特色ある教育に取り組む“注目の学校”を紹介するこの企画。本記事では、鹿児島県薩摩川内市にある私立中高一貫の共学校「れいめい中学校・高等学校」を紹介します。
将来ありたい姿をイメージし、社会で役立つスキルを育てる同校は、国際バカロレアの候補校に認定されており、学びを実社会と結びつける独創的なカリキュラムが豊富です。また、ビジネスマナー講習や商品開発を通して、社会人としての基礎力や問題解決力も磨きます。
今回は、そんなれいめい中学校・高等学校の教育目標や取り組みについて、広報部の東園先生と、広報部長兼普通科キャリアアップコース長を務める小田先生にお話を伺いました。
この記事の目次
生徒の信念と能力を引き出すサポートを。れいめい中学校・高等学校の教育目標
はじめに、御校の教育目標についてお聞かせください。
れいめい中学校・高等学校は、「不屈不撓(ふくつふとう)」を校訓に掲げています。これは、「負けるな、曲がるな」という意味で、自分の信念を貫いて社会人として生き抜く力を身につけてほしいという願いを込めています。
校訓を浸透させるために、先生たちはどのような働きかけをされていますか?
生徒の能力を引き出して自分のものにできるようサポートしています。一見根性論にも聞こえる「不屈不撓」ですが、私たちは闇雲にがんばれとお尻を叩くわけではなく、時代の変化に対応しながら生徒とともに努力する、というスタンスなんです。そのおかげもあってか、生徒たちも校訓を素直に受け入れていますし、ひとりひとりが設定した目標に向かって頑張っていると感じます。
▲クラスマッチのバレーボールに燃える生徒たち
コースに分かれて問題解決力を養う「れいめい」の探究活動
▲お話を伺った広報部長兼普通科キャリアアップコース長の小田先生と生徒たち
れいめい高等学校には、複数のコースがあるそうですね。
はい。文理科、普通科キャリアアップコース、普通科みらい探究コース、工学科があります。どの科やコースも自分が将来なりたい姿をイメージしながら、常に探究活動に取り組み、学びを深めているんです。
文理科は志望する大学に進学することを目標に学習を進めながら、興味のある分野の研究活動を行います。みらい探究コースでは、将来の夢を探す自身の探究活動から始まり、未来のビジョンを掘り下げていきます。工学科は建築・土木の専門分野を学ぶコースで、OBがいる企業さんとコラボして実習を重ね、働く姿を具体的にイメージできるようにします。
▲工学科の授業のようす
私がコース長を務めるキャリアアップコースでは、生涯学び続け、キャリアアップし続けるマインドを育てます。独自のカリキュラムにもとづき、さまざまな探究型学習に取り組みながら、社会で即戦力として活躍できる人財を育成することを目標にしています。
キャリアアップコースでは、ビジネスマナー講習があるのだとか。
はい。社会に出て、先輩や上司、お客様から早い段階で信頼していただくためには、きちんと挨拶やお辞儀ができたり、マナーに則ったコミュニケーションができたりすることもやはり必要ですから。さらに、話し方や書類の書き方ひとつとっても相手の気持ちまで考えたやりとりができるようになるので、就職活動でも有利になります。高校2年生から2年間かけてビジネスマナーをしっかりと学んでいくので、卒業時にはビジネスマナーが身についていること間違いなしです。
卒業生からうれしい報告をもらうこともあります。ホテルに就職した生徒からは、「れいめいで社会人としてやっていく基礎力を身につけたから、お客様に褒めていただくことが多いです」と言われましたね。社会の荒波に揉まれながらも、そういった経験が励みになって仕事が続けられるという声には、本当にやりがいを感じます。
▲キャリアアップコースの発表会のようす
小田先生が指導される中で特に意識しているのはどんなことですか?
