんです。歩き方を見ても「この生徒はダンス部だな」とわかるくらいですね。

編集部

学校全体の雰囲気にも良い影響がありそうですね。

本城先生

そうですね。来訪者の方から「すごくよく挨拶してくれます」とか、保護者の方からも「明るいですね」という声をよくいただきます。ダンス部の活動が学校全体の雰囲気づくりにも一役買っていると思います。

編集部

ダンスを通じて、技術だけでなく人間性も磨かれているんですね。素晴らしい活動だと思います。

和洋国府台女子中学校高等学校からのメッセージ

編集部

最後に、これから和洋国府台女子中学校高等学校を目指す生徒さんやご家族に向けて、メッセージをお願いします。

本城先生

全国的にも共学化が進み、千葉県では私立の女子校が少なくなっています。ただ、世界的に見ても、女子の別学には、女子の成長に合った学びができるという大きな存在価値があると言われています。我々もそれが大切だと考えていますし、共学化する予定もありません。

卒業生のアンケートを見ると、90%以上が本校で教育を受けて良かったと答えてくれています。日本文化教育についても、90%以上の生徒が良かったと回答しています。卒業するときに「入学して良かった」と満足してもらえる学校だと自負しています。

村上先生

満足度という点では、探究の授業もかなり高いものでした。探究の授業は成績がつかないため、生徒のやる気が心配されましたが、実際には生徒たちは非常に熱心に取り組んでいます。本校を選ぶ生徒たちは、成績よりも探究活動そのものに価値を見出しているのだと思います。

また、本校では部活を通しての礼儀作法など日本人の大事なところがしっかりと根付いています。

自分に合っているかもと少しでも思える方は、ぜひ一度本校を見にいらしてください。きっと、興味を引かれるものがあると思います。特に和洋コースは、大学までの7年間を見据えた学びができるので、とてもお得だと思います。

土田先生

和洋コースは自分の学びたいことを本当に学べるコースであり、学びたいことがまだ見つかっていない人にも適しています。従来の偏差値や点数に縛られて勉強がつまらないと感じている人も、このコースで学ぶことで勉強の面白さを発見でき、イメージが大きく変わるはずです。ぜひ和洋コースへの入学をご検討ください。

編集部

7年間という長いスパンで学べることで、まだ自分の興味や道が定まっていない生徒でも、何かを見つけて成長することができそうですね。本日はありがとうございました!

和洋国府台女子中学校高等学校の進学実績

和洋国府台女子中学校高等学校の図書館

▲蔵書数8万冊を超える図書館は生徒の好きな場所第1位

和洋国府台女子中学校高等学校では2023年、4年制大学への進学率が92.1%でした。筑波大学や千葉大学といった国公立大学に4名が合格したほか、系列の和洋女子大学へは65名が進学しています。

和洋国府台女子中学校高等学校では、「反復学習」を柱とした学びで基礎学力を養成するとともに、各教科の教員やチューターが協力して生徒一人ひとりを見守る体制が特長となっています。

また、進路情報室では担当教員が学習や受験のサポートを行い、職員室前の質問スペースでは教員が生徒の疑問に答え、個別に課題を出すことが日常的に行われています。

さらに、自学自習をサポートするため、毎朝7:00~8:20と放課後には1教室を自習室に設定し、自由に学習できるようにしています。こうした、生徒の学びをサポートする環境が進学実績につながっているようです。

■進学実績(和洋国府台女子中学校高等学校公式サイト)
https://www.wayokonodai.ed.jp/education/course/

和洋国府台女子中学校高等学校の在校生・卒業生・保護者の口コミ

和洋国府台女子中学校高等学校に関する在校生・卒業生・保護者の声や評判をまとめました。

(在校生)校則がしっかりしているので、いずれ大人になったときに困らずに社会に出られると思います。部活動が盛んで、生徒の多くが加入しています。

(卒業生)高校からの入学を決めたのは、和洋の伝統校特有の落ち着いた雰囲気と先生方の温かさに心をひかれたからでした。特進クラスに入り、内進生とクラスメイトになって、彼女たちから学校への強い誇りを感じました。真面目な学習や生活の態度も模範的でした。

(保護者)落ち着いていて雰囲気の良い学校で、子どもを安心して通わせられます。進学についても先生方のフォローがきちんとされていると感じました。

これらの口コミから、落ち着いた校風で、勉学や部活に安心して打ち込める環境ということが伺えます。

和洋国府台女子中学校高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人和洋学園
住所 千葉県市川市国府台2-3-1
電話番号 047-371-1120
問い合わせ先 https://www.wayokonodai.ed.jp/request/
公式ページ https://www.wayokonodai.ed.jp/index.html

※詳しくは公式ページでご確認ください