「自立した女性の育成」に向けてセントヨゼフ女子学園高等学校・中学校が力を注ぐ教育とは|中高一貫校

この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、三重県津市にある「セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校」をご紹介します。

私立の中高一貫校である同校は、カトリックの教えに基づいた教育活動を実施しているミッションスクールです。県内唯一の女子校であり、社会で活躍する自立した女性の育成に向けて多彩なキャリア教育を展開しています。

特に魅力的なのが英語教育で、ネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業のほか、ニュージーランド・オーストラリア・カナダへの留学プログラムがあるなど国際交流の機会も充実。また、近年は「宇宙教育」をはじめとする理数教育に力を入れていることも大きな特徴です。

今回、ぽてんではセントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の国際教育センター長であるホリングハースト先生・学校広報センター長の小菅先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラムの特徴、校風などを詳しく教えていただきました!

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の教育目標

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のクリスマスページェントの様子

▲イエス様の誕生を劇で再現する伝統行事「クリスマスページェント」

編集部

まず、御校の建学の精神や教育目標についてご紹介ください。

小菅先生

本校の母体はアメリカの修道会であり、1956年に来日した4名のシスターによって開設された学校です。高校が開校となった2年後に中学校も併設されたのですが、外国人のシスターが運営していること、さらには女子の教育に特化していることが地方の学校としては珍しく、大きな注目を集めたそうです。

その頃からの建学の精神が『愛と奉仕の実践』であり、これにはカトリックの教えや「人々を愛し、人々の幸福のために貢献したい」という創立者・シスターアーミナの精神が表現されています。また、『社会に貢献できる自立した女性の育成』を教育目標として掲げ、世の中の人のために働ける女性を育てることを目指して“使える英語力”を養成することに尽力しています。

具体的には国内でボランティア活動に励んだり、海外の同世代の子供たちとオンラインで繋がって平和教育について考えたりといった取り組みによって建学の精神や教育目標の達成を目指している形です。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の魅力あふれる英語教育

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校では創立以来「英語教育」に力を注ぎ、ツールとして使える英語力を育成しています。具体的にどのような教育活動を実践しているのか詳しく教えていただきました。

英語の授業はオールイングリッシュ。普段の生活でも英語を話す機会が豊富

編集部

英語の授業の特徴を教えていただけますか?

ホリングハースト先生

本校には4名のネイティブ教員が在籍しており、英語の授業は基本的にオールイングリッシュです。ときどき日本語で指導を行う場合もありますが、ほとんどは英語のみで進めています。

また、ICTを活用した多読や多聴、英会話レッスン、英作文添削により、効率的な英語の習得を目指していることも特徴です。

編集部

普段の学校生活でも、生徒さんが英語を使う機会は多いのでしょうか?

小菅先生

そうですね。ネイティブ教員が日本人教員とともに担任を行うクラスもあるなど身近な存在ですので、授業以外でも英語を聞いたり、話したりする機会がたくさんあります。英語を話すことに恥ずかしさを感じる生徒もいますので、英語を使う機会を多く設けることによって、そういった壁をなるべく低くできたらと考えています。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のオープンスペースで英字新聞を読む生徒たち

▲オープンスペースには常時2種類の英字新聞が置かれており、自由に閲覧可能となっています

「ターム留学」などの海外研修を通じて英語力・行動力の向上を目指す

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のターム留学の様子

編集部

御校では、英語力の育成に向けて国際交流にも尽力されているそうですね。

ホリングハースト先生

はい。本校では海外研修を推進しており、取り組みのひとつとして2022年度から「ターム留学」を提供しています。対象は中学3年生から高校2年生で、これまでに38名の生徒がニュージーランド・オーストラリア・カナダでのターム留学に取り組みました。

留学に行く前に生徒たちに話を聞くと「英語力向上のために取り組みたい」といった声が多いのですが、帰国後に再び聞いてみると「英語力はもちろんだけど、滞在中のちょっとしたトラブルなどを自分の力で解決する力が身についた」と話してくれる生徒が多いです。ターム留学は、まさにそういった“英語をツールとした行動力”を育成できる大きなチャンスだと考えています。

ちなみに、留学した生徒には現地で経験したことや成果について発表してもらったり、ポスターを作ってもらったりして自身の体験をほかの生徒たちに共有してもらっています。また、参加した生徒の多くが英検などの目標を掲げて帰ってきて、より一層学習に励んでいる印象です。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のカナダ語学研修の様子

▲カナダ語学研修では、カナダ人高校生の「バディ」から生きた英語を学びます

小菅先生

私もターム留学に行った生徒から感想を聞く機会がありますが、消極的なタイプの生徒が「積極的に話せるようになった」と話してくれたときはとても嬉しかったです。そもそも、そういったタイプの生徒が留学への参加を決断したこと自体が素晴らしいのですが、全体的に見ても以前に比べて普段の会話の量が増え、コミュニケーション能力が高まって帰ってくる生徒が多いと感じています。

編集部

ターム留学には、どのような生徒が参加できるのでしょうか?

ホリングハースト先生

英語の成績だけでなく全体の成績や学校での生活態度を考慮し、参加生徒を厳選しています。たとえ英語の成績が良くても、学校での様子を見て難しいと感じた生徒には「また来年がんばろうね」と指導をします。

また、現地までは団体で行動するものの現地に着いたら個人行動となり、各自がホームステイ先で生活することになりますので、そういった環境で2か月~3か月間ほど生活できる生徒にターム留学を推奨しております。

定期的な留学生の受け入れで国際交流が身近に

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校での姉妹校生との交流

編集部

国際交流の一環として、ほかに取り組まれているプログラムがあればご紹介ください。

ホリングハースト先生

アメリカとフィリピンの姉妹校から、定期的に短期留学生を受け入れています。2024年度はフィリピンの姉妹校から10名の生徒と2名の教員を招き、生徒たちには英語や他の教科の授業に入ってもらったり、在校生と一緒に調理実習や書道などに取り組んで日本の文化を体験してもらったりしました。

さまざまな授業を通して、留学生との交流を活発に行うことができたと感じています。また、来日された先生も生徒も本校生徒のご自宅でホームステイを行うため、ホームステイの受け入れ先においてはより密な交流を楽しめたのではないかと思います。

編集部

生徒の皆さんは留学生に対してどのように接していらっしゃいますか?

ホリングハースト先生

留学生たちは自分たちと同年齢ということもあり、気さくに話しをする生徒が多いです。英語の授業であまり発言しない生徒が堂々と話しているシーンを見かけることも多く、驚きと同時に大変嬉しく感じています。

個人で英語関連のプログラムにチャレンジする生徒もたくさん

編集部

留学制度のほかに、御校で培った英語スキルを活かせる環境はありますか?

小菅先生

個人で積極的に他の団体と関わり、英語で発表する機会を得ている生徒がたくさんみられます。

たとえば、例年夏に「ひろしまジュニア国際フォーラム」が実施され、そこでは国内外の高校生が国際平和について英語で討論したり、広島の平和について宣言を作ったりするのですが、近年は本校の生徒たちが三重県の代表として参加しています。また、過去には「G7伊勢志摩サミット」に参加したり、「G7交通大臣会合」で三重県の産業を英語でアピールするボランティアを行った生徒もおりました。

こうした英語による発信を自主的に行っていることから、英語を話したり、海外へ行ったりすることに抵抗がない生徒が多いです。卒業後、ツアーなどに頼らず自力で海外へ行く生徒も多いですよ。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校では理数教育にも尽力

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校における理科の授業の様子

編集部

近年、御校では理数教育も強化されていると伺いました。

小菅先生

そうなんです。近年の卒業生の大学進学状況を見ると、7~8割が文系の学部へ、2~3割が理系の学部へ進学しており、理系を志す生徒が一定数いることがうかがえます。そのなかで医者を目指す生徒が増えてきており、そういった期待をお持ちの保護者も増えてまいりました。

その他にも薬学や看護、保健などの医療系学部への進学を希望する生徒が多くなっており、原田校長を中心として「理数系に強い女子校を目指そう」といった方針が固まり、理数教育に取り組み始めた次第です。

具体的には、「宇宙教育」にも力を注ぎ、宇宙規模で世界とつながる取り組みを実施していきたいと考えています。今,世界的にも宇宙開発は急成長を遂げている分野ですので、宇宙も視野に入れた教育活動を行うことは非常に有意義であると思っています。

ちなみに私は理科の教員ですので、本校から宇宙飛行士が出てくれると非常に嬉しいです(笑)。ただ、医者など他の職業になってから宇宙飛行士を目指すこともできますし、宇宙産業の市場規模はどんどん拡大していくことが予想されるため、宇宙飛行士になる・ならないにとらわれずに宇宙教育を含めた理数教育を展開していこうと考えています。

編集部

理数教育を進めていくにあたり、工夫されていることはありますか?

小菅先生

ほかの学校でも行っていることですが、1人1台iPadを持たせて授業で使ったり、自分で調べる際に使用したりと活用しています。教員とつながることもでき、生徒から「数学が苦手だからもっと教えてほしい」「もっとレベルの高いことをやりたい」といった意見が届くこともありますよ。

実はそういった生徒たちの声に応えて、2023年の夏に「がんばりmathの会」を行いました。がんばり「ます」は数学の「math」で、夏休みなど長期休みの2日間、数学をがんばりたい生徒たちが数学の先生たちと1日中数学と向き合うプログラムです

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のがんばりmathの会の様子

▲「がんばりmathの会」には基礎を学べるコースと論理的思考力の向上を目指すコースがあります

小菅先生

内容的には少し高度ではあるものの、そういった仕組みを中学校のうちから学ぶことが重要であると考えています。参加は任意ですが、生徒たちは数式が書かれたデザインのチラシを自分たちで作成するなど主体的に盛り上げてくれています。

また、数学と理科のコラボレーションの特別講座を行うこともあり数学で習ったことを理科でどのように活用するかを学ぶ企画を考えています。

その他にも、三重県の「みえ・航空宇宙産業推進協会」と連携して宇宙関連企業とコラボする企画も予定しており、本校の理数教育は今後さらに有意義なものになっていくと思いますよ。将来的には文系よりも理系のほうが進学者が多くなるくらいに、理数系の取り組みを充実させていきたいです。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のスクールライフ

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校におけるバスケ部練習風景

編集部

御校の部活動について、特徴を教えてください。

小菅先生

文化部としてはギターマンドリン部や箏(こと)部、ハンドベル部など珍しい部もあります。なるべく多くの生徒たちに部活動の楽しさを知ってもらえるよう、興味を引けるような内容の部を設けています。

陸上やバスケ、テニスといったスポーツ系の部もありますが、強豪校というわけではなく、緩めに楽しく活動している形です。卒業してからも生涯スポーツとして続けてもらえたらいいなと思います。

ちなみに、どの部活も中学生と高校生が一緒に活動しており、そういった縦の繋がりをつくれることも参加する魅力だと考えています。

ホリングハースト先生

私は2024度から初めて陸上部の顧問になりました。今まではGCU部(Global Communication Union部)という英語クラブの顧問を担当しており、市の教育委員会と英語教育の向上についての提携を結んで活動していました。

GCU部員は年に何回か近くの小学校に行って出前授業をしており、高学年、主に6年生へ英語を教えたり、英語関連の活動を一緒に行ったりしています。この部が設立された当初は教師が授業計画を作っていましたが、近年は生徒たちが全て考えていますし、出前授業のときには教師は後ろに立って見守るだけでほとんど何も言いません。

編集部

部活動でも生徒さんたちは主体的に取り組んでいるのですね。行事等も同様でしょうか?

小菅先生

そうですね。体育祭やヨゼフ祭といったイベントごとに実行委員会が設けられ、生徒が主体となってプログラムを考えています。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校からのメッセージ

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校のホリングハースト先生と小菅先生

▲インタビュー取材に応じてくださったホリングハースト先生(左)と小菅先生(右)

編集部

最後に、セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。

小菅先生

三重県には女子校が本校1校しかなく、保護者の方も共学の学校を出られている方がほとんどだと思います。女子校がどういう雰囲気なのか、どのような生徒たちがどういった学校生活を送っているのかぜひ見に来ていただき、女子校ならではの良さを肌で感じていただけたら嬉しいです。

ホリングハースト先生

これからの時代は女性の活躍が必要不可欠であり、そのためには英語力や理数教育の強化が求められると考えています。将来的に日本社会をリードしていく生徒を育てる環境が本校にはございますので、ぜひ一度お越しになり、魅力をご自身の目で確認してみてください。

編集部

工夫を凝らした教育活動を行っている御校なら、まさに社会に貢献できる自立した女性へ着実に近づいていけそうだと感じました。たくさんのお話をありがとうございました!

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の空手の授業

▲同校では空手の授業も実施。自立した女性の育成のため、礼節も学ぶ

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の進学実績

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の卒業生は例年、難関国公立大学や私立大学などへ多数の合格者を輩出しています。学部としては文系が多いですが、医学部医学科をはじめ、看護系や理工系、生命化学系といった理系学部への進学率も高まってきています。

なお、同校は現在5つの大学と高大連携協定を締結しており、連携協定校入試での進学や上智大学や南山大学へのカトリック校推薦があるほか、1学年約70名に対して200枠もの指定校推薦を有していることも大きな特徴です。

公式:セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校「キャリア教育・合格実績」

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の卒業生・在校生の口コミ

三重県津市にある「セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校」の校名が書かれた石碑

先生方がとても親身に指導してくれます。

少人数制クラスなので、わからないことがあったときに質問がしやすいです。

英語教育が充実していて、ネイティブの先生だけでなく日本人の先生の授業も質が高いです。

宗教の授業があり、人間として何が大切かを学ばせてくれます。

制服がかわいいです!スカートかズボンか選べるし、ネクタイ・リボンも選べて楽しいです。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校の卒業生・在校生からは、先生による手厚いサポート体制や、魅力的な学習環境などに高い評価が集まっています。学校の雰囲気に関しても「少人数制でアットホーム」「中・高の垣根がなくみんな仲良し」といったポジティブな意見が多く挙がっていました。

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校へのお問い合わせ

運営 セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校
住所 三重県津市半田1330
電話番号 059-227-6465
問い合わせ先 ▼問い合わせフォーム
https://business.form-mailer.jp/lp/dd000c2892242
公式ページ https://sjjg.ac.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください