「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の自分と他者を愛する教育に注目|中高一貫校

中学校受験に興味があるお子さん・保護者に、今注目の学校を紹介する本企画。この記事では、三重県四日市市にある私立「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の教育活動について紹介します。

同校は1963年に、キリスト教・ローマカトリック教会に属するメリノール女子修道会によって設立されました。2017年からは共学の中高一貫校として、生徒たちの知性・人間性を育てています。過去の成績や出欠席にとらわれない育成入試や、独自の学習サポートシステムなど、手厚いフォローも好評です。

今回は、入試広報部長を務める伊藤先生と、「キリスト教倫理」担当の日数谷先生にインタビュー取材し、同校の教育理念や生徒さんの感性・心を磨く教育、ユニークな入試方法などについて詳しく伺いました。

四日市メリノール学院中学校・高等学校の教育目標とは

「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の伊藤先生

▲インタビューに対応してくださった伊藤先生

編集部

最初に、四日市メリノール学院中学校・高等学校の教育目標についてお聞かせください。

伊藤先生

本校はキリスト教精神に基づいて、高い知性と豊かな人間性を兼ね備え、社会に貢献する人の育成を目指しています。特に大切にしているのは、創立者のマザー・メリー・ジョセフが大切にしていた「ともしびが他のともしびをともす時、そのかがやきをます如く、けだかき心は、けだかき心をもえたたせる」という建学の精神です。

創立者は建学の精神を通して、生徒たちに「全世界が私たちの隣人なのだ」と伝えています。自分のともしびを他者に分け与えても、消えることはありません。分け与える行動が自分の心を豊かにしていくと考えています。

建学の精神には、「知識を他者のために活かし、世界を豊かにすると同時に、自らも成長してほしい」との思いが込められています。

四日市メリノール学院のキリスト教に基づく心の教育

「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の日数谷先生

▲キリスト教に基づく教育について説明してくれた日数谷先生は、四日市メリノール学院の卒業生

四日市メリノール学院中学校・高等学校はキリスト教の思想を軸に、学校生活を通して生徒たちの人間性を育んでいます。ここからは、同校の心を磨くカリキュラムについて、詳しく教えていただきましょう。

朝の「祈り」で1日をスタート。12月にはクリスマス祝典も開催

「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の生徒たち

▲12月の「クリスマス祝典」の最後には、全員で建学の精神を心に刻む

編集部

四日市メリノール学院では、キリスト教に基づいた心の教育に力を入れているそうですね。具体的に、どのようにして生徒さんの人間性を育てていくのでしょうか?

日数谷先生

1日の学校生活を「祈り」からスタートし、生徒たちが自分自身と向き合えるようにしています。各教室に十字架が掲げられているので、朝の祈りはクラス単位で実施します。祈りの時間になるとクラス全員が十字架のほうを向き、祈ります。

もちろん神との対話も大切ですが、今日を迎えられたことに感謝し、どのような1日にするかをじっくりと考える時間にしてほしいと思っています。

編集部

視覚・聴覚などの情報があふれる時代だからこそ、心を落ち着かせて自分を見つめる時間は大切ですね。カトリックの式典とされる「ミサ」などは、実施されるのでしょうか?

日数谷先生

毎年12月に「クリスマス祝典」を実施しています。神父さまも来校する式典の最後には、生徒がひとりずつ蝋燭(ろうそく)を持ち、ともしびを灯す儀式があります。

暗闇に生徒たちの手元にあるともしびだけが輝く会場内は、厳粛な雰囲気です。ろうそくの火を見つめたまま聖歌を歌い、本校で学んだ知識・思いやりをそれぞれの場所で広げていくことができるようお祈りします。

「キリスト教倫理」の授業を通して、自分・他者を愛する心を学ぶ

編集部

四日市メリノール学院は主要教科とは別に、キリスト教倫理の授業がありますよね。先生はキリスト教倫理のご担当とのことですが、どのような授業内容なのでしょうか?

