冒険心を養う「10の能力」とは。東京農業大学稲花小学校の豊かな体験学習に注目

ぽてん読者の皆さまに、特色ある教育プログラムで注目を集める学校を紹介するこの企画。今回紹介するのは、東京都世田谷区にある私立共学小学校「東京農業大学稲花(とうか)小学校」です。

農大稲花小は、東京農業大学の併設小学校として2019年に開校しました。教育理念に掲げる「冒険心の育成」に向けて、独自の「10の能力」を教育指標として制定し、各教科のプログラムを設計するなど、特徴的な教育を実践しています。

また、併設大学などとのネットワークを生かし、農業や食、生物、文化などに直接触れる体験・探究学習や、児童の共感性や協業する力を養う教育にも力を入れています。

今回は、東京農業大学稲花小学校の教育理念や本物に触れる豊富な体験学習、毎日の給食を通じた食育などについて、同校校長で東京農業大学の名誉教授でもいらっしゃる夏秋先生にお話を伺いました。

「冒険心の育成」に向けて東京農業大学稲花小学校が掲げる「10の能力」

東京農業大学稲花小学校の人工芝が敷かれた美しいグラウンド

▲人工芝の美しいグラウンドでのびのびと活動する児童たち

編集部

はじめに東京農業大学稲花小学校の教育理念について教えてください。

夏秋校長

東京農業大学稲花小学校が掲げる教育理念は、「冒険心の育成」です。冒険心といっても、危険なことをするという意味ではありません。未知の世界や困難に立ち向かうことを「冒険」と捉えています。本校では、勇気をもって新しい環境に飛び込む力、しっかり準備をして実力を発揮する力として児童の「冒険心」を育みたいと考えています。

編集部

「冒険心」を養うためには、具体的にどのような力を身につける必要があるのでしょうか。

夏秋校長

東京農業大学稲花小学校では、冒険心を形成する5つの要素として「3つの心と2つの力」を定め、教育方針としています。3つの心は「探究心」「感性」「向上心」、2つの力は「コミュニケーション力」と「体力」です。

これら5つの要素が実際に育っているかを測定するために、「10の能力」という指標も設けています。

1.興味・関心
2.創造力
3.問題解決力
4.習得力
5.主体性
6.目標設定力
7.発信力
8.傾聴力
9.持続力
10.自律力

各科目や学年などに合わせて、10の能力が身に着くように教育内容を組み立てています。

編集部

「冒険心」、「3つ心と2つの力」、「10の能力」と、教育理念を実際の教育現場に落とし込めるように細分化されているのですね。

夏秋校長

はい。教員は常にこの教育理念や10の能力を意識した教育活動を行っています。例えば普段の授業において、ただカリキュラムに沿って実施するだけでは10の能力が身についているか測定ができません。まずは適切な課題設定が必要です。「算数の科目で傾聴力を計測するにはどんな問いかけが必要か」「国語で問題解決力を身につけるためには」など、先生方は毎日考えてくれています。

専門家と滝に近づく東京農業大学稲花小学校の児童たち

▲豊富な体験学習も児童の「冒険心」を育む取り組みのひとつ

夏秋校長

教員の立場からするとこの10の能力を意識した授業設計が難しいところなのですが、だからこそ東京農業大学稲花小学校ならではの教育につながっていると感じますね。

編集部

御校独自の新しい評価スタイル、新しい観点で児童の育成を促しているのですね。

夏秋校長

はい。昨今はテストの点で測れる認知能力だけでなく、自ら学ぶ力、他者と一緒に学ぶ力などの非認知能力の育成が重視されていますよね。東京農業大学稲花小学校の10の能力は、まさに非認知能力を教育の中心に据えた学習スタイルです。

編集部

御校は2019年に開校した新しい学校で、夏秋先生は初代校長として着任されています。御校独自の教育スタイルは開校当初から変わらないものなのでしょうか。

夏秋校長

そうですね、学校も私自身も1年生、先生方も他校での教鞭経験はあっても農大稲花小での教育スタイルに関しては新米という状態からスタートしました。みんなで「農大稲花小はどんな学校だろう」と手探りで育ててきたように思います。

私は校長として学校のビジョンを描いて教員に伝えてきたのですが、教員一人ひとりがそのビジョンを児童と一緒に実現してくれていると思っています。実践しながらマイナーチェンジを繰り返し、6年経った今、冒険心の育成を目指すカリキュラムの骨組みができてきたと感じていますね(2024年6月取材時)。

編集部

御校が目指す教育ビジョンを、教員・児童たちが一緒になって作り上げてこられたのですね。教員のみなさんと児童たちのコミュニケーションに関して、意識されていることはありますか。

夏秋校長

先生方には、心の余裕をもって児童と共にする時間をできるだけたくさん持ってほしいと思っています。本校では、教員の朝礼を実施していません。先生方にはなるべく早く教室に向かい、子どもたちと過ごしてほしいからです。放課後や授業の合間の会議も極力減らし、お互いのコミュニケーションや回覧の制度などを活用して情報共有をしていいます。

児童と過ごす時間をできるだけ増やすこと、先生自身が健康な心身状態で触れ合うことが大切です。それは私たち教員の働きやすさのためだけではなく、児童たちに良い影響を与えるためなのだといつも先生方と話していますね。

編集部

東京農業大学稲花小学校の教育理念である「冒険心の育成」が、体系立った教育システムと教員、児童のみなさまの努力の積み重ねで実現しているのだと感じました。

実際に触れ合い、学ぶ。東京農業大学稲花小学校の豊富な体験・探検学習

東京農業大学稲花小学校では、「冒険心の育成」を形成する「3つの心と2つの力」の1つとして「探究心」を重視されています。

ここからは、同校が実践する探究学習や探究心を育む独自の体験学習についてお話を伺いました。

東京農業大学と連携した手触り感のある学習体験「稲花タイム」

東京農業大学稲花小学校のミニトマト収穫の様子

▲自分たちで育てたミニトマトを収穫する児童たち

編集部

東京農業大学稲花小学校では、生活課と総合的な学習の時間を合わせた「稲花(とうか)タイム」という独自の体験学習を実践されていると伺いました。「稲花タイム」とはどのような時間ですか。

夏秋校長

東京農業大学稲花小学校では低学年から体験学習に取り組み、高学年でそれぞれの探究を深めていくスタイルを取っています。体験学習では、東京農大の併設校である特色を生かし、農業と食、生き物、環境などに集中した「稲花タイム」を実践しています。

編集部

東京農大の併設校ならでは体験学習とは、具体的にどのような内容がありますか。

夏秋校長

例えば果樹園や野菜畑、家畜を飼育している施設などを訪れて農作業を体験します。東京農業大学の北海道オホーツクキャンパスや、連携している自治体である山梨県の小菅(こすげ)村を訪問する機会もあるんですよ。

東京農業大学稲花小学校の児童が東京農業大学の北海道オホーツクキャンパスを訪れた様子

▲北海道オホーツクキャンパスを訪問して動物の観察をする児童たち

夏秋校長

5年生が北海道オホーツクキャンパスを訪問した際には、プランクトンネットでプランクトン集め、1人1台ずつの顕微鏡でどのプランクトンが取れたかを調べる体験をしました。プランクトンを回収する際にウニやホッカイエビが取れてしまった児童がいて、すごく興奮していましたね。

編集部

なかなか体験できない貴重な機会ですね。

夏秋校長

はい。他にも、例えば今の1年生はなめこの菌糸を自宅に持ち帰り、ご両親と一緒になめこ作りに挑戦しています。育ったなめこを調理して食べるなど、農業と食が一体化した体験も行っています。

田植えに挑戦する東京農業大学稲花小学校の児童たち

▲普段口にするお米を一から育てるの田植え体験も貴重な学びに

編集部

豊富な施設を生かしつつ、農業や食について身近に感じられる体験をされているのですね。体験学習の学びを深めるために、工夫されていることはありますか。

夏秋校長

十分な時間をしっかりと設け、一人ひとりが直接自分の手で体験する授業設計を重視しています。

「稲花タイム」は2コマ続けて、低学年では状況に応じて3コマ続けて取り組むことで、児童がじっくり体験できる時間を確保しています。また、クラスやグループの代表だけが体験して他の児童は見ているだけ、ということがないよう、例えば茶道体験では全員分の茶筅(ちゃせん)を用意し、みんながお茶を点ててお互いに振舞えるようにしているんです。

編集部

農大稲花小の「稲花タイム」は、東京農業大学と連携した豊かな体験学習を児童一人ひとりがじっくりと取り組める機会になっていることがわかりました。

大学の専門家に直接学び、興味を深める探究学習

東京農業大学稲花小学校の探究学習の様子

▲その道の専門家から直接学ぶことで好奇心がくすぐられ、より深い学びにつながる

編集部

個人の興味・関心を深める、東京農業大学稲花小学校の「探究学習」についても教えてください。

夏秋校長

まず5年生では、自分の興味・関心と出会うような取り組みをしています。東京農業大学の北海道オホーツクキャンパスを訪れ、家畜・水産・野菜・野生動物の4つの学科の先生から専門分野を習っているんですよ。児童たちは野生動物の保護や、北海道の文化、アイヌの人たちの暮らしなど、それぞれが自分の興味を見つけています。海のことが好きだらか魚について研究したい、という児童もいますね。

編集部

北海道オホーツクキャンパスで自然や文化などに触れ、大学の先生たちから授業を受けることで、自分の「知りたい」が見つかっていくのですね。

夏秋校長

そうですね。6年生では、個人の興味・関心のあるテーマについて調べ、学習を重ねていきます。

自分で調べてもどうしてもわからないことがあれば、東京農大の先生などの専門家に質問できる機会を設けています。大学の先生方はどのような質問に対してもはぐらかさずに答えてくれます。「専門家に聞けば何でも教えてくれる、知りたいことを教えてもらえる」という信頼感が、安心して探究に取り組む意欲につながっていると感じますね。

専門家から家畜について学ぶ東京農業大学稲花小学校の児童たち

▲専門家から話を聞く児童たちの表情は真剣そのもの

編集部

児童たちからは、専門家の先生に対してどのような質問があるのでしょうか。

夏秋校長

これは低学年の児童の実例ですが、キノコの専門家である東京農業大学の学長に対して、「どうしてキノコはあんな形をしているのですか」と質問していました。理科の科目でキノコについて勉強した後、キノコの傘の部分に興味を持ったようです。すると理事長は、「傘の部分の内側にはキノコの種のようなものがあって、傘の部分が雨から守ってくれているんだよ、その後は風に乗って種が飛び散りやすいためにあるんだよ」と説明してくれました。

専門的な難しい話を児童に合わせた言葉で説明してくださるので、みんな納得したようです。そうるすると今度は別の児童から、「でもキノコには傘のない種類もある。どうしてですか」などと質問が広がっていきます。するとさらに専門家の知見からわかりやすい回答をもらえる、というように、学びと疑問が繰り返されています。

編集部

疑問がきちんと解決することで次の疑問が生まれ、どんどん学びを深めていくことができるのですね。探検学習を通じて、児童たちにはどのような成長が見られますか。

夏秋校長

本校の児童たちは大学の教員や企業の方、卒業生や留学生などとお話しできる機会がたくさんあり、知りたいという意欲や専門家への信頼感が醸成されています。そのため、普段の授業でも質問がとても多いんです。

1年生の頃は素朴なかわいらしい質問が多いのですが、学習を重ねるにつれてしっかりと知識を蓄え、だんだんと質問の内容が深くなっていきます。そして4年生、5年生くらいになると、今度は友達の質問を聞いて「なるほど、自分もそれを知りたかったんだ」などと、共感性のある学びに展開していると感じます。

編集部

1年生の頃からたくさんの体験を重ね、専門家に質問を繰り返すことで、学びの深度を深めている様子が伝わります。

夏秋校長

低学年の頃に体験学習で学びや気づきを得ているからこそ、心の動く深い学びができていると感じます。

今年(2024年)本校の開校時に入学した児童が6年生になるのですが、来春に東京農業大学の宮古島にある宮古亜熱帯農場を訪問する予定です。カカオやコーヒー、ヤムイモ、キャッサバ、バナナ、マンゴーなど、亜熱帯ならではの植物を見ることができます。また、宮古亜熱帯農場で研究活動をしている先生方の様子も目にします。低学年で訪れた農場での体験学習の思い出があるからこそ、心が動いて学びがつながる深い学習になると感じますね。

バイオリウムで学ぶ東京農業大学稲花小学校の児童たち

▲東京農業大学のバイオリウムで学ぶ児童たちの様子

編集部

小学校6年間の体験の積み重ねが、まさに御校が重視されている「探究心」や「感性」、「向上心」などを育んでいるのだと感じます。

夏秋校長

そうですね。探究学習では児童の成長を本当に強く感じます。例えば北海道オホーツクキャンパスを訪問した際には、大学生と一緒に本格的な顕微鏡を扱い、じっくりと観察します。小学生5年生にもなると、こんなに集中して観察できるようになったのだと感心しました。

化粧品を作る学科で香りの実験をしたときは、1,000分の1グラムまで計れる微量天秤を用いて香料を計測していました。かなり高価な機器ですが、大学の先生に信頼してもらっていることを児童が感じ取り、ふざけたり壊したりしてしまうことはありませんでした。

探究学習を通じて、児童の人間性も成長していると実感します。

編集部

日常生活にも生かせる力が養われているのですね。探究学習に参加する児童たちからは、実際にどのような声が聞かれていますか。

夏秋校長

様々な施設などを訪問するのですが、児童からは「僕は大学でこの学科の勉強をしたい」「この農場で働きたい」といった声を聞きますね。まだ小学生ですが、自分の将来につながる興味や関心が見つかっているのかなと感じます。大学の先生も児童たちに期待してくださって、「興味があるなら将来僕の研究室においで」なんてお誘いくださることもあるんですよ。

編集部

大学の先生からそのように言っていただくと、児童たちの意欲がさらに高まりそうですね。

夏秋校長

そうですね。もちろん、児童みんなが農学部に進学したり、農業に取り組んだりするわけではないと思います。児童たちが興味・関心を持つ分野は、成長につれてどんどん広がります。それでも、東京農業大学稲花小学校での学びや出会いが心のどこかに残っていれば、新しい関心に対しても追求できる大人になってくれると信じています

編集部

東京農業大学稲花小学校で実際に自然や文化、一流の専門家と交流できる機会が、児童たちの探究心を育み、将来につながる力となっていると感じました。

東京農業大学稲花小学校自慢の給食で楽しくおいしく食育に取り組む

東京農業大学稲花小学校の給食の様子

▲いろいろな食材・調理法・味付けで楽しめる人気の給食をクラスみんなでいただく

編集部

東京農業大学稲花小学校では、食育にも力を入れていらっしゃいます。どのような活動をされていますか。

夏秋校長

まず毎日学校で作る自校式の給食を提供しています。児童たちからとても美味しいと好評なんですよ。ただ給食を食べるのではなく、今日の食材や行事食の意味、調理する方の苦労や食事のマナーなど、食に関するさまざまなテーマをパワーポイントで説明してから頂くようにしてます

編集部

食べる前に知識を得ることで、食に対する姿勢が変わりそうですね。

夏秋校長

そうですね。1週間に5日間給食がありますから、その数だけ学びあります。児童たちが自宅に帰った後、お父様やお母様に「今日はジュンサイっていうお野菜を食べたんだよ」「ジュンサイは池に生えてるんだよ」などとお話しして、さらに楽しい会話につながります。

編集部

家族で楽しく食について語るきっかけになりますね。

夏秋校長

はい。本校の給食には一般的に子どもがあまり好きではない食材や味付けをすることもあるのですが、保護者の方からは家庭とは異なる食体験ができていると好評です。ご自宅だと、どうしても子どもが好んで食べるハンバーグや唐揚げなどが食卓に並びがちですよね。本校では煮魚も焼き魚も出るし、ちょっとピリ辛のきゅうりなども提供されます。みんなと一緒に食べることで、児童たちが楽しめる食材の幅、味の幅が広がっていると感じますね。

夏秋校長

給食を通じた食育によって、児童たちの野菜や果物、家畜などに対する興味や関心も広がっています。いろんな食べ物の解説をする中で、児童たちが食材の品種にとても興味を示すんです。

「清見オレンジという品種は、宮川早生とトロビタオレンジというみかんを交配してできているね」「三元豚という豚のお母さんはヨークシャーでお父さんは…」などと説明しています。このような経験を重ねると、数年後には児童たちから「これなんていう品種?」「この前と違う品種だね」といった言葉が自然と出てくるんですよ。

編集部

食材としての関心が、植物や家畜の交配などより広い分野の興味につながっているのですね。東京農業大学稲花小学校の食育が豊かな食体験だけでなく、児童たちの新しい興味・関心を引き出す1つの要因になっていると感じました。

1年を通じた堆肥作り体験などを通じ、他者と協力して共に喜び合う心を育成する

東京農業大学稲花小学校の体験学習の様子

▲全員が仲間と一緒に自分の手を動かして体験する

編集部

東京農業大学稲花小学校では、探究学習だけでなく児童の感性や心を磨く教育にも力を入れていらっしゃると伺いました。具体的にどのような取り組みをされていますか。

夏秋校長

農大稲花小は東京農業大学の併設校であるため、理科系の科目に力を入れている、ペーパーテストが厳しいというイメージがあるかもしれません。確かに理科にも注力していますし、勉強にもしっかり取り組めるようにしています。一方で、児童たちが協力して一生懸命に作業に取り組み、喜びを共有するような感性を育むような教育にも力を入れているんです。

例えば、4年生の終わり頃から児童たちが力を合わせて堆肥を作る体験をしています。落ち葉を集めて堆肥を作るのですが、独特の匂いがしますし、びしょびしょになって嫌だな、と感じる児童もいると思います。そういった作業を友達同士で助け合って取り組む中で協力の心が育まれ、堆肥を使って一緒に育てた植物を見て一緒に感動できる。そういった心の交流ができていると感じますね。

編集部

他者と協業して心を通わせる経験は、御校が大切にされている「コミュニケーション力」にもつながりますね。

夏秋校長

はい。堆肥作りは、児童同士だけでなく教員も一緒に落ち葉を集めて作業します。落ち葉を積み重ねて、時々ひっくり返しながら、約1年間通して面倒を見るんです。そうすると、土の中で発酵が起き腐葉土になります。最終的にふかふかの腐葉土ができ、テラスの植木鉢や野菜作りなどに使用していきます。昨年の4年生が作ったものをみんなで感謝して使わせてもらい、また次の4年生が堆肥作りに取り組む、という循環になっています。

編集部

自分たちで作った堆肥が学校のさまざまな植物の栽培に役立っているのは、嬉しい体験になりそうですね。実際に堆肥作りに取り組んだ児童には、どのような成長が見られますか。

夏秋校長

1年生の頃はただ各自で作業をしていた形だったのが、学年を重ねるごとにお互いの得意・不得意がわかり、作業が苦手な子に対して得意な子が自然と手助けするような、協力の姿勢が身についていると感じますね。

その他にも、体験を通じて「よく見る目」が養われていると感じます。植物をじっくり観察することは、図画工作でアートに取る組む際に生かせます。実際に児童たちの描いている絵を見ると、しっかり「よく見る目」で捉え、自分で考えて描いているのが伝わってきます。そのうえで、のびのびと自分の感性を解放している作品が多いと感じます。

編集部

御校での体験を通じて、生活の幅広いシーンで生かせる力が身についていると感じます。御校の感性を育む教育で、最も意識されていることはなんでしょうか。

夏秋校長

本校が大切にしているのは、共感性や仲間を想う気持ちです。子どもは競争心が強いものですが、学校の中がただ競い合う場所になるのは望ましくないと考えています。得意なものと得意でないことがあると認めつつ、お互いに共感し合うことが大切です。

東京農業大学稲花小学校は創立間もない学校で、少し前までは上級生がいない状況でした。そんな環境下で児童たちがどのように育っていくか心配もありましたが、現在の最上級生たちは下級生たちに対し、見事な上級生ぶりを発揮しています。学校生活を通じて、共感性や仲間を想う心が育まれたからだと感じますね。

編集部

東京農業大学稲花小学校では、学力の向上のみならず、他者と協力し合う姿勢、一緒に喜びを共有してさらに成長していく力が培われているのだと感じました。

東京農業大学稲花小学校からのメッセージ

東京農業大学稲花小学校校長の夏秋先生

▲お話を伺った東京農業大学稲花小学校の夏秋校長

編集部

最後に、東京農業大学稲花小学校に関心のある学生や保護者に向けて、メッセージをお願いします。

夏秋校長

東京農業大学稲花小学校では、体験型の教育を通して子供たちの力を確かなものとし、中学校・高校やその後の社会に送り出したいと思っています。

体験が楽しめる子ども、自分で学ぼうとする意欲のある子どもたちと、彼らを応援する教員が揃っています。そして本校に入学されたお子様をとても大切に育て、農大稲花小で学んでよかったなと思っていただけるよう、校長として責任を持って対応させていただきますし、教職員もみんな同じ気持ちで毎日子どもたちと接しています。

児童たちが大人になるころ、社会の状況は大きく変わっていると思います。日本だけでなく世界で活躍できる人材になってもらえるよう、本校では毎日英語の授業を行っています。しかし、一番大切なのは子どもたちの幸せです。

幸せの形は、子どもによっても、ご家庭によっても違いますよね。どのような幸せの形であっても、本校で勉強して大人になり「幸せになれたな」と思ってもらえたら、これ以上嬉しいことはありません。児童たちが大学を卒業して社会に出て、幸せに活躍する姿をとても楽しみにしています。

編集部

今回の取材を通じて、東京農業大学稲花小学校の豊富な実体験を通じた学びが、児童たちの探究心や感性を育み、教育方針に掲げる「冒険心」を持った大人に育っていく姿をイメージできました。ありがとうございました!

東京農業大学稲花小学校の卒業後の進路

東京農業大学稲花小学校は、卒業生が併設する東京農業大学第一高等学校中等部へ内部進学することを想定し、十分な学力や姿勢が身に着くよう学習プログラムを設計しています。

東京農業大学第一高等学校中等部への内部進学は専願が条件ですが、権利を喪失したうえでその他の中学校や東京農業大学第一高等学校中等部を受験することも可能です。

公式:東京農業大学稲花小学校「進路」

東京農業大学稲花小学校の保護者の口コミ

自分たちの手で稲刈りをする東京農業大学稲花小学校の児童たち

▲豊富な体験学習は保護者の皆さまからも大好評

最後に、東京農業大学稲花小学校の保護者や卒業生の口コミをご紹介します。

(保護者)体験型授業では東京農大の教授が教えてくれたり、全国にある東京農大の施設に行ったりします。英語にもすごく力を入れている学校だと思います。毎日英語の時間があり、特に中休みの時間には英語の先生と一緒に遊んだりして授業中にはない生きた英語力がつくと思います。

(保護者)1年生から毎週理科の授業と稲花タイムといった独自授業で学ぶ楽しさを知ることができる。また、東京農大、東京情報大学といった同じ学校法人が運営する大学の教授や准教授の授業で知的好奇心を育んでいる。

(保護者)毎日子供が楽しそうに学校で勉強したことなどを話している姿を見ていると、この学校に入れて良かったなと思います。先生方も勉強だけなく、授業を聞く姿勢なども子供たちに教えてくれていますし、特に英語に関しては毎日のことなので、発音含めて相当本人の身になっています。

東京農業大学稲花小学校が実践する体験学習や、系列大学の教授などから学べる機会、毎日の英語学習や教員の親身なサポートなどに対する好意的な口コミが多数見られました。

東京農業大学稲花小学校へのお問い合わせ

東京農業大学稲花小学校正面の校名

運営 東京農業大学稲花小学校
住所 東京都世田谷区桜3丁目33番1号
電話番号 03-5477-4115
問い合わせ先 https://www.nodaitoka.ed.jp/contact/
公式ページ https://www.nodaitoka.ed.jp/

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