寮生活で成長。「早稲田佐賀中学校・高等学校」の学力・人間性を養う教育|中高一貫校

この記事では、中学受験に興味があるお子さん・保護者に向け、佐賀県唐津市にある共学の私立中高一貫校「早稲田佐賀中学校・高等学校」の教育活動を紹介します。

2010年に創立された同校は早稲田大学の7つ目の系属校で、大学と連携したプログラムがあるほか、全学部に推薦枠を持っていることも特徴です。歩いて通学できる場所に寮もあり、全国各地から集まった生徒たちが集団生活を通して自主性・協調性を磨いています。

今回は、高等学校で教頭を務める覚前先生にインタビュー取材し、同校の教育理念やグローバル教育、自慢のクラブ活動などについて詳しく伺いました。

早稲田佐賀中学校・高等学校の教育目標はグローバルリーダーの育成

「早稲田佐賀中学校・高等学校」の覚前先生

▲インタビュー取材に対応してくださった高等学校・教頭の覚前先生

編集部

最初に、早稲田佐賀中学校・高等学校の教育理念を紹介していただけますか?

覚前教頭

本校は早稲田大学の建学の精神を土台に、「学問の独立」「進取(しんしゅ)の精神」「地球市民の育成」の3つを教育理念に掲げています。具体的には、確かな学力と豊かな人間性を兼ね備えたグローバルリーダーを育てるべく、生徒たちの教育にあたっているところです。

本校が考えるグローバルリーダーは、国の文化や言語、価値観などに捉われず、世界を舞台に活躍する人を指します。グローバルリーダーに成長するためには、日々の地道な積み重ねが大切です。中学校・高等学校時代に勉強して知識を蓄え、学校の行事やクラブ活動などを通して思いやりの心を身につけてほしいと思っています。

約7割の生徒が共に過ごす早稲田佐賀の寮生活

「早稲田佐賀中学校・高等学校」の生徒の登校風景

▲朝の登校風景。校舎越しに見えているのは隣接する唐津城

早稲田佐賀中学校・高等学校の大きな特徴は、仲間との絆を深められる寮生活です。全生徒の7割ほどに該当する約700人の中学生・高校生が、学校から歩いて15分ほどの場所にある寮「八太郎館」で共同生活を送っています。

寮には、北海道から沖縄県まで、さまざまな地域から個性豊かな生徒たちが集まります。佐賀県唐津市にある学校なので九州地区の生徒が多いのはもちろんですが、東京都・神奈川県などの首都圏から入学する生徒も4割近くを占めているそうです。ここからは、寮生活について詳しく教えていただきます。

高1までは4人部屋を採用。高2以降は個室で受験勉強に集中

編集部

寮の「八太郎」という名前は、早稲田大学の創立者・大隈重信さんの幼名に由来しているそうですね。1部屋につき、何人ぐらいで生活するのでしょうか?

覚前教頭

中学1年生から高校1年生までは4人部屋、受験が近づく2年生以降は個室で生活します。中学1年生の半年間ほどは、4人中2人を出身地の近いメンバーにし、帰省のタイミングで1人にならないようにしています。学校での人間関係はもちろん、クラスやクラブ活動なども考慮してメンバーを決めていますね。

できる限りたくさんの生徒と触れ合ってほしいので、中学1年生では3カ月に1回、2年生以降は半年に1回のペースで部屋替えをする決まりです。

育った地域や家庭が違う生徒が共同で生活するため、最初のうちは寝るときに常夜灯(オレンジ色の小さな電球)を消す・消さないでも意見が分かれるんですね。そのうちメンバー同士で話し合ってルールを決め、ポスターにまとめて部屋に貼るなどしていました。生徒たちなりに、「どうすれば、メンバー全員が気持ちよく生活できるか」を考えたようです。自分たちで考え、解決策を見出す経験ができるのは、寮で生活する醍醐味だと思います。

100人以上のスタッフが、生活面をサポート

編集部

生徒さんの寮生活をサポートするスタッフさんはいらっしゃいますか?

