この記事では、中学受験に興味があるお子さま・親御さまに向け、京都府宇治市の中高一貫校「立命館宇治中学校・高等学校」を紹介します。
同校は、「Your Link to the World~学んだぶんだけ世界が近くなる~」をスクールタグとし、自ら選択・判断・行動できる国際人の育成を目指しています。中学校からコース別で学習し、高等学校では1年間の留学や科目を選択しさまざまな体験を積むことも可能です。
また、部活動はもちろん、サッカーのジュニアチームに所属する選手やオリンピックを目指す生徒など、一芸に秀でた人材を受け入れているため、多様な特技を持つ仲間と共に自分の個性を磨いていけるという特徴があります。
今回は、校長の越智規子先生にインタビュー取材し、立命館宇治中学校・高等学校の教育理念や英語力、国際性を高めるカリキュラムなどについて詳しく伺いました。
この記事の目次
立命館宇治中学校・高等学校の「グローバルリーダー」を育成する理念
▲インタビューに対応してくださった校長の越智規子先生
最初に、立命館宇治中学校・高等学校の教育目標をお教えいただけますか?
本校は「未来のグローバルリーダーの育成」という教育目標を掲げ、生徒たちの指導にあたっています。本校が目指すグローバルリーダーは、「世界」という広い視点から、日本の現状や課題に目を向けられる人材です。
この人物像をわかりやすく表現するため、「究(探究)・知(知識)・考(思考)・話(コミュニケーション)・義(信念)・寛(寛容)・仁(思いやり)・挑(挑戦)・健(心身の健康)・省(振り返り)」の10の漢字に落とし込んでいます。
また、私たちは「Your Link to the World(学んだぶんだけ、世界が近くなる)」というスクールタグラインにあるように、グローバルに活躍してほしいという想いを常に発信しています。しかしながら、無理に「世界に目を向けなさい」というアプローチはしていません。
授業や行事などで世界の諸問題に触れるうちに、生徒たちが自然と「世界のために何ができるのか」と考えて関心を深めていくのが、立命館宇治らしさだと感じています。
英語力も個性も伸ばしていける立命館宇治のコース設定とは
在校生の2割が帰国生というグローバルな環境の立命館宇治中学校・高等学校では、保護者がネイティブの方で、常に英語で生活しているという生徒も少なくありません。一方で、日本で生まれ育ち、インターナショナルスクールから進学してくる生徒もいます。
そんな同校では、中学2コース・高校3コースから生徒自らの意欲や能力、将来の目標に応じてコースを選択し、独自のカリキュラムで学習を進めています。
現在(2024年5月時点)39人のネイティブ教員が在籍し、授業中はもちろん授業外のシーンでも英語が飛び交っています。100%理解できているわけでなくても英語でコミュニケーションをとることは当たり前で、多様な文化を肌感覚で理解し、それがモチベーションとなってどんどん学習を進めています。
ここでは、主に高校からの「IBコース(国際バカロレアコース)」「IMコース(イマージョンコース)」「IGコース(インテグレイテッドグローバルコース)」の詳細や特徴的なプログラムについて、お話を伺いました!
オックスフォード大、ハーバード大など海外名門大への進学も相次ぐ「IBコース」
高校の3コースから、まずは「IBコース」についてお聞きしたいです。
IBコースでは、国際バカロレア・ディプロマプログラムをベースとした学習を展開しています。
IB(国際バカロレア)は、国際機関が提供する「世界共通の学習プログラム」です。本校は、国際バカロレアのディプロマプログラム(16〜19歳対象)の認定校に指定されています。IBコースの卒業時には日本の高校卒業資格と同時に、海外の大学への出願・入学に必要な「国際バカロレア資格」を取得できます。
また、2021年度に開設した中学校の「IPコース」から直結しているので、中高一貫の6年間で学んでいくことも可能です。
▲開放的なIBコースのラウンジでは、自習に励む生徒も多い
IBコースの生徒はどのように学んでいるのでしょうか。
1年生から国語以外の教科が英語で行われるということもあり勉強は大変ですが、テキストとひたすら向き合って苦しんで勉強しているのではありません。生徒同士が笑顔で励まし合いながら、お互いを高めているんです。雰囲気もすごく明るくて、ディプロマの授与式ではみんな恒例のハットトス(※)をして喜びを爆発させています。
(※)空中に帽子を投げること
進学実績についてはいかがでしょうか?
世界の認定校と比較しても成績面では平均をかなり上回っていますし、2023年度にはアメリカのハーバード大学や、イギリスのオックスフォード大学にも合格しました。そのほか、ロンドン大学・カリフォルニア大学・コロンビア大学といった世界の有名大学にも進学しています。
1年間の留学で英語力・問題解決能力を鍛える「IMコース」
続いて、立命館宇治高等学校の「IMコース」についても、詳しく教えていただけますか?
IMコースは、「1年間の留学」を見越してカリキュラムが組み込まれたコースです。全員がカナダかオーストラリア、ニュージーランドに留学し、現地の学校に所属しながらホームステイを経験します。
夏の出発は「カナダ」、冬の出発なら「オーストラリア・ニュージーランド」というように、出発時期で2つのクラスに分かれます。クラスごとで出発し、1年後に帰国するため、1人だけ授業に遅れる心配もありません。
本校の留学は、生徒1人1人が所属する学校・ホームステイ先が異なるのが特徴です。現地の学校に転校生のような形で入り、ひとりで人間関係を築いていきます。ホームステイ先にも日本の友達はいないので、自分で現地の人とやり取りをする必要があるんです。
先生や日本の友達に頼れない環境に身を置くことで、英語力が鍛えられます。もちろん、どうしても解決できないときには、現地のスタッフや立命館宇治の担任の先生にサポートしてもらうことも可能ですよ。
サポート体制が整っていると、いざというときに心強いですね。留学後、生徒さんたちにはどのような変化が見られますか?
留学をきっかけに視野が広がり、「何かできることはないか」と考えて、行動する生徒が多いです。例えば、古着を集めてリサイクルする活動を立ち上げたり、世界の学校にはたらきかけて高校生の国際会議「Global Youth Fair “SURVIVE”」を運営したり、とても活発に活動しています。
SURVIVEでは生徒たちがホストになり、「SDGsがなかったら、30年後はどのような世界になっているか」というテーマで話し合ったそうです。生徒主体の活動は国からも評価され、2021年の全国高校生フォーラムで「文部科学大臣賞」を受賞しました。現在はオンライン会議も導入し、後輩たちが活動の幅を広げています。
留学後には「イマージョン授業」を受けられるそうですが、どのような内容なのでしょうか?
「World History(海外の視点から歴史を学ぶ)」など、6種類ほどの「イマージョン科目」を英語メインで学びます。留学中は生活するのに精一杯で、発音・文法の正確さなどには目が向かない生徒がほとんどですが、留学後のイマージョン授業で英語力が定着し、TOEFLスコアを大きく伸ばします。
1年間の留学でパワーアップして終わりではなく、帰国後のイマージョン授業や問題解決型の学習でさらなる成長を目指せる環境です。
進路を見据えながら興味のある授業を自由に選択できる「IGコース」
「IGコース」についても、ぜひご紹介ください。
IGコースは3コースの中では一番人数が多くて、大学で履修科目を選択するように、自分で時間割を作成していける自由度の高さが特徴です。A群からH群まで分かれている授業から選択する形で、実際の生徒の選択パターンは271通りあります。
文系・理系で縛りを設けているということもないので、基本的には生徒たちの興味・関心に合わせて履修科目を決めています。例えば、文系の進路を希望している生徒でも、興味を持ったならレベルの高い理科や数学の授業を受けられますし、バリバリの理系志向の生徒が第二外国語でフランス語を学んでもいいんです。
ただ、自由度が高いがゆえに、大学進学を含めた自分の進路を見据えなければいけないとも言えますね。ただ興味のままに授業を選ぶのではなく、「希望の進路に進むためには、何を学ばなければならないか」を考えることが大切です。
そんなときも、本校は附属校ですから、立命館大学の先輩や先生たちから話を聞く機会を多く設け、生徒たちが自分に必要な学びを判断し、選択できるようにサポートしています。
国内・海外でさまざまな体験ができる立命館宇治のプログラム
▲中学生が総合学習の授業で茶道の作法を習っているようす。いろんな体験ができるのが同校の特徴
立命館宇治中学校・高等学校は、通常のカリキュラム以外にもさまざまな体験ができる機会を設けています。
教員が「生徒に伝えたい」という内容を考え、貼り紙やネット配信などで参加する生徒を募るという独自の方法で運営している各種プログラムは、その行き先も国内各地から世界各国まで幅広いです。そんな魅力的な取り組みについてお教えいただきました。
種類が圧倒的!本物に触れる体験型学習「WOWプログラム」
▲校内に展示された生徒の作品の数々。さまざまな体験が、意欲や表現力を引き出していく
御校では、本物に触れる体験を大切にしていると伺いました。まず、国内でどんな体験ができるかを伺いたいです。
本校の体験型のプログラムで代表的なものとして「WOWプログラム」という取り組みがあります。これは、土曜日の午後や放課後にバラエティに富んだオリジナルの活動をするという内容で、春休み・夏休みなどは宿泊型で実施することもあります。
プログラムの数は年度によって異なりますが、2023年度は48の体験を実施し、合計で854人の生徒が参加しました。
ものすごい数ですね!どのようなプログラムを実施されたのですか?
直近のもので特に好評だったのは、北海道研修です。そのほか、夜の学校にテントを張って宿泊したり、びわ湖一周サイクリングやラクダの毛刈りに挑戦したりするプログラムも人気でしたね。
他にも、宇治市の散策や水引を使ったアクセサリー作り、生花、造幣局見学、鑑識の仕事体験など、先生たちの個人的なつながりや趣味を活かしたプログラムを企画しています。
生徒たちは本当に多くの選択肢から興味があるものを選んで参加できますし、普段考えたこともない体験ができています。その中で「気づきのかけら」を拾って、さらなる学びにつなげてくれていると思います。
海外で視野を広げ、人間として成長するきっかけとなる「GCP」
▲図書室には洋書が数多く揃う。海外プログラムで視野を広げた生徒がモチベーション高く英語学習に励む姿もよく見られる
立命館宇治中学校・高等学校の体験プログラムでは、海外に行くこともあるのでしょうか?
もちろんあります。「GCP(グローバル・チャレンジ・プログラム)」では、アメリカやシンガポール、ラオス、フィリピン、カンボジアなどいろいろな国でのプログラムがあります(時期や期間はそれぞれ異なる)。
これらは、ただ行って帰って終わりではなく、事前学習で「何を学ぶのか」を明確にしてから現地を訪れますし、帰国後には学んできたことをプレゼン資料にまとめて発表します。
たとえばシンガポールに行った生徒たちは、「水事情」をテーマにプレゼンしていましたね。シンガポールは水が貴重な資源とされていて、国民は水の使い方も工夫しているそうです。現地で目にした節水の工夫を紹介し、「日本では好きなだけ水を使えるけれど、そのままでいいのか」などの問題提起につなげていました。
WOWプログラムもGCPにも共通することですが、国際社会を生き抜くためには、学力以外の人間的な成長が欠かせません。さまざまな体験が生徒たちの視野を広げ、「世界のために何ができるか」という課題解決の思考につながるので、通常の授業では難しい体験を通して人間としての幅を広げてほしいと思っています。
日本にいると分かりにくいですが、世界では水資源をめぐる問題も起こっていますよね。実際に海外へ足を運ぶことで、SDGsに関する意識も高まるのではないでしょうか。
クラブ活動も校外活動もサポートするのが立命館宇治スタイル
立命館宇治中学校・高等学校は、クラブ活動にも力を入れているそうですね。特徴的なクラブについて、いくつか紹介していただけますか?
本校ではどのクラブも活発に活動していますが、中でも陸上競技・野球・アメリカンフットボール・サッカー・柔道の5つを「強化クラブ」として指定しています。
陸上競技部は、第1回から継続して京都代表で全国高校駅伝を走っています。野球部は2023年度、夏の全国高校野球に出場しました。アメリカンフットボールに関しては、昨年度に日本一を達成しています。サッカーも昨年度は京都2位、柔道も常に京都府で上位に入り、全国大会への出場経験も豊富です。
▲茶道部を含めた文化系のクラブも校内のイベントで活躍している
文化系のクラブも例外ではなく、吹奏楽部は強化クラブの試合に応援に行きます。書道部は体育祭のオープニングで書画を披露し、隣で踊るダンス部・チアリーディングのメンバーと一緒に会場を盛り上げました。
自然科学部も人気で、50人以上の生徒が所属しています。コンピューターや実験、生き物の飼育など、好きな分野に取り組んでいますね。オープンキャンパスの際に、自然科学部が理科室で実験を教えるのですが、小学生や中学校3年生からも「わかりやすい」と好評なんですよ。
本校は体育系・文化系にかかわらず、所属している部活動に真剣に取り組む生徒が多いです。お互いの特技をリスペクトする雰囲気なので、個性を存分に発揮できると思いますよ。
▲校内には生徒たちが取得した表彰状・トロフィーや、甲子園に出場した記念のバットなどが飾られている
一芸に秀でた人材を受け入れ、生徒を応援する「SAプログラム」
先ほどはクラブ活動について伺いましたが、学校内のクラブではなく校外で活躍する生徒についても、サポートをしているのでしょうか。
立命館宇治では「SA(Scholar Athlete & Artist)プログラム」という入試制度があり、校外での個人的な活動と学業を両立していきたい生徒を支援しています。
この仕組みを作ったのは、部活動に関係なく、生徒たちの「好き・得意」をサポートしたいからです。また、一芸に秀でた生徒たちは、他の生徒たちにいい意味での刺激を与えてくれます。自分の得意分野を伸ばすと同時に、仲間の頑張りを応援する気持ちを持ってもらいたいと思っています。
SAプログラムは、本校の部活動にない能・狂言といった文化芸能や、空手・ゴルフ・スケートボード・バレエ・水球など様々な分野で活躍している生徒が対象です。これらの生徒たちの中には、世界大会に出る選手もいます。重要な大会で授業に出られない場合は、公欠も認めています。
SAプログラムには該当しないけれど、校外で活動しているという生徒さんもいらっしゃるのでしょうか?
もちろんです。オリンピックのジュニアチームに所属し、アイスホッケーの腕を磨いている生徒もいます。2023年に大会で準優勝したときには、全校生徒が集まる式典で校長の私が銀メダルを授与しました。
また、京都サンガのジュニアチームの選手たちも、30人ほど本校に在籍しています。現在京都サンガのトップチームでキャプテンを務めている川崎颯太選手は、本校の卒業生でもあるんです。
この生徒たちは通常の学校生活を送り、放課後には活動場所の「サンガタウン」でサッカーの練習に励みます。体育祭のクラブ対抗リレーでは毎年、サンガのユニフォームを着て走るんですよ。アメリカンフットボールと野球、そしてサンガの選手たちの接戦に、会場も大盛り上がりでした。
立命館大学への推薦枠あり!立命館宇治中学校・高等学校の進学実績
御校を卒業した後は、どのような進路を選ぶ生徒さんが多いですか?
高校卒業後には、立命館大学へ進学する生徒が多いですね。受験対策の授業はありませんが、高校1年生ごろから学部ごとの特徴や研究内容などを伝えています。生徒が決めた進路を応援するのが本校のスタイルなので、「あなたの成績だったら、この学部にしなさい」といった押し付けはしません。
成績の順番で学部を選ぶ仕組みになっていますが、もともとの枠が多いんです。経営学部・産業社会学部が人気ですが、ほとんどの生徒が希望した学部に入ります。そのほか、立命館アジア太平洋大学や、外部の大学、海外の大学へ進学する生徒もいますよ。
立命館宇治中学校・高等学校からのメッセージ
最後に、立命館宇治中学校・高等学校に興味をお持ちのお子さま・親御さまに向け、メッセージをお願いできますか?
今の世界は激動の渦中にあります。激動の世界で活躍するためには、自分の考えをもち、発信する力が大切です。
本校はさまざまな生徒が集まっている分、選択肢もひとつではありません。学校生活を通して「自分で考えて、行動する」力を鍛え、国際人としての土台を築きます。学習・部活動ともに意欲的な生徒が多く、お互いの個性を伸ばし合える環境です。
自分の良さを思う存分に発揮したいお子さまは、ぜひ本校にお越しください。教職員一同、お会いできるのを楽しみにしています。
コースや探究プログラムなど、選択の機会が多い御校は、自然と「自分で決断する力」が身に付きそうです。一芸に秀でた仲間と一緒に過ごす経験も、多様性を尊重する精神を身につけていくことにつながると感じました。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
立命館宇治中学校・高等学校の保護者の口コミ
最後に、立命館宇治中学校・高等学校の保護者から寄せられた口コミを紹介します。
学力・人間性ともにレベルの高い生徒が多く、子どもも楽しそうに通っている。
自然の多い環境や進学サポート、部活動の充実度など、総合して良い学校だと思う。
宿題をしっかりと出してくれるので、塾に行かなくても自然に学力が身に付く。
口コミからも、手厚い学習サポートと、生徒同士が切磋琢磨し合える環境がうかがえます。そのほか、関西の難関私立大学である「立命館大学」への推薦制度にも、満足の声が見られました。
▲図書室やラウンジ、PCが揃ったメディアルームなど施設面も充実している
「立命館宇治中学校・高等学校」へのお問い合わせ
運営 | 学校法人「立命館」 |
---|---|
住所 | 京都府宇治市広野町八軒屋谷33-1 |
電話番号 | 0774-41-3000 |
公式サイト | https://www.ritsumei.ac.jp/uji/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください