国際理解を深める行事が充実。新田青雲中等教育学校が育成するグローバル人材とは|中高一貫教育

ぽてん読者の皆さまに注目の学校を紹介するこの企画。今回は愛媛県松山市にある中高一貫教育を行う私立の共学校「新田青雲中等教育学校」をご紹介します。

同校は平成15年に中高一貫教育を行なう中等教育学校として開校し、優秀な人材を多く輩出すべく、「新たな時代の変化に対応した特色ある教育」「私学の中高一貫校にしかできない教育」を目指してきました。

今回は、英語課主任の佐々木先生、英語科教諭 チューターのアダム先生、英語科教諭4年(高1)GLコース担任の中野先生、夢ラボ企画委員長・国語科主任・2年(中2)担任の永井先生、入試広報課長・メディア活用委員長・数学科の牧先生に、同校が力を入れているグローバル教育や3年間かけて行う探究学習について詳しくお話を伺いました。

新田青雲中等教育学校の教育方針は「面倒見のよさ」を重視

新田青雲中等教育学校のGlobal Studies program

編集部

初めに、新田青雲中等教育学校の教育方針について伺えますでしょうか。

牧先生

新田青雲中等教育学校の教育方針は、「徹底した学力養成」「心の教育」「感動の教育」「面倒見のよさ」です。中でも「面倒見のよさ」を最も重視しており、生徒一人ひとりの成長を見守ることを継続し、少人数の習熟度別授業や選択授業、個別指導などを実施しています。本校では1期生の卒業生が教員となっており、その教員がこの特徴を最も実感していると思います。

また、「徹底した学力養成」については中高一貫の利点を活かしたカリキュラムで、大学受験に向けた学力を養成しています。

「心の教育」については「剣道」「柔道」「弓道」「茶道」「華道」という5つの「道」を授業に取り入れることで精神的成長を図っています。

「感動の教育」については海外研修などの体験学習や文化祭・体育祭などの学校行事を通じて、生徒に感動を味わわせ、感性や好奇心、探究心を磨くことを目指しています。

元々、本校は造船会社が県の委託を受けて学校を設立し、優秀な船長を育てることを目指したことから始まっています。現在はグローバルな人材育成に力を入れており、卒業生が世界で活躍できるよう努めています。

新田青雲中等教育学校の五道の授業

▲五道の授業

新田青雲中等教育学校が導入するイマージョン教育

新田青雲中等教育学校のGlobal Studies program

▲Global Studies program

編集部

次に、新田青雲中等教育学校のグローバル教育の特徴について教えてください。

佐々木先生

新田青雲中等教育学校の特徴的なプログラムとして、3年生から始まるGL(グローバル・リーダー)コースがあります。このコースではできる限り多くの授業を英語で進めており、他のコースにはないGL実践の授業も行っています。

また、中学1年生から英語以外の教科を英語で学ぶイマージョン教育を取り入れています。イマージョン教育は、日本語で習った内容を英語で再度学ぶことや、授業中に英語でクラスメイトと話し合うことを含みます。中学1、2年生では体育や音楽などの実技教科、3年生からは数学や理科などを英語で学びます。

生徒たちはこの教育方法を楽しんでいるようで、学習内容の定着が良いと感じています。初めから全てを英語で学ぶのは難しい場合もあるので、基本を学んだ後に英語で再度学ぶなど工夫しています。

編集部

アダム先生はどの授業を担当されていますか?

アダム先生

主にGL実践を担当しています。GL実践では、英語を使わざるを得ない環境を整えており、グループ活動や科学の授業は、ほとんど全て英語で行われます。

英語に関する行事が充実。短期留学も実施

新田青雲中等教育学校のRecitation Contest(暗唱コンテスト)

▲Recitation Contest(暗唱コンテスト)

編集部

その他に特徴的なプログラムはありますか。

佐々木先生

英語に関する行事が非常に充実しています。授業以外にもオンライン英会話や英検対策講座、Recitation Contest(暗唱コンテスト)、国際交流デイ、Global Studies programなど、さまざまなプログラムを用意しています。

編集部

Global Studies programはどのようなプログラムなのでしょうか。

中野先生

4年生(高校1年生)のGLコース全員と、4年生のSSコースと5年生(高校2年生)の希望者を対象に、冬休みに実施されるプログラムで、少人数のグループに海外から日本の大学に通う留学生講師が付いて、英語のみで活動し、最終日に全員の前でスピーチを行います。スピーチのテーマはSDGsや地域貢献など、社会とつながったものが多いです。

最初は難しく感じるようですが、徐々に自信を持つようで、プログラム後も英語だけで授業を受けたいという声が多く聞かれます。講師が大学生で年齢が近いため、生徒は話しかけやすいようで、大きな刺激を受けています。また、このプログラムを通して間違いを恐れずに英語で話すことに慣れてきて、最終日のスピーチの顔つきからも成長が伺えます。

新田青雲中等教育学校の国際交流デイ

▲国際交流デイでは多様な文化に触れられる

佐々木先生

Global Studies programの延長として、5年生(高校2年生)ではオーストラリア短期留学も実施しています。また、留学エージェントがサポートし、個人の留学も支援しています。留学を体験した生徒たちは様々な体験を楽しんで、多くのことを学んでいます。より英語に興味を持つ生徒も多いです。

アダム先生

国際交流デイも年に1回行っています。愛媛大学や松山大学の留学生が本校に来て、生徒と交流したり、自分の国について発表したりします。さまざまな国の留学生と英語で交流できる楽しいイベントで、小グループで交流できるようにしています。発表について質問したり楽しいトピックで話す時間を設けており、生徒たちは積極的に会話しています。

2024年もインドネシアやネパール、アフリカなどから留学生が参加しました。このイベントは1年生(中学1年生)から5年生(高校2年生)までを対象としていますが、毎回50〜60人ほど参加しています。

新田青雲中等教育学校の英語科教諭 チューターのアダム先生

▲英語科教諭 チューターのアダム先生(左)

編集部

英語でディスカッションするなど実践的な英語スキルを身につけさせるために、工夫されてることはありますか?

アダム先生

文法よりも、ロールプレイやアドリブのスピーチ、リスニング、ディスカッション、ペアワーク、グループワークを通じて英語を使う機会を増やしています。

佐々木先生

また、本校にはアメリカに姉妹校があり、年に1回訪問してホームステイや交流活動を行っています。4年生(高校1年生)を中心に姉妹校の生徒とペアで手紙やEメール交換、スカイプやZoomでの交流をしています。

新田青雲中等教育学校のマックラチー高校との交流

▲マックラチー高校との交流風景

アダム先生

月曜日の朝にはEnglish Radioも放送しています。学校のスケジュールや天気、クイズ、今週のフレーズなどを紹介しています。また、職員室に入室するときも英語で話します。GLコースの生徒は特に積極的で、昼休みや放課後に英語で話したい生徒が多く、私はチューターとしてサポートしています。

編集部

特に英語が好きな生徒にとって、本当に楽しい学校生活が送れそうですね。

新田青雲中等教育学校のオーストラリア短期留学

▲オーストラリアへの修学旅行や短期留学など、さまざまなグローバル体験ができる

探究学習「夢ラボ」は大学、企業などと連携して課題を解決

新田青雲中等教育学校の夢ラボのフィールドワーク

編集部

続いて、新田青雲中等教育学校の探究学習についてお話しください。

永井先生

新田青雲中等教育学校では、「夢ラボ」と称して3年生(中学3年生)から5年生(高校2年生)までの3年間で探求学習を行なっています。

「まちづくり」「観光」「健康医療」「福祉」「環境」「農林水産」「防災」の6つのコースの中から自由にテーマを設定し、図書館や大学、企業などと連携して課題を解決します。

テーマ設定の際には、愛媛大学の先生や愛媛県庁の職員に実態や課題を話してもらうので、具体的な事例を元にテーマを決めることができます。この探究学習ではグループ活動を推奨しています。

編集部

グループでの活動はどのように行われますか?

永井先生

学年全体から概ね4人くらいのグループを組んで興味のある分野に取り組みます。過去には、道後温泉にもっと観光客を呼び込むために、道後温泉の成分を使ったバスボムを作るプロジェクトがありました。

ネットで成分を調べたり、理科の教員に相談したりしたり、温泉協会の人に教えてもらったりしながら、キウイやみかん、椿オイルなどを入れて作りましたが、実際に試してみると、あまり香りがしないとか、オイルを入れすぎてヌルヌルしたということで、アイデアを再度出し合いながら制作し直していました。

その他には、ミカンの木のかけ合わせ、空き家の活用方法などがテーマとして取り上げられていました。最終的には発表会があり、学年での上位3組が全校の前で発表しますが、どの生徒も堂々と発表します。発表の機会があるのは、人前で話すことに慣れることにも役立ちます。

編集部

探求学習を通じて生徒の成長はどのように感じますか?

永井先生

同じグループの生徒たちと予定を合わせる必要があるので逆算してスケジュールを立てる力が養えますし、自分だけの意見で決めるのではなく、根拠を持って進める力が身についているなと感じます。

編集部

生徒の感想はどうですか?

永井先生

6つのテーマに分けたことで取り組みやすくなり、調べ学習だけで終わらずに解決策を自分なりに考えることができると好評です。

新田青雲中等教育学校の夢ラボの発表会

新田青雲中等教育学校からのメッセージ

新田青雲中等教育学校の生徒たち

編集部

最後にぽてん読者にメッセージをお願いします。

牧先生

新田青雲中等教育学校は、この3年間で多くの改革を行ってきました。コロナ禍が明けてからは、特に留学の環境整備に力を入れており、2023年度は31名の生徒が短期留学を経験しました。英語に興味がある方は、ぜひ本校に注目していただきたいです。

熱心な先生方と共に頑張っていますので、まずは一度学校を見にいらしてください。

■令和6年度公開行事(新田青雲中等教育学校公式サイト)

https://www.nitta-seiun.ed.jp/admission/#event

■学校個別見学(新田青雲中等教育学校公式サイト)

https://www.nitta-seiun.ed.jp/admission/#tour

永井先生

私は新田青雲中等教育学校の卒業生ですが、私が在学中も面倒見の良さは変わらず、生徒の希望をできるだけ叶えようとしてくれました。先生が遅くまで行事の準備を手伝ってくれるなど、生徒と一緒に活動してくれる点は今も残っており、学校の良い雰囲気を作っています。本校に興味を持っていただければ幸いです。

新田青雲中等教育学校の進学実績

新田青雲中等教育学校の校舎

2023年度は東京大学をはじめとした国公立大学に24名、医学部・薬学部に11名、私立大学では上智大学に1名、MARCHに4名、関関同立に14名が合格しています。

少人数の習熟度別授業や選択授業、個別指導で確かな学力をつけるとともに、教育相談でプロによるメンタルサポートを受けられる環境が良い結果をもたらしたと考えられます。

■進路実績(新田青雲中等教育学校公式サイト)

https://www.nitta-seiun.ed.jp/education/#admissions

新田青雲中等教育学校の在校生・卒業生・保護者の口コミ

新田青雲中等教育学校の弓道部の練習風景

(在校生)私は留学を通して語学力の向上はもちろん、多様な文化を直接体験することで新しい自分を知ることができました。留学は英語だけでなく、自分自身も成長できる良い経験になると思います。

引用元:学校案内パンフレットより一部抜粋

(卒業生)私は青雲に入学してからバスケ部に入り、活動に熱中することができました。GLコースでは普段から英語でディベートするなど英語をたくさん使っていたので、英語を得意科目にすることができ、大学受験でも役に立ちました。青雲で過ごした6年間では、同級生や先輩後輩と仲良くなることができました。また、先生方も一人ひとりに丁寧に指導してくれたり、一緒に進路を考えてくれたりと、親身になって相談にのってくれて、青雲で過ごすことができてよかったと思いました。

引用元:学校案内パンフレットより一部抜粋

(卒業生)新田青雲は少人数だからこそ、皆仲が良く、先生方も一人ひとりをよく見てくれていると思います。アットホームな雰囲気の新田青雲で友達と過ごした6年間は、私にとって一生忘れられない6年間です。貴重な6年間を有意義に使って、新田青雲でしか出来ない事を沢山経験して欲しいです。

引用元:学校案内パンフレットより一部抜粋

これらの口コミから、多様な経験を通して成長できる環境であることがわかります。また、保護者の声としては、「先生が生徒の学習をしっかりとサポートしてくれている」や「職員室前の自習机で朝や放課後に自由に勉強したり先生に質問ができる点も良い」などの学習指導への面倒見の良さを評価する声がありました。

新田青雲中等教育学校の音楽部によるトーンチャイム

新田青雲中等教育学校へのお問い合わせ

新田青雲中等教育学校の校訓の石碑

▲新田青雲中等教育学校の校訓

運営 学校法人 新田学園
住所 愛媛県松山市山西町600-1
電話番号 089-951-6655
問い合わせ先 https://www.nitta-seiun.ed.jp/contact/
公式ページ https://www.nitta-seiun.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください