今回特色ある教育に取り組む“注目の学校”としてご紹介するのは、大阪府堺市にある「堺リベラル中学校・高等学校」です。この記事では、特に堺リベラル中学校についてご紹介します。
堺リベラル中学校・高等学校は、少人数制のきめ細かな指導によって“豊かな表現力を持つ女性”の育成に尽力している中高一貫の私立女子校です。中学校では楽器・ダンス・演技などの授業を通して感性を磨けるほか、高校ではそれらに加え、声優やイラスト、スピーチ、ディベート、プレゼンテーションへのチャレンジによって言語的表現力を高められます。
また、ビュッフェスタイルのランチで盛り付けの美学を学べたり、数種類のラインナップがある制服で自分なりのコーディネートを楽しめたりと、生徒の個性や魅力を引き出す環境が整っています。
今回、ぽてんでは堺リベラル中学校・高等学校の校長である重山香苗先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラムの魅力、校風などを詳しく教えていただきました!
▲取材にご対応いただいた重山先生。同法人が運営する堺女子短期大学の学長や香ヶ丘リベルテ高等学校の学校長であり、大阪私立中学校高等学校連合会副会長、大阪私立中学校高等学校芸術文化連盟会長も務めている
この記事の目次
一人ひとりの個性や魅力を伸ばす「堺リベラル中学校」
今回は、堺リベラル中学校の教育方針について教えてください。
本校は、2009年の中学校創設以来「一人ひとりを大切に育てる」といった教育方針のもとで学習指導を行っております。
また、併設の香ヶ丘リベルテ高等学校で以前に実施した文部科学省主導のプロジェクト『スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール』に採択され、中学校から英語を話せる教育の在り方や英語が嫌いにならない教育が必要と感じ、英語教育に力を入れています。
その取り組みでは英語の教員免許を持つ私も携わっていたのですが、楽しく英語を学んでほしいという想いで、生徒たちを関西国際空港へ連れて行ったことがありました。「アメリカ出身の人と会話する」などと書かれたビンゴカードを配り、ゲーム感覚で英語でのコミュニケーションにチャレンジする機会を設けたんです。
どの生徒も積極的に取り組んでいたのですが、意外と高校生の英語力が十分ではない印象だったんです。それをきっかけに「中学生のうちから手厚い英語教育を提供し、グローバル人材を育成したい」という想いが芽生え、2009年に堺リベラル中学校を開校いたしました。
そもそもが、国際化を目指す中で誕生した学校だったんですね。中長期的な目標は何でしょうか?
私たちは、『大阪で成績だけでなく人間力のある一番の女子校を創る』ことを目標として掲げています。
そのためには、生徒一人ひとりに寄り添ったきめ細かな指導が必要です。たとえば英語教育では発音記号から丁寧に教えているほか、コミュニケーション能力向上に向けて表現教育にも力を入れており、どの授業においても生徒の学ぶ意欲を引き出す仕掛けをたくさん施しています。
結果、「勉強しなさい」と言われなくても自発的に勉強する生徒が多く、“成績が上がる学校”と評価していただいていますね。たとえば例年取り組んでいる五ツ木の模擬テストでは、偏差値40ほどで入学した生徒が1年後には偏差値50まで上がるなど数値にもしっかりと表れており、保護者の方からの満足度も非常に高いです。
少人数制による手厚い指導により、生徒の人生を丁寧にサポート
きめ細かな指導を行うために、少人数制の環境づくりにもこだわっていらっしゃるそうですね。
はい。中学生は多感な年代であるからこそ、生徒の表情の変化に気づいて心の状態を汲み取れるような体制で教育指導を行うことが大切であると考えておりますので、中学校の募集は60名までとしております。
受け持つ生徒が少なければ、一人ひとりをしっかりと見つめることができます。それだけでなく、本校の体制として全教員で一人ひとりを見ています。それにより、生徒一人ひとりの人生を私たちが引き受けている覚悟を持ち、表面上だけではわからない個性や魅力を引き出してあげたいんです。
先生向けの講演などでは、私はいつも葉っぱの裏にネイルのラインストーンを付けたバラの花を持っていきます。その花を見てどう思うかを聞くと、みんな「キレイですね」「トゲがある」などとおっしゃって、葉っぱの裏まで見る方はほとんどいらっしゃいません。でも、裏まで見ると光輝いていて、そこには個性があふれています。
生徒も同様で、表面上の付き合いのみでは一人ひとりの個性や魅力に気付くことができません。広い視野で一人ひとりの生徒と向き合い、個性や魅力を引き出してあげることができれば、それが本人の自信になって素晴らしい花を咲かせてくれると考えています。
堺リベラル中学校の学力・表現力を高める英語教育
堺リベラル中学校では、通常の授業のほかに早朝テストや放課後学習、勉強合宿などを実施して基礎学力を着実に伸ばす指導を行っています。特に英語教育に尽力しており、多彩な取り組みによって「生きた英語の習得」を促しています。
具体的にどのような英語教育が行われているのかお話を伺いました。
まずは徹底した発音指導からスタート。英検対策も充実!
堺リベラル中学校では「生きた英語」を習得できるカリキュラムで指導されているそうですね。英語教育の特色について具体的に教えてください。
先ほど少しお話ししたのですが、英語の授業では発音記号からしっかりと教えて「海外で通用する英語力」の育成を目指しております。そのため、英語教員を採用する際にはネイティブと同等程度の発音かどうかを重視し、生徒には綺麗な発音に触れられる環境を提供しています。
また、英検対策を習熟度別に行っているほか、1次試験合格者には個別に2次試験対策を実施していることも大きな特色です。ネイティブ教員を含めた英語教員全員で生徒のチャレンジをサポートする体制が整っており、中学生で英検2級を取得する生徒も多くいるなど、しっかりと成果に結びついていると実感しています。
スピーチコンテストや国際交流を通してコミュニケーション能力を育む
日々の授業に加えて、英語関連のイベントや課外活動も充実しているそうですね。
はい。授業を通じて身に付いた英語を表現する機会を設けるために、スピーチコンテストや英語弁論大会等へ積極的に参加しています。また、高等学校では中学校で培った英語力を生かせる交換留学制度を設けています。
コロナ禍でここ数年は行えていないのですが、それまではハワイでの修学旅行でも英語力を試す取り組みを実施していました。現地のカフク中学校で本校の特徴や堺市の文化についてプレゼンテーションを行うなどの交流をするといった内容です。
ちなみに、かつてハワイへ向かう際に当時の堺市長からのビデオレターをホノルル市長へ届け、生徒が英訳して説明をし、帰国後にはホノルル市長からのビデオレターを堺市長に届けて和訳したことがありました。お互いのジョークもしっかりと理解したうえで的確に訳せており、まさに「生きた英語」が身についていることを実感してとても嬉しかったことを覚えています。
生徒たち自身も、そういった機会を通じて「もっと英語を勉強したい」と英語学習への意欲がさらに高まっている印象です。
堺リベラル中学校の表現教育・マナー教育・待つ教育
続いて、堺リベラル中学校ならではのプログラムや教育スタイルについてお話を伺いました。
プロ講師による授業で表現力を養う「表現教育」
御校が尽力されている「表現教育」について詳しくご紹介ください。
本校では自分の意思を相手に伝える「表現力」を磨くこと、そして自分が自信を持てる分野を見つけることを目的として、楽器・ダンス・演技といった授業を実施しています。
それらの授業では、本物に触れることが大切であると考えています。たとえば演技指導は系列校である堺女子短期大学の教授であり、NHK教育テレビの『ストレッチマン』でもお馴染みの宇仁菅真(うにすがまこと)先生が講師を務めてくださっていたり、ダンスは「D'OAM」というグループに所属されている著名ダンサーのMOCCHIN先生に教えていただいていたりと、その業界のプロから本格的な指導を受けられるプログラムです。
▲ヒップホップやジャズ、モダンといったダンスの授業を通じてリズム感とダンステクニックが身につきます
ちなみにMOCCHIN先生はヒップホップを教えてくださっているのですが、初回の授業でアンケートを配り、表には「中学を卒業したらどうしたいのか」を書き、裏には自分の似顔絵を描く時間を設けていました。すると、面白いことに普段の様子とは違い小さな似顔絵を描くある生徒の一面を発見したんですよね。
つまり、ダンスの授業だからダンスだけを教えるのではなく、あくまでその生徒なりの「表現」をしてもらうために、いろんな工夫をしているんです。生徒一人ひとりに合った指導方針を見つけていくことで、表現教育を通じて自己表現方法を身につけ、自信を深めていく生徒をたくさん見てきました。
「マナー教育」によって社会に順応する自立した女性を育成
御校ではマナー教育にも力を入れていると伺いました。具体的にどのような指導をされているのでしょうか?
女子の教育においては、礼儀作法やマナーを身につけることも重要であると考えています。丁寧な挨拶や言葉遣いはもちろん、洋食・和食それぞれのテーブルマナーもしっかりと教育し、社会に順応する自立した女性の育成を目指しています。
先日も会員制ホテルの「エクシブ」にてホテルの方と一緒に作り上げた和食のテーブルマナー講座を受講したのですが、和食のテーブルマナーは意外と知られていないんですよね。
「箸帯が巻いてあったらこうして取りましょう」「椅子は左から座ります」「軍艦巻きはガリを使ってお醤油を付けるんですよ」「天ぷらは手前から食べないといけません」など丁寧に教えていただき、たくさん学ぶことができました。
生徒に考える時間を設ける「待つ教育」が成長を促す
その他に、御校ならではの指導方針はあるでしょうか。
「待つ教育」というのはひとつのキーワードですね。自ら考えて行動し、ときには失敗も経験するなかで生徒たちは成長していくと考えており、本校では教員自身が答えを持ちながら、すぐに答えを教えずに「待つ」、つまり「生徒に考える時間を設ける」ことを心がけています。そうすることで、指示を受けて動くのではなく主体的に行動する姿勢が自然に身についていきます。
この主体性を体現するエピソードとして、ハワイの修学旅行中の出来事がありました。学校の決まりとして集合時間の10分前を集合としていたのですが、全行程遅れることなく全員が揃っていたクラスがありました。話を聞いたところ、集合時間10分前のさらに5分前に違う場所で集り、点呼を取ってから集合していると教えてくれたんです。非常に感心して、思わずアイスをごちそうしてしまいました(笑)。
生徒たちなりの考えや思いで行動した先には必ず大きな成長があると実感したので、それ以降もこの話はさまざまなシーンで生徒たちに共有しています。
堺リベラル中学校のスクールライフ
続いて、堺リベラル中学校の雰囲気や特徴的な施設、制服について教えていただきました。
個性を応援し合う校風。礼儀正しい生徒も多いと評判
御校にはどのような生徒さんが多いですか?
一言でいうと「個性豊か」ですね。表現力を高めたい生徒や勉強を頑張りたい生徒、ダンスをやりたい生徒など、さまざまなモチベーションで入学しています。
また、本校には公欠制度(※)があるため、活用しながら芸能活動をしていたり、テニスを本格的にやっていたりと個人活動に励んでいる子も多いです。それぞれの活動を応援し合っている様子がうかがえて、とてもアットホームな校風だと思いますよ。
(※)芸能活動やスポーツの大会、発表会などは公欠扱いとして対応する制度。本校では大会や舞台の出演で公欠扱いになった授業に関しては、必要に応じて随時補習などで対応し、授業に遅れないよう指導しています。
また、礼儀正しい生徒が多いことも本校の特徴だと感じています。先日もご近所の方から褒めていただいたのですが、路線バスに並んでいた際に本校の生徒が「私たちは大勢なので前にどうぞ」と声をかけたそうなんです。また、車内ではリュックを背負うのではなく前に抱える生徒も多く、「中学生で気遣いができるなんてすごいですね」とおっしゃっていただけました。
そういった姿を見て「自分もあんなふうになりたい」と入学を志望される子や、「わが子もあんなふうに育ってほしい」と子どもに受験を勧める親御様も多いと聞いております。
週1回のビュッフェランチでは「盛り付けの美学」も学べる
ところで、御校にはカフェテリアがあり、生徒全員がそちらで給食を食べるそうですね。
そうなんです。ガラス張りのカフェテリアで、温かい本格ランチを味わっていただけます。メニューは日替わりでアレルギー対応もあるほか、毎日職員が業者の方とミーティングを開くほど盛り付けにもこだわった自慢の給食です。
また、生徒自身にも盛り付けを体験してもらう目的で、週に1回ビュッフェスタイルの給食を取り入れています。盛り付けによって料理は何倍にも美味しく見えることを教えつつ、「色合いを考えながら盛り付けましょう」とアドバイスをしながら提供しています。
▲栄養バランスもバッチリ!本格的&美味しい給食を1食あたり約400円で味わえます。※高等学校も同様
卒業生のなかには一人暮らしで自炊した料理を写真に撮って親御様へ送っている生徒もおり、その親御様は「自分では絶対に真似できないような美しい色合いで盛り付けしているんです!」と感激されていました。まさに本校における6年間の盛り付けの指導の賜物であると実感しています。
コーディネートを自分で楽しめるおしゃれな制服
御校では制服の評判も高いですよね。こだわり等があれば教えてください。
女の子にとって制服はとても大切な要素ですし、個性を活かせる部分でもあるため、本校にて生地の選定からデザインまでとことんこだわりました。また、数種類を用意して自由に組み合わせできるスタイルにすることで、コーディネートを楽しめることも大きな特徴です。
素敵な着こなしをしている生徒を見つけたら褒めるように心がけており、生徒たちはとても喜んでくれています。
堺リベラル中学校からのメッセージ
最後に、堺リベラル中学校に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。
学校選択において大切なのは、「偏差値や学校名だけで決めるのではなく、その子どもさんに合う学校かどうか」だと思います。そして、入学されたらぜひ何事も諦めずにチャレンジしていただきたいです。
自分を信じて「できる!」と思ってチャレンジしていけば大きく成長できると考えており、その積極性や自主性をサポートすることが本校の使命だと思っています。まずはぜひ学校説明会等にお越しになり、本校ならではの魅力に触れていただけたら嬉しいです。
できれば、本校の高等学校に進学し、6ヶ年でゆっくりとしたペースで次の進路に向けて考えていってもらえたらと思います。また、理系にも強い堺リベラル高等学校のプロジェクトもスタートします。
生徒のチャレンジを支え、個性や自主性を伸ばす教育を行うなかで、一人ひとりの夢の実現をサポートされているのですね。礼儀作法も学びながら素敵な女性を目指せる、とても魅力的な学校だと感じました。
重山先生、本日はありがとうございました!
堺リベラル中学校卒業後の進学実績
堺リベラル中学校を卒業後は、堺リベラル高等学校へ進学できます。ここでは、堺リベラル高等学校の進学実績を紹介します。
堺リベラル高等学校は、奈良県立医科大学医学部医学科、近畿大学医学部医学科、筑波大学、和歌山県立医科大学、名古屋市立大学などの国公立大学をはじめ、同志社大学や関西学院大学、立命館大学、関西大学などの私立4年生大学にも多くの合格者を輩出しています。
そういった高い進学率の背景には、進路に合ったクラス編成や手厚い進路指導があります。高校2・3年生次に国公立大学・難関私立大学受験を目指す「表現進学」と芸術系・音楽系大学やその他4年制大学、堺女子短期大学などを目指す「表現アクティブ」の2種類のコースを進路に合わせて選択できるほか、朝の学習・放課後学習といった授業以外の学習サポートや、教員による生徒一人ひとりへの学習・進路相談など充実の体制が整っています。
堺リベラル中学校卒業生・在校生の口コミ
堺リベラル中学校の卒業生・在校生からは、特に校風や制服、給食、学習カリキュラムに対して大変高評価です。また、先生方の指導に関しても、「勉強も部活も熱心にサポートしてもらえた」などと満足している口コミが多く集まっていました。
また、表現教育は生徒たちの進路選択にも大きく役立っている印象です。実際に、卒業生を見るとカイロ国立舞踊団のバレリーナとして活躍していたり、小学校の教員になってダンスクラブを設立したりというケースもあります。
直接的に表現していくだけではなく、人前で魅せていく体験を通して自信が高まったことで「女性が少ない環境で女性のトップを目指したい」と考えて農業器具のメーカーに就職するなど、各自が自分らしいフィールドを見つけて活躍しています。
堺リベラル中学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人愛泉学園 |
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住所 | 大阪府堺市堺区浅香山町1-2-20 |
電話番号 | 072-226-8814 |
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