日数谷先生

中学校・高等学校ともに、週に1時間の「キリスト教倫理」が設定されています。中学生は聖書の教えや、1979年にノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの生き方などを通し、キリスト教の価値観に触れていきます。高校生からは少し内容を掘り下げ、世界の貧困や社会問題などに目を向けていく流れです。

聖書にはキリスト教の根幹となる「隣人愛」が記されています。隣人愛とは、イエス・キリストが説いた「隣人を自分自身のように愛する」という考え方です。隣人に対する愛は、「自分は神から愛されている存在なのだ」と自覚するところから始まります。自分を認めることが、他者を思いやる心につながっていくんです。

SNSなどでよく、「自分がいなくても、だれも困らないのではないか」といった書き込みを見かけます。自分の価値に気付かない子どもたちが、増えてきているように感じますね。だからこそ、本校の生徒たちが、思いやりのある行動で「あなたは大切な存在だ」というキリスト教の愛を広めてくれることを願っています

編集部

キリスト教倫理の授業を通して、生徒さんはどのように変化していくのでしょうか?

日数谷先生

私は現在中学1年生を担当していますが、自分のことで精一杯だった生徒たちが、少しずつ他者に目を向けられるようになってきましたね。授業で「1人ひとりが大切な存在だ」と知り、友達にやさしい声をかけたり、感謝の気持ちを表現したりする生徒も少なくありません。「自分には何ができるだろう」と考える生徒が多く、授業中にはたくさん意見が飛び交います。

編集部

ここまで中学生について伺ってきましたが、高校生の反応も教えていただけますか?

日数谷先生

高校生になると思考が深まる分、授業中に考えがまとまらない生徒も少なくありません。クラスの雰囲気を見ながら、思考がまとまったタイミングでプリントに感想や自分の意見を書いてもらいます。

できる限り多くの生徒の考えに触れられるように、「グループワーク」という少人数の発表スタイルで感想や意見を発表し合っています。

編集部

生徒さんからは、どのような感想が出てくるのでしょうか?

日数谷先生

高校生になったばかりのころは、「自分なんて、何をやってもうまくいかない」と否定的な言葉が目立つ生徒もいました。しかし、彼らも授業を通して少しずつ、「自分にもきっと、できることがある」「他者のために行動することが、自分を大切にすることにつながるのではないか」と気付いたようです。

そのほか、マザー・テレサをはじめとする偉人の生き方に触れ、「社会に貢献する人になりたい」と、自分なりの目標を見出す生徒もいます。

修養会・奉仕活動で、「自分にできること」を考える

編集部

四日市メリノール学院は、「他者を大切にする心」を大切にされていますよね。生徒さんが、「自分には何ができるのか」を考えるような機会はありますか?

日数谷先生

中学校・高等学校ともに、各学年で修養会・奉仕活動を実施しています。修養会は神父さまを中心に、キリスト教に縁のある方々をお迎えし、話を聞く行事です。過去には、国際協力で活躍している方々から世界の今の様子を学び、自分たちにできることを話し合いました。

一方の奉仕活動は年に1回のペースで行い、学年ごとに内容が異なります。ある学年ではカンボジアでボランティア活動をしていた方の話を受け、学校を良くするための取り組みを考えました。学校を改善するためには校内を知る必要があるということで、生徒たちが校内を自由に歩き回りました。

ちょうど秋だったので、ある生徒が校舎の落ち葉を掃除している職員の姿を目にしたそうです。生徒から「見えないところで支えてもらっていることに気付き、直接『ありがとうございます』と伝えてきました」と報告を受け、成長を感じました。自分にできることをする行動が、視野を広げて、奉仕の心につながっていくと思います。

四日市メリノール学院は中高ともに「育成入試」を採用

編集部

四日市メリノール学院は、入試方法にも独自のスタイルを採用しているそうですね。中学校の入試方法について、詳しく教えていただけますか?

伊藤先生

中学校の入試方法には、育成・一般の2つのスタイルがあります。一般入試は一般的な入試と同じように、学力テストと個人面接(専願の受験者のみ)で合否を判断します。

育成入試にも学力テストがありますが、問題の7割ほどを事前に購入できる本校オリジナルの「育成入試問題集(中学入試用)」から出題するのが特徴です。学力テストの結果が合否を左右するので、問題集を繰り返し学習することにより合格に近づきます。

編集部

問題集は、御校の先生方が作成しているのですね。育成入試を採用しているのには、どういった目的があるのでしょうか?

伊藤先生

目標に向け、地道に努力できる生徒に入学してもらうことが目的です。問題集の内容を理解するためには、繰り返し学習が欠かせませんよね。できるようになるまで何度も問題を解くのは、想像以上に大変なことです。

実際に、問題集をやり抜いて合格した生徒たちは入学後、私たちと一緒に学校を作り上げていく際にもコツコツと努力できると考えています。そのような思いから、本校では「つづける力」をひとつの才能として評価します。

編集部

ここまで中学校について伺ってきましたが、高等学校にも育成入試はあるのでしょうか?

伊藤先生

もちろんです。高等学校には、推薦・一般・育成の入試方法があります。中学校と同じように、高校用の育成入試問題集から7割ほどを出題します。大きな特徴は、学校の内申点が合否に関係しないことです。もちろん調査書の提出はありますが、当日の学力テストの結果で合否を判断します。

高校入試では中学校が記載する内申書が、少なからず合否に影響します。出席日数も内申書の評価に関わってくるため、欠席が多かったお子さんはどうしても不利になってしまいます。本校はカトリックの学校なので、内申点に関係なく、目標に向けて努力するお子さんにチャンスをと思っています。

編集部

御校に入学してからの生徒さんの様子は、いかがですか?

伊藤先生

本校に入ったからといって、小学校・中学校で欠席が多かった生徒の全員が毎日通えるようになるわけではありません。途中までは頑張ったけれど、事情があって欠席が増えてくる生徒もいます。一方で、入学したばかりのころは登校するハードルが高かったけれど、通い続けるうちに学校が楽しくなったという生徒もいました。その生徒も含め、高校入学以降心機一転学校に通えるようになり、希望する大学に進学する生徒も多数います。中には、将来的に教員として本学に戻ってきたいと話す生徒もいます。

編集部

登校するのが難しくなった生徒さんには、どのように対応されていますか?

伊藤先生

これまでは別の学校を紹介するしかなかったのですが、2023年度からは高等学校に「通信制課程」が新設されました。全日制に通うのが難しい場合には通信制課程を選択し、自分のペースで学習を進められます。本校が好きで入学してくる生徒が多いので、新たなフォロー体制が整ったことをうれしく思っています。

文武両道!四日市メリノール学院のスクールライフ

「四日市メリノール学院中学校・高等学校」のグラウンド

四日市メリノール学院に入学すると、どのような学校生活を送ることができるのでしょうか。ここからは、学習サポート・行事・クラブ活動についてお聞きします。

独自のシステムで、生徒の自主学習をサポート

編集部

四日市メリノール学院は、学習サポートも手厚いと評判ですよね。具体的に、どのようにして生徒さんの学習をサポートしているのでしょうか?

伊藤先生

「Scritivo(スクリティーボ)」というオンライン学習システムで、生徒1人ひとりの学習状況を確認しています。Scritivoはプログラミングに知見がある理事長が、外部と協力して作成した独自のシステムです。

国語・数学・英語・理科・社会の問題が入っていて、生徒たちはタブレットでタッチペンを使って学習を進めます。我々は、授業を担当する生徒の画面をチェックします。

このシステムの面白いところは、生徒が問題を解く過程を可視化できることです。教員側の画面には「再生ボタン」がついており、生徒たちの書く・消すといった一連の流れを確認できます。さらに書き出すまでの時間を計測し、一定の時間が経過すると赤でマークしてくれます。解答だけでは見えにくい部分を把握でき、より1人ひとりの得意・苦手を考慮した指導につなげています

中高合同の「スポーツデー」で、学年・クラブを超えた絆を深める

編集部

中学生・高校生が一緒になって取り組めるような、学校行事はありますか?

日数谷先生

もちろんです。本校が5月に実施した(年度により月が変わる可能性あり)「スポーツデー」は、中学校・高等学校合同の行事です。4月に入学・進級してから最初の行事では、スポーツ競技を通してクラスの絆を深めます。

体育祭のような行事なので、自分たちの競技がないときには、他のクラス・学年の応援をします。特に中学生にとっては、高校生が活躍する姿を見られるいい機会ですね。技術面はさることながら、レースで転倒した生徒に駆け寄るといった思いやりに触発される中学生も多いです。行事後には「自分たちも高校生のように、困っている人に手を差し出せる人になりたい」という声も挙がり、心の成長につながっていることを感じます。

U16代表選出の選手も在籍!バスケットボール部が活発

「四日市メリノール学院中学校・高等学校」のクラブ活動風景

編集部

生徒さんたちからは、どのようなクラブ活動が人気ですか?

伊藤先生

中学校では、男子・女子ともにバスケットボール部が人気です。男子バスケットボール部には、U16の日本代表に選ばれた白谷柱誠ジャックさんも在籍し、全国大会の2連覇を果たしています。

彼は身長が190センチメートル以上あり、東京オリンピックの男子バスケットボールで活躍した八村塁(るい)選手の二世といわれることもある注目の選手です。

四日市メリノール学院中学校・高等学校からのメッセージ

編集部

四日市メリノール学院中学校・高等学校に興味を持っているお子さん・保護者へ向け、メッセージをお願いします。

伊藤先生

説明会などでもお話するのは、「お子さんに合った学校を見つけてほしい」ということです。どんなにカリキュラムが整った学校でも、お子さんとの相性が悪ければ成長にはつながらないでしょう。

公式サイトやパンフレットを見て「ここでいいかな」と決めるのではなく、実際に足を運び、学校の設備や生徒たちの表情などをご自身の目で確かめていただきたいです。その上で、メリノールを選んでいただけるなら、こんなにうれしいことはありません。

日数谷先生

私は本校の卒業生なのですが、先生と生徒の距離がとても近いと感じます。そのため、「先生、ちょっと話を聞いてください」と、気軽に話しかけられる雰囲気です。先生方はたくさんの生徒と関わってきた分、引き出しをたくさん持っています。

人生の先輩だからこそ、友達に言えないような悩みに対しても、きっと的確なアドバイスをもらえると思います。本校の教育に興味を持たれた方は、ぜひ本校にお越しください。

編集部

お話からも、悩みをひとりで抱えずに済むアットホームな校風が伝わってきました。

本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

四日市メリノール学院の進学実績

三重県四日市市にある「四日市メリノール学院中学校・高等学校」の春風景

四日市メリノール学院高等学校の卒業生たちの多くは、国立大学・私立大学・専門学校などに進学します。英語系の大学への合格実績が豊富で、2023年度には国立の東京外国語大学や、私立の関西外国語大学にも卒業生を送り出しています。

そのほか、難関私立大学に数えられる上智大学・関西大学・関西学院大学や、南山大学にも合格者を出していることから、大学受験に対応したカリキュラムと、先生方の指導力の高さがうかがえます。

公式:四日市メリノール学院高等学校「2023年度入試大学合格状況」

四日市メリノール学院中学校・高等学校の保護者からの口コミ

最後に、四日市メリノール学院中学校・高等学校の保護者から寄せられた口コミを紹介します。

少人数制で、1人ひとりに目が行き届いている。学習面で不安があれば、補習をしてもらえる。

先生と生徒の距離が近く、質問・相談をしやすい雰囲気の学校。

私立大学への推薦枠が豊富で、進学の門戸が広い点がうれしい。

口コミからも、生徒の自主性を尊重しながらも、必要なタイミングで丁寧にアドバイスする先生たちの姿がうかがえます。「職員室に個別質問用のスペースが設置されている」と、学習のサポート体制を評価する声もありました。

四日市メリノール学院中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 四日市メリノール学院
住所 三重県四日市市平尾町2800
電話番号 059-326-0067
問い合わせ先 問い合わせフォーム:https://maryknoll.ed.jp/contact.php
公式サイト https://maryknoll.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください