少人数ならではの個別サポートが充実「聖セシリア小学校」の子どもの自己肯定感を育む環境

ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介するこの企画。今回は、神奈川県大和市にある私立・共学の小学校「聖セシリア小学校」にインタビューを行いました。

いずれ大人になる子どもたちが、社会でいきいきと生きていくために、その土台となる自己肯定感の育成に力を入れる同校。少人数の学校ならではのきめ細やかなサポートで、子ども一人ひとりの個性や才能を引き出す教育をしています。

今回は、そんな同校の教育方針や特色あるカリキュラムについて、副校長の久喜先生にお話を伺いました。

家庭のような愛ある環境で人間力を育む「聖セシリア小学校」

聖セシリア小学校副校長の久喜友子先生

▲今回インタビューに応じていただいた副校長の久喜先生

編集部

はじめに、聖セシリア小学校の教育理念について教えてください。

久喜先生

聖セシリア小学校は、2024年で創立95周年を迎えました。カトリックの教えをもとに「信じ、希望し、愛深く」を心の糧とし、「神を信じ、人を愛して、広く社会貢献のできる人」になるための土台を小学校のうちからつくるということが、本校の教育理念です。

そのため、本校では子どもたちに「あなたは大切な人ですよ」ということを伝えることで「自分はかけがえのない存在である」という自己肯定感を育むことを教育の基盤としています。

バトミントンを手に楽しそうな笑顔を浮かべる子どもたち

▲温かい環境で育った児童たちは皆にこやか。その表情からも児童が安心して過ごせていることがよくわかる。

編集部

そのような聖セシリア小学校の教育理念は、どのような部分に反映されていますか?

久喜先生

特別なカリキュラムに反映されているというよりは、学校での日常生活の中で子どもたちが自然に「自分は大切にされている」と感じられる学校です。友だち同士の仲がよいことはもちろん、教師と児童の関係もよいですし、保護者の方も学校と一緒に、子どもたちを育てていこうという姿勢が見られます。

本校には、「セシリアファミリー」という言葉があるのですが、子どもを取り囲むすべての人が家族のように協力し合い、子どもたちが安心して学校生活を過ごせるような環境をつくっています。

家族のように愛されながら小学校での6年間を過ごすことで、子どもたちは卒業しても「自分は大切な存在なんだ」と感じられるようです。卒業後も折に触れて小学校に遊びに来てくれて、そのときの様々な報告をしてくれます。例えば、中学校での定期試験の結果や大学に合格したこと、就職が決まったこと、結婚が決まったことなど、愛情をかけて育てた子どもたちが卒業後も報告に来てくれることは、教師として本当に嬉しく思います。

そしてさらに嬉しいことに、本校の卒業生が親になり、自分の子どもを本校に入学させるというケースもあります。また、卒業後、教師になって本校に戻ってきてくれる子、医師になり校医として帰ってきてくれる子もいます。

まるで港のように、卒業生たちにとって戻りたくなる場所であることが、何より嬉しいですね。

聖セシリア小学校の特色ある教育

活発に授業に参加する聖セシリア小学校の子どもたち

聖セシリア小学校の教育は、3つのコンセプト「表現」「体験」「個を生かす」を軸にしています。ここからは、その3つの教育コンセプトについて詳しくご紹介します。

友だちと協力する授業で、自分の思いを表現できる子に

大きく手を広げ喜びを表現する聖セシリア小学校の子どもたち

編集部

まずは、聖セシリア小学校の教育コンセプトの一つ、「表現」について教えてください。

久喜先生

AIが発達した時代を迎え、人にしかできないことは何かと考えた時、本校では「自分の思いや考えを表現すること」という結論に至りました。

そのために取り入れているのが、本校のコンセプトの一つである「表現」の教育です。表現の教育といっても何か一つの教科で実施しているのではなく、あらゆる授業において表現力を磨く取り組みを取り入れています。

例えば図工では、通常の授業とは別に「共同制作」という授業を設けています。この授業では年間を通して、クラスの友達と協力してひとつの作品を作り上げていきます。できた作品も表現のひとつですが、作品を作り上げていくうえで必要な様々な話し合い(コミュニケーション力)もひとつの表現と考え、大切にしています。また、音楽でも、通常の授業とは別に「合唱」という授業があります。仲間とハーモニーを奏でる表現を通して、喜びや感動を味わいます。

そして、本校の特長的な授業でもある「演劇」という授業では、台本作りから小道具作りや衣装作りを通してコミュニケーション力を育むとともに、その人物になりきって自分とは異なる人物の気持ちを表現することを学びます。

編集部

聖セシリア小学校では英語の授業にも力を入れているそうですね。

久喜先生

本校では1年生から週2時間、4年生以上は週3時間の英語授業があります。指導は全学年イギリス人の専任教諭が担当しています。授業では日本語を一切使わず、英会話を中心に、歌ったり、ゲームをしたりしながら、英語での表現力を身につけています

先ほど紹介した「演劇」の授業も、4年生は「英語劇」を発表します。小学校4年生で英語での演劇というと驚かれるのですが、本校はイギリス人教師が日常生活でも子どもたちと多く関わっていて、休み時間や清掃の時間にも、ともに過ごしています。授業と同じく会話はすべて英語なので、1年生のうちから英語を聞き取る能力が身についています。そのため、特に子どもたちも戸惑うことなく、英語劇に取り組むことができます。

4年生以上は週3時間の英語授業がありますが、そのうち1時間は4年生から6年生をミックスし、習熟度別3クラスで授業を行っています。4〜6年生までが一緒に授業を受けることで、例えば恥ずかしさの出てきた6年生が4年生の堂々と表現する姿に影響されたり、4年生が上級生の英語力の高さに刺激されてさらに前向きに取り組めたりするなど、よい相乗効果も出ています。

聖セシリア小学校のイギリス人ネイティブ教師と子どもたち

▲イギリス人教師と接する機会が多く、ネイティブな英語に触れる環境が多い

本物に触れ、五感を使って学ぶ体験型授業

水遊びを楽しむ聖セシリア小学校の子どもたち

編集部

聖セシリア小学校の教育コンセプト「体験」について教えてください。

久喜先生

本校では「本物に触れる体験を通して、感動し、心に刻む」というコンセプトで、体験を重視した授業を行っています。

例えば理科では教科書は使わずに、実験や観察を中心に授業を行い、社会では校外学習を多く取り入れています。

6年生の理科では消化と吸収の仕組みを学習します。体験を重視する本校では、この単元で「魚の解剖」を行っています。小学校の理科の授業で魚の解剖を行っているところは少ないと思います。またやっているところでも魚は「フナ」を使用しています。ところが「フナ」を解剖してみても胃と腸がはっきりしておらず、しかも胃の中からは何も出てきません。これでは折角、解剖しても感動は薄いですね。では、なぜ「フナ」を使うのでしょう。それは「フナ」は教材屋さんに注文すると持ってきてくれるからです。

本校では、胃と腸がはっきりしている「イナダ」という魚を使います。しかも、先生がわざわざ釣ってきたイナダを使い、解剖を行っています。釣ってきたイナダはイワシを食べていて、解剖すると、高確率で胃の中から少し消化されたイワシが出てくるからです。自分で解剖し、胃の中からイワシが出てくる…もちろん子どもたちは大盛り上がり。そこには「感動」があります。このような授業は心に刻まれ、一生忘れない体験となるでしょう。

雪の上で遊ぶ聖セシリア小学校の子どもたち

▲雪の感触も実際に体験。

一人ひとり「個を生かす」ためのサポートとやりたいことを伸ばせる環境

編集部

聖セシリア小学校の教育コンセプト「個を生かす」とはどのような教育でしょうか?

久喜先生

当たり前ですが、子どもは一人ひとり、個性があり、みんな違います。同じ子どもは二人いません。本校では全教職員がこれをしっかりと理解した上で教育を行っています。

具体的には、公立学校では一クラスの基本が40名ですが、本校では一クラス25〜30名程度と少人数のクラス編成を行っています。また、専科制による一人ひとりを大切にしたきめ細やかな授業などもこの考えに基づいたものです。

ちなみに、担任は基本的には国語と算数しか教えません。理科、社会、図工、音楽、体育、英語、宗教などは、すべて専科の先生、専門の先生が教えています。

その他、高学年になると、理解に差が出やすい算数の授業は習熟度別の2クラスで授業を行っています。これはテストによって振り分けるのではなく、希望制になります。基礎と発展のクラスに分かれますが、どんどん学びたい子どももいれば、ゆっくりじっくり学びたい子どももいるので自分で学び方を選べるようにしています。

編集部

他にも「個を生かす」ための特徴的な取り組みはありますか?

久喜先生

放課後に希望者が参加できる「セシリアジュニアアカデミー」という21の講座を用意しています。内容はピアノやスイミングなどの習い事のようなものから、勉強面だと英検講座や日本語検定講座、入試対策講座などもあります。体操教室やプログラミング講座、バレエ教室が人気です。

これは子どもたちが自分のやりたいことを伸ばせる環境を用意したいという思いで始めたものです。21もの講座がありますが、そのほとんどを本校の教師が希望で教えています。先生たちも本当に大変なのですが、一人ひとりの興味に応えたい、力を伸ばしてあげたいと熱心な先生ばかりで、どの先生も子どもたちのために頑張っています。

最大で1週間に8講座を受講できますが、8講座すべて受講している子どももいます。このように本校には、子どもたちが何かに興味を持ったらそれを伸ばしてあげられる環境がありますよ。

楽器を演奏する聖セシリア小学校の子どもたち

▲放課後に参加できる講座の一つ「吹奏楽部」の一コマ。トランペットやフルートなど、小学生のうちから本格的な楽器に触れられる。

聖セシリア小学校からのメッセージ

聖セシリア小学校の図書室で本やタブレットを手に談笑する子どもたち

編集部

最後に、聖セシリア小学校に興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。

久喜先生

子どもたちはみな、一人ひとり才能を持っています。子どもたちの興味に応えられるような環境もあるので、本校で過ごす6年間でさまざまなことにチャレンジし、どんどん自信をつけていきます。

このような環境ですので、保護者の方からも、「入学前は消極的だったけど、6年間でとても積極的になりました」とご報告いただけることも多いです。

本校の子どもは、物静かな子、活発な子、それぞれ違いますが、共通して言えるのは「人が好きな子が多い」ということです。先日も外部からいらっしゃった方に「こんなにも子どもたちが人懐っこい学校は珍しいですよ」と言われました。

聖セシリア小学校は「人が好き、自分が好き」という心を育てられる学校です。ぜひ一度本校へ見学にいらしてください。

編集部

久喜先生、本日はありがとうございました!

聖セシリア小学校のマナー教室で茶道の作法を学ぶ子どもたち

▲マナー教室もある同校では、まず「マナーは人への思いやり」として言葉使いや人に対するマナーから教えている。

聖セシリア小学校の卒業生・保護者の口コミ

聖セシリア小学校の発表会で演奏する子どもたち

▲発表会では子どもたちが力を合わせて演奏する様子も見られる。

ここでは、聖セシリア小学校の卒業生と保護者の方の感想を掲載いたします。

(卒業生)
聖セシリアの生徒は、皆温かな雰囲気を持っており、いつも笑顔が絶えません。それほど親しくない生徒同士でも、「お互いのことを分かり合えている」と感じていました。

(卒業生)
人生の根幹をなす部分で、聖セシリア小学校では大切なことを教えてもらった気がします。心の面での教育が愛情豊かで、今になって思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。

(保護者)
学習面、生活面の両方において丁寧に指導してくださる良い学校だと思いました。

(保護者)
カトリック校としての心の教育が良いと思いました。心配事があっても親身になって相談を聞いてくださったので、感謝しています。

(保護者)
ひとりひとりの児童を大切に考え、愛を育んでくださるとてもいい学校だと思います。

(保護者)
ガードマンが常駐しており、登下校システムも導入されていて安心です。

先生たちの丁寧な接し方と温かい雰囲気が伝わる感想が多くあがっていました。心の教育に力を入れる同校ならではの、「今の自分の価値観の根幹は聖セシリア小学校で教わったことにある」という声も多いようです。

また、ICカードで登下校時を管理している点や、校舎の前まで車で送迎できるドライブスルーシステムなど、セキュリティ面がしっかりしていることも同校の魅力です。

聖セシリア小学校へのお問い合わせ

聖セシリア小学校の校舎

運営 学校法人大和学園 聖セシリア小学校 
住所 神奈川県大和市南林間3-10-1
電話番号 046-275-3055
公式ページ https://www.st-cecilia-e.ed.jp/

※最新情報は公式ページをご確認ください。