新しく生まれ変わる「東京女子学院中学校高等学校」の共学化と強学化|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、東京都練馬区にある中高一貫の私立女子校「東京女子学院中学校高等学校」を紹介します。

2025年4月から、共学校(※)「英明フロンティア中学校高等学校」として新しく生まれ変わり、カリキュラムも一新されます。この記事ではそんな同校の新たな取り組みについてお話を伺いました。英明フロンティア中学校高等学校への入学を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
※2025年度から高校の共学化、2026年度から中学の共学化が決定。

今回は、東京女子学院中学校高等学校の共学化推進委員理事を務める西田先生にお話を伺いました。

2025年に生まれ変わる、東京女子学院中学校高等学校の教育方針

東京女子学院中学校高等学校の体育館

▲バスケットボール・バレーボールのコート2面もある体育館(LED・冷暖房完備)。スポーツにも目一杯取り組める環境は引き継がれる。

編集部

東京女子学院中学校高等学校は、2025年4月に大きな変化を迎えると伺いました(取材は2024年6月に実施)。まずはそこからお話しいただけますか?

西田先生

1936年に創立した東京女子学院中学校高等学校は、2025年4月から「英明フロンティア中学校高等学校」として新しく生まれ変わります。

これまで本校は、教育理念に「気品ある女性の育成」を掲げ、「正しい姿 明るい心」を校訓に、学力が高いだけの女性ではなく、心も美しく、社会に貢献できる女性の育成に励んできました。部活動など、学業以外にも一生懸命に打ち込む、素敵な女子生徒が多いことが本校の特徴です。

ただ創立した当時と比べ、今の世の中は目覚ましい技術革新やグローバル化などの急速な変化が起こり、社会で要求される資質や能力、考え方は大きく変様しています。

こうした時代の中で、本校としても多様な価値観を持つ他者と協働して、新たなものを創造することができる、そんな人材を社会に輩出し続けようと考えました。そのために、創立90年目を迎える2026年を1つの節目と考えて、2025年に高校を共学化、2026年に中学校を共学化していくことを決めています。

男女共学になるだけではなく、学校名を変えて、新しい学校として生まれ変わろうとしています。ですから、共学化よりも「強学化」をキーワードに、表現力と協働力の向上を追究する、より魅力ある学校を目指して準備を進めているところです。

具体的には、大学受験の土台となる「シン・基礎学力」の習得、さらには思考力、発想力、表現力、創造力の向上アップにこだわる探究型のゼミ学習を開始します。そしてこれを「イノベーションクエスト」と命名し、この2つを新しいコンセプトの学びとして位置づけて、学校改革を進めていこうと思っています。

東京女子学院中学校高等学校のグレードアップする探究学習

FCコースの授業風景

編集部

探究学習がさらにグレードアップされると伺っています。どのようにグレードアップさせていくのでしょうか?

西田先生

東京女子学院中学校高等学校にはFC(フードカルチャー)コースというコースがあります。このコースは、食の問題を提起し、解決に向けて活動していくコースです。

既にキリンビバレッジさんやニッスイさん、牛乳の明治さんなど、名だたる企業さんにご協力をいただき、学習パートナーとして、社会とつながる授業を展開しています。これは生徒たちの将来を広げ、社会に出たときに役立つ新たなスキルであると実感しています。

通常は、生徒たちが中高の6年間で知り合える大人と言えば、ほぼ教員だと思います。それ以外の大人たちとつながり、話をすることはいろいろな刺激を受けます。社会で活躍されている企業の方の話を聞く、疑問に思ったことを質問してみる、その疑問に対して企業の方は真剣に話をしてくださいます。社会参画はとても貴重な経験になっていると思います。

英明フロンティア中学校高等学校になったときには、こうした探究型の実践的な学びを、学校全体として取り入れ、テーマは食に限定せず、地球規模での課題に対して考えていきたいと思っています。

現在、実践しているFCコースでの学びをより発展的に捉えて、新しい学校で引き継いでいきたいと思っているところです。学びのコンセプトも一新し、「シン・基礎学力」と「イノベーションクエスト」を核にして、より生徒の興味を引き出せるような授業をする予定です。

EF_探究ゼミ学習

▲探究型ゼミ学習の動画が見られます

“考える”を習慣化する「シン・基礎学力」

編集部

2025年4月から導入する「シン・基礎学力」についてお聞かせください。

西田先生

考えることを習慣化する力が、本校が考える「シン・基礎学力」です。

これまでの学力と言えば、知識や公式を覚える、年号等を暗記することが中心だったように思います。もちろん、基礎となる知識は大切ですが、これからの時代を生き抜くためには、知識を頭の中に詰め込むだけでは難しいと思っています。

本校では、知識をより頭の中に定着させるために、また、生徒がより多くのものを覚えるために必要なことは「考える力」だと思っています。ですから、考えることを習慣化するための授業を取り入れる予定です。

編集部

「考えることを習慣化する授業」というと、どのような授業でしょうか?

