ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介するこの企画。今回は愛知県江南市にある、学校法人滝学園が運営する共学の中高一貫校「滝中学・滝⾼等学校」を紹介します。
同校は1926(大正15)年に実業学校として創立された、間もなく100周年を迎える伝統校です。愛知県屈指の進学校として知られ、数々の有名大学への合格者を輩出しています。手厚い学習サポートに加え、さまざまな分野で活躍する専⾨家を招いて行う「土曜講座」など、多様な経験ができる環境があります。
今回は滝中学・滝⾼等学校の教育方針や教育プログラムの特徴について、入試広報室室長の安藤先生にお話を伺いました。
この記事の目次
100年続く伝統校「滝中学・滝⾼等学校」の建学の精神
まずは滝中学・滝⾼等学校の建学の精神について教えてください。
本校は1926年、実業家として活躍した滝信四郎によって開校されました。創立者である滝の「自分を育てた故郷に、次世代を担う青少年を育てることで恩返しをしたい」という思いのもと、彼の生活信条である「質実剛健」「勤勉⼒⾏」「報恩感謝」を建学の精神に掲げ、社会に出たときに活躍できる人材の育成を目指しています。
建学の精神はやや硬い表現のため、時代に合わせた表現に変更しようかという話が出たこともあります。しかし根底にある創立当時の思いは現代の本校の教育に通じるものであるため、変わらず大切に受け継いでいます。
建学の精神にもとづいた教育方針「深める教育」「拡げる教育」「支える教育」とは
創立当初から続く建学の精神のもと、現在はどのような教育方針を掲げていらっしゃるのでしょうか。
建学の精神の3つを今の教育現場に当てはめ、より分かりやすい表現とした「深める教育」「拡げる教育」「支える教育」を教育目標としています。それぞれの教育目標に基づき、学力や教養など、総合的な人間力の向上を目指しています。
また、どのような生徒を育てていくかをより具体的にするための「3つの教育目標」と、生徒が身につけるべき「6つの力」も設定しています。
▼3つの教育目標
※公式より引用
3つの教育目標の中でも特に大切だと考えているのが3つ目の「周囲に対するやさしさを持ってネットワークの中で役割を果たす」という点です。生徒のリーダーシップを育てることももちろん大切なのですが、社会のネットワークではリーダーシップだけが求められるわけではありません。リーダーの役割に限らず自分の持っている力をネットワークの中で最大限発揮できる、そんな人材を育てていきたいと思っています。
▼6つの力
※公式より引用
滝中学・滝⾼等学校ならではの教育プログラム
愛知県内の中高一貫校においてトップクラスを維持する背景には、入学後もさらに学力レベルを高めていける手厚い学習サポート体制があります。また学力だけでなく、人間的な成長を促す機会が多くあるのも同校の特徴です。
ここからは、そんな滝中学・滝⾼等学校の特徴的な教育プログラムを紹介します。
小テスト・自宅学習の習慣・土曜講座など、基礎学力定着のサポートが手厚い
滝中学・滝⾼等学校では学習面でのサポートが非常に充実していると伺いました。どのようなサポートなのか具体的に教えてください。
学習面については「当たり前のことを当たり前にできる」ことに重点を置き、基礎学力の向上と学習習慣の定着をサポートしています。その1つが、授業内で行う小テストです。定期考査だけでなく小テストを多く実施することで、生徒自身や教員が理解度を細かく確認できます。
各教科を細分化しているのも本校ならではの特徴です。例えば英語の場合は、文法、長文読解、ALTのコミュニケーション授業といったように科目を細分化し、テストもそれぞれで実施するため、小テストと合わせて生徒の理解度の把握につながっています。
学習習慣の定着については、宿題によって1日90分程度の家庭学習時間の確保を目指しています。この地区では「滝といえば宿題が多い」というイメージがあり、実際少なくはありません(笑)。ただし、家庭学習の時間を確保できるよう、最終下校時刻を17時半に設定しています。クラブや補習授業などの学校活動は、最大でも17時半までで終わるため「遅い時間まで学校で居残りする」ということはありません。
また「土曜講座」という、希望者のみが受講する講座を年間10回ほど実施しています。このうち、「学習講座」は勉強のフォローアップや応用的な知識を身につける内容です。
著名人による講演やアクティブラーニング型の授業で「教養力」も身につく
滝中学校・高等学校では、教養の習得にも力を入れていると伺ったのですが、内容を詳しく教えていただけますか?
さきほどご紹介した「土曜講座」では、教養を身につけるための「教養講座」も実施しています。生徒の視野を広げられるような知的好奇⼼を刺激する内容です。教養講座はさまざまな専門分野の外部講師もお招きして幅広い内容で実施しているため、将来のキャリアを考える機会にもつながっています。
土曜講座の集大成として、また新入生の歓迎の意味も含めて、毎年4月には各界の識者にお話いただく「記念講演会」も実施しています。これまでに5人のノーベル賞受賞者をはじめ、数々の著名人にお越しいただきました。4月の早い時期に実施するのですが、質疑応答の時間には入学して間もない中学1年生からもたくさんの質問の手が挙がっています。
教養講座で特に生徒さんからの反響があったものを教えてください。
テスラモーターズさんやトヨタ自動車さんにお越しいただいた講座は人気でしたね。テスラやトヨタの車に試乗し、エンジニアの方のお話も聞きながら車の未来を学びました。
コロナ禍の際には医療従事者にお越しいただき、実際に防護服を着る体験をしたこともあります。本校は医学部への進学者も多いため、医学博士の研究などの講座も人気です。
教養に身につけるプログラムに関しては、全員必修のものもあるのでしょうか?
今回新たに、教養にフォーカスした取り組みとして「滝学」を導入しました。こちらは土曜講座と違って全員必修です。
▲教養に身につけるプログラム「滝学」
創立者の滝信四郎先生、滝富夫理事長の思いや考えを学ぶことから始まり、学年に応じたさまざまな学びを経験していきます。滝学は生徒が自ら考え発信することに重点を置いたアクティブラーニングで、課題発見力や考察力、表現力など社会で必要な力を育んでいくことを目的としています。
英語でのコミュニケーション力を高めるプログラムは全校生徒が対象
他にも滝中学・滝⾼等学校に特徴的な教育プログラムがあれば教えてください。
グローバル人材育成の取り組みとして、中学1年生を対象としたネイティブ教員によるレッスン「コミュニケーションプログラム」、中学3年生を対象とした留学生等との交流「グローバルスタディーズプログラム」を実施しています。
希望制ではなく各学年の全生徒を対象としているため、生徒全員がコミュニケーションを通じて英語での表現力を高めていけるのがポイントです。希望制の海外研修の機会も複数用意され、現地でさらに語学力や異文化理解を深めていくことができます。
最新設備も充実!滝中学・滝⾼等学校のスクールライフを紹介
滝中学・滝⾼等学校は愛知県江南市の静かな環境に広々とした校舎を構えており、長い歴史を持つ本館や講堂、図書館は国の登録有形文化財に指定されています。一方で2008年に中学の新校舎が竣工し、2023年には100周年記念館の新設、図書館のリニューアルがなされるなど、最新の設備も備えています。
また、2024年度から制服もリニューアルされていて、男女ともジャケットスタイルで、女子はスカートとスラックスが選べる形となっています。
そんな滝中学・滝⾼等学校で生徒たちはどのようなスクールライフを過ごしているのかを伺いました。
勉強だけじゃない!部活動にコンテストなど、多方面に活躍する生徒たち
滝中学・滝⾼等学校の学校内の雰囲気について教えてください。
のどかな地域にある広々としたキャンパスの中で、のびのびと過ごすことができます。そのためか、生徒にも素直な子が多いと感じますね。
勉強に対して前向きに取り組む子が多い一方で、部活動や習い事など勉強以外のことにも打ち込む子が多くいます。
▲中学かるた部。競技かるた大会の入賞を目指して練習を頑張っています
部活動を頑張る子は、最終下校時刻17時半までの時間で最大限努力している様子です。
部活動以外でも大学主催のセミナーに参加したり、学生コンテストに応募して受賞したりと、それぞれ多方面で活躍しています。学校側としても、学業とのバランスが取れるよう配慮しながら、いろいろなことへのチャレンジを推奨しています。
スライドで体育祭や文化祭の様子をご覧いただけます→
デジタル化で利用しやすくなった、図書館のリニューアル
2023年に図書館をリニューアルされたそうですが、どのような点が変わったのか教えてください。
図書館のリニューアルは、2026年の100周年プロジェクトの一環で実施しました。建物をキレイにするだけでなく、「いつでもどこでも使える図書館」をコンセプトに機能面の充実を図ったリニューアルです。探究学習で生徒が調べものをする機会が増えたことで、図書館という役割の重要性も増したことが背景にあります。
例えば「web-OPAC」というオンライン蔵書目録検索システムを導入したことで、図書館に行かなくても蔵書を調べられるようになりました。また、新聞3社のデータベースや「ジャパンナレッジSchool」の電子書籍を導入し、デジタル環境も整備しています。「ジャパンナレッジSchool」は辞典・事典の横断検索に加え、新書や古典文学作品が読み放題なので、それらを使って古典の調べ学習を行うなど、教室にいながらにして多様な学びが行えるようにもなりました。
デジタル化だけではなく、紙の書籍の拡充や、図書館の場所自体の充実も進めています。今後は図書館を拡張してオープンスペースをつくることも予定しているため、これから入学される方はさらに広くて新しい図書館で過ごせると思いますよ。
滝中学・滝⾼等学校からのメッセージ
▲今回の取材にご対応いただいた安藤先生
最後に、記事をご覧になって滝中学・滝⾼等学校に興味を持ったお子さん、保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
本校は江南市という都心ではない場所にあり、最寄駅からも徒歩20分と少し離れた位置にあります。そのため通学が大変というイメージを持たれる方も多いのですが、スクールバスの運行や、17時半という早めの最終下刻時刻の設定など、安心して通学いただけるように工夫しています。都心ではないからこそ、のどかな環境で過ごせる魅力もあるのではないでしょうか。
大切なお子様に「滝に入って良かった」と思っていただけるよう我々も全力でサポートしていますし、時代に合わせて施設や設備もアップデートしながら環境を整えています。
滝中学・滝⾼等学校は、「勉強も」「勉強以外のさまざまな活動も」全力で取り組んでくれるお子様に来ていただけると嬉しいですし、我々も応援したいと思っています。
安藤先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
滝中学・滝⾼等学校の生徒・保護者からの口コミ
ここでは、滝中学・滝⾼等学校に通う生徒やその保護者から寄せられた口コミの一部を抜粋して紹介します。
指定文化財になる程の歴史ある校舎で過ごせるのは良い経験になる。新しく綺麗な建物も生まれているので、過ごしやすさもある。
田舎にあるため、比較的治安は良いと思う。駅から遠いことで通学に不安があったが、スクールバスの本数も多く安心して通えている。
難易度の高い中学受験を経て入学しているため、真面目で学習意欲の高い生徒が多い。先生も熱心に指導してくれる。
校則は緩いわけではないが、のびのびとした環境の中で規律の取れた学校生活を送っている。
宿題は多いが、そのぶん家で勉強する習慣が身についている。
歴史と最新設備が共存したキャンパスや治安の良さなど、学校施設や周辺環境への満足の声が多く挙がっています。前向きに学習に取り組む生徒も多く、それを教員が手厚くサポートしてくれる環境があることも口コミから伝わってきました。
滝中学・滝⾼等学校の進学実績
滝中学・滝⾼等学校では土曜講座をはじめ、生徒が自身のキャリアについて考える機会を中学1年生の段階から設けています。教員との面談などを踏まえながらじっくりと自分の将来を考え、自身の意思で進路選択できる環境があるようです。
進学実績を見ると、中部圏の難関校である名古屋大学を中心に、東京大学、京都大学といった国公立大学や、慶應義塾大学、早稲田大学、東京理科大学といった難関私立大学の合格者も多く輩出しています。文系学部のみならず、国公立の医学部医学科、歯学部、薬学部のような理系大学への現役合格者も多数あり、生徒の希望に応じた多様な進路が実現していることが伺えます。
■近年の大学合格者数(滝中学・滝⾼等学校公式サイト)
https://www.taki-hj.ac.jp/college/result.html
滝中学・滝⾼等学校の基本情報
お問い合わせ | <資料請求> https://www.taki-hj.ac.jp/generic/document_ request.html <説明会申し込み> https://www.taki-hj.ac.jp/generic/briefing_session_ form/ |
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住所 | 愛知県江南市東野町米野1番地 |
電話番号 | 0587-56-2127 |
公式URL | https://www.taki-hj.ac.jp/ |