未来を力強く生きる力を養う。東海大学菅生高等学校中等部の前向きなマインドを引き出す教育とは

特色ある教育に取り組む“注目の学校”を紹介するこの企画。本記事では、東京都あきる野市にある私立の共学校「東海大学菅生高等学校中等部」を紹介します。

生徒が学校生活を楽しみ、晴れやかな気持ちで過ごせるような環境づくりに余念がない同校。心を豊かにする環境教育や、グローバル感覚を身につける国際交流の機会を多数取り入れるなど、感性を磨くカリキュラムの充実を重視しています。

また、野球、サッカー、ソフトボールや卓球など強豪クラブでのスポーツに打ち込むことを目的に入学する生徒も多数います。

今回は、そんな同校の取り組みについて、校長の布村浩二先生にお話を伺いました。

東海大学菅生高等学校中等部校長の布村先生

▲取材にご対応いただいた布村先生

心晴れやかに過ごす学校生活。東海大学菅生高等学校中等部の教育理念

給食を食べる東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

編集部

まず初めに、御校の教育理念についてお聞かせください。

布村先生

東海大学菅生高等学校中等部では、恵まれた自然環境のもと、豊かな感性と思いやりの心を育み、「Well-being(心身的、社会的に満たされた状態)」な学校生活を送ってほしいと考えています。学校に来さえすれば気持ちが晴ればれと前向きになるような「菅生のち晴れ」をスローガンに、生徒たちと向き合っています。

編集部

前向きな気持ちで学ぶ環境に身を置くことで、何が手に入れられるのでしょうか?

布村先生

社会の中で生きていくのに欠かせないやる気、忍耐力、協調性、自制心などを自在に操る「ヒューマンスキル」が身につきます。また、学びの姿勢そのものを磨く「アカデミックスキル」や、新しい価値や解決策を見出す「アントレプレナーシップ」も培うことができます。

編集部

そういったスキルを身につけるいちばんの狙いはどこにありますか?

布村先生

先の見えない社会においても、これらの力をしっかりと養っておけば、困難をしなやかに乗り越える力を発揮することができると考えています。

AIをはじめとする技術革新が著しい昨今、人間にはどのような能力が求められているのかを、私たちは常に考えていかねばなりません。中高6年間は、将来どのような分野で社会に貢献していくのかを模索する時間でもあります。私たちは、その大切な学びの時間に寄り添い、充実したプログラムによって生徒たちをサポートしています。

ひとりひとりに丁寧に寄り添う。全ての生徒が安心して学べる工夫

編集部

冒頭で「Well-being」な学校生活を送ってほしいというお話が出てきましたが、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか?

布村先生

生徒にはとことん寄り添い、話を聞くようにしています。面談の場を設け、「今どういった状況ですか?」「何か悩みごとはないですか?」と逐一尋ねます。教員に話しづらいことは、専属のスクールカウンセラーに相談することもできます。

多感な時期ですから、一見小さなことでも、深く悩み込んでしまっている生徒をよく見かけます。ですが、思うような学校生活が送れていない生徒に対して、一方的にあれこれ指導したところで意味がないんです。悩みを聞き出し、根本的な原因に向き合わなければ、改善には結びつかないと考えています。

東海大学菅生高等学校中等部の感性と心を磨くカリキュラム

ここからは、同学ならではのプログラムである「環境教育」「国際交流」の2つをご紹介します。

心豊かに思いやりの気持ちを育む「環境教育」

ボートに乗る東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

編集部

普段から生徒と丁寧に接しておられると思いますが、授業の中にも工夫があるのでしょうか?

布村先生

常に生徒たちの興味関心を引き出す工夫をしています。「楽しい」「おもしろい」といった感情があってこそ、主体的に行動し、学びを深められると考えているからです。

編集部

生徒の探究心を刺激する特徴的なプログラムを教えていただけますか?

布村先生

野外体験学習や自然探求学習など、キャンパス周辺の自然に飛び込んで行う環境教育を数多く取り入れています。学校の近くの鯉川で行う生き物観察会では、アブラハヤやホトケドジョウなどの魚、サワガニにスジエビなどを実際に捕まえ観察します。修学旅行では、知床五湖を訪ね、北海道の大自然に抱かれながら世界遺産の魅力に触れます。

森の中に並び双眼鏡を覗き込む東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

▲修学旅行で訪れた知床五湖でバードウォッチング

編集部

心が豊かになりそうですね。生徒たちからはどのような声がありますか?

布村先生

「貴重な生物が、こんなに身近な場所に生息していることを初めて知った」「自然を大切にしていかなければと感じた」といった感想を聞きます。他者を思いやる気持ちを、人に対してだけではなく動植物に対しても持ってほしいという想いが、確実に生徒にも伝わっていると感じています。

活きた英語に触れグローバル感覚を養う「国際交流」

外国人の生徒と交流を楽しむ東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

編集部

御校は、英語教育にも力を入れていると伺いました。

布村先生

はい。国際感覚を身につけ、世界を身近に体感できるプログラムを用意しています。たとえば、英語教員はネイティブと日本人の2人体制。ゲームや歌を交え、楽しくわかりやすい授業を展開しています。一日の授業開始前には、ネイティブ教員による英会話のワンポイントレッスンが毎日15分間行われます。生徒たちからは「ネイティブの先生とのコミュニケーションのおかげで、英語が大好きになった」という声がありますね。

編集部

身につけた英語を活かす場も用意されているのだとか?

布村先生

2年生からは、オーストラリアに約2週間ホームステイし、現地の姉妹校で授業を受けることもできます。また、学校近くの在日米軍横田基地内にあるYokota Middle Schoolの外国人の生徒たちと交流し、日本文化を英語で紹介する機会もあります。

最初は恥ずかしそうにしていた生徒も、活きた英語に触れることで、外国人に対しても物怖じせずに堂々とコミュニケーションが取れるようになります。英検合格率が年々アップしていることにも本校の英語教育の成果が着実に現れていると思います。

強豪多数!東海大学菅生高等学校中等部のクラブ活動

グラウンドに集まる外国人の生徒と東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

編集部

御校の高校のクラブはほとんどが全国大会に出場しているそうですが、最近は中学校のクラブも活躍していると聞きました。

布村先生

チアダンスクラブ、硬式テニスクラブ、軟式野球クラブ、女子剣道クラブ、卓球クラブ、サッカークラブなどは、全国大会や都大会への出場経験や、優勝・入賞経験があります。また、ソフトボールクラブは2024年に東京都中学生ソフトボール大会関東大会で優勝したほか、2023年には台湾のチームに招待され、現地で交流試合に臨みました。

美術クラブは中学生絵画展で入選、吹奏楽クラブは東京都のアンサンブルコンテストで金賞を受賞するなど、文化部の活躍も目覚ましいものがあります。

編集部

すばらしいですね。クラブ活動に憧れて入学する生徒はどのくらいいるのでしょうか?

布村先生

全体の約7割がクラブ活動目的だと思います。ですが、どの生徒も勉強をおざなりにすることなく、文武両道で頑張っていますね。

自発的に勉強する姿勢を後押し。菅生高等学校中等部の多彩なプログラム

理科室で実験する東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

編集部

クラブ活動と勉強を両立するための工夫があるのでしょうか?

布村先生

20時半から、オンライン併用型の「アフタースクール」を開いています。クラブ活動を終えて帰宅して、オンラインで授業を受けます。眠くならないよう、パソコン画面で授業を見ながら、手元のタブレットで指示された問題に対する答えを書きます。するとその回答がリアルタイムで教員のモニターに反映され、すぐにその場で添削してもらえるという仕組みです。教員は集まってきた回答を見て生徒の理解度を確認し、授業の進度を調整しながら授業を行っています。

編集部

ほかにも特徴的なプログラムはありますか?

布村先生

プログラミング教育や表計算ソフトを使った関数などの学習をする「S-DX(スガオデジタルトランスフォーメーション)プログラム」を行っています。アルゴリズムやフローチャートを理解し、ロボットを動かすためのプログラミングを学んだり、データを取って分析し、わかりやすく発表するという一連の流れを体験したりします。

編集部

難関大合格を目指すコースもあるのだとか?

布村先生

2021年に、従来の特進コースを改変し「医学・難関大コース」を新設しました。中学校からの完全中高一貫となるコースで、東海大学医学部をはじめとする全国の難関大の現役合格を目標に学習に励みます。

ここでは、東海大学の教授や学生を招いて、フィールドワークを実施し課題研究に挑む「S-EE(スガオエンバイロメントエデュケーション)プログラム」、本格的な造形や伝統芸能などに触れる「S-SE(スガオスティームエデュケーション)プログラム」などがあります。学力を高めるだけでなく、将来にわたって役立つ探究心を刺激するようなプログラムを多数用意しています。

東海大学菅生高等学校中等部からのメッセージ

消防服を着て消防車の前に並ぶ東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

▲職業体験の一コマ

編集部

最後に、記事をご覧のお子さんと保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

布村先生

本校では、これからの新時代を生き抜く力をつける教育を重視しています。最初に「菅生のち晴れ」のスローガンの話をしましたが、生徒ひとりひとりが明るく生きるマインドを手に入れ、たとえば「入社した企業のち晴れ」といったように、やがて周りにもそのパワーを与えられるような人になってほしいという想いですべてのプログラムを作っています。

今の大人たちにさえ見通せない10年後、15年後の未来を、たくましく生きる術が身につく学校です。定期的にオープンスクールも行っていますので、ぜひそちらもチェックいただき、東海大学菅生高等学校中等部を進路選択のひとつに加えてもらえたらうれしいです。

編集部

生徒ひとりひとりに寄り添うサポート体制や、学力だけでなく感性も重視する多彩なプログラムが印象的でした。生徒たちが「Well-being」な環境で伸びのびと学ぶ姿が目に浮かびます。本日はありがとうございました。

東海大学菅生高等学校中等部の進学実績

犬のトリマー体験をする東海大学菅生高等学校中等部の生徒たち

東海大学菅生高等学校中等部では、主に医学・難関大コースに在籍する生徒や東海大学を目指す生徒が、菅生高等学校へ進学します。

東海大学の提携校である同校は、2023年、東海大学への進学を希望する生徒の約9割に当たる148名が「付属校推薦制度」を利用して希望の学部・学科に合格しています。一方で外部受験も積極的にサポートしており、筑波大学、信州大学などの国公立大学や、慶應義塾大学、明治大学、青山学院大学などの難関大学をはじめとする全国の私立大学に多数の生徒が進学を決めています。

■近年の大学合格実績(東海大学菅生高等学校中等部 学校案内)
https://www.tokaisugao-jhs.ed.jp/contents/wp-content/uploads/2024/05/1445ab7d88329c90fabc43cd5f4ae5b6.pdf

東海大学菅生高等学校中等部の保護者・卒業生の口コミ

最後に、東海大学菅生高等学校中等部に通う生徒の保護者や卒業生から寄せられた感想の一部をご紹介します。

とにかく面倒見が良い学校です。親も子も先生に気軽に相談しやすい雰囲気だと思います。(保護者)

内部進学だけではなく、外部受験も応援してくれる学校です。近隣の公立トップ校に合格するような人もいます。目標を持って学んでいる生徒が多く、だらけた雰囲気はありません。(保護者)

クラブ活動が盛んな学校です。人工芝のグラウンドやナイター照明など、設備も充実しており、申し分ないです。(卒業生)

クラブ活動が目的で入学しましたが、授業内容が多彩でとても楽しい学校生活を送りました。卒業時には、自らの人としての成長を感じることもできました。(卒業生)

学校の手厚いサポート体制や、クラブ活動の盛り上がりを評価する声が多数ありました。また、まじめな生徒が多いという声や、人間力を磨くことができたという声も見られました。

東海大学菅生高等学校中等部へのお問い合わせ

運営 東海大学菅生高等学校中等部
住所 〒197-0801 東京都あきる野市菅生1468
電話番号 042-559-2411
問い合わせ先 東海大学菅生高等学校中等部
公式ページ https://www.tokaisugao-jhs.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください