独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、高知県高知市にある中高一貫の共学校「土佐塾中学・高等学校」を紹介します。
同校は、「世界に通用するようなスーパースターの輩出」という建学の精神のもと、独自の人材育成プログラムを実践し、グローバル教育に取り組んでいます。また、2021年4月からは、生徒自らが学びを見つけていくことを重視する「まなび創造コース」を開設し、探究的な学びに力を入れています。
今回は、そんな土佐塾中学・高等学校の教育方針や独自の取り組みについて、広報企画室長の結城先生と、まなび創造コース広報担当の小林先生にお話を伺いました。
この記事の目次
『面倒見の良さ』で夢の実現を目指すのが土佐塾の特徴
▲取材に対応いただいた、広報企画室長の結城先生とまなび創造コース広報担当の小林先生
まず、土佐塾中学・高等学校の建学の精神や教育理念についてお聞かせください。
本校は、創立者である福島清三先生が「世界に通用するようなスーパースターの輩出」を目標に開校しました。偏差値の高い大学への合格実績にこだわるのではなく、自分の夢を実現するための大学を目指す進学校として建学された創立36年目の学校です。
創立以来の本校の特長としては『面倒見の良さ』があります。生徒たちの夢や希望を叶えるために、教職員は全力で取り組んでいます。
中には将来の夢や目標を持てない生徒もいます。学業にも部活動にも力を注ぐことができない生徒に対しては、基礎的な学力は絶対に必要だということを説きながら、根気よく放課後の補習など指導を続けます。いつか夢や目標ができたときに、勉強が遅れていて手遅れにならないように、生徒全員に対して粘り強く諦めずに指導を行うことが本校の特長です。
世界での活躍を見据えた土佐塾中学・高等学校のグローバル教育
▲オーストラリア留学のようす。国籍は違えど、みんな積極的にコミュニケーションを取る環境がある
御校は世界に通用するスーパースターの育成を目指してグローバル教育に力を入れているとのことですが、具体的な取り組みについて教えてください。
まず、グローバルな人材育成のためのプログラムはすべて本校独自ものを用意しています。学校の方針や考え方がしっかりと軸にあり、子供たちを世界に送り出す、世界と関係性を持つことができるようにとの趣旨でプログラムを作成しています。
留学や語学研修プログラムも全部教員が引率します。航空券の手配等は旅行会社に頼みますが、全ての引率は教員なので、一般的な留学プログラムとは違って、本校と生徒たちが主体で展開することになります。
また、本校では、アメリカやオーストラリア出身のネイティブ教員が4名在籍しており、週3時間、ネイティブ教員による英語の授業を実施しています。
ネイティブ以外でも、英語科には通訳の資格を持っている教員、海外に十数年住んでいた教員など、ネイティブに近い教員がたくさんいるので、通常の授業も充実した内容となっています。
さらに、生徒全員が所有しているタブレットを使い、月に1回、オンラインで東南アジアの方とマンツーマンで英語のみで会話する機会をもうけています。
▲ハワイでの異文化交流プログラムで笑顔を見せる生徒たち
今、お話にありましたが、御校で実施している留学や語学研修について詳しくお聞かせください。
中学で準備しているのが、ハワイの異文化交流プログラムです。これは2年生・3年生を対象に、約10日間、15名程が参加します。このプログラムは結構人気があり、たくさん参加希望者がいるため、筆記試験・リスニング・スピーキング・プレゼンでメンバーを選抜します。
ハワイには、マキキ聖城キリスト教会という高知県出身の方が作られた教会があり、高知県との交流を目的にした「レインボーコネクション」というプログラムを通じて行き来を続けています。レインボーコネクションを通じて10日間のうち2泊3日ぐらいは現地のご家庭でホームステイします。
私どもはハワイでお世話になるほか、ハワイからも来ていただいて、こちらでホームステイをしています。そのような時間を過ごすので、深い関係性が築けていると思いますね。レインボーコネクションがきっかけで本校の教員になった者もいるくらいです。
高校では、オーストラリアの姉妹校2校への留学があります。夏休みの間の短期留学や長期で1年間留学する生徒もいます。交換留学も行っており、オーストラリアからの留学生が一緒に授業を受けるので、留学へ行っていない生徒も海外の生徒と交流を持てます。
▲オーストラリア・タラ女子高校との交換留学での1枚。互いの文化を理解し合う光景が見られた
そういったグローバル教育を経験する中で、生徒さんの中で何か変化はありますか?
そうですね。例えば1対1のオンライン英会話の場合、日本語は伝わらないので、英語をしゃべらざるを得ないわけです。そのような状況は、生徒たちにとってはすごく刺激的なようで、英語を身近に感じながら英語力の向上につながっていると思います。
別の取り組みとしては、英語の授業の中で英検対策もされているとのことですが、どのように取り組まれていますか?
英検は校内受験をしており、過去の問題を解いたり、面接の練習をしたりといったことを積極的に行っています。大学進学に際して準2級は必須になってきているので、高校卒業段階で最低でも準2級合格を目指しています。
主体性を持って学びを見つける土佐塾の「まなび創造コース」
▲バイクを製作しているまなび創造コースの生徒
次に、土佐塾中学・高等学校が2021年に開設した「まなび創造コース」についてお聞かせください。
まなび創造コースは、開校してから初めて創設された新コースで、普通コースとは異なるカリキュラムです。名前からもわかるように、従来の教室で何かを教えるといった授業とは異なり、生徒自らが学びを見つけることを重視しています。
高校で自ら学習に向き合う人材の育成をコンセプトに、最初はいろいろな体験を通して、人としての器を大きくし、中学3年間をかけて最終的には自分たちが何を学びたいかを見つけます。
本校は山の上に学校があるのですが、例えば探究活動で自然と触れ合いながら、山で取った竹を炭に変えたり、電動ドリルのモーターを応用してバイクを製作してレースをしたりするんです。バイクを作る過程においては数々の問題に直面することになりますが、いろいろな知識を得ながら問題を解決していきます。周りの教員は生徒が自ら自走できるようにサポートに徹します。
▲まなび創造コースの工具部屋
外部講師を招いた授業を行っていらっしゃいますが、実際に今までどんな方に来ていただきましたか?
例えば、リアカーを引っ張って世界1周されているYouTuberのガンプさんですね。生徒自らがコンタクトを取って、出演交渉して開催しました。
その背景として、まなび創造コースでは生徒に対し、常に情報をキャッチするためのアンテナを張り、話を聞きたい人や呼びたい人を見つけるように指導しています。そういう人がいた場合、土佐塾中学校の誰それですとメールを送り、ギャラの話も含めて、こういう話をしてくださいとしっかり交渉すれば、必ず答えてくれるはずだと常々教えています。
「スタバと茶道の共通点を見つける!?」ユニークな授業と生徒の成長
▲まなび創造コースの授業/茶道の師範から日本の流儀作法とスターバックスの共通点を学ぶ
生徒さんが自らキャスティングまでされているわけですね。ところで、御校の公式SNSで「スターバックスってどんなところ」というテーマの授業を見たのですが、これについて教えていただけますか?
日本の茶道とアメリカのスターバックスでは、文化は違えど同じような憩いの場であるということで、その共通点について考え、それぞれの成り立ちから日米の両方の“おもてなし”を学ぶプログラムでした。
茶道の師範に来ていただいて、実際にお茶を点てて提供するところまで体験し、日本の流儀作法とおもてなしについて学びました。スターバックスを経営する立場に立ち、どのようにすればお客さまが心地良いのかを考えることと、一息つく機会を提供するという立場は同じだということを教わりました。
異なる文化を比較して理解していくことは、グローバルに活躍する人にとっても必要になるのではないかと感じました。
そうですね。まなび創造コースにもネイティブの教員がおり、英語が母国語ですが、日本語も上手で、生徒や他の教員や生徒と日本語でコミュニケーションを取っても何の違和感もありません。そういった教員もいる中で、ひとつの物事をいろいろな角度から見ることで世界の見え方が変わるということを大切にしています。
例えば、挨拶についても、きっちりとした日本の礼儀が正しくて、海外の軽い挨拶がだめだというわけではありません。それぞれの立場から見た正義があり、礼儀がある、物事の判断は立ち位置によって変わってくるということを教えたいのです。そのため、まずは日本の文化を学ぶことから始めており、茶道や古典芸能、落語なども学びます。
このコースの生徒の皆さんは、どんな雰囲気なのでしょうか。
まなび創造コースは、弱点を無くすというよりは、長所を伸ばすことを大事にしており、型にとらわれない、いろいろな能力を持った生徒が目立ちます。教員と生徒との距離もかなり近く、教員が言ったことに対して、「なぜそれをする必要があるのか」「どういう意図で言っているのか」といった、鋭い質問をする生徒が多いですね。
自作の動画が試験科目に。まなび創造コースの独自の入試制度
まなび創造コースの入試についてお聞かせください。
中学校のまなび創造コースは、入試前に課題をお伝えしますので、そのテーマに沿って動画を作成し、提出していただきます。その「事前提出動画」に加え、対面ではない「オンライン面接」の2つが入試項目となります。
高校のまなび創造コースは、英語・数学の筆記試験があります。これに、英検・数検の加点があります。それと、協働ワークショップといって、受験生と本校のまなび創造コース生と一緒にワークショップをしてもらい、その様子を採点します。
生徒自身が作成した動画を合否の判断基準とするのはすごく面白いですし、創造性が試されそうですね。今の年代の子どもたちはスマートフォンを含めた撮影や編集には慣れていると思いますので、いろんなアイデアを発揮するのでしょうね。
土佐塾中学・高等学校からのメッセージ
最後に、土佐塾中学・高等学校に興味を持ったお子さまや保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
本校は、普通コース・まなび創造コースとも、やりたいことを叶えていく、それを自分の力で実現していく学校ですので、根拠と目的を持ち、生徒が本当にやりたいと思ったことは却下することなく認めています。
例えば、留学から帰国した生徒が「オーストラリアの学校は食堂がキャッシュレスだったのに、なぜ本校は違うのか」と提言して、自ら変えていくために生徒会に入り、学校と交渉して、今はキャッシュレスになっています。
このように、やりたいことがある方はぜひ本校で学んでほしいと思います。そしてやりたいことがない方も、ここで見つけることができると思います。本校は山の上にあり、周りは自然しか無いため集中できる環境ですし、いろんなことを刺激に変えることができるはずです。
あとは、本校のSNSもぜひご覧ください。他の学校では考えられないようなことをたくさん実現しています。ぜひ本校で学び、夢や希望を実現させてください。
生徒一人ひとりを大切にする土佐塾中学・高等学校の教育方針をはじめ、独自性がある実践的なグローバル教育や生徒の主体性を尊重する校風がよくわかりました。本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
■土佐塾中学・高等学校の公式SNSはこちらから!
https://www.instagram.com/tosajuku.school/
https://www.facebook.com/tosajukuschool
https://www.youtube.com/channel/UCcnS8evHkc_hj8OOeXkIWXg
▲土佐塾中学・高等学校の制服(トレーナー)
土佐塾中学・高等学校の進学実績
土佐塾中学・高等学校ではほとんどの生徒が4年制大学に進学しており、国内の国公立大学および私立大学、海外の大学が主な進学先となります。
過去5年間の卒業生数871名に対して、国公立大学の合格者数は、高知大学55名、高知工科大学40名、高知県立大学32名、岡山大学12名、香川大学12名、愛媛大学10名含む251名、うち医学部は7名です。省庁大学校へは36名が合格しています。
同じく過去5年間の私立大学の合格者数は1811名。そのうち早稲田大学30名、慶応大学12名、東京理科大16名、明治大学23名、青山学院大学21名、立教大学17名、中央大学17名、法政大学6名と、いわゆる難関私立大学への合格者も多数輩出しています。
■卒業後の進路(土佐塾中学・高等学校公式サイト)
https://sites.google.com/tosajuku.ed.jp/mcc/career
※進路実績詳細については同校公式サイト「パンフレット」をご覧ください。
土佐塾中学・高等学校の卒業生・保護者の口コミ
土佐塾中学・高等学校の卒業生や保護者の声を紹介します。
▲学園祭のようす。男子も女子も思い思いの格好で盛り上がっています
▲大人気の「放課後キッチンカーイベント」。生徒が楽しめることはもちろん、地元の飲食店を支援する意味合いもある
土佐塾中学・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人土佐塾学園 土佐塾中学・高等学校 |
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住所 | 高知市北中山85 |
電話番号 | 088-831-1717(代表) |
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公式ページ | https://www.tosajuku.ed.jp/ |
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