覚前教頭

もちろんです。寮長・寮母をはじめとする100人以上のスタッフが在籍し、掃除・食事などのサポートをしています。

部屋の掃除は自分たちで行いますが、フロアやお風呂といった共有スペースはスタッフが掃除します。食事を担当する「エームサービス」は、栄養バランスのよいメニューが高く評価されており、オリンピックの選手村への提供経験があるんですよ。

さらに、本校の先生も生徒たちの寮生活に関わります。具体的には、13:00〜22:00で勤務する「寮主任」が10人在籍しています。寮主任たちは、学校で授業をした後に寮へ移動し、生徒たちの生活をサポートするんです。生徒たちにとっても学校の先生が寮にいてくれるのは心強く、落ち着いた生活につながっているようです。

編集部

授業を受けている先生方が寮にいると、学校の悩みなども相談できますね。

必須の全体学習と、希望制の朝学習・夜学習で勉強の習慣を身につける

編集部

学校から寮に帰った後、勉強する時間は設けられていますか?

覚前教頭

中学生・高校1年生には約2時間半の「全体学習」を設定しています。全体学習は全員参加で、ブース型の勉強部屋でそれぞれの学習に取り組みます。勉強部屋には教材もそろっており、自分のペースで学習を進められる環境です。高校2年生・3年生は個室での学習となります。全体学習の時間を過ぎた後も、各自で時間を延長して学習することが可能です。

また、希望者を対象に、5:30〜6:50の時間帯に1時間ほどの朝学習も実施しています。勉強時間には卒業生を含む九州大学の学生や大学院生が来館するため、質問することも可能です。

寮主任から保護者への近況報告あり。生活の様子を確認できるサービスも

編集部

遠方に住んでいると、お子さんの様子が気になる保護者もいるかと思います。寮生の保護者には、どのようなサポートをされていますか?

覚前教頭

寮主任が1日に2〜3人の保護者に連絡し、生徒の学校や寮での様子を伝えています。また、本校はベネッセの「Classi(クラッシー)」というクラウドサービスを活用しているので、オンラインで学校が配信する情報や、テストの成績などを確認することが可能です。

離れて生活するのは心配かもしれませんが、ほどよい距離感を保てるというメリットもあります。寮生活では掃除・洗濯などのスキルも身につくため、帰省のタイミングで自立したお子さんの姿に感心する保護者も多いですよ。

英語力を鍛える!早稲田佐賀のグローバル教育

佐賀県唐津市にある「早稲田佐賀中学校・高等学校」の外観

早稲田佐賀中学校・高等学校の大きな特徴は、充実したグローバル教育です。ここからは留学制度と授業の観点から、グローバル教育の内容に迫ってみましょう。

語学研修・海外留学で、世界の現状に目を向ける

編集部

早稲田佐賀中学校・高等学校は、グローバル教育に力を入れているそうですね。具体的に、どのような取り組みをしているのでしょうか?

覚前教頭

生徒たちが実際に海外へ行き、現地の文化や世界の現状に目を向けられるように、留学制度を充実させています。本校の留学制度は、研修から留学へと段階を踏んで挑戦できるのが特徴です。

具体的には、中学3年生を対象とした「オーストラリア語学研修」があります。夏休み中の10日間程度でホームステイをしながら、近隣の私立学校へ通学して実用的な英語の力を磨きます。

2024年度からは中学生・高校生全学年を対象とした「ボストン研修」「ホーチミン研修」が追加されました。現地学校訪問や同世代との交流を深めることで、世界には様々な考え方や価値観があることを認識し、国際的な視野を身に着けることができます。

このような語学研修は留学の前段階として希望する生徒も多く、2024年度は3か国の研修で合計100名程度が参加する予定です。

編集部

10日程度の研修だと、海外を訪れた経験がなくても気軽に参加できそうですね。留学についても、詳しく教えていただけますか?

覚前教頭

留学の行き先やプログラムは、年度によって異なります。2024年度の場合は、中学3年生は1年間、高校生だと3カ月または1年間の海外留学が可能です。本校が提携する海外の学校はもちろん、生徒自身が留学先を決めることもできます。

さらに2019年からは、ニュージーランドの政府公認機関「SIEBA(シーバ)」と連携した制度をスタートしています。この制度により、280を超える海外の学校から、生徒の希望とマッチする留学先を紹介してもらえるようになりました。現在は3カ月の留学のみの対応ですが、将来的には1年間の留学にも広げていきたいと思っています。

本校は海外への関心が高い生徒が多く、3カ月・1年間の留学にもそれぞれ10人ほど(年間)が参加します。帰国後には留年せずに進級できる制度もありますが、最近は「1年遅れでもいいからしっかりと勉強したい」と話す生徒も増えてきました。海外でネイティブの方々と話したり、世界の実情を知ったりする経験が、生徒たちの学習意欲につながっていることを実感します。

推薦枠は英検2級合格が条件!ネイティブに通用する英語力を育む

編集部

海外研修や海外留学には、ある程度の英語力も必要だと思います。英語の授業では、どのような工夫をして生徒さんの英語力を鍛えているのでしょうか?

覚前教頭

各学年で週に6時間、「英語」の授業を実施し、海外で通用するレベルの英語力を鍛えます。具体的には、本校に在籍するネイティブの先生(合計で3人)が、中学生・高校生の発達段階に応じた指導をしています。

例えば中学生に対しては、「恥ずかしがらずに英語を話す」ことを目標に、ネイティブの人と対等に話せる会話力を育てていくんです。高校生からは会話力に加え、単語・文法などを活用したライティングにも挑戦します。ネイティブの視点から添削し、説得力のある文章を書けるように指導していきます。

編集部

会話力とともに、文章力を指導してもらえるのは心強いですね。オンラインの英会話などは実施されていますか?

覚前教頭

もちろんです。オンライン英会話は外国人講師とマンツーマンで話せるため、アイコンタクトや話すタイミングといったコミュニケーション力も鍛えられます。中学生から高校生まで希望制で申し込むことができます。

編集部

ここまで英語の授業について伺ってきましたが、授業以外ではどのようにして生徒さんの英語力を高めていますか?

覚前教頭

学校が強制するのではなく、生徒たちが自主的に英語を勉強できるようにしています。本校が定める早稲田大学学校推薦型選抜に出願する条件の1つとして英語検定2級の取得があります。これは大学で学ぶ最低レベルとして設定しているので、本校の場合は中学生で英検2級を取得する生徒が多く、高校では準1級・1級を目指して学習を進めます。

また、早稲田大学は英検とは別にTOEFLのスコアを要求する学部もあり、TOFLEのスコアの向上を目標に、受験勉強に励む生徒も少なくありません

編集部

確かに、目標を達成するための条件だと、英語への意欲も変わってきますね。英検やTOEFLなどを受験する生徒さんに、何かサポートはされているのでしょうか?

覚前教頭

自主的な学習が主流ですが、先生が不定期で講座を開催することもあります。過去には、英検の筆記試験合格者に「面接対策をするよ」と声をかけ、面接官となって生徒の受け答えにアドバイスをしたようです。

そのほかに、早稲田大学や九州大学、東京大学などが主催するオンラインの交流イベントに参加する生徒もいます。交流イベントで海外の生徒たちと話しながら、英語力を磨いていくケースも多いです。

文武両道がモットー!早稲田佐賀が誇るクラブ活動

「早稲田佐賀中学校・高等学校」の体育祭の集合写真

▲クラブ活動や行事などに情熱を燃やす生徒も多い

「文武両道」を実践する早稲田佐賀中学校・高等学校は、クラブ活動も活発です。ここからは、クラブ活動について詳しく教えていただきましょう。

甲子園への出場経験を持つ「野球部」

編集部

御校は、クラブ活動にも力を入れているそうですね。生徒さんから人気のあるクラブ活動を紹介していただけますか?

覚前教頭

運動部だと、2010年の開校と同時に創部された「野球部 強化部」が人気です。2017年には、初の全国高等学校野球選手権大会(第99回)の出場を果たしました。

硬式の野球部は高校のみですが、中学校には軟式野球部があります。軟式野球部で腕を磨き、高校の硬式野球部で活躍する生徒も少なくありません。

もちろん、スポーツ推薦を利用して高校から入学する生徒もいますが、本校は野球の実力だけではなく、学力もチェックします。早稲田大学への推薦枠に関しても、野球部だから優遇されることはありません。野球のスキルを磨きながら、学習にもしっかりと取り組んでいるのは、本校の野球部の強みだと思います。

着々と成績を伸ばしている「ラグビー部」

編集部

野球部以外で、活躍しているクラブはありますか?

覚前教頭

着実に力をつけてきているのは、2021年に創部された「ラグビー部」ですね。2024年度の「佐賀県高等学校総合体育大会」では、45回以上優勝している「佐賀工業」を相手に、40点差にまで点差を縮めました。残念ながら負けてしまいましたが、最初のころは200対0だったので、確実に練習の成果が現れていると思います。

子どもたちも注目しているようで、「早稲田佐賀のユニフォームを着て、ラグビーをしたい」と、本校に入学するケースもあるほどです。中学校にはラグビー部がないので、競争部などで体力を鍛え、高校からの入部に備える生徒もいますよ。

推薦枠が好評!早稲田佐賀の進学実績

編集部

御校には、早稲田大学への推薦枠がありますよね。どれぐらいの生徒さんが、推薦枠を使って早稲田大学に進学しているのでしょうか?

覚前教頭

2023年度の卒業生は、100人以上が早稲田大学に進学しました。難関といわれる政治経済学部にも8人が進学しています。

現在の学校推薦型選抜試験の定員は高校入学定員の5割に該当する120人ですが、2027年度高校3年生からは6割(144人)に増える予定です。本校の卒業生が早稲田大学で真面目に勉学に励んでいると認められたこと、さらに早稲田大学への進学を希望する生徒が多くなってきていることが理由です。

ただ、定員が10割になることはないため、早稲田大学以外の私立大学や国公立大学、医学部などの受験に対応できる授業を心がけています。本校の生徒は、学校・寮の勉強だけで志望校に合格するケースが多いです。

編集部

学校でしっかりと受験指導をしてもらえるのは、保護者にとっても心強いですね。早稲田大学以外では、どのような学校に合格しているのでしょうか?

覚前教頭

国公立大学や早稲田大学部に無い学部学科を中心に、他大学への進学指導もしっかり行います。国立大学へは九州大学をはじめ18名、医学部医学科へは横浜市立大学をはじめ9名が合格しています。

公式:早稲田佐賀中学校・高等学校「大学合格実績」

早稲田佐賀中学校・高等学校からのメッセージ

「早稲田佐賀中学校・高等学校」の文化祭風景

▲文化祭での風景

編集部

早稲田佐賀中学校・高等学校に興味があるお子さん・保護者に向け、メッセージをお願いします。

覚前教頭

本校のある佐賀県唐津市は、早稲田大学を創立した大隈重信と縁の深い地域です。中学1年生では「大隈重信ゆかりの地探訪」と呼ばれるイベントもあり、早稲田大学の原点に触れられます。

寮を併設した本校には、全国はもちろん、海外からも生徒が集まります。育った地域や価値観は異なるものの、「違いを楽しみながら、協力していこう」という雰囲気です。もちろん寮生活は思い通りになることばかりではありませんが、自主性・協調性が身につき、仲間との絆も深まりますよ。

さらに本校には、早稲田大学の推薦枠があるほか、国立大学や医学部への受験体制も整っています。充実した学校生活を送りながら、志望大学への合格も実現させたい方は、ぜひ本校にお越しください。全国で説明会を実施していく予定なので、公式サイトからお気軽にお申し込みいただけると幸いです。

公式:早稲田佐賀中学校・高等学校「2024年度学校説明会日程」

編集部

寮生活を体験してほしいとの思いから、あえて御校を選ぶ保護者も多いそうですね。先生は担任のご経験もあるとお聞きしましたが、卒業生と会う機会はありますか?

覚前教頭

卒業生が帰省や出張などで九州に来たときはもちろん、私たちが説明会で首都圏を訪れた際に、卒業生のほうから「久しぶりに会いましょう」と声をかけてくれるケースが多いですね。ちょうど先日も、教え子たちと福岡県で再会しました。早稲田大学への進学がかなわなかった卒業生もいて、正直なところ「大丈夫かな」と心配していたんです。

実際に会ってみると、その卒業生は「別の大学に行ったから、今の自分があります」と笑顔で話してくれました。ホッとすると同時に、教え子の精神的な成長がうれしかったですね。

編集部

エピソードからも、先生と生徒さんの距離の近さを感じました。学校や寮で切磋琢磨した関係だからこそ、卒業後にも連絡を取り合えるのでしょうね。

本日は、中学受験に役立つお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

早稲田佐賀中学校・高等学校の保護者からの口コミ

「早稲田佐賀中学校・高等学校」の文化祭での合唱コンクール

▲文化祭での合唱コンクール

最後に、早稲田佐賀中学校・高等学校の保護者から寄せられた口コミを紹介します。

寮生活では自由学習が必須になっているので、勉強の習慣が身につく。

定期テストがない時期にも英語や数学の単元テストがあり、学習の理解度を確認できる。

早稲田大学への推薦枠があるのがうれしい。先生たちの指導力が高く、学習サポートも手厚い。

口コミからも、学習面のサポートに満足している保護者が多いことが分かります。そのほかに、「最寄駅のJR『唐津駅』から、スクールバスが出ているのが助かる」と設備の充実度を評価する口コミも見られました。

早稲田佐賀中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人 大隈記念早稲田佐賀学園
住所 佐賀県唐津市東城内7-1
電話番号 0955-58-9000
公式サイト https://www.wasedasaga.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください