ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介する本企画。今回は、千葉県松戸市にある私立で共学の中高一貫校「光英VERITAS中学校・高等学校」を紹介します。
1983年に千葉県松戸市に女子校として誕生した同校は、2021年に共学化され、聖徳大学附属女子中学校・高等学校から現在の校名に改称されました。
多彩な科学イベントが企画される「理数・サイエンス教育」、さまざまな国の生徒との交流が盛んな「英語・グローバル教育」に加え、思いやりの心やマナーを身につける「礼法教育」にも力を入れていることが特徴です。
今回は、そんな光英VERITAS中学校・高等学校の川並芳純校長に、教育に込めた思いや授業の内容などについてお話を伺いました。
この記事の目次
光英VERITASが掲げる「和」の精神と真理探究の教育理念
▲ホームルームで話をする川並芳純校長
まずは、光英VERITAS中学校・高等学校の教育理念について教えていただけますか?
光英VERITAS中学校・高等学校は、本校を運営する東京聖徳学園の建学の精神でもある「和」を教育理念としています。「和」には、人と人との調和をはじめ、個人と社会、人間と自然との調和といった思いが込められています。
さらに、2021年の校名改称にあたり、「Optima est veritas.」を新たな校訓として定めました。ラテン語で「真理こそ最上なり」という意味です。
「和」を実現するためには、時に真理を見つけ出すことが必要とされます。例えば、天動説と地動説の論争に伴う処罰や迫害も、地動説の正しさが証明されてからは起こらなくなりましたよね。
そういったことから、本校は真理を探究する意欲や力を養う教育に力を入れています。そして、その教育を「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」と名付けています。
「問いを持つ学び」を重視するヴェリタス・トルネード・ラーニング
「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」とはどのような教育か、詳しくお聞かせいただけますか?
「答えを求める学び」ではなく「問いを持つ学び」を目指した教育です。本来学びというものは、ペーパーテストのように一つの答えを出したら終わりではありません。答えの先に、より深い学びがあるはずです。そのような課題の発見と解決を「トルネード」のように繰り返していく「探究的な学び」を、本校は教育の核としています。
さらに、この探究のプロセスでは、学びの輪がクラスや学年の垣根を越えるだけでなく、学外の大学や地域社会にも広がっていくイメージを持っています。
「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」では具体的に、どのようなカリキュラムに力を入れているのでしょうか?
「理数・サイエンス教育」、「英語・グローバル教育」を2本柱としています。本校では文系であっても理系であっても、この2つの柱はきちんと教える方針をとっています。そして、その土台となるのが「和」の精神に基づいた礼法教育です。
生徒の興味を引き出す多彩な理数教育プログラム
「理数・サイエンス教育」では、どんな取り組みをしているのですか?
理科の授業では実験を重視し、年間40回ほど実施しています。例えばイカの解剖では、血液がどのように流れているかを確認するために、体内に色のついた液体を流し込んだりしています。
そういった実験の様子は、生徒が1人1台持っているiPadで映像として記録しています。そこで、それぞれの成功や失敗の例をクラスで繰り返し共有します。みんな楽しそうにやっていますね。
また、授業だけでは面白くないので、授業以外でも興味が湧くような企画を用意しています。
どのような企画でしょうか?
例えば、放課後に中高生のどちらも参加できる「エッグドロップコンテスト」を定期的に開いています。用紙とセロハンテープ、ハサミのみを使って卵を保護するプロテクターを作り、プロテクターを付けた卵を校舎の高い位置から落としても割れないようにします。紙でパラシュートを作って落下速度を落としたり、クッションを作って落下の衝撃を和らげたりと、個性あふれるアイデアが出てきて盛り上がりました。
また、理科教員による「わくわく科学教室」という課外授業もあります。最近では、液体窒素の中にバラやゴムボール、水銀、酸素などさまざまな物体を入れてみる実験を行い、100人近くの生徒が参加しました。
さらに、本校の自然に囲まれた環境を生かして養蜂に取り組む計画も進んでいます。これは理科の先生に、生徒が関心を持てるようなアイデアを募ったときに出てきた意見の1つで、ミツバチ数千羽が棲みつく養蜂キットを置き、生徒が育てています。
ほかにも、本校には3Dプリンターやドローンがあるので、これらを使った学びについても模索中です。
授業以外でもこれだけ多彩な企画があれば、生徒の関心を呼びやすそうですね。
理数教育:東京理科大学との連携で広がる学びの可能性
学びの輪を学外に広げていくという話もありましたが、学外との連携ではどのような活動をしているのですか?
2020年に東京理科大学と連携協定を結びました。本校と東京理科大の野田キャンパス(千葉県野田市)が近くにあることを生かし、交流を活性化させることが目的です。
コロナ禍によりまだそれほど交流が進んでいるわけではありませんが、東京理科大の学生にインターンに来てもらっているほか、本校の生徒が東京理科大の文化祭に参加し、学生と一緒に出し物をしたりしています。
高度な理系の学びがより身近に感じられそうですね。
そうですね。今後はさらに交流を深めていき、「東京理科大で学びたい」と感じるような生徒を増やしていきたいと考えています。
実践的な英語力を育成する「英語・グローバル教育」の取り組み
「英語・グローバル教育」の具体的な取り組みについても教えてください。
「英語・グローバル教育」では、自分の言葉として使いこなせる英語力を身に付けることを目標としています。
ネイティブの教員による週2回の授業に英語劇を取り入れているほか、海外のネイティブスピーカーとのオンライン英会話なども行っています。
▲iPadを使ってオンライン英会話をする生徒
また、英語をアウトプットするイベントも充実させています。その1つが年1回、近隣の公立中学校に声をかけて開催している「KOEI VERITAS ENGLISH CONTEST」です。リーディングとスピーチの2部門で競うコンテストで、2023年度で4回目の開催となりました。
一般的に英語のコンテストというと、出場者は英語を得意とする生徒に限られてしまうかと思うのですが、本校のコンテストは英語の成績に関わらず参加ができます。さまざまな生徒の学習意欲を刺激すると同時に、学外との交流を深めるきっかけにもなっていますね。また、イングリッシュ・デイというイベントもあり、この日は中学生全員が公開での英語プレゼンテーションを一日かけて行っています。
グローバル教育:海外交流を通じて語学力と多様性理解を深める
ほかにも「英語・グローバル教育」について、特徴的な取り組みがありましたらご紹介ください。
海外の学校との交流も盛んです。2023年度は台湾の姉妹校やマレーシア、中国の生徒が本校に来てくれました。
加えて、オーストラリアの学校と交流する話も進んでいますし、今後は北米の学校とも連携していきたいと考えています。
海外の生徒が来たときは、どのような交流をしているのですか?
2023年末に開いた台湾の姉妹校との交流会では、先方の要望に応え、日本文化体験を実施しました。礼法の授業で使う礼法室で、茶道や華道を体験してもらいましたよ。
また、中学生と高校生とで分かれて、英語でのプレゼンテーションやディスカッションも行いました。中学生は「中学生が取り組める奉仕活動について」、高校では「校内の環境保護と地球を守るためにできること」がテーマでした。
生徒同士は一生懸命英語を使ってコミュニケーションを取ろうとしていましたし、それぞれの意見に文化的背景の違いなども表れていて興味深かったですね。
海外の生徒と接することが、語学だけでなく、価値観の違いや多様性を学ぶ機会にもなっているのですね。
40年続く小笠原流礼法授業で身につく社会人としての作法
▲礼法の授業で使う礼法室
礼法教育は、どのような内容になっているのでしょうか?
「小笠原流礼法」という相手を思いやる心や道徳心を養うための授業を行っています。「小笠原流礼法」とは、源頼朝に弓馬術を教えたとされる武将・小笠原長清氏が起源となっている礼法です。本校では約40年前の開校時からカリキュラムに取り入れていて、中高6年間に渡って週1時間の授業があります。
そこでは、あいさつやお辞儀の仕方から食事やビジネスに関するマナー、贈答の作法、茶の湯、日本建築まで、さまざまなことを学びます。中高6年間の授業を終えると、小笠原流礼法宗家から礼法許状を受け取れます。
礼法教育による生徒の成長はどのように感じていますか?
礼儀の正しさの表現方法や、相手を思いやる力を身に付けてくれていると感じます。本校は活発な子やおとなしい子などいろいろなタイプの生徒がいるのですが、どの生徒も礼法の授業で基本的なマナーを心得ているので、修学旅行の引率などはとても楽ですね(笑)。
「小笠原流礼法」は社会に出てからも役立っているようで、卒業生からは「礼法の授業があってよかった」という声をよく耳にします。また保護者からも好評で、中には「自分たちも習いたい」と希望される親御さんもいて、毎週土曜日には保護者による礼法部の活動もあるほどです。
東京ドーム2個分の敷地と充実した施設が支える生徒の成長
▲コンサートや集会が開かれる「奏楽堂」
学校の施設や環境の特色についても教えていただけますか?
何といっても敷地が広く、東京ドーム2個分の面積があります。校舎は、3棟ある建物を渡り廊下でつなぐ構造になっています。
このうちの1棟は、長さが120メートルほどあります。その棟の2階は「サイエンスフロア」となっていて、通常の教室の1.5倍ほどの大きさの理科室が7つ並んでいます。中学理科教室、化学教室、⽣物教室がそれぞれ2室、物理教室が1室ですね。
広々とした教室で、実験が快適にできそうですね。
はい。ほかにも、約400名を収容できる音響や照明機器が整った「奏楽堂」や、ゴルフ部が使う天然芝のゴルフ練習場などもあります。
カフェテリアもかなり広くて、2,000人以上が入れます。中高の全校生徒が悠々と収まるキャパシティです(笑)。
昼食もゆったりととれそうです。ちなみに、カフェテリアのメニューに何か特徴はありますか?
すごく工夫が凝らされています。メニューは日ごとに変わりますし、栄養が偏らないように必ず野菜の小鉢がついています。生徒のリクエストを反映させたメニューを出す日もあるんですよ。
私は今後、カフェテリアで生徒と会話を楽しみながら昼食をとる時間をつくりたいと考えています。生徒をより深く理解し、生徒からも信頼してもらえるようになりたいですね。
光英VERITAS中学校・高等学校からのメッセージ
最後に、光英VERITAS中学校・高等学校に興味を持った保護者の方やお子さんにメッセージをお願いします。
これまで申し上げた通り、本校は礼節をとても大切にしているので、そういった教育方針に共感いただける方にはぜひ入学していただきたいです。
私や今の生徒会長はよく「生徒の生徒による生徒のための学校」という言葉を使っています。生徒一人一人に高い礼節の意識があれば、学校が定めるルールは限りなく少なくできて、より生徒主体の学校運営ができるのではないかと考えています。理想は、校則のない学校です。
また生徒には、スポーツでも芸術でも何でもいいから、勉強以外にも何か打ち込めるものを見つけてほしいと考えています。その打ち込めるものが見つけられる環境が、きっと本校にはあります。
本校は約3割の生徒が東京在住であるように、さまざまな地域から生徒が通ってきています。ですので、お住まいの地域に関わらず興味のある方は「百聞は一見に如かず」ということで、ぜひ1度本校に足を運んでいただければと思います。
光英VERITAS中学校・高等学校では、知的好奇心が刺激されるような仕掛けや取り組みがたくさん用意されていて、生徒は能動的に学びを進めていくきっかけを得られるのではないかと思いました。また、礼法教育を通して人間的にも成長を遂げられると感じます。本日はありがとうございました!
光英VERITAS中学校・高等学校の進学実績
2023年度の卒業生のうち、4年制大学進学者は全体の86.0%に当たる111人でした。また、理系に進学した卒業生の割合が前年度26%から41%に増加しました。
国公立大学では東京学芸大学、東京都立大学に合格した生徒がいました。私立大学では早稲田大学や上智大学、東京理科大学に合格者を輩出しています。
また、2022年度以前には東京大学や東京工業大学、東京藝術大学などにも合格者を出しています。
詳しい合格者実績については、公式サイトをご確認ください。
卒業生が語る、光英VERITASでの学びの成果と魅力
最後に、光英VERITAS中学校・高等学校の卒業生の声をご紹介します。
広く充実した設備の中で礼儀作法が身に付いたという声が多くありました。先生や大学生チューターのサポートがあり、学習面でも心強い環境が整えられているようです。
光英VERITAS中学校・高等学校への問い合わせ先
問い合わせ先 | 光英VERITAS中学校・高等学校 |
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住所 | 千葉県松戸市秋山600 |
電話番号 | 0800-800-8442(入試広報室直通) |
047-392-8111(代表) | |
公式サイト | https://www.veritas.ed.jp/ |