西田先生

授業で習った知識や初めて知った内容や気づきを要約して説明したり、別の言葉に言い換えて伝えるなどです。

例えば、フランシスコ・ザビエルの写真を見て「人物名を答えなさい」の質問は、暗記をしていれば答えられる問題です。そうではなくて「なぜザビエルは日本に来たのだろうか」や「どうやって来たのだろうか」、「日本に来て、どのようにキリスト教を伝えたのだろうか」等を考える授業をしたいと思っています。

聞く、話す、ディベートする、まとめる、発表分析する授業を、全教科で取り入れていくことが本校の考える「シン・基礎学力」です。

中学校の3年間は、学ぶ力、考える力、知識を得るために疑問を持ち、調べる力を徹底的に鍛える期間です。この基礎学力を身につけることで、次の高校の3年間につなげていきます。

高校3年間での探究型のゼミ学習「イノベーションクエスト」

編集部

「イノベーションクエスト」についても教えてください。

西田先生

「イノベーションクエスト」は、高校3年間で行う探究型のゼミ学習です。大学のゼミのような学びで、自然科学、ICT理工、社会学、文化国際の4つのゼミがあり、生徒たちはいずれかのゼミに所属してグループで学習します。

単なる調べ学習ではなく、テーマをもとに自分で探究し、問いを立てて情報を集め、整理分析し、経験を共有してまとめ発表するという探究サイクルを実践します。こうして、自分の興味をとことん追求する高度な学びを提供したいと考えています。

また、より自分の知りたいことを探究できる機会を設けるため、「ゼミ研修旅行」を実施しようと思っています。修学旅行や研修旅行と言えば、学校の先生が行き先を考えて、集合時間や行程を決めるというのが常だと思いますが、新校のゼミ研修旅行は、生徒たちグループで決めます。

例えば、ある何らかの取り組みを調べるためにその第一人者を訪ねるであったり、最先端の農業を見に行きたいであったり、自分たちで目的を決めて旅行会社と一緒に旅行計画を立てていく、これはなかなか高校生では経験できないのではないかと思います。

このように本校ならではの新たな取り組みの数々をご用意しています。

大好評の留学制度は継続決定。留学先の履修単位を取得できる

留学先で撮影した東京女子学院中学校高等学校生徒の集合写真

編集部

東京女子学院中学校高等学校ではグローバル教育も盛んですが、引き継がれること、あるいは新しく導入することについてお聞かせください。

西田先生

本校にはネイティブの教員が3人おりまして、英会話の授業を取り入れるなど、実践的な英語教育に力を入れています。

その上で、東京女子学院中学校高等学校のSA(スタディアブロード)コースでは、生徒たちが留学できる制度を持っています。1年の長期留学をしても、高校生活トータル3年間で、留年することなく卒業できます。

留学先としては、アメリカやニュージーランド、オーストラリア、さらにはドイツなどのヨーロッパ、英語圏以外にも留学できることが大きな特徴で、3ヶ月、6ヶ月、1年の海外留学ができるコースです。

これまではこのSAコースの生徒だけが留学をしていましたが、「英明フロンティア中学校高等学校」ではコースに関係なく利用できるようになります。

新導入!月5500円で通い放題の個別指導型の「塾&予備校」を設置

東京女子学院中学校高等学校の多目的図書室

▲東京女子学院の図書室。2025年春からはここに学習センターがOPENする。

編集部

2025年4月から新たに取り組まれることで特徴的なものがあれば教えてください。

西田先生

放課後に利用できる「学習センター」をオープンします。具体的には、質問型個別指導の「塾」と「予備校」を校内に設置します。月曜日から土曜日まで、毎日最大21時まで利用できるようにします。

これらは長期休みもテキスト代もすべてインクルードして月額5500円で通いたい放題のサブスク化で導入予定です。

編集部

すごい仕組みですね!塾や予備校に通う必要がなく、そのまま学校内で通えるので生徒への負担も少ないですし、相場の10分の1ほどの費用なので保護者にも喜ばれるでしょうね。

ちなみに、個別指導塾と個別指導型の予備校はどのように使い分けるのでしょうか?

西田先生

個別指導塾では、授業でわからなかったことや苦手なことを復習し、理解を積み上げていってほしいと思っています。また、予備校では、大学受験に向けて学力を伸ばしたい生徒に利用してもらうことを想定しています。

東京女子学院中学校高等学校からのメッセージ

東京女子学院中学校高等学校の西田先生

▲取材に対応いただいた共学化推進委員理事を務める西田先生

編集部

最後に東京女子学院中学校高等学校・英明フロンティア中学校高等学校に興味をもったお子さんや保護者の方にメッセージをお願いします。

西田先生

2025年4月から、「ただの共学化」ではなく、「新しい学校が誕生する」と思っています。制服や校舎もリニューアルし、通常教室すべてにモニターを完備、プレゼンに対応できるようにします。スケルトン理科室も設置するなど校舎を全面リニューアルして1期生をお迎えします。

新校では、大学に直結する学びを1つのテーマに掲げていますが、決して大学に入ることを目的とした学びではなく、大学に入った後、さらには社会人になった後に社会貢献できる人材の育成につなげていきたいと考えています。

大学進学の目標を掲げていながらも、成績に伸び悩んでいる生徒さんがいたとしても、シン基礎学力のもと、効率よく勉強することができます。大学受験も、学校行事も、部活動も両立させたいという生徒にこそ来てもらいたいと思ってます。

本校は新しい学校として生まれ変わりますので、ぜひ1期生として、私たち教員と一緒に新しい学校を作っていきませんか?もし本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、新しい校舎を見てください。学校の雰囲気を感じてみてください。お待ちしています。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

東京女子学院中学校高等学校のカフェテリア

▲生徒たちの憩いの場でもあるカフェテリア。

東京女子学院中学校高等学校の進学実績

東京女子学院中学校高等学校では、ほとんどの生徒が進学しており、難関大学や有名大学の合格者も多数輩出しています。

2024年の主な合格実績としては、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、成城大学、明治学院大学、国学院大学、昭和女子大学、専修大学、日本大学、津田塾大学、武蔵大学ほか多数の大学に合格しています。

多くの生徒が指定校推薦枠を利用して進学しており、指定校推薦の枠としては、中央大学、学習院女子大学、成城大学、大妻女子大学、東京都市大学、昭和女子大学、麻布大学、跡見学園女子大学、桜美林大学、嘉悦大学、神奈川工科大学、鎌倉女子大学ほか多数あります。

■進学実績(東京女子学院中学校高等学校公式サイト)
https://www.tjg.ac.jp/careers/results/

東京女子学院中学校高等学校の卒業生・保護者の口コミ

ここからは、東京女子学院中学校高等学校の口コミを紹介します。実際に通学していた卒業生や保護者の声をまとめました。

(卒業生)クラスメイトとも、部活では先輩後輩とも仲良くできて楽しい学校生活でした。生徒のタイプとしては、やさしい人が多いと思います。指定校推薦枠が結構たくさんあるので進学しやすく、勉強を頑張れば頑張るほど選択肢が増えます。制服は可愛くておしゃれです。

(卒業生)先生方のサポートが手厚く、面倒見が良い学校です。学習プログラムもしっかりしています。学校の雰囲気は落ち着いていて、部活に入って良かったです。とても楽しかったです。強化指定されている部活もあり、文武両道の学校です。

(保護者)マンモス校ではない女子校で駅も近いということで選びました。留学制度が充実しているので英語力を伸ばしたい人や海外に興味のある人には向いていると思います。3ヶ月~1年の留学をしても単位は取れるので留年せずに卒業できます。

(保護者)礼儀作法を重んじている落ち着いた雰囲気の学校だと感じました。生徒に対して真摯に向き合う真面目な先生が多い印象です。補習など勉強の環境も整っています。駅から近いので通学しやすく、安心して通わせることができました。

東京女子学院中学校高等学校へのお問い合わせ

運営 東京女子学院中学校高等学校
住所 東京都練馬区関町北4-16-11
電話番号 03-3920-5151
公式サイト https://www.tjg.ac.jp/

※詳しくは公式サイトにご確認ください