白梅学園清修中高一貫部が実施する、「自立した女性」を育むグローバル教育とは|中高一貫校

特色ある教育や校風で注目を浴びる学校を紹介する本企画。今回は東京都小平市にある中高一貫校の私立女子校「白梅学園清修中高一貫部」を紹介します。

同校は、“ヒューマニズムの精神”をベースに自立した女性を育成する教育プログラムを展開しています。ネイティブ教員との関わりを重視した能動的な英語学習や、電子ボードを活用した分かりやすい授業、大学進学やその先の就職など将来を想定した学びがあるのが特徴です。

今回は、学校長の南先生と広報部長を務める中澤先生にインタビューし、力を入れているグローバル教育や特色ある放課後課外活動についてなど、学校の魅力を詳しく伺いました。

白梅学園清修中高一貫部の“ヒューマニズムの精神”を土台とした教育

白梅学園清修中高一貫部の校舎

編集部

まずは白梅学園清修中高一貫部が掲げる建学の精神や教育理念をお聞かせください。

南校長

本校が重きを置いているのは、人を尊重し大切にする“ヒューマニズムの精神”です。これは、白梅学園全体の建学の精神でもあります。

現代は情報化社会で、ICTの活用が当たり前になりつつあります。しかし、いくら情報化・ICT化が進んでも、交渉やプレゼンテーションなどにおいて、最終的には人と人が物事を決定していきます。本質的な面から考えると、行き着く先は、やはり“人の魅力”と考えます。

人の魅力は、相手の話を聞いたうえで自分の話を根拠に基づいて説明していく力、少数意見を拾い上げながら多くの意見を良い場所に着地させる力などであり、それは言動に表れます。このような力を持った人材がこれからの時代、より求められるのではないでしょうか。人としての魅力を磨くことが、まさに本校が大切にしているヒューマニズムの精神です。

編集部

南校長は2024年度から白梅学園清修中高一貫部において学校長を担われているそうですね。外部から来られた視点でご覧になって、やはり生徒さんにこうした精神が浸透しているように感じますか?

南校長

はい。本校は、ヒューマニズムの精神をよく理解して、人を尊重し優しく接することができる生徒が多いと感じています。周囲や相手のことをしっかり見て、接する際は気を使い、適切な距離感を保てる、とても大人に近い生徒たちです。こうした校風や生徒の強み、これまでの学園の取り組みを活かし、より良い結果を出せるよう、教育プログラムや体制を再構築しています。

“自立した女性”を目指すためのグローバル教育

白梅学園清修中高一貫部のイングリッシュキャンプの様子

▲中学校1年生の行事「イングリッシュキャンプ」ではネイティブの先生と密な時間を過ごせる

白梅学園清修中高一貫部のグローバル教育は、自立した女性を育成するため、6年間の学習のなかでさまざまな教育プログラムを組み合わせ、体系立てて実施されています。グローバル教育の方針や、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションの機会に溢れた授業や独自のイベントを紹介します。

「英語教育」「探究学習」「キャリア教育」の3本柱で教育を展開

編集部

白梅学園清修中高一貫部ではグローバル教育をどのように位置づけ、どのような授業を進行していますか?

南校長

本校ではグローバル教育をとても大切にしており、グローバル教育を通して自立した女性の育成を目指しています。世界に通用する「英語教育」、SDGsを中心とした「探究学習」、自己実現のための「キャリア教育」を3本柱とし、さらにこれらがひとつのベクトルとなるようにカリキュラムを再構築しています。

編集部

3本の柱のひとつ、英語教育はどのように進めていますか?

南校長

本校にはネイティブ教員が5人おり、週7時間のうち5時間はネイティブ教員による授業で行っています。ネイティブ中心に円滑な授業を進めるために、中学1年生では5月の連休前にイングリッシュキャンプを実施。ネイティブ教員と1泊2日で外部施設に宿泊し、親睦を深めて話しやすい関係を作ります。

授業以外に、趣味や好きなものなど会話のテーマが記載された“ミッションカード”をもとに、積極的にネイティブ教員と話すような取り組みもしていますよ。英検にも力を入れており、夏休みには級別の講習会を開催し、それぞれの目標達成に向けサポートしています。

学年全員での海外語学研修の実施も本校ならではです。中学3年生時に1回目の海外語学研修に行き、世界的なものの見方や考え方を学び、視野を広げます。高校2年生時には2回目の海外語学研修を行い、海外の学生とのディスカッションを通して“使える英語”を身に付け、大学受験に臨みます。

編集部

3本の柱のなかの「探究学習」はどのようにグローバル教育と結び付けているのでしょうか?

南校長

本校では、高校1年生時に探究学習として5,000字の論文を書きます。生徒それぞれが興味や関心がある分野、将来目指す分野について調べ、データに基づいて研究を進めて自らの答えを導き出してまとめる、といった学習です。大学のゼミのように生徒2~3人に教員が1人つき、生徒自身がテーマを決め研究を進めていきます。

白梅学園清修中高一貫部の探究学習の論文集

▲探究学習の成果を集結させた論文集

南校長

高校2年生時にはさらにステップアップし、英語でこの5,000字論文の要約版を作ります。何に疑問を抱き、どのようなテーマを選定したのか、どんな研究方法でどのような結果が得られたか、さらに今後の展望をまとめ、A4用紙2枚分ほどのサマリーとします。

この英語サマリーを持ち、先ほど紹介した2回目の海外語学研修にて英語で「日本でこういった勉強をしている」と自分の言葉で紹介し、ディスカッションをします。この経験は英語力を磨くにあたって、大いにプラスとなります。

編集部

こうした学び・経験が3本の柱のなかの「キャリア教育」にも結びついていくのでしょうか。

南校長

高校時代に疑問を持ったこと、興味を抱いたことが、将来の自分像を描くときに鍵となり、大学選びに繋がると考えます。“英語”という大きな力を手にしたうえで、研究したい分野、追求したい分野で大学を選んでほしい。さらにそこから広い視野を持ち将来の仕事を見つけてほしいですね。

今は大学入試では自己PRの時間があるので、そこで堂々と白梅学園清修中高一貫部で経験してきたことを話してもらいたいと思います。就職時の採用試験でも、学生時代に取り組んだことについて話す機会があります。こうしたスキルも高校時代から身につけ、可能性を広げる一助としてほしいです。

白梅学園清修中高一貫部の英語国内研修で留学生と一緒に広島について学ぶ生徒たち(左)、表現教育で体を動かす生徒たち(右)

▲体を動かしながら英語を身につける表現教育や留学生と一緒に学ぶ国内研修もある。

2回の海外研修や英語を使用したディスカッションで英語力を向上

白梅学園清修中高一貫部のカナダ研修の様子

▲高校2年生時の海外英語研修でカナダを訪問したときの一枚

編集部

海外語学研修を中学3年時、高校2年時と在学中に2回実施するのは、準備や費用に関わる負担まで加味すると簡単ではないように思います。しかし、御校は“海外に行く”ことをとても大切にされているのですね。

南校長

はい。実際に海外に足を運ぶことが重要です。親元を離れる経験を通して自立を促すことも目的としています。

編集部

中学3年時、高校2年時の研修では、それぞれどこに行くのでしょうか?

南校長

中学校3年生はフィリピンのセブ島、高校2年生はオーストラリアでの研修を予定しています。オーストラリアではホームステイで現地の方たちと生活し、探究学習の要約版のディスカッションも含め、学生やホストファミリーと積極的にコミュニケーションを取り、英語力を磨いてほしいと考えています。

白梅学園清修中高一貫部のカナダ研修の様子

▲高校2年生時の海外英語研修で現地の生徒と交流する生徒たち

編集部

御校では英語でのディスカッションに力を入れておられ、「全国高校生英語ディベート大会」の運営に携わったり、実際に参加されたりしているそうですね。

南校長

はい。冒頭にお話したヒューマニズムの精神は、相手を大切にすること、相手を理解しつつ自分の考えを正しく伝えていくことです。相手が日本人であれば日本語、海外の方であれば英語、といったように手段は異なりますが、人と人の関わりにおいて誠意を持ち対話するという本質は同じです。

本校の理念に関わることですから、ディスカッションの機会はとても大切にしています。

白梅学園清修中高一貫部の英語授業の様子

白梅学園清修中高一貫部の課外活動「エリアコラボレーション」

白梅学園清修中高一貫部の校舎の外観(左)、吹き抜け(右)

▲校舎の中には吹き抜けがあり、開放的な環境

白梅学園清修中高一貫部では、放課後に地域と連携した課外活動の場を設けており、「エリアコラボレーション(通称「エリコラ」)」と呼んでいます。学校の教師ではない、実際に社会で活躍する方々やプロからさまざまな事柄を学べる貴重な機会です。

「エリコラ」は地域のプロから本格的に学べる貴重な機会

編集部

「エリアコラボレーション」はどのような活動でしょうか。

中澤先生

「エリアコラボレーション」とは、地域のプロの方に指導していただく、放課後の課外活動です。数々の班があり、それぞれ週に1回ずつ活動しています。スケジュールが合えばいくつでも加入でき、4つほど掛け持ちしている生徒もいますよ。

編集部

どのような活動班がありますか?

中澤先生

エリコラには、英語ディベート、茶道、テニス、ダンス、鉄道模型デザイン班など9種類の活動があります。英語ディベートは全国大会への出場や運営に携わり英語に関わる機会が多いため、成績が伸びやすいのが特徴です。

茶道は普段の生活にはない雰囲気やお作法を肌で感じられるのが魅力で、生徒は実際にお茶をたてられるようになります。プロの先生が毎週来てくださるので、学内の教員が指導するのとはひと味異なります。生徒が普段とは違う顔つきでお手前をしている姿が見られるので、新鮮で我々も見ていて楽しいです。

外部の先生方にはやはりプロ意識があり、指導において厳しい面もあります。しかし、その厳しさはこれから生徒が社会に出て生きていく上で必要なものです。エリコラを介してこうした厳しさを学生の間に体感できるのは、とても貴重な経験かと思います。

全国規模のコンテストで入賞常連校「鉄道模型デザイン班」

白梅学園清修中高一貫部の鉄道模型デザイン班による作品

▲「鉄道模型デザイン班」によるどこか懐かしさを感じる模型。同班の作品はどれも高い完成度を誇る。

編集部

「エリアコラボレーション」の活動のなかでも、注目したいのが「鉄道模型デザイン班」だそうですね。ぜひ詳しく活動内容を教えてください。

中澤先生

「鉄道模型デザイン班」は、2011年の立ち上げ当初から私が関わっている班です。メンバーは中学1年生から高校2年生まで40人ほどで、中学生のなかには鉄道模型デザイン班に入るためにこの学校を選んだ生徒もいます。

少々マニアックな一面を持つ活動なので、地域近隣の方ではなく都心から先生を招きご指導いただいています。私も、個人的にも興味がある分野のため、生徒にアドバイスをしたり、模型のバランスを見たり、サポートしています。

全国高等学校鉄道模型コンテストに積極的に参加しており、毎年連続で上位の賞をいただいています。2021年度には、「モジュール部門」で文部科学大臣賞(全国1位)を受賞しました。

編集部

素晴らしい受賞歴ですが、どうして獲得できたと思いますか?秘訣があれば教えてください。

中澤先生

男女の視点の違いをうまく活かせているためかもしれません。他校を見ていると、男子生徒が多い学校は電車やリアリティに重きを置き、駅や実際にある風景の作品がメインです。本校の生徒は電車や駅に全く興味がないので、周りの風景をファンタジーの世界として制作します。それが今までの『鉄道模型』のイメージを覆し衝撃を与えたのかもしれませんね。

立ち上げ当初は、スタジオジブリやハリーポッターといった映画の世界を再現した情景を創ってきました。13年間の活動の蓄積で技術が身に付き、大会のメインであるモジュール部門に力を入れるようになって5年ほどが経ちます。

「やっぱり獲るなら1番がいいよね」と文部科学大臣賞の連覇を狙っていますが、ライバル校も素晴らしいため、ここ2年間は優秀賞の獲得です。来場者や模型関係の方々からは、女子生徒ならではの繊細さを褒めていただく機会もあります。本来なら作らなくてもいい部分までこだわり抜いているのが強みです。

さまざまなメディアに取り上げていただき、芸能人の方々に会ったり、生徒たちにとっては、貴重な経験をさせていただいています。撮影や取材対応を通してコミュニケーション能力も早い段階で身に付いているように感じます。

手先が器用な子も、そうでない子も、必ず今までとは違う新たな自分の発見に繋がるので、ぜひ本校へ入学して、鉄道模型に携わってもらいたいですね。

白梅学園清修中高一貫部からのメッセージ

白梅学園清修中高一貫部の南校長と中澤先生

▲インタビューに応じてくださった南校長先生と広報部長の中澤先生

編集部

白梅学園清修中高一貫部への入学を検討中の学生やその保護者の方々へメッセージをお願いします。

南校長

本校の取り組みとして「MKSプロジェクト」というものがあります。これは“みんなが(M)輝く(K)清修(S)”という意味で、一人ひとりの生徒が輝ける学校を目指しています。

本校は大規模校ではありませんので、全教員が全生徒について十分理解することができ、中学1年生から高校3年生まで継続して指導し、進路の実現までしっかりとサポートできることが強みです。生徒が社会に出たあとも、気軽に戻れる場所として、今後も長く存続していきたいと思っています。

編集部

白梅学園清修中高一貫部では、グローバル教育やエリアコラボレーションなどを通してさまざまな体験ができ、それが生徒の将来への道筋となっていることが印象的でした。本日はどうもありがとうございました。

白梅学園清修中高一貫部の進学実績

白梅学園清修中高一貫部の生徒は、6年間で自主・自律・自立の精神を養い、興味・関心を追求し、進路に高い意識を持ち受験に臨んでいます。一般選抜のほか、学校推薦型選抜や総合型選抜でも多くの合格者を出しているのが特徴です。

2023年末から津田塾大学と高大連携しており、高校にいながら津田塾大学の授業を受けられ、卒業後に津田塾大学へ入学した場合は履修単位として認められるのも強みです。高大連携の一環として指定校推薦もあります。

2023年度の卒業生の進路は、熊本大学(医)、防衛医科大学、弘前大学、早稲田大学、慶応義塾大学、東京理科大学、学習院大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、順天堂大学(薬)、北里大学(薬・獣医)など多岐に渡ります。

■白梅学園清修中高一貫部の進学実績(公式サイト)
https://seishu.shiraume.ac.jp/flow/learning-career/

白梅学園清修中高一貫部の卒業生・保護者の口コミ

ここからは、白梅学園清修中高一貫部の口コミや評価を紹介します。

勉強面だけでなく、生徒一人ひとりの個性を大切にする学校です。中学~高校の難しい時期ですが、先生方は人としての成長を暖かく見守ってくれます。さまざまなタイプの生徒がいて、それぞれに居場所がある、そんな学校です。

白梅学園高等高校や白梅学園大学・短期大学との共同の施設も多くあります。図書館は少し狭い印象ですが、本の種類は充実しています。高校受験がないため、早くから大学受験に向けて準備できるのが強みです。中学生から先を見越した進路指導が取り入れられています。

補習が充実していて、先生へ質問に行き急遽個別授業をしてもらう、といった展開もあります。受験生へのフォローも手厚い印象です。

教員による生徒へのフォローが手厚い、といった評価が目立ちます。高校受験がないため、大学受験に向けて早くから準備できる点も魅力のようです。

また2024年からは、新しい取り組みとして「TeaTime(※)」や「ミニコンビニ」がはじまり、生徒たちからは「特別感があって嬉しい」と好評なのだそう。今後の学校生活も、さらに充実したものになりそうですね。
(※)2限目と3限目の間に設けられる「軽食」を取っても良い時間(9月より実施予定)

白梅学園清修中高一貫部へのお問い合わせ

運営 学校法人白梅学園
住所 東京都小平市小川町1-830
電話番号 042-346-5129
問い合わせ先 https://seishu.shiraume.ac.jp/inquery/
公式ページ https://seishu.shiraume.ac.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください