医学クラスもある埼玉栄中学・高等学校。勉強も部活もハイレベルを目指せる理由|中高一貫校

ぽてん読者の皆さんに、いま注目の学校を紹介するこの企画。本記事では、さいたま市にある私立・共学の中高一貫校「埼玉栄中学・高等学校」の教育方針や特色あるカリキュラムを紹介します。

部活動の強豪校として知られ、水泳の瀬戸大也さんやウェイトリフティングの三宅宏実さん、体操の山室光史さんなど数多くのオリンピック選手を輩出してきた同校ですが、開校当初より心の教育を重視し、心豊かな人間性の育成に努め、社会に貢献できる人へと育てることを大切にしています。

また、2016年には「医学クラス」を新設し、医師になるための学習だけでなく倫理観や使命感など「人間力」を培う教育を中学の時から行っています。

今回は、教頭を務める林昭雄先生と中学入試広報センターの森山豊先生にインタビューさせていただきました。

人は資本資産。生徒を光輝かせる「埼玉栄中学・高等学校」の教育方針

埼玉栄中学・高等学校の校舎

▲2016年に完成した現在の校舎は4階建てで、中学と高校は同じ校舎を共有する。

編集部

はじめに、埼玉栄中学・高等学校の教育方針についてお話しいただけますでしょうか。

林先生

本校は「人間是宝(にんげんこれたから)」を建学の精神に設立されました。人を資本資産と考え、生徒という光る原石を教員や生徒自身が磨き、光り輝く人間へと成長できるような教育を行っています。

編集部

生徒の皆さんの人間性の育成に力を入れていらっしゃるんですね。また、開校当初から「心の教育」を重視されているとのことですが、こちらにはどのような思いが込められているのでしょうか。

林先生

お互いを尊重し、安易に否定しないという思いが込められています。

本校は私立学校ですので、必ずしも同じ地域から同じような環境で育った子たちが通っているわけではありません。そのような環境では、まずお互いを尊重するところからスタートしないと集団として成り立ちません。

また、新しい発想で何かを始める時、「これやろうよ」という誰かの提案に対して「いや、そんなの駄目だよ」と言ってしまったら何の変化も起こせません。安易に否定せず、お互いに意見を交わしながら新しい事に向かってほしいですね。

これは、生徒だけでなく私たち教員も同じです。生徒が自主的に何かやりたいと言った時には、教員が「じゃあ、ちょっとやってみようか」という姿勢で前に進めますし、どうやったらそれが実現するかを生徒と一緒に考える教員が多いと感じます。

学業も部活動も極める!埼玉栄中学・高等学校の教育プログラム

埼玉栄中学・高等学校の生徒が教室で勉強する様子

埼玉栄中学・高等学校では中学時から進学プランに合わせたクラス別の教育を行っており、医学の道を目指す生徒が学ぶ「医学クラス」もあります。

ここからは、同校ならではの特色ある教育について紹介します。

医学クラスでは倫理観や使命感など医師に必要な心構えを学ぶ

埼玉栄中学・高等学校の生徒らが人体模型の前に立って講師から話を聞くようす

▲「医学クラス」では、大学の医学部を訪問し、医療の専門家から話を聞く。

編集部

まず、2016年に新設された「医学クラス」の教育内容や狙いについて教えてください。

林先生

医学クラスでは、医学の道に進むために必要な学習だけでなく、医師に求められる倫理観や使命感、責任感などの人間力を培うための教育に力を入れています。

大学の医学部を訪問して講義を受けたり、医学部の先生に出前授業に来ていただいたりしており、ここでも技術面の話だけでなく、医師になるために必要な心構えについてしっかりとお話しいただいています。

森山先生

中学の時点では義務教育なので、医学クラスだからといって勉強面に関してカリキュラムが大きく異なることはありません。私は数学を担当していますが、中学の医学クラスでは一般的なことを教えています。

医学の道に挑戦するのは大変なことなので、まずは医師になりたいというモチベーションを維持できるようなサポートが必要だと考えています。実際、林先生がお話ししたような医学部訪問は、自分が目指す姿をイメージする良い機会となり、モチベーションにつながっていると感じます。

編集部

ほかにも特徴的なカリキュラムがありましたら、ご紹介ください。

林先生

探究型の合宿学習があります。2024年は2泊3日で秩父を訪れ、ダムや、「ようばけ」という地層をそれぞれの専門家と一緒に学んだほか、望遠鏡を組み立てて天体観測に挑戦しました。

医学とは関係ないと思われるかもしれませんが、私たちは中学で勉強の習慣をつけることによって、高校に上がった時に開花すると考えています。だからこそ、中学ではしっかり基礎を学び学習習慣をつけることを最大の目標にしています。動機付けしながら自主的に勉強する探究学習は、そのためにも大切だと考えています。

これまでに3回卒業生を出しましたが、現役で医学部に合格する生徒も出始めています。私たちのなかにもノウハウが貯まってきたので、今後も医師を目指す生徒に最適なカリキュラムやアドバイスを提供したいと考えています。

運動部だけでなく文化部も活躍。練習環境が整った部活動

部活動の実績が記載された紙が壁一面に掲示されるようす

編集部

埼玉栄といえば部活動というイメージを持つ方も多いと思います。全国レベルで活躍する部活が多い理由はなんでしょうか?

林先生

どの種目でも専門の指導者からレベルの高い指導を受けられるほか、部活ごとに拠点となる施設を設置しています。しっかり練習できる環境があるからパフォーマンスを高めることができるのだと思います。

編集部

学業と部活動を両立させるために学校として意識していることはありますか?

森山先生

全員がプロを目指して活動している学校ではないので、文武両道もそれほど大きな負担ではありません。「スポーツの埼玉栄」と見られがちなのですが、中学・高校を合わせると3,000名いる全校生徒の一部が運動をしているというイメージを持っていただいた方が正しいかもしれません。

そして、実は本校は文化部も結構活躍しているんですよ。例えば吹奏楽部は、地区大会を勝ち抜いた学校だけが出場する「全日本吹奏楽コンクール」の常連で、2023年は銀賞に輝きました。

編集部

運動部でも文化部でも、レベルの高い同級生たちと切磋琢磨しながら活動できそうですね。

放課後演習で受験対策。午後8時まで利用できる食堂も

埼玉栄中学・高等学校の中庭

▲中庭は高校生の昼食や、放課後の憩いの場として利用されている。

編集部

埼玉栄中学・高等学校は、国公立大学やGMARCHにも多くの合格者を出していますね。学習支援の取り組みについてもご紹介いただけますか?

林先生

中学も高校も、授業開始前に「0時限」を設定しており、希望する生徒が参加して教科演習や試験勉強をしています。また、高校では7時限から10時限までを自由参加の放課後演習の時間としており、生徒は自分に合った講座を選んで受講します。10時限まであるので、部活をしてから遅い時間帯の講座に参加する生徒もいますよ。

本校の生徒は中学受験を経て入学しているので一定の基礎学力がついており、「勉強するために埼玉栄に入ったんだ」と考えている生徒が多いと感じます。

当初は、授業のペースについていけない生徒が主に参加していたのですが、最近はそれ以外の生徒も「私も勉強したい」と言って自主的に参加するようになりました。生徒の学習意欲の高まりを感じ、嬉しい限りです。

編集部

講座の数はいくつくらいあるのでしょうか?

林先生

高校の場合、0時限と放課後演習を合わせると講座の数は50以上にのぼります。例えば、英語だけでも入試実用英語やリスニング、スピーキング、ライティングなどたくさんの演習に分かれています。

編集部

10時限まで受けた場合、下校は何時になりますか?

森山先生

高校は、午後9時を最終下校としています。本校は午前7時から午後8時まで食堂を利用できるので、0時限や放課後演習に参加する生徒が朝食や夕食の心配をする必要はありません。食堂メニューは朝・昼・夜で異なるので飽きることもありませんよ。

食堂の隣にはコンビニもあり、中学・高校というより大学のキャンパスのような環境だと思います。

編集部

先生方の熱心なサポートや、食堂などの設備面が整っていることが、生徒さんの学習に対するモチベーションにつながっているのかもしれないですね。

埼玉栄中学・高等学校からのメッセージ

埼玉栄中学・高等学校の教頭を務める林昭雄先生

▲今回取材に応じていただいた、埼玉栄中学・高等学校の教頭を務める林昭雄先生

編集部

最後に、記事をご覧の子どもたちと保護者の皆様にメッセージをお願いします。

林先生

校内の雰囲気や生徒の表情をご覧いただければ、埼玉栄の良さをきっと感じていただけると思います。ぜひ一度、見学に来ていただけますと嬉しいです。

森山先生

本校は、教員のサポート体制も非常に充実しています。全校生徒、約3,000名に対して230名以上の教員がおり、私が担当する数学の先生だけでも28名います。

自分の担任でなくても気軽に質問しに行けるので、さまざまな先生から知識を得ることができると思います。

編集部

勉強も部活動もバランス良く主体的に取り組める埼玉栄中学・高等学校は、生徒の可能性や人間としての幅を広げてくれる学校だと感じました。

本日はありがとうございました!

埼玉栄中学・高等学校の進学実績

埼玉栄中学・高等学校の校舎

埼玉栄中学・高等学校は「行ける大学」ではなく「行きたい大学」への進学を実現できるよう、0時限や放課後演習のほか、夏期講習、小論文・面接指導などを行っています。また、進路指導センターには進路や学習に関する相談ができる専門スタッフが常駐しており、学校独自の「生徒カルテ」を使って継続的な進路指導を行っています。

さらに、大学と連携した学習に力を入れる同校は日本大学と芝浦工業大学と高大提携を結んでおり、条件を満たせば提携校推薦入学試験の受験資格を得ることができます。

2024年度入試では、国公立大学に37名、GMARCHに104名が合格したほか、早慶上理や医学部にもそれぞれ10名以上の合格者を出しました。

■近年の進学実績(埼玉栄中学・高等学校の公式サイトより)
https://www.saitamasakae-h.ed.jp/senior/s-examee/s-result/

埼玉栄中学・高等学校の卒業生の声

ここでは、埼玉栄中学・高等学校で学んだ卒業生の声を紹介します。

埼玉栄にはとてもたくさんの教員がいます。職員室に行けば授業担当の先生以外にも質問することができ、予備校や塾に通わずに第一志望の大学に合格することができました。

部活も勉強も頑張る友人たちに出会い、お互いを高め合うことができました。

勉強で挫折しかけたこともありましたが、部活で培った忍耐力が役立ち志望校に合格できました。

教員の手厚いサポートを評価する声や、文武両道が自身の成長や受験に役立ったという声が多くあがっていました。

埼玉栄中学・高等学校の生徒らが郷土料理を作るようす

▲2023年の校外学習(2泊3日)では、福島県南会津を訪れた中学1年生が郷土料理づくりなどを体験。勉強や部活動以外の体験も大事にしています。

埼玉栄中学・高等学校の基本情報

問い合わせ先 学校法人 佐藤栄学園 埼玉栄中学・高等学校
住所 埼玉県さいたま市西区西大宮3-11-1
電話番号 048-621-2121
公式サイト https://www.saitamasakae-h.ed.jp/

※最新情報・詳細は公式サイトをご確認ください。