特色ある教育に取り組む“注目の学校”を紹介するこの企画。本記事では、愛知県名古屋市にある私立の男子中高一貫校「名古屋中学校・高等学校」を紹介します。
クラブ活動が非常に盛んな同校は、運動部・文化部ともに全国大会に出場経験がある有名校です。一方、学業にも積極的な文武両道の生徒が多いのも特徴で、毎年難関国立大学や私立大学に多数の合格者を輩出しています。
また、キリスト教の教えを軸にした人格教育に注力しており、礼拝やボランティア活動に取り組みながら、社会に出てからも役立つような考え方を育んでいます。
今回は、そんな名古屋中学校・高等学校の教育方針や取り組みについて、中学校教頭の立石先生と入試広報部長の塚田先生にお話を伺いました。
この記事の目次
社会に貢献する精神を養う。名古屋中学校・高等学校の教育方針
まず初めに、名古屋中学校・高等学校の教育方針について教えてください。
本校は、1887年に宣教師フレデリック・C・クラインが開校した小さな英語学校が起源です。創立以来、教育理念に掲げてきたのは「敬神愛人」。これは、「神様から与えられた能力を最大限に鍛え伸ばし、社会のため、他者のために発揮しましょう」という聖書の教えを表したものです。
自ら鍛え上げた力を、人のために活かすことができる。私たちは、そんな男子を社会に輩出することを目標に、生徒たちと向き合っています。
社会に出てからも心の支えに。名古屋中学校・高等学校の人格教育
▲礼拝中のようす。チャペル正面には、今年度の「主題聖句(聖書の一節)」が掲げられている
キリスト教主義にもとづいた学校ということで、何か特徴的な行事や取り組みはありますか?
週に1回、中学校は合同、高校は学年ごとに礼拝を行っています。春と秋の「伝道週間」には近くの教会から牧師さんを招いてお話しいただくこともありますが、普段は教員が持ち回りでちょっとしたスピーチ、いわゆる「説教」をするんです。
本校は生徒・教員ともにクリスチャンが多いわけではないのですが、クリスチャン・ノンクリスチャンに関わらず聖書の箇所を引用し、自身の体験談や教員の専門分野の話に結びつけて話をします。
具体的には、どんなお話なのでしょうか?
たとえば最近では本校のOB教員が「良い羊飼い」の話を聖書から引用して説教をしました。羊飼いは、聖書の中では「集団を導くもの」の比喩で使われます。
彼はかつて中学校のラグビー部でキャプテンを務めていたのですが、自分がチームを率いるのにふさわしいのか悩んでいました。それを教員に相談したら、「みんなの前に出て引っ張るだけがリーダーじゃない。後ろから支えることもリーダーシップのひとつなんだよ」と言われて、そこから自分なりにチームに貢献する方法を考えるようになったのだそうです。
「私たちみんなに自分の得意な部分が必ずある。だから、集団の中で何ができるか考えて行動すると、自分の力や個性が活かせるはず」と、そんな話でした。生徒たちも、「なるほど」と頷きながら真剣に話を聞いていましたね。
卒業生と思い出話をしていると、「あの先生の説教がおもしろかったですよね」といった話がよく話題にのぼります。卒業して何十年も経っている人がそんなことを口にするわけですから、やはり礼拝の時間は生徒にとって何かしらの学びやヒントを与え続けているのだと考えています。
自分の力を社会でいかに役立てるかを学ぶ「ボランティア活動」
▲能登半島地震のために募金活動を行う生徒たち
名古屋中学校・高等学校では、ボランティア活動もかなり盛んに行われていると聞きました。
はい。中学1年生では、今後6年間本校で学ぶことを意識したキャリア教育の一環として、学年をあげてボランティアに取り組みます。学校近くを流れる川の清掃活動を行ったり、キリスト教関係団体の福祉施設を訪問しお手伝いをしたりしています。
▲小学生向けラグビー教室に参加した生徒たち
自衛隊協力のもと、2023年度に行った「ボランティア体験学習」もそのひとつです。ロープワークや患者搬送、止血法など、自衛隊が災害時に行う本格的な支援活動を実践的に学びました。生徒たちは、真剣かつ積極的に参加していました。
▲災害救助ボランティア実習のようす
他にも、6年間通してクリスマス献金を行います。コーヒー1杯我慢するような気持ちで、少しずつ募金をしましょうと呼びかけて献金を募り、ホスピスや老人ホームに寄付するんです。また、本校の青少年赤十字(JRC)部による献血や募金活動、運動部が行う小学生向けにスポーツ教室や、障がい者スポーツのサポートなどを行っています。
さまざまなボランティア活動を通じて、生徒たちはどのように成長していると感じますか?
先ほどの説教の話と同じで、こういった活動の成果は在学中ではなく、卒業後に現れるのではないかと考えています。本校でボランティアに対する基本的な考え方や知識を身につけ、社会に出た後に自分が一生懸命取り組んだことをどう役立てるかをはっきりと理解する。それが本校の建学の精神が目指す教育であり、あるべき姿だと思っています。
運動部、文化部ともに強豪チーム多数。名古屋中学校・高等学校のクラブ活動
文武両道としても知られる名古屋中学校・高等学校。ここからは、そんな同校のクラブ活動について伺いました。
運動部:全国大会出場の常連!サッカー部からはプロになった生徒も
▲高校サッカー部は、全国高校サッカー選手権大会ではベスト8という結果を収め、日本スポーツマンシップ大賞2024も受賞!
まずは運動部の活躍ぶりについて教えてください。
ラグビー部は、春の全国大会に何度も出場経験があります。
テニス部も全国大会で優勝、準優勝の経験がある強豪チームです。ほかにも、水泳部やバドミントン部など、全部で14の運動部がありますが、なんといっても今盛り上がっているのはサッカー部です。
塚田先生はサッカー部顧問のおひとりだと伺いました。
はい。本校の中学サッカー部は、2023年度愛知県大会で初優勝、本校の高校サッカー部は、愛知県大会で初優勝、その結果、2023年年末〜年始に行われた全国高校サッカー選手権大会に初出場し、ベスト8に進出するという好成績を残しました。このとき攻撃の中心として活躍した生徒が、なんと2ヶ月後にはプロサッカーチームへの入団が決まったんです。
全国大会の際には、在校生や保護者の方だけでなく、全国に散らばったOBが一堂に会して大応援団を築きました。本人たちの頑張りはもちろんですが、こういった先輩の声援も大きな力になったのではないかと思います。
▲いかにも強そう!高校ラグビー部のみなさん
文化部:俳句・模擬国連などでの大会出場に、地元の人を招待する天体観測会も
文化部の活躍ぶりについても教えてください。
文学部はこれまで全国高等学校俳句選手権大会などに出場し、何度も団体入賞や個人賞に選ばれています。新聞やドキュメンタリーにも取り上げられてきた有名チームで、2024年は本校からエントリーした2チームともに、地方大会優勝を決めるという快挙を果たしました。現在は夏に愛媛県松山市で行われる全国大会に向けて腕を磨いているところです。
▲全国大会に向けて力をつけている文学部
人文・社会科学研究部も有名です。この部活は、「模擬国連部門」「減災チーム」「日本語討論部門」の3つに分かれて活動しています。どのチームもそれぞれの部門向けに開かれる全国大会で受賞歴があります。
▲被災地でボランティア活動を行う「減災チーム」のメンバー
また、天文・惑星地球科学分野の研究をしている自然科学部では、本校の天文台を使用したイベントが大変好評です。
8.5km先の1円玉が認識できる高性能な天体望遠鏡を備えているため、天文台に地域の方をお招きして天体観測会を行っています。みんなで夜空を観察しながら、生徒がその日のテーマに沿って2時間ほど惑星や星座の説明をするんです。
なかなか盛況で、参加者は多いときで軽く100名を超えます。親子連れで来られる方もいらっしゃいます。
文武両道の秘訣は、顧問のバックアップ体制&ミストシステムなどの整った設備
▲敷地面積の約半分を占める運動場
運動部も文化部も非常に優秀な成績を収めていますが、その秘訣はなんだと思われますか?
生徒ひとりひとりが情熱を持って頑張っているのはもちろんですが、顧問の教員のバックアップ体制が非常にしっかりしていることも理由のひとつだと思います。どの教員も、生徒が自分の実力を発揮できるようサポートすることに常に力を注いでいます。
本校では、誰かにやらされているという感覚ではなく、自分の意思で部活動も学業も両方頑張っている生徒ばかりです。もちろん簡単なことではありませんが、日々自己研鑽しながらこつこつ頑張ろうという雰囲気が校風としてあるからだと思います。
すばらしいですね。ホームページからは、学内の設備もかなり整っている印象を受けました。
2011年に人工芝化したグラウンドが1面あり、2023年3月に修繕を行い新しい人工芝になりました。芝にはミストシステムが入っており、夏場の授業や部活動の熱中症対策も万全です。
あとは体育館が二つあり、どちらも冷暖房完備ですし、全天候型のテニスコートは6面あります。ほかにも、温水プールやスポーツジム並みに器具が揃ったトレーニングルーム、卓球場に柔剣道場など、快適にスポーツができる環境が整っています。
▲クラブ活動だけでなく、体育や行事をする上でも設備が整った環境はありがたい。
名古屋中学校・高等学校からのメッセージ
▲お話を伺った中学校教頭の立石先生(左)と入試広報部長の塚田先生(右)
最後に、記事をご覧のお子さんと保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
本校は在校生だけでなく、OBの繋がりが強い学校です。私たち教員も異動がないのでずっと学校にいます。卒業したら終わりではなく、社会人になってからも、まるで第二の家のように戻ってきて、「あのときこうだったよね」と思い出話に花を咲かせられる、そんな温かな場所なんです。ぜひ学校説明会などでそのアットホームさを感じてもらえたらうれしいです。
6年間しっかりと生徒たちに向き合い、社会を生き抜く力を引き出す環境が本校にはあります。学業だけ、クラブ活動だけではなく、生徒自身の希望に沿ってあらゆる能力を身につけられますし、それをサポートできる頼もしい教師陣も揃っています。社会に貢献できる人材を目指して、ぜひ、ともに学んでいけたらと思っています。名古屋中学校・高等学校でお待ちしています。
本日はありがとうございました!
名古屋中学校・高等学校の進学実績
文武両道でクラブ活動にも学業にも打ち込む生徒が多い同校は、毎年、難関国公立大学や有名私立大学に多数の合格者を輩出しています。
2023年は、東京大学、大阪大学、京都大学、名古屋大学などの国公立大学に164名、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学などの私立大学に1416名が合格しています。
また、医学系学部の合格者が多いことも特徴で、同じく2023年は、国公立大学合格者のうち12名、私立大学では118名が、医学部、歯学部、薬学部、獣医学部の学部へ進学を決めています。
■近年の大学合格実績(名古屋中学校・高等学校公式サイト)
https://www.meigaku.ac.jp/career-guidance/
名古屋中学校・高等学校の保護者・在校生の口コミ
最後に、名古屋中学校・高等学校に通う生徒の保護者から寄せられた感想の一部をご紹介します。
熱心な教員が多い、文武両道で頑張っている、といった声がありました。また、「とにかく自由でのびのび通える」「入ってみたら想像以上に楽しかった」といった喜びの声も多数上がっていました。
名古屋中学校・高等学校へのお問い合わせ
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公式ページ | https://www.meigaku.ac.jp/ |
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