生徒たちには、日常生活に隠れている疑問や不満にしっかりと目を向けるようにと伝えています。今の時代、問題を解決する方法はAIなんかに聞けばすぐに見つかるかもしれません。ですが、そもそも問題の「発見」をすることがいちばん肝心で難しく、常に意識していないと見落としてしまうと考えているからです。
疑問や課題を見つけるにも訓練が必要ということなんですね。
その通りです。キャリアアップコースでは、「5歩先を行く高校生」をキャッチフレーズに授業を展開しています。私自身も、新しい製品やサービスが出たら「便利だね」で終わらせるのではなく、その商品が生まれた背景やどんなところにニーズがあるのか生徒と議論を交わしながら一緒に考えるようにしています。
探究を通して社会と接続する。ビジネスコンテストでの受賞も!
授業の成果を活かす機会もあるのでしょうか?
問題に着目してどうすれば変えていけるかを考え、実際に商品やサービスを作ってビジネスコンテストに応募しています。
これまで生徒たちが考えた商品の中で、印象的だったものはありますか?
高校2年生の生徒が考案した「まるいしょうどくえき」というものです。消毒液を持ち歩かない人が7割、消毒をしない人が2割いるという課題から、「持ち歩きたくなるようなかわいい消毒液」を試作したんです。アルコールをゼラチンでコーティングした直径2cmくらいの球体で、使用するときは手で潰します。
このアイデアを株式会社エナジード主催のアイデアコンテスト「ENAGEED SUMMIT」に応募したところ、「消毒しなきゃ」を「消毒したい」に転換する斬新さが評価され、みごと準グランプリを受賞しました。本校で学ぶ中で磨いた創造力や表現力が活かされた結果だと思っています。
すばらしいですね。高校3年間を通して、生徒はどのように変化していくと感じますか?
3年間見ていると、当たり前のレベルが上がっていき、不平不満を口にする生徒が少なくなりますね。問題を見つけたら、「どうすれば世の中を変えられるか」という方向へ思考の向きがシフトしていくからだと思います。
社会人として必要な基礎力や思考力が一通り身につくので、人間的に魅力ある人財に成長できる点が本校で学ぶメリットのひとつだと思っています。
人間力も育てる、れいめい中学校・高等学校のクラブ活動
れいめい中学校・高等学校のクラブ活動について教えてください。
文化部は管弦楽部や書道部、ダンス部などがあり、地域のイベントやコンクールなどに参加しています。
運動部はバドミントン部、剣道部、柔道部などがあります。野球部やバスケットボール部、サッカー部、卓球部などは全国大会や地区大会で優勝経験があり、最近では女子バスケットボール部が県大会で優勝してインターハイに出場しました。
▲クラブ活動の様子
部活動全体はどんな雰囲気ですか?
上下関係が厳しい印象はあまりなく、チームメイト同士でうまくコミュニケーションを取って練習に励んでいるようです。顧問とも信頼関係を築きつつ、ひとりひとりがチームで果たすべき役割をしっかり考えて行動できていると感じます。
特に野球部とバスケットボール部は、しっかりした生徒が多い印象です。部活動の伝統として、毎朝駅のトイレ掃除をしたり、地域の奉仕活動に参加したりしているんです。その成果もあって、ふだんからゴミを積極的に拾う生徒も多いですし、掃除のクオリティも高いですね。
▲朝の奉仕活動のようす
練習以外の部分にも気を配れる理由はどこにあると思いますか?
人間的に素直な生徒が多いからかもしれません。不平や不満を言う人が本当に少なく、校風的に穏やかなおかげだと感じています。
れいめい中学校の「国際バカロレアMYP」の学び
れいめい中学校は、「国際バカロレア(※)」の候補校に認定されていますね。11〜16歳を対象とした「MYP(中等教育プログラム)」を履修することができると伺ったのですが、ぜひ詳しく教えてください。
(※)探究心・知識・思いやりに満ちた若者の育成を目的として提供される国際的な教育プログラム
MYPでは、学問的基礎を築きながら教室で学んだことと実社会とをつなぐ教育をします。国際バカロレアの最大目標は「世界平和を実現する人材育成」なので、普段の学びがそこへどう役立つかを常に意識しながら授業が進みます。
授業内容は、あらかじめ設定されているMYPの概念に本校の教員が持っているリソースを当てはめる形で考案します。たとえば、数学の授業では中学数学を応用してデータを読み取り、テレビプロデューサーになりきって番組の企画書を作ったり、社会の授業では人類の歴史を学びながら理想の「国」を作ったりします。
東園先生の担当は国語だそうですね。どのような授業を行っていますか?
最近の国語の授業で特徴的なものは、絵本づくりです。一冊の作品を仕上げるには、単なる国語の能力だけではなく、他の教科で学んだ知識や工作的なスキルをつなぎあわせる必要があります。これまでの学びを総動員して、楽しみながら絵本に落とし込んでいくんです。
▲生徒たちが作った絵本
特に印象に残ったものはどんな作品ですか?
今回は「幼児向けの絵本」というテーマを設定したので、幼稚園児のイマジネーションを刺激するような絵本を作っている生徒が多かったですね。
たとえば、つまみを引っ張るとキャラクターが飛び出すような仕掛けを作ったり、木になっていたフルーツが地面に降りてきて遊んでいるといったファンタジックなストーリー展開だったり…。ひとりひとりが自由に発想して、わくわくするようなポイントを意図的に組み込んでいる印象でした。
作品が完成したら、発表会があるのでしょうか?
はい。国際バカロレアの規定では、作った課題は必ず一通り見て評価をすることになっています。本校でも、学内で絵本の展覧会をして作品の評価を行いました。今後は文化祭などでも展示して、地域住民の方にも見てもらえるような機会を作りたいと思っています。
お互いの作品を見た生徒の反応はいかがでしたか?
「この絵、すてきだね」「ここの表現がいいね」「こんな発想は思いつかなかった!」とお互いを讃えあいながら気づきを得ているようでした。多様性を受容したり他者の作品に学んだりすることが自然とできるようになるのもMYP教育の良いところだと思います。
れいめい中学校・高等学校からのメッセージ
▲お話を伺った広報部の東園先生
最後に、記事をご覧のお子さんと保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
れいめいは国際バカロレアのカリキュラムを取り入れていることもあり、生徒たちが自然と議論してお互いを高めあえる環境が整っています。本校に通う保護者の方からも「成長が楽しみです」と言っていただくことがあるほど、将来に明るいビジョンを抱けるようになる、そんな学校だと思っています。
2024年の広報のキャッチフレーズは「れいめい、だからオモシロイ」です。れいめい中学校・高等学校で学べば、ひとりひとりが個性を見出し、その力を活かせるようになります。ぜひ実際に見に来ていただき、雰囲気を感じていただけたらと思います。
御校の独自性のある授業や、自由な発想力と問題解決力を育てるカリキュラムが印象的でした。また、先生方と生徒が一丸となって学校の明るく前向きな雰囲気を作り上げている点にも魅力を感じました。本日はありがとうございました。
れいめい中学校・高等学校の進学実績
高等学校で希望の進路に合わせてコースが選択できる同校では、文理科や普通科に所属する生徒が大学へ進学します。
2023年度は、京都大学理学部、鹿児島大学医学部のほか、九州大学、熊本県立大学などの国公立大学に多数の生徒が合格しました。また、慶應義塾大学、早稲田大学、青山学院大学などの有名私立大学にも、多くの生徒が進学を決めています。
■近年の大学合格実績(れいめい中学校・高等学校公式サイト)
https://reimei.ed.jp/archives/goukaku.html
れいめい中学校・高等学校の保護者・在校生の口コミ
最後に、れいめい中学校・高等学校に通う生徒の保護者から寄せられた感想の一部をご紹介します。
(※)学校パンフレットから抜粋しています。
手厚いサポートや独自のカリキュラムのおかげで、伸び伸びと学んでいるという声が上がっていました。また、れいめいで楽しく学校生活を送る兄・姉の姿を見て入学を決めたという声もあり、きょうだい揃って同校に通う生徒も多いようです。
れいめい中学校・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人川島学園 |
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住所 | 鹿児島県薩摩川内市隈之城町2205 |
電話番号 | 【中学校】TEL 0996-23-8801 【高等学校】TEL 0996-23-3178 |
問い合わせ先 | れいめい中学校・れいめい高等学校 |
公式ページ | https://reimei.ed.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください