独自の教育方針やカリキュラムで注目を集める学校を特集するこの企画。今回は明治大学の付属校の1つ、明治大学付属中野中学・高等学校を紹介します。
明治大学付属中野中学・高等学校、通称「明大中野」は東京都中野区にある私立の中高一貫男子校です。生徒の「人間性」を重視した教育や、明治大学の付属校の利点を活かした大学連携の取り組みが特徴です。また伝統的に文武両道の気風があり、全国・関東大会常連の強豪クラブや特色あるクラブなどで、多くの生徒が積極的な活動を行っています。
今回は明治大学付属中野中学・高等学校の卒業生であり、現在学校長を務める清水先生に、同校の教育方針や部活動への取り組み、生徒たちの学校生活の様子などについて伺いました。
この記事の目次
“人格形成”に重点を置く、明治大学付属中野中学・高等学校の不易の精神
はじめに、御校の教育理念について教えていただけますか?
本校は1929年の創立以来、「質実剛毅・協同自治」という校訓、「みんなで仲良く、正直に、真面目に、精一杯努力しよう」という合言葉を掲げています。一般的によく使用される「質実剛健」ではなく「剛毅」としているのは、「剛健」よりも内面的・精神的な強さを重視しているという意図があります。学力だけでなく内面も磨き、社会で必要とされる力を備えた人格をつくる、というのが本校の教育理念です。
人格形成において大切にしているのが、「自分だけでなく人のために何かをできる」という思いやりの心です。相手への思いやり、人と人とのつながりを欠いたままでは、文明というのは正しい方向に進化していかないでしょう。だからこそ人間性を重要視した本校の教育理念は、この先の未来においてもさらに重要な意味を持つものであると考えています。
「知・徳・体」のバランスを尊重する教育方針
御校の人格形成に重点を置く教育理念の具体的な内容について教えてください。
明治大学付属中野中学・高等学校では、「『知・徳・体』のバランスのとれた人間の育成」を教育方針に掲げており、勉強や生活指導など学校生活全般において教員による厳格な指導を行っているのが特徴です。特に中学校においてはまだ生徒が精神的に成熟しておらず自己管理がなかなか難しい部分があるため、ある程度強制力をもってしっかりと指導を行っています。
「知」の学習面においては、明治大学への進学を見越し、大学での専門的な学びに備えるというのが目標です。中学校では徹底的に基礎学力を培い、高校はその土台を踏まえて進学志望に応じた知識を習得できるよう学習指導を行っています。
中学校の間厳しく学習指導を行った結果、高校になると自発的に勉強する生徒が増えます。
社会に出たときに必要な挨拶、身だしなみなどの「礼儀・礼節」も厳格に指導
「知・徳・体」の「徳」の部分ではどのような教育を行っていますか?
礼儀や礼節を培うため、中学校入学当初から、挨拶や時間を守ること、身だしなみや言葉遣いといった点は厳格に指導しています。
時間厳守の取り組みについては、始業時間である8時半の10分前の「8時20分登校」という仕組みを設けているのが特徴です。通常は8時半を過ぎると遅刻扱いになるのですが、本校の場合はその前段階である8時20分を過ぎたことでも遅刻とされるんです。ダイヤの乱れなど不測の事態も踏まえて、余裕をもって授業に備えるという時間管理の習慣を身につけさせることを目的としています。
身だしなみについては、「相手への配慮・思いやり」につながるものとして、頭髪チェックなどは厳しく指導しています。おしゃれしたい年頃なので反発がありそうなものですが、男子校ということもあって皆案外ズボラなので「頭髪指導が髪の毛を整えるきっかけになって却って助かる」という意見が保護者から出ることもあります(笑)。
そういった指導を受けて、生徒の皆さんはどのように成長されていますか?
本校の生徒は、卒業後の大学や就職活動の場において「話し方がしっかりとしている」「きちんとマナーが身についている」という評価をよくいただいています。在学中は教員からうるさく言われることに「嫌だな」と感じる生徒も多いのですが、そういう外部からの評価を受けて指導の意義を実感することが多いようです。卒業生から「あのときは嫌だったけれど、おかげでしっかりと礼儀、礼節を身につけることができた」という声をよく聞きます。
大学に入ったらなかなか教えてもらえない部分を、中学校・高校のうちにしっかりと指導されるというのはとてもありがたい環境ですね。
数々の実績をあげる、明治大学付属中野中学・高等学校のクラブ活動
明治大学付属中野中学・高等学校といえば、数々のクラブが全国大会での結果を残しているなど、非常に部活動が活発なことでも有名ですよね。実際どのくらいの生徒さんが部活動に所属されているのでしょうか?
中学1年生は入学後ほぼ100%部活動に所属します。ほとんどの生徒が明治大学に推薦入学するということもあり、高校3年生でも75%くらいの生徒は部活動を続けています。
運動部、文化部ともに数多くのクラブがあると思いますが、その中でも特徴的なクラブを教えてください。
あまり他の学校にはないクラブでいうと、相撲部や射撃部、アイスホッケー、水球などは珍しいのではないでしょうか。学校内に射撃場やゴルフの打ちっぱなしができる場所があるなど、活動のための設備が整っているのも本校ならではの特徴ですね。
▲グラウンドや体育館に加え、相撲場や柔道・剣道専用の武道場など各部活動専用の運動場を備える
スクロールで写真が見られます→
明治大学付属中野中学・高等学校の部活動というと運動部をイメージする方も多いと思いますが、文化部も活発で、最近では文化部に魅力を感じて本校を選ぶという受験生も増えています。音楽部は何度も海外への演奏旅行を実施していますし、地学部、生物部などの部活動も独自性ある活動を行っています。河原で石を拾ってきたり化石を拾ってきたり、カエルや魚の研究をしたり、好きなことにとことん打ち込めるというのは、男子校だからこその魅力かもしれません。
清水先生ご自身は、明治大学付属中野中学・高等学校の学生時代に何の部活動をされていたのですか?
私は中学時代から音楽部に所属し、そこでコントラバスの演奏を始めました。本校就職後も音楽部の顧問をしていたのですが、その傍らで自分でも演奏活動を続け、オーケストラでの演奏やヨーロッパへの演奏旅行などをしていました。音楽部の生徒は私と同じようにほとんどが未経験で入部してくるのですが、そこから楽器の面白さに目覚めて努力して上達する生徒が多いですね。
指導する教員の熱意や、“本物”から学ぶ機会が部活動に打ち込むモチベーション
▲清水校長ご自身で所有するコントラバス
明治大学付属中野中学・高等学校で部活動が盛んに行われている背景にはどのような理由があるのでしょうか。
生徒自身の頑張りはもちろんのこと、部活動を大切にしている教員が多いことが大きいと思います。私自身もそうですが、本校の部活動は経験のある教員が顧問を担当するため、熱量が高いんです。教員が好きなことだからこそ生徒と一緒に本気でやる、その熱量が生徒にも伝わって、本気で部活動に取り組む生徒が多いのだと思います。
また、本校ではプロの指導者から指導を受けられるなど「本物」から学ぶ機会があります。音楽部でも、プロのオーケストラで長らく活躍されていた方から指導を受ける機会があるのですが、それでぐっと音が変わるんです。そういう経験も、部活動に打ち込む上でのモチベーションになっていると思います。
部活動で得られる自信やコミュニケーション能力が、人間的成長につながる
部活動に熱心に打ち込むことは、生徒さんの成長にとってどのような効果があると思われますか?
1つのことをやり抜くことで身につけられる力や自信というのは、勉強を頑張っているだけでは得られない、生徒の人間的成長にとって本当に大きいものだと思います。直近では野球部が波にのって良い成績を残しているのですが、勝ち抜いていくと生徒皆で応援に行く機会もあるため、全校に前向きで刺激的な影響が波及しているなと感じます。
また本校の部活動は中学校・高校合同のため、多年代・大人数の中での調整力やコミュニケーション能力、相手を思い遣る心を身につけられる点もメリットです。後輩にとって身近に憧れの存在があることは、上達のモチベーションにもなっていると思います。
明治大学付属中野中学・高等学校のスクールライフ
明治大学付属中野中学・高等学校の校舎はJR中央・総武線「東中野駅」から徒歩約5分、緑豊かな閑静な住宅街の中にあります。隣駅にある明治大学・中野キャンパスの存在を身近に感じながら、勉強だけでなく行事などさまざまな経験を通じて楽しい学校生活を送れる環境があります。
ここからは大学連携の取り組みをはじめとする明治大学付属中野中学・高等学校のスクールライフの特徴を紹介します。
明治大学の授業を体験できる、付属校ならではの中高大連携
▲出張講座を行うホール
明治大学の付属校として、大学とはどのような連携を行っているのでしょうか。
特に重視しているのが高校生のキャリアサポートです。本校では毎年高校1年生を対象に、明治大学の各学部長による「特別進学講座」を実施しています。早い段階から明治大学の学部や学科に対する理解を深めることで、大学の学びのイメージを形成し、進路選択の判断材料としてほしいという意図で行っています。
高校2年生以降は、実際に明治大学のキャンパスに行きます。特に高校3年次に行う「明治大学公開授業」は、各自興味のある学部の講義を実際に聴講できるため、生徒にとって大きな刺激になっています。「こんな難しいことをやるのであれば、今のうちからもっと勉強しなくては」という感想もあれば、「大学生って意外に真面目に勉強をしているんだと思った」という感想もあります(笑)。オープンキャンパスとは違う、大学のありのままの姿を見られるというのは、付属校だからこそのメリットです。
さまざまな経験を通じて「一生もの」の友達ができる
明治大学付属中野中学・高等学校の学校生活の魅力はどのような部分でしょうか?
生徒同士の関係を深めていけるのは、受験校ではない本校だからこその魅力です。中学校から入学した生徒は大学まで10年、また高校から入学した生徒もさまざまな行事を通じて打ち解ける機会が多々あります。
本校の生徒は、「いい奴だな」と言われるような子が多いのが特徴です。人間性を重視した本校の教育や、部活動や行事などのさまざまな経験を通じて、相手への思いやりをもった“いい奴”を育んでいける環境があります。
男子校ならではのあけっぴろげな空気感の中、仲間たちととても楽しい学校生活を送れるというのは、私自身の経験からも自信を持ってお伝えできます。私もいまだに中学校の同級生と年に数回集まっていますよ。本校の学校生活を通じて、一生ものの友達を作っていけるのではないでしょうか。
学校生活の中での教員と生徒さんはどのような関係性なのでしょうか?
先ほどお話した通り、本校は学習面や礼儀・礼節などを教員が厳しく指導する校風です。しかし教員はただ厳しくするのではなく、本当に一生懸命に生徒に向き合っています。さまざまな学校にお務めになった経験がある本校のスクールカウンセラーの先生からも「明大中野の先生は本当に生徒のために一生懸命ですね」と良くいわれます。
厳しいけれど、その分愛情を持って生徒に接しているからこそ、良い関係を築けているのではないでしょうか。
明治大学付属中野中学・高等学校からのメッセージ
最後に、明治大学付属中野中学・高等学校に興味を持ったお子様や保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
中学校以降の男の子は、家でのコミュニケーションを取りづらく感じることも増えていくでしょう。しかし保護者の方にお伝えしたいのが、少しずつ親が手をはなしていくこともお子様の成長にとっては必要だということです。だからこそ、信じて任せられる学校を選ぶことが重要です。
本校は保護者の方と学校のつながりが深く、保護者のサークル活動も盛んです。学校とのコミュニケーション機会が多いことは、保護者の方にとって安心材料になると思います。お子様はもちろん、保護者の方にとっても楽しめる学校だと思いますので、本校の教育を信じてお子様を任せていただけると嬉しいです。
清水先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
明治大学付属中野中学・高等学校の進学実績
2023年度の明治大学付属中野中学・高等学校の進学実績をみると、付属高校推薦入学で明治大学に合格した約80%のうち、文系・理系問わず10学部すべてが選択されており、多様な進路が実現していることがわかります。
また明治大学以外の幅広い進路選択にも対応できるよう、大手予備校の受験スペシャリストによる進学講演会など独自の進路指導を行っています。その結果、2023年度には国内最難関の東京大学をはじめとする国公立大学や、早稲田大学、慶應義塾大学といった難関私立大学への現役合格者を輩出しています。
■明治大学付属中野中学・高等学校の進学実績(公式サイト)
https://www.meinaka.jp/career/result.html
明治大学付属中野中学・高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ
ここでは、明治大学付属中野中学・高等学校に寄せられた卒業生、保護者、在校生の口コミを一部抜粋して紹介します。
在校生からは厳しい校則や指導を実感する声も多くありましたが、卒業生や保護者の口コミを見ると、それが生徒にとっての確かな力につながっていることが伺えます。同校ならではの文武両道を評価する声も多く、活発な部活動を支える施設面の充実も魅力として多数あがっていました。
明治大学付属中野中学・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人中野学園 |
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住所 | 東京都中野区東中野3丁目3-4 |
電話番号 | 03-3362-8704 |
問い合わせ先 | https://www.nakanogakuen.ac.jp/ web/inquiry/inquiry.php |
公式ページ | https://www.meinaka.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください