この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、千葉県成田市にある「成田高等学校・同付属中学校」をご紹介します。
成田高等学校・同付属中学校は、真言宗智山派の大本山・成田山新勝寺が母体となっている男女共学の私立中高一貫校です。学習面においては6年間の長期的な視野で組まれた効率的な授業カリキュラムが特徴的であるほか、先取り&深掘り指導によって高校卒業後の希望進路実現をゆとりを持って目指せます。
また、文化祭などの主要行事は中高合同で開催されるなど、生活面における中高の連携が強いことも注目したいポイント。中高の合同練習を取り入れている部活動も多く、近年人気の「競技かるた部」もそのひとつです。
今回、ぽてんでは成田高等学校・同付属中学校の入試広報部長および技術・家庭科担当の宮永さんにインタビュー取材を行い、成田高等学校・同付属中学校の教育方針や学習カリキュラム、施設の特徴などを詳しく教えていただきました!
この記事の目次
社会に貢献できる人材育成に励む成田高等学校・同付属中学校
まずは、成田高等学校・同付属中学校が掲げている教育理念について教えてください。
本校では、「地方文化の向上」と「成田山の宗教的使命の達成」を建学の理念として掲げております。成田山新勝寺が母体の学校であることから、入学式や卒業式といった式典には僧侶も出席し、本校の講堂にある不動明王像の前では合掌の習慣が根付いています。
ただし、普段の学校生活において宗教色を感じることはほとんどありません。仏教の考えを通して豊かな人間性を育み、地域を担う人材・世界で活躍する人材を育てることを目標に教育指導を行っております。
そういったたくましい人間の形成に向けて、近年は“成高魂”が本校の合言葉になっています。逆境を跳ね返せる人になってほしいといった願いを込めて校長が口にするようになり、いつしか生徒の間でも、行事や部活動の大会などのシーンで多く使われるようになってきました。
成田高等学校・同付属中学校では将来の進路を見据えた教育を提供
成田高等学校・同付属中学校においては、中学・高校間の一貫性を配慮した学習カリキュラムが提供されています。具体的にどのような教育体制で学習を進められるのか、詳しくお話を伺いました。
中高一貫校ならではの先取り学習や、能力・進路を踏まえたクラス編成が特徴
成田高等学校・同付属中学校では、どのようなカリキュラムで学習指導を行っていらっしゃいますか?また、クラス編成についても教えてください。
本校のカリキュラムは先取り学習がベースとなっており、6年間を見据えて効率的に授業を行っております。具体的には中学1・2年で中学校で習得すべきすべての単元を学習し、中学3年で高校1年の内容、高校1年で高校2年の内容、そして高校3年では大学受験に向けた総復習を徹底的に行います。
なお、クラスは中学3年次から習熟度別の編成で、「特進αクラス」と「進学クラス」に分かれる仕組みです。進学クラスでは英語・数学において少人数授業を展開しているほか、高校2・3年次には文系・理系の選択制によって進路に合った教育指導を実施しております。
専門性の高い教員による深掘り指導も魅力
授業の質において、成田高等学校・同付属中学校ならではの特色があればご紹介ください。
ほとんどの教員が中高両方の教員免許を保有しており、中高どちらの授業も担当しているケースが多いです。そのため、6年間という長期的なスパンで「どのような段階を踏めばスピーディーに、そして着実に習得させられるか」といった点を考慮した効率的な授業を提供していることがひとつの特徴となっています。
また、各教員の専門性に合わせて担当する授業を振り分け、深掘り指導を行っていることも大きな特色です。たとえば数学なら「数式」と「図形」、理科なら「物理化学」と「生物地学」で担当教員をあえて変えて、教科書に載っていることだけでなくその背景にあることがらも含めて教えることが本校の学習指導方針となっています。
もちろん教員は担当教科における全範囲に精通しているのですが、生徒たちが該当範囲の理解をより深め、興味を持って学習してもらえるようにそういった体制を採用しております。
生徒たちにとっては、専門的な内容を教わることによって「自分はどの分野を極めていきたいのか」を見極めやすくなり、本校での授業が将来への道しるべになっているのではと思います。また、教わる教員の数が必然的に多くなるため、大学入試対策の際などに「この分野はこの先生に教えてもらおう」といった形で教員への質問がしやすくなることもメリットのひとつです。
「探究学習」を通して課題設定能力や情報収集能力も身に付く
成田高等学校・同付属中学校では、近年注目を集めている探究学習も取り入れていらっしゃるそうですね。
変化の激しい現代においては、暗記学習だけでなく「自分で課題意識を持ち、主体的に学び進めていく学習」も求められると考えており、本校でも積極的に探究学習を取り入れております。
学習スタイルとしては、中学の段階では調べ学習が主体です。各自興味のある職業や地域、社会や企業が抱える課題などをテーマに掲げ、深く調べたうえで自分なりの意見をまとめてプレゼンテーションと相互評価を行います。
高校に上がると、そのテーマを深掘りすることはもちろん、そこに絡む出来事や時代背景にも触れたうえで「自分はどうすべきか」を探るところまで行います。教員が調べ方や論文の書き方などをサポートすることもありますが、基本的には生徒一人ひとりが主体的に探究学習を進め、課題設定能力や情報収集能力、分析力、コミュニケーション力などのスキル向上を目指している次第です。
過去には、全国の中学・高校の授業で実施した探究プログラムの成果に対して贈られる「TWICE AWARD」において準優勝を果たしました。また、鹿児島で行われた「高校生国際シンポジウム」で当校の生徒たちが災害医療をテーマとした課題発表を行い、該当部門の優良賞を獲得したこともありますよ。
▲2023年度の「TWICE AWARD」における企業インターンワーク部門では、上記を含む3チームが優秀賞を受賞!
▲2023年度には、海の素晴らしさを表現するコンテスト「海の宝アカデミックコンテスト」で入賞した生徒たちも!
本校としては今後もさらなる探究学習の強化を図り、主体的な行動を成功へと結び付ける体験を重ねていってもらえたらと願っております。
夏休み中の講習も大好評!約100種類から好みの講座を無料で受講可能
成田高等学校・同付属中学校では、夏休み中に多彩な講座を受けられると伺いました。どのような内容なのでしょうか?
高校と付属中学校の5教科専任職員全員が講座を開いており、生徒たちは100種類(うち付属中学校は30種類)ほどから好みに合わせて選べるシステムです。元々は高校生を対象に大学受験に向けた夏季講習といった位置づけでスタートしたのですが、「せっかくなら中学生の段階から行い、知的好奇心を伸ばそう」と考えて全校生徒へ向けた講座を提供する形になりました。
時間としては1日1~2時間程度で、5日間ほどかけて行われる講座が多いです。内容は各教員の担当教科によっても異なりますが、1学期の総復習や発展的な内容、夏休みの宿題対策、大学入試問題の演習・解説など多岐にわたります。
なかには本校の高校入試問題や県立高校の入試問題にチャレンジしたり、研究発表の大会に向けた準備を行ったりする講座もあり、普段の授業とはまったく異なる内容です。興味・関心に合った講座を無料で受けられるため、生徒はもちろん保護者の方からもご好評いただいております。
大学教授による出張講義によって知的好奇心が刺激される
付属中学校のほうでは、大学教授による出張講義も行われているそうですね。こちらはどのような内容の講義なのでしょうか?
例年、中学1年の総合学習の時間に東京電機大学の教授の先生方にお越しいただき、複数のテーマで講義を行っていただいております。たとえばDNA抽出を一緒に行ったり、太陽光パネルの作り方を学んだりする内容です。
また、希望制ですが、逆に生徒が大学へ出向いて講座を受ける機会も設けております。先日は中学3年生を対象に神奈川歯科大学へ行って人体について学んできました。そういった外部の方による講座をきっかけに、自身の進路を決める生徒も多くみられますよ。
▲2022年3月には城西国際大学にて薬学教室が実施され、中3生徒14名が参加
▲錠剤の崩壊性を確認する実験やアロマハンドクリームの制作体験を通じて、教授の先生方や学生たちから指導を受けました
▲2024年3月には神奈川歯科大学で行われた歯科教室に参加し、体験レポートを作成
成田高等学校・同付属中学校では行事や部活動も盛ん
成田高等学校・同付属中学校の行事や部活動について、特色があれば教えていただけますか?
本校の一大イベントとしては、9月の初旬に行われる文化祭「葉牡丹祭」が挙げられます。中学1年から高校3年までの全生徒が参加し、教室や講堂、グラウンドなどで多彩な発表を行う行事です。
▲過去の文化祭優勝チーム(2023年度は高3内進生クラスが優勝)
また、高校1・2年生と付属中3年生の希望者には、7月に約2週間のカナダ語学研修を実施しています。バンクーバー島のビクトリアというまちでホームステイをしながらレッスンを受けたり、レジャーを楽しんだりするもので、「語学研修をきっかけに英語への興味が高まった!」などと評判です。
そのほかにも6年間を通じて多種多様な行事・校外学習を行っており、さまざまな角度から刺激を受けながら充実した学校生活を送れます。
▲2024年1月には高校生を対象に「成田空港お仕事ワークショップ」が行われ、普段は入れない制限区域を見学(すべて無料)
部活動も盛んで、本校では「校友会」という名のクラブ活動を行っています。運動部・文化部ともにさまざまな種類があり、全国大会等で好成績を残している部もたくさんありますよ。
そのなかでも個人的におすすめしたいのが「競技かるた部」です。元々付属中学校で競技かるたの個人戦やクラス対抗戦を行うイベントがあり、そこから派生して現在の部が誕生しました。
▲生徒からの「部活動を作ってほしい!」といった声によって誕生した競技かるた部(葉牡丹祭での様子)
部員のなかには競技かるた最高ランクのA級に所属している生徒もおり、人数的には少数精鋭ながらも非常に期待度の高い部です。古き良き日本文化を、クラブ活動を通じて慣れ親しめるといった点でもおすすめですね。
▲2023年度の競技かるた大会(クラス対抗戦の様子)
▲競技かるたは、体力や瞬発力、柔軟性などが求められるスポーツ競技です(写真は個人戦の様子)
成田高等学校・同付属中学校の整った施設環境
続いて、成田高等学校・同付属中学校の施設環境についてお話を伺っていきます。
読書や情報収集、自習に適した「ラーニングセンター」を完備
成田高等学校・同付属中学校は、充実した施設環境も評判を集めているそうですね。
本校の校舎内で特におすすめしたい施設が、図書室・自習室・進路資料室がひとつになった「ラーニングセンター」です。読書に親しみを持ってほしいといった願いから、校舎の中心となる1号館1階に設置されました。
基本的に朝7時に開館し、平日なら中学生は18時まで、高校生は19時まで(※1)滞在できます。読書はもちろん情報収集をしたり、静かに自習したりと、生徒たちはそれぞれの目的に合わせて積極的に利用している印象です。
(※1)学校行事等によって開館時間は変動
▲さまざまなジャンルの書物が揃っているほか、スタディサプリや模擬試験の解説授業などを利用できるノートPCも完備
▲生徒たちの“おすすめ”がたくさん詰まった「本の紹介コーナー」
▲生徒目線のおすすめポイントが記載されており、普段読書に馴染みのない生徒が本を読むきっかけにもなっています
特徴的な取り組みとしては、近隣の映画館と提携して上映中の映画の原作本の紹介を行っているコーナーを設けております。そこには最新の映画ポスターを貼ったり、予告映像を流したりして生徒の興味関心を促しています。
▲ポスターをきっかけとしてストーリーに興味を持ち、原作本を借りていく生徒も多いそうです
WindowsとMacBookを用途に合わせて使い分けられる「コンピューター教室」
ラーニングセンターのほかに、成田高等学校・同付属中学校の名物施設があればご紹介ください。
2023年度コンピューター教室を2か所リニューアルしました。1室にはWindows搭載のパソコン、もう1室にはMacBookを設置しております。プレゼンの資料を作成する際はWindows、映像や画像を加工する際はMacBookというように、用途に合わせてOSを使い分けている生徒が多いです。
生徒は1人1台iPadを持っているのですが、「ここはWindowsでやったほうがスムーズ」「ここはMacBookを使うと効率的」など、さまざまな気付きを得ているようですよ。
成田高等学校・同付属中学校からご家族・お子様へのメッセージ
最後に、成田高等学校・同付属中学校に興味をお持ちのご家族・お子様へメッセージをお願いします。
本校には個性あふれる学習環境が整備されており、幅が広く、奥行きの深い学びを得ながら多彩な知識を習得し、豊かな人間性を育んでいただけます。災害医療×音楽について研究したり、航空機の性能ではなく美しさを研究・発表したり、作曲をして賞を受賞したり、クロスカントリーで世界大会に出場したりといった多様な生徒が在籍しており、さまざまな角度から良い刺激を得られることもおすすめポイントです。
生徒の可能性を伸ばすポケットがたくさんある、魅力あふれる学校だと思いますよ。まずはぜひ本校に足を運んで、校舎内や教員、生徒の雰囲気に触れてみてくださいね。
成田高等学校・同付属中学校の在校生・卒業生の声
ここでは、成田高等学校・同付属中学校の在校生・卒業生の声をいくつかご紹介します。
授業の質や教員によるサポート体制、施設環境、校風など、あらゆる点において高評価の意見が挙がっています。特に、最先端の設備・学習体制で教育を受けたい場合や、文武両道による充実した学校生活を求める場合におすすめの学校だと感じました。
進路情報
成田高等学校・同付属中学校では現役での大学合格に向けた進路指導を行っており、2024年度においては卒業生数285名のうち46名が国公立大へ、724名が私立大への現役合格を果たしました。
そのような高実績の背景には、先述した個性あふれる教育体制をはじめ、全国規模の実力テストや模擬試験の充実、著名な大学教授による進学講演会の実施、進路指導部と担任が連携した手厚い進路支援などがあります。中高一貫校ならではの先取り・深掘り教育によってゆとりを持って学習できる成田高等学校・同付属中学校なら、希望の進路に向けて着実に準備を進められるでしょう。
ちなみに、将来教員志望の生徒には成田高校付属小学校にて特別講座を実施しているほか、教育学部の総合型入試や学校推薦型入試の志望理由書作成や、一般入試を含めた適性検査・小論文・面接対策も行っています。
▲成田高校付属小学校での講座は高校3年生が対象で、期間は土曜日および夏季休業中です
また、夏季休業中には過去に講座を受講した卒業生で現職の教員を招き、教職の現状や受験へのアドバイスも実施。ほかにも「子ども食堂」を訪問して運営されている方へ意見を聞いたり、さらに近隣3か所の幼稚園にて、中高全学年を対象としたインターンシップも行っており、これらの講座を受講したほとんどの生徒が毎年教育学部に進学し、すでに教壇に立っている卒業生もたくさんみられます。ちょっとした研究室みたいな感じです。
お問い合わせ
問い合わせ先 | 成田高等学校・同付属中学校 |
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住所 | 〒286-0023 千葉県成田市成田27 |
電話番号 | 0476-22-2131 |
公式サイト | https://www.narita.ac.jp/jhs_hs/ |