日本一を目指す「日南学園中学校・高等学校」のグローバル教育と部活動の両立|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、宮崎県日南市にある中高一貫の共学校「日南学園中学校・高等学校」を紹介します。

日南学園中学校・高等学校は、所在する宮崎県日南市において唯一の私立校かつ唯一の中高一貫校です。「日本一を増やす」ことを目標に掲げ、全国的にも珍しいサーフィン部を発足するなど、常に新しいことを取り入れながら文武両道を実践している学校です。

今回は、そんな日南学園中学校・高等学校の教育目標やグローバルな取り組み、自慢の部活動について、国際交流担当でサーフィン部顧問の鈴木信乃先生、生徒指導部部長で卓球部顧問の後藤永次先生、渉外部部長で理科主任の黒木良先生、法人事務局総務課長の鈴木諒先生にお話を伺いました。

日南学園の教育目標:一人ひとりが輝く存在を目指す

日南学園中学校・高等学校の鈴木信乃先生・後藤永次先生・黒木良先生

▲取材に対応いただいた鈴木信乃先生・後藤先生・黒木良先生

編集部

最初に、日南学園中学校・高等学校の建学の精神と教育目標についてお聞かせください。

鈴木信乃先生

本校は『誠実・礼節』を建学の精神として創立されました。「浄く、明るく、直なれ」を校訓にしており、基本方針は文武両道です。生徒の個性を尊重し、学力だけではなく、趣味や特技を生かして部活動で活躍するなど一人ひとりが輝く存在になることを教育目標としています。

宮崎県日南市では唯一の私立中学校として2008年に開校し、中高一貫教育を始めて今年2024年で16年目となります。寮も備えていますので、日南市内だけでなく宮崎県各地や県外からも、勉強や部活動での成長・活躍を目指して入学してこられます。

鈴木諒先生

本校が目指しているのは「日本一を目指す」ことです。そのために、新しいことにどんどんチャレンジして他校にはないものを取り入れています。九州地方の宮崎県の中でも中心部からは離れた南部エリアに位置しますが、この地からがんばって日本一を輩出して、全国にPRしていこうとしています。

日南学園中学校・高等学校の食堂での様子

日南学園のグローバル教育:海外研修と国際交流

日南学園中学校・高等学校のアメリカ語学研修

▲アメリカ・ポーツマス語学研修

編集部

次に御校のグローバル教育についてお聞かせください。

鈴木信乃先生

近年は国際的に活躍する人材を育成するために英語が重要視されてきていますが、本校では中学校開校3年目から、国際交流を通じて英語力の向上や異文化理解を深めることを目的に、中学3年生を対象として日南市の姉妹都市であるアメリカのポーツマス市にある「ポーツマス高校」と姉妹校となり、お互いに10日間の語学研修を実施しています。

また、英語の授業の週1時間はネイティブスピーカーであるALT(Assistant Language Teacher)の先生が担当します。そこでは主に英会話を学び、アメリカ・ポーツマスへの語学研修に備えます。残念ながら、ここ数年は新型コロナウィルスの影響で語学研修は実施できなかったのですが、今年度(2024年度)から再開の予定です。

6月下旬には、アメリカのポーツマス高校から、先生を含む総勢24名が本校に来て交流する予定です。このほか本校へは、語学研修や部活動のために、台湾や中国、オーストラリアなど世界各国から留学生が来て本校生徒と一緒に学んでいますので、その留学生たちと交流ができることも本校グローバル教育の特徴かと思います。

語学研修で育む国際感覚:生徒の成長と気づき

日南学園中学校・高等学校のアメリカ語学研修

▲アメリカ・ポーツマス語学研修

編集部

アメリカでの語学研修を経験された生徒さんの感想や、研修後の変化や成長などについてお聞かせください。

鈴木信乃先生

行く前は、英語は好きだけどアメリカへ行くのは怖いと思っている生徒が結構います。日南市は小さな町ですし、外国の方と交流する機会は本当に少ないので、生徒も保護者も「大丈夫かな?」と考えてしまうこともあります。ですから、語学研修に行く決断をしていただくまでも比較的大変なんです。

しかし、生徒たちは順応力が高いので、いざ行ってしまえばアメリカの生徒たちに多くの刺激を受けながら本当に楽しく過ごしています。

現地ではポーツマス高校や近隣の小中学校で授業を受けるのですが、日本と大きく違うのがその積極性です。例えば、先生が「今日は日本から留学生が来てくれています。何か質問はありますか?」と言えば、アメリカでは生徒みんなが手を挙げます。逆の場合、日本の生徒はなかなか手を挙げないものです。そうした文化の違いを目の当たりにするので、研修から帰ってくると積極的になる生徒は多いです。

そのほか生徒はいろいろなアメリカと日本の文化の違いに驚きます。アメリカには「レディーファースト」の意識が根付いており、中学生でも、ドアを開けて女性を優先するといったことが普通にできます。日本の中学生は恥ずかしくてできないことも多いので、そこに驚いたという感想もありました。

また、語学研修のうち4日間は現地の一般家庭でホームステイをするのですが、好きな食べ物を聞かれて「ステーキ」だと答えたら、朝からステーキが出てきて驚いたという生徒もいました(笑)。

イエス・ノーがはっきりしているアメリカの生徒との交流を通じて、日本との違いを実感しながら、生徒それぞれの中で思うところはあるようです。しかし、語学研修を経験した生徒たち全員に共通しているのは、「英語の重要性を体感できた」「語学研修を経験して正解だった」という感想です。

日本では英語をしゃべれなくても不便はないのですが、外国に行ってみて初めて英語の重要性がわかったという声も多いです。語学留学から帰国して英検にチャレンジしたいと言い出す生徒もいるので、モチベーションアップにつながっていると思います。

今の生徒たちは、研修を機にメールやSNSで、アメリカで知り合った生徒たちとつながっているので、帰国後もお互いの近況を知り、コミュニケーションをとるなど継続性のある国際交流体験になっていると思います。

スポーツ系・文化系ともに活発な日南学園の部活動

日南学園中学校・高等学校の卓球部

▲全国大会出場を果たした卓球部メンバー

編集部

次に、日南学園中学校・高等学校のクラブ活動についてお聞かせいただけますか?

後藤先生

本校では、スポーツ系・文化系を問わず部活動が盛んに行われており、ほとんどの生徒がどこかの部に所属して活動しています。宮崎県の選抜選手に選ばれているスポーツ部の生徒もいますし、宮崎県のみならず九州や全国でトップレベルの部がたくさんあります。

私は卓球部の顧問をしていますので、まず卓球部について紹介させていただきます。卓球部も強豪クラブの一つで、以前は県外から卓球経験者が多く入学していました。ところが、卓球人口が少なくなっていく中で、新型コロナウイルスの流行もあり、県外生徒の募集がままならず、6人で挑む団体戦の人数さえ集まらない状況に陥ったのです。

そこで2022年に、新たな取り組みとして卓球経験のない一般の生徒を勧誘して4人が入部しました。小学校から始めている中学生の経験者が未経験の子を教えますし、中高合同で練習しているので高校生も面倒をみてくれるという恵まれた環境の中、未経験入部の4人は驚くほど早く上達していきました。

直近の全国中学選抜卓球大会の県予選では、卓球未経験だった部員が中心のメンバーで団体優勝し、全国大会への切符を手にすることができました。中高一貫校の部活動の特色を最大限に活かすことができた結果だと思っています。

その後の今年(2024年)4月には、経験豊富な新1年生が数名入部してくれました。新チームとして九州大会に挑みました。ベスト8で敗退しましたが、健闘できたと思っています。

未経験でも大丈夫。恵まれた人間関係の中で部活に励む生徒たち

日南学園中学校・高等学校のバレーボール部

▲バレーボール部

編集部

卓球部のエピソードをお話しいただきましたが、御校の部活動の特徴を改めてお教えいただけますか?

後藤先生

各部ともに大学とのつながりが深く、大学の施設で一緒に練習させてもらうことがしばしばあります。これは本校部活動の魅力だと思っています。

また、未経験でも楽しく活動できるのも特徴です。卓球部でも未経験の生徒は最初自分に自信を持っていない印象だったのですが、県大会や九州大会を経験することで自分に自信がついてきたようで、表情もイキイキして堂々とした態度で学校生活を送るようになったと思います。人間として成長していくきっかけを得られたと感じていますね。

編集部

大学生も含めた縦のつながりがあるほか、部内の人間関係もよさそうに感じました。

後藤先生

そうですね。最初は、初心者と経験者でギャップがあるかとも思ったのですが、練習していく中で先輩が後輩に丁寧に指導しながら、徐々に打ち解けて仲間意識が芽生えていったようです。

編集部

他の部活も卓球部のように、生徒さん同士で指導し合っているのでしょうか?

黒木先生

はい。私は弓道部の顧問をしているのですが、新中学生が入部してくると、すでに経験を積んでいる高校生が教えながら中高一緒に練習しています。私自身も弓道経験はまったくないので高校生に教えてもらっているところです。高校生が中学生の面倒をみるのは本校の伝統として受け継がれており、まさに中高一貫校の魅力だと思います。

日南学園中学校・高等学校の弓道部

▲弓道部

全国でも珍しいサーフィン部:プロ選手も輩出

編集部

鈴木信乃先生はサーフィン部顧問だとお聞きしましたが、サーフィン部とは珍しいですね。

鈴木信乃先生

サーフィン部があるのは九州では本校だけだと思います、全国でも3校しかないらしいです。ですから県内だけではなく、県外から入学してきます。今は高校生が1人いますが、大阪出身の生徒で寮生活です。

3年間の中でプロになる生徒もいれば、プロになってから本校に入学してくる生徒もいます。プロになると全国だけではなく世界大会に出場するので、忙しく飛び回っていますね。

編集部

普段の練習は、放課後に近くの海でされるのですか?

鈴木信乃先生

基本はそうですが、今、入部している高校1年生の生徒は、看護科・看護専攻科なので、7時間目まで授業があるため、普段は土日だけしか練習できません。テスト期間は最終日が半日なので、午後から海に出ています。

練習は本校サーフィン部の卒業生が営むスクールに通っています。そのようなつながりもできていますし、日南はとても波が良く、サーフィン大会も開催される場所ですので、ぜひ全国から来てほしいと思っています。

日南学園中学校・高等学校の学校行事ほか、新しい試みについて

日南学園中学校・高等学校の文化祭のステージ

▲日南学園中学校・高等学校の文化祭のステージの様子

編集部

日南学園中学校・高等学校の学校行事について特徴的なことがあればお伺いできますか?

後藤先生

本校の文化祭・体育祭は、中学校の生徒会と高校の生徒会が主体となって企画から運営までを担います。どちらも中高合同で、文化祭は「南郷ハートフルセンター」という大きな施設で開催します。

中学校の文化祭と言えば、堅苦しくなりがちですが、高校生がステージ発表でダンスをしたり、バンド演奏をしたりするので、みんなリラックスして中高一体となって盛り上がります。これは中高一貫校ならではのイベントで、生徒からも保護者からもとても好評です。

黒木先生

今年から、ダンサーのHIDEKINさん(永窪英樹さん)を講師に招いて、ダンス教室を開いています。1学期に1回、来てもらうことになっており、まだ1回目が終わったばかりですが、普段ダンスをしない生徒たちもとても楽しそうに踊っていました。

鈴木信乃先生

今、中学校の体育でダンスは必修ですが、なかなか楽しみながらダンスを踊るところまでできていなかったので、プロダンサーの方を招いてということになりました。高校にも来てくれており、今後も、今あるダンス部の人数を増やし、2学期からはダンス部の外部講師として教えていただくことになっています。

日南学園中学校・高等学校の文化祭の体育祭

▲体育祭

編集部

そのほか何か取り組みなどがありましたらお聞かせください。

黒木先生

本校では2019年から「BS制度」を導入しました。これは、本校の高校生が中学生に授業を行うものです。大枠のテーマは与えますが、授業内容については高校生自身が考えます。前に立って意見を言ったり表現をしたりするプレゼン力が身につくと考えています。

後藤先生

中学3年生が下級生に教える場合もあり、これは1人で2人に教えるといった具合に個別にコミュニケーションを取りながら指導します。言わば先生がたくさんいるような状態になり、わからなかったところがわかるようになったという感想が多くあります。

編集部

下級生の生徒さんの感想はいかがでしょうか?

黒木先生

先生よりも先輩の方が聞きやすいという声が多くあります。また、特に部活動に力を入れている生徒の中には勉強がおろそかになっていく者もいるので、そうした部分を補充できるからありがたいという声もありました。

日南学園中学校・高等学校のBS制度

▲上級生が下級生を指導する「BS制度」の様子

日南学園中学校・高等学校からのメッセージ

日南学園中学校・高等学校鈴木信乃先生・後藤永次先生・黒木先生

編集部

最後に、日南学園中学校・高等学校に興味をもたれたお子さまや保護者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

後藤先生

中学校の保護者から「小学校のときは全然話せなかった子が話せるようになった」や「前に出るような子になった」といった声、本校に入学して良かったという声を多くいただきます。部活も盛んで、どんな個性をもったお子さまも、本校でなら個性を発揮しながら楽しい学校生活を送ることができるはずです。

鈴木信乃先生

全校生徒にキャッチフレーズを募集し、全校生徒が投票して決まったものが「個性を学びに、学びを力に」です。ぜひ本校で充実した学校生活を過ごしてほしいと思っています。

黒木先生

本校では、常に新しい取り組みにチャレンジしています。学校側が考えるだけではなく、生徒たちの声を汲みながら。生徒と共により良い学校づくりに励んでいます。自分たちでいろいろと新しいことを始めることができる、新しいものを作っていくことを体験できる学校です。

先ほどお話ししたダンス教室の様子や学校生活、イベントなど、本校の公式インスタやYouTubeチャンネルにアップしていますのでぜひご覧ください。オープンスクールも開催していますので、もし本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、学校の雰囲気を感じてみてください。

■公式インスタグラムはこちら!
https://www.instagram.com/nichigaku_eigaku/

■公式YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCKK_wp9XiTDUKq4Mg0RIHgg

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

日南学園中学校・高等学校の進学実績

日南学園中学校・高等学校の授業風景

日南学園中学校・高等学校では、それぞれのコースが合格率・就職率を伸ばしていることが特徴です。理数科・特進科・普通科では、神戸大学・筑波大学・熊本大学ほか多数の国公立大学に合格。また、早稲田大学・明治大学・中央大学など難関私立大学の合格者も多数輩出しています。

看護科・看護専攻科では、高校入学から最短5年での看護師国家試験合格を目指しており、毎年ほぼ100%の高い国家試験合格率を維持しています。

また、調理科は卒業と同時に全員が「調理師免許証」を取得しています。進路としては管理栄養士の資格を目指して大学・短大・専門学校へ進学、もしくは県内外でもトップクラスのレストランやホテルに就職しています。

■進学実績(日南学園中学校・高等学校公式サイト)
https://www.nichigaku-highschool.info/guidance-infomation.html

日南学園中学校・高等学校の卒業生・保護者の口コミ

ここからは、日南学園中学校・高等学校の口コミを紹介します。実際に通学していた卒業生や保護者の声をまとめました。

(卒業生)進学を目指す特進や普通科だけでなく、調理科や看護科・看護専攻科といった学科があるので資格を取りたい生徒にはとても良いと思います。また、先生と生徒の距離が近く、仲が良いです。本人次第だとは思いますが充実した学生生活を過ごせる環境が整っています。

(卒業生)私は運動部に入っていました。部活動と勉強の両立は大変でしたが、自分のやりたいこと、好きなことに全力投球できた3年間はかけがいのない時間でした。文武両道を学校全体でバックアップしている日南学園だからこそ有意義な日々が過ごせたと思っています。

(保護者)生徒の自主性や個性を尊重してくれる学校なので、自分の力を最大限に発揮することができると思います。学習面は、先生が一生懸命に勉強を教えてくれるのはもちろんですが、生徒同士で得意分野を教え合うなど、助け合いの精神が根付いています。

(保護者)文武両道の学校で、勉強と部活の両方をがんばっている生徒が多いです。熱心な先生が多く、進路に悩む子どもの相談に根気よく付き合ってくれ、適切なアドバイスをいただきました。難関と言われる私立大学に現役で無事合格できたのも学校や先生方のおかげだと思っています。

日南学園中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人 日南学園 日南学園中学校・高等学校
住所 宮崎県日南市吾田東3丁目5番1号
電話番号 0987-23-1311
公式サイト https://www.nichigaku-juniorhighschool.info/index.php(日南中学校)
https://www.nichigaku-highschool.info/index.php(日南高等学校)
※詳しくは公式ページをご確認ください