「芝中学校・高等学校」の自由な校風で育つ主体性と協調性|中高一貫校

この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、東京都港区にある「芝中学校・高等学校」をご紹介します。同校は、東京タワーからほど近いロケーションにある私立の男子校です。増上寺を母体とした学校法人芝学園が運営しており、高等学校では生徒を募集しない完全中高一貫校となっています。

自由でおおらかな校風が特徴的で、生徒主体で行われる学園祭は生徒一人ひとりの情熱や個性が詰まった名物イベント。生徒たちはそういった学校行事を全力で楽しむ一方で勉強への熱意も高く、先生の熱心な学習指導・進路指導のもとで例年高い進学実績を上げている点も注目したいポイントです。

今回、ぽてんでは芝中学校・高等学校の入試・広報部にて部長を務める池之上先生にインタビュー取材を行い、教育方針やカリキュラム、イベントの特徴について詳しくお話を伺いました!

「遵法自治」と「共生」の基盤作りに尽力する芝中学校・高等学校

遵法自治の展示

▲「遵法自治」は、芝中学校・高等学校の第3代校長・渡邊海旭氏が唱えた校訓です

編集部

まずは、芝中学校・高等学校が掲げている教育理念について教えてください。

池之上先生

本校では、校訓の「遵法自治(じゅんぽうじち)」と仏教精神の「共生(ともいき)」のこころを大切にした教育指導を行っております。

「遵法自治」とは法に従いながら自主・自立の精神で自己を治めることで、「共生」とは常に謙虚に相手の意見や行動を受け止め尊重することが大切であるという浄土宗の宗祖・法然上人(ほうねんしょうにん)が唱導された思想です。

浄土宗の宗祖・法然上人の坐像

▲浄土宗の宗祖・法然上人

実は本校は増上寺の僧侶養成機関としてスタートした浄土宗の学校で、母体としては江戸時代初頭から存在し、明治39年に芝中学校となってからは120年近くの歴史があります。その歩みのなかで、校訓「遵法自治」と、学校理念でもある「共生」の2つの支柱をとても大切にしています。

これらを卒業までにすべて体得することは難しいかもしれませんが、自らの人生を見つめ、今後の糧となる土台や基盤を、芝中学校・高等学校で過ごす6年間で作ってほしいと願っています。

“芝温泉”とも称されるのびやかな校風のなかにも「メリハリ」あり

芝中学校・高等学校の晴れの日の校庭と雨天時の校庭

▲水はけのよい校庭。雨が降っても翌日には使用できる

編集部

自主性を重んじる芝中学校・高等学校は、“芝温泉”とも称されるのびやかな校風であることでも知られていますね。

池之上先生

そうですね。基本的に生徒の意思を尊重する自由な校風ですので、のびのびと穏やかに過ごしている生徒が多いですね。元々は「進学校なのに雰囲気は緩い」という校風を揶揄されて名付けられたとは思うのですが、生徒たちはそこに居心地の良さを感じています。

ただ、締めるべきところはしっかりと締めるというか、メリハリのある生活態度が6年間のうちに自然と身に付いている印象です。

入学当初は先生への言葉遣いすらままならなかった生徒が先輩の背中を見て少しずつ変わっていき、いつしか模範を示しているといった嬉しい変化がみられることは、やはり中高一貫校だからこその魅力だと思います。

芝中学校・高等学校の図書室

▲有名な卒業生もたくさん。図書室にはOBの関連作品もまとめて収められています

編集部

そのような自由な校風だからこそ、個性を伸ばして各界で活躍されているOBもいらっしゃるのですよね。

池之上先生

はい。日本のゴーギャンとも呼ばれる田中一村さん、作家の北方謙三さん、カメラマンの篠山紀信さんなどが本校の卒業生です。

図書室にはOBの本がまとめられているコーナーがあるので、生徒たちもそれを読んで、偉大な先輩に負けないよう日々頑張ってくれています。

芝中学校・高等学校ならではの仏教精神を活かした人間教育

芝中学校・高等学校の大宗祖日の様子

浄土宗の学校である芝中学校・高等学校においては、多彩な宗教行事を通して生徒の「心の育成」に尽力しています。具体的にどのような行事が行われているのか教えていただきました。

年3回の宗教行事を通して自己を見つめ、人との繋がりの大切さを学ぶ

芝中学校・高等学校の池之上先生

編集部

芝中学校・高等学校の特色のひとつである、宗教行事についてご紹介いただけますか?

池之上先生

本校の宗教行事は年に3回あります。

入学してすぐの4月に行われるのが浄土宗の宗祖・法然上人の忌日法要である「御忌参拝(ぎょきさんぱい)」で、全校生徒が増上寺を参拝してお坊さんから“生きる姿勢”を学びます。なお、その際に中学1年生は特別に雅楽奉納を鑑賞し、増上寺の仏教文化に触れる機会を作っています。

また、法然上人の命日にあたる1月25日の「大宗祖日(だいしゅうそび)」には全学年が講堂に集まって音楽法要を行い、法然上人およびその年に亡くなった本校の関係者を偲びます。

行事後には卒業生による講演会を開いており、著名な先輩方のお話を聞ける大変貴重な機会となっています。昨年は、俳優の矢柴俊博さんに講演してもらいました。

芝中学校・高等学校の大宗祖日の様子

▲「大宗祖日」は周囲の恩恵に気づき、感謝する大切な行事です

さらに法然上人の月命日に各学年が年に1回ずつ増上寺に参拝して法話を聞く「宗祖日(しゅうそび)」も大切な行事です。こうした年3回の宗教行事を通して、生徒たちは本校の人間教育の基盤である「遵法自治」と「共生」についての理解を深めていきます。

ちなみに、仏教の学校らしい行事は年3回の宗教行事や、浄土宗総本山の知恩院を訪れる中学3年生の修学旅行くらいで、普段の学校生活において宗教色を感じることはそう多くありません。仏教の教えに基づいた教育方針のもと、生徒は6年間のびのびと過ごし、豊かな人間性を育みます。

校外学習では豊かな人間性・社会性を養える

芝中学校の校外学習風景

▲中学校における校外学習の様子。この日は私服で出かけます

編集部

校外学習にも芝中学校・高等学校ならではの魅力があるそうですね。

池之上先生

本校では中学3年と高校2年での修学旅行の他にも、さまざまな場所で校外学習を行います。

たとえば2023年度の中学1年生は、夏に増上寺を訪問して8:00~16:00までお坊さん体験をしました。写経をしたり、ひたすら木魚をたたきながら南無阿弥陀仏と唱えたり、精進料理を食べたり。また、「生きているだけでありがたい」「今いる仲間を大事にしよう」といったありがたい法話も聞き、生徒たちは大変有意義で貴重な時間を過ごすことができました。

芝中学校の増上寺での研修

▲お坊さんの修行を体験し、自分・他者との向き合い方や“生きる”意義を学びます

そうした校外学習を通じて、6年間を一緒に過ごす仲間との絆を深めると同時に、豊かな人間性・社会性を養っていくことが大きな目的です。

芝中学校・高等学校の個性あふれる学習教育

芝中学校・高等学校の教室

続いては、芝中学校・高等学校における学習教育の特色についてお話を伺っていきます。

音楽・美術・家庭も含めたすべての教科が“主要教科”

編集部

芝中学校・高等学校では、どのような教育方針のもとで学習指導を行っていらっしゃいますか?

池之上先生

本校は進学校ではありますが、「○○大学に○名合格者を出そう」といったスローガンを掲げているわけではなく、生徒たちが大人になった時に豊かな人生を送るための基盤作りを目標としています。そのため、“音楽・美術・家庭も含めたすべての教科が主要教科”という共通認識のもとで授業を行い、創造力や豊かな心を育む教育を目指しているんです。

たとえば音楽ではバイオリン演奏にチャレンジしたり、家庭科では自分で作ったエプロンを着て調理実習を行ったりします。

芝中学校・高等学校のバスケットボール部

▲運動部と文化部を兼部している生徒もいます

「探究」の授業で深く追求することの楽しさ・大切さを学ぶ

芝中学校・高等学校での探究発表

編集部

芝中学校・高等学校では、「探究」の時間を学びの楽しさ・奥深さを伝える授業として位置づけているようですね。

池之上先生

探究の時間では、人間教育を重視した学びを提供しています。中学1年ではまず「自分を知る」ところからスタートし、その後は他者との関わり方について考えたり、企業と連携して本格的なプロジェクトに取り組んだりと少しずつフィールドを広げていきます。

企業との連携では、「働くこと」への理解を深めたり、本校のすぐそばにある東京タワーが直面する課題の解決に挑んだりしました。高校2年次には探究の総まとめとして1万文字を基準とした卒業論文を書き、卒業研究発表を行ってこれまでの努力をたたえ合っています。

視野を広げ、深く追求することの楽しさ・大切さを学ぶ取り組みとして、これからも本校の「探究の時間」を充実させていきたいと考えています。

長期休暇中に任意で受講可能!知的好奇心が刺激される「芝漬ゼミ」

芝中学校・高等学校の芝漬ゼミ

▲長期休暇中に開催される芝漬ゼミでは、多種多様なテーマから興味のある講座を選択できる

編集部

課外講座の「芝漬ゼミ」も芝中学校・高等学校の特色の1つだと思いますが、こちらはどのような内容の講座なのでしょうか?

池之上先生

芝漬ゼミは、夏休みや冬休みといった長期休暇中に有志の教員が開講している講座です。それぞれ担当教科にとどまらない得意分野をテーマとしており、中学・高校や学年を問わずに生徒を募集しています。

2023年度の芝漬ゼミ講座内容

▲2023年度の芝漬ゼミ講座内容

池之上先生

芝漬ゼミの名には“中高6年間、手塩にかけてじっくり漬け込みながら育てる”といった意味合いがあり、そこには教員たちの「評価に関係ないところで、ワクワク感を持って学びに取り組んでほしい」との願いが込められています。

テーマは本当にいろいろで、ドローンに関する講座や、慈恵医科大学と連携した白血病医療についてなど、最先端の分野も多いです。中には九州大学や北海道大学などの遠方に現地集合して受講するものもあります。

また、民間の講座と違って教員が主体となって企画・運営しているので、料金も非常に安価です。そういった努力もあり、例年たくさんの生徒たちが意欲的に取り組んでいます。

主体性・協調性に満ちあふれる芝中学校・高等学校のイベント

芝中学校・高等学校の合唱コンクール

芝中学校・高等学校では、学校行事においても「遵法自治」と「共生」といった基盤がしっかりと形成されています。ここでは、生徒から特に人気のイベントである「学園祭」と「運動会」に焦点を当て、特徴や雰囲気を教えていただきました。

実行委員は300人前後!生徒主体で行われる芝名物の「学園祭」

芝中学校・高等学校の学園祭の様子

編集部

芝中学校・高等学校の学園祭は、生徒主体で行われるそうですね。

池之上先生

当校の学園祭においては例年中学3年から高校2年までの生徒を対象に実行委員を募集するのですが、毎回300人前後の応募があります。テーマ・イベントの企画・参加団体集めといった事前準備はもちろん、当日の進行や誘導、後片付けまで、すべて生徒が主体で行います。

芝中学校・高等学校の学園祭パンフレットの表紙

▲ハイクオリティな仕上がりのパンフレットも生徒たちの手作り

芝中学校・高等学校の学園祭パンフレットの中身

▲校長先生もノリノリです!

芝中学校・高等学校の学園祭の目次

▲過去には「芝温泉」をテーマにした学園祭も

生徒たちは先輩の輝かしい姿を見て、「僕たちの代はこうしよう」とあえて違った形で創意工夫している様子がうかがえます。たとえば、学園祭のためにオリジナルキャラクターの「しばまる・しばたろう」を作った代があり、キーホルダーやクッキーも販売して大変盛り上がったのですが、その次の年はそれを受け継ぐわけではなく「別の形で盛り上げよう」と新たな案を練っていました。

先輩を見て「いいな、真似しよう」ではなく、「超えていこう」といったチャレンジングな生徒が多いですね。何でも自由にできる雰囲気があるからこそ積極的にチャレンジできるのだと思います。

会場探しや競技の発案など、生徒のセンスが光る「運動会」

芝中学校・高等学校の運動会の様子その1

編集部

芝中学校・高等学校では、運動会も生徒主体で行われる一大イベントだと伺いました。

池之上先生

2023年度の運動会は、東京オリンピックの会場にもなった「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で実施しました。駅から少し離れているところにあるので、他の生徒や保護者が迷わないようにと行き方を動画撮影してYouTubeにアップするなど、多彩なアイデアも交えて取り組んでくれたことが印象的でした。

競技も生徒たちがアイデアを出し合って決めていくのですが、中学1年生と競争する「ラン・シバンゲリオン」や、ムカデ競争「おっせーわ」といったユニークなネーミングも生徒自身が発案しており、個人的にとても楽しみにしている部分です。

芝中学校・高等学校の運動会の様子その2

▲当日は生徒たちのテンションも最高潮に!

教員は必要があればもちろんサポートしますが、基本的には見守っているスタンスですね。生徒の発案に関しては断らずに二つ返事でOKしており、まさに生徒主体で自由にのびのびと行事を引っ張ってくれています。

芝中学校・高等学校からご家族・お子様へのメッセージ

芝中学校・高等学校の池之上先生その2

編集部

芝中学校・高等学校に興味をお持ちのご家族やお子様へメッセージをお願いします。

池之上先生

生徒たちは本校の2大柱である「遵法自治」と「共生」といった教育理念のもと、身近な家族をしっかりと守れるようなたくましくも優しい男子に育ってくれています。また、生徒たちは本当に仲が良く、6年間で一生涯の仲間がたくさんできると思いますよ。

そういった教育環境や校風に魅力を感じる方は、ぜひ一度見学にいらしてみてください。学校説明会では講堂にて校長のユニークなお話のあと、校舎内を自由に見学していただけます。(学校説明会の日程詳細はこちら

芝中学校・高等学校の野球部の室内練習

▲学校説明会は放課後に行われることが多く、部活動の雰囲気も体感できます

また、9月に開催される学園祭も本校の魅力に触れていただけるおすすめのイベントで、昨年は2日間で約17,000人が来場されました。生徒たちが自主的に頑張っている姿・思い切り楽しんでいる姿をご覧いただくと、お子様が本校に入った後のイメージがしやすくなると思いますよ。

実際に本校の学園祭を気に入られる保護者様が多いほか、過去のアンケートでは「学園祭の帰りに息子が『この学校に行きたい!』と意志を固めました」といったお声も多数いただいております。まずはぜひ、本校の雰囲気を肌で感じていただけたら嬉しいです。

編集部

本日はありがとうございました。

芝中学校・高等学校の在校生・卒業生の声

芝中学校・高等学校の教室コンサート

ここでは、芝中学校・高等学校の在校生・卒業生の声をいくつかご紹介します。

  • のびのびとした雰囲気が自分に合っていて、毎日がとても楽しいです。
  • 熱心に指導してくれる先生が多く、授業もわかりやすくて充実しています。
  • 同じような性格の子たちが集まっているので、生徒同士の仲がとても良いです。
  • 自立を促す教育方針ですが、必要な時にすぐ助け舟を出してくれるので安心感があります。
  • 進路指導を丁寧に行ってくださり、迷いなく大学受験に臨めたことに感謝しています。

学校の雰囲気や先生・生徒の関係性、教育体制など、あらゆる点において高評価の口コミが多く挙がっています。保護者からも「安心して任せられる学校」といった意見が集まっており、芝中学校・高等学校の人気ぶりがうかがえました。

芝中学校・高等学校の進学実績

芝中学校・高等学校の外観

芝中学校・高等学校は難関大学への進学率が非常に高く、2024年における国公立大学への進学実績としては東大へ18名、京大へ4名、一橋大学へ5名といった結果が出ています。また、早稲田大学へ98名、慶應義塾大学へ85名など有名私立大学への合格者も多いほか、日本医科大学や東京医科歯科大学といった医学部医学科への合格者も62名みられました。

このような優れた進路実績を誇る芝中学校・高等学校では、中学1年から進路指導がスタートするなど高校卒業後の進学に対して早い段階から意識付けを行っています。また、学習においては高校2年から文系・理系に分かれて指導するスタイルで、高校2年までに高校課程をほぼ終了するカリキュラムとなっています。

そういった手厚いサポート体制や仲間同士で高め合える環境が根付く芝中学校・高等学校なら、将来何をしたいのか決まっていない生徒でも自然と「自分らしい進路」が見えてくることでしょう。

芝中学校・高等学校の自習室

▲自習室には先生方から生徒へのエールが詰まった巨大なだるまがあり、頑張りを後押ししてくれます

公式:芝中学校・高等学校「進学実績」

お問い合わせ

学校法人芝学園の石のモニュメント

問い合わせ先 学校法人 芝学園
住所 〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-37
電話番号 03-3431-2629(代表)
公式サイト https://www.shiba.ac.jp/