ぽてん読者の皆さんに、いま注目の学校を紹介するこの企画。本記事では「女性の自立と自活」を建学の精神に掲げ、社会に広く貢献する女性の育成を行う「学校法人 共立女子学園 共立女子第二中学校高等学校」を紹介します。
1970年に開学した同校は東京・八王子の丘陵地にあり、生徒たちは都内有数の広大なキャンパスで豊かな自然に囲まれながら学習や課外活動に取り組んでいます。
2022年4月には高校で新しいコース制を導入し、英語教育を強化した「英語コース」を新設。高校1年の3学期にニュージーランドへのターム留学を必修としているほか、英語を使うことだけでなく「英語で思考する力」を習得するためのプログラムを導入しています。
今回は、同校の教育方針や英語教育の特徴、充実した学校施設などについて入試広報部主任の戸口義也先生にインタビューさせていただきました!
この記事の目次
「セルフリーダーシップ」の育成を掲げる共立女子第二中学校高等学校
共立女子第二中学校高等学校は2023年度から「セルフリーダーシップ」をミッションに掲げています。これは、どのような力を育むことを目的としているのでしょうか?
当校を運営する共立女子学園は、複雑化する世界規模の課題にも適切に対応できる自立した人材を育成するため、2022年度に学園全体の新しい教育方針として「リーダーシップの共立」を打ち出しました。
当校ではこれを中高の教育現場に落とし込み、「セルフリーダーシップ」の育成を掲げています。人を統率する従来型のリーダーシップだけでなく、自分らしさを発揮しながら主体的に動き、周りにも良い影響を与えるセルフリーダーシップを育むことで、社会に広く貢献できる人へと成長してもらいたいと考えています。
これからの時代を見据え、自分の持ち味を活かして自発的に課題に取り組む力を育もうとされているのですね。
その通りです。セルフリーダーシップは2023年度に打ち出したばかりの教育目標ですが、教育現場では以前から体験学習などを通じて主体性を引き出すことを大切にしてきました。
それを改めてセルフリーダーシップという言葉にすることで、生徒は目指す姿を今まで以上にイメージできるようになると考えています。また、2024年度入学の受験生の中には、この目標に共感して当校を志望したと言ってくれた人が何人もいました。
直木賞作家の中島京子さんのように、社会で活躍する卒業生が多い
▲共立女子第二は美と伝統に触れ感性を伸ばすため、書道などの授業にも力をいれる。
25年以上にわたって生徒の皆さんを見守ってこられた戸口先生が感じる「共立女子第二らしさ」とは何ですか?
社会に出てから花開く卒業生が多いことですね。言い換えれば、そのためのポテンシャルを在学中にしっかりと身につけることができる生徒が多いということです。
化粧品メーカーでトップセールスウーマンとして活躍している卒業生もいれば、直木賞作家の中島京子さんのように文学の世界で花開いた卒業生もいます。多くの卒業生が得意な分野を見つけてそれぞれの場所で活躍しています。
▲直木賞作家の中島京子さんは創立50周年記念式典で基調講演を務めるなど、今でも共立女子第二との親交が深い。
社会で活躍できる人を輩出できる背景には、何があるとお考えですか?
型にはめない教育や、自立を最終的なゴールに掲げた教育に加え、女子校だからこその良さもあるのではないかと思います。つまり、女子校だからこそ「社会で活躍できる女性」を教育目標に掲げることができ、このような教育が女性の活躍やジェンダーギャップの解消に寄与してきたと考えています。
また、女子校には女性のロールモデルが周りにたくさんいるというメリットもあります。特に当校は中学と高校でキャンパスを分けていないので、先輩との距離が近く、お手本を見つけやすい環境にあると思います。
活躍ぶりを報告に来てくれる卒業生も多いのでしょうか?
そうですね。土曜日になると卒業生が何人かで遊びに来たり、部活動の先生に会いに来たりします。結婚や就職が決まったことを報告に来てくれる人もたくさんいますよ。
卒業生の充実した近況を聞くたびに、将来花開くための種をこの学校で植えることができたことを嬉しく思いますね。
共立女子第二中学校高等学校の特徴的な授業(英語・理科)
セルフリーダーシップを掲げる共立女子第二は、自分らしい学びや進路に対応するため、2022年度に高校で新たなコース制を導入しました。
国公立や難関私立を想定進路とする「特別進学コース」、多様な外部大学や共立女子大学などを幅広く目指す「総合進学コース」、共立女子大学の文系学部や共立女子短期大学を目指す「共立進学コース」のほか、グローバルに活躍できる生徒の育成を目指す「英語コース」が新設されました。
また、理工系や医療系のキャリアで活躍する女性が増えるなか、時代のニーズと期待に応えるため、体験や実験を重視した理科の授業にも力を入れています。
ここからは、同校の英語教育と理科教育の特徴について紹介します。
英語コースでは生徒全員が3ヶ月間の留学を経験
2022年4月に新設された高校の英語コースでは、どのような教育を行っているのでしょうか?
まず、英語力としては卒業までに英検準1級程度のレベルの習得を目指しています。英語の履修単位は他のコースの場合、3年間で22〜23単位ですが、英語コースでは31単位に設定しています。
また、高校1年の3学期に約3ヶ月間のターム留学(※)を全員が経験します。生徒はニュージーランドの複数の高校に分散して通い、現地の高校生や他国からの留学生と同じ授業を受けます。英語力が身につくことはもちろんですが、親元を離れて生活することや、自ら考えて行動することが求められる環境で過ごすことは、精神的な自立も促します。
(※)現地の学校に、1学期や2学期などの単位で1年未満通う(留学する)こと
普段の英語の授業では、どのような点を重視していますか?
世界中で語学教育事業を展開するベルリッツとも提携することでネイティブ講師による授業の割合を6割以上まで高め、英語を話すだけでなく「英語で思考する力」を伸ばす授業を行っています。
例えば、クリティカルシンキング(批判的思考)を主体とした探究プログラムとして、社会問題の理解から始まり、生徒が課題を発見し解決法を見出していく「PBL型(※)」の授業を英語で行います。
(※)問題解決型学習
また、英語コース以外のコースにも共通することですが、当校の英語の授業の最大の特徴は「4技能統合型」であることです。授業のなかで「聞く」「話す」「読む」「書く」という英語4技能全てを使用し、バランスの取れた英語力を育みます。
中学生は集中研修で英語漬けの数日間を過ごす
共立女子第二では、英語コースだけでなく、中学の段階から英語教育に力を入れていると伺いました。
当校では、英語の教科書を学年を超えて何度も活用し、音読も重視して内容や文法を確実にマスターする「レイヤードメソッド」を中学1年時から取り入れています。このようにして英語に馴染むことで、早い段階から「英語の核」を作り上げることができると考えています。
レイヤードメソッドで培った基礎力が土台にあるので、英語コースでは効率よく英語4技能を向上させることができます。
高校ではターム留学(英語コースは必修、他コースは希望制)やニュージーランドの姉妹校へのホームステイに行きますが、中学では通常の英語の授業以外に特別な研修はありますか?
中学生は毎年、夏になると英語の集中研修に参加します。1年生向けには、英語劇を通じて英語による自己表現力を高める「ドラマメソッド集中講座」を行い、2年生は福島県にある英語研修施設「ブリティッシュヒルズ」に滞在し、アクティビティやプレゼンテーションなどを全て英語で行うオールイングリッシュの3日間を過ごします。
3年生は、日本に来ている留学生とSDGsなどをテーマに英語で討論をする「エンパワーメントプログラム」と日本の食べ物や文化などの紹介を英語で行う「イングリッシュシャワー」の2つのプログラムにそれぞれの生徒が参加します。
4技能統合型の授業が英語の苦手意識を解消する
英語教育の成果が感じられるようなエピソードもあれば、ご紹介いただけますか?
英検のスコアが年々良くなってきているだけでなく、「英語が嫌い」と言う生徒が減りましたね。
当校では年に2回、英語に対する意識調査を行っており、以前は「英語が嫌い」と話す生徒が学年の4分の1ほどいました。しかし、4技能統合型の授業を行うようになってからはその割合がぐっと減りました。
訳読中心の詰め込み型の授業ではなく、アクティビティや集中研修などを通じて英語で表現する楽しさを実感できることが、英語好きの生徒が増えた要因なのかもしれませんね。
理科の実験を通じて伸ばしたいのは「科学的思考」
共立女子第二では、お茶の水女子大学と連携して授業でウニの人工授精に挑戦した経験を持つなど、理科でも実験を重視した教育を行われているそうですね?
当校には4つの実験室があり、中学の3年間で行う理科の実験は100前後にのぼります。実験室の外でも、菜園で野菜作りをしたり天文教室で良空を眺めたりと、さまざまな体験を行っています。
そのような授業を大切にする狙いは何でしょうか?
必ずしも理科のエキスパートを育成することだけが目的ではなく、科学的な思考ができる人を育成したいと考えているからです。
理科では、身の回りの不思議に気づき、実験や観察を通してその謎に迫り、検証していくことが求められます。このような「なぜ?」を追求する科学的思考力は、文系・理系を問わず社会において必要な力だと考えています。
共立女子第二中学校高等学校の学校施設を紹介!
共立女子第二は、東京・八王子の「月夜峰」と呼ばれる丘陵地にあります。月夜峰という名前は、戦国時代に八王子城主の北条氏照がこのエリアで月見の宴を開いたことに由来すると言われています。
そんな歴史ある地域にある同校のキャンパスは都内有数の広さで、約750人の生徒が豊かな自然に囲まれた環境で伸び伸びと勉学や部活動に取り組んでいます。
ここからは、戸口先生と校内のスポットを巡りながら、共立女子第二の生徒がどんな学園生活を送っているのかを探っていきます!
本格的な総合グラウンドなど屋外施設が充実
まずは、充実した屋外施設からご紹介いただきたいと思います。敷地が広大なだけあって、グラウンドも都心では考えれない規模ですね。
総合グラウンドは400mトラックやサッカーコート、約2,000人を収容できるスタンドを備えています。都心にある姉妹校の共立女子中学高等学校の生徒も運動会などで使うことがありますよ。
ほかにも、公式試合の会場としても使用されるテニスコートや、12の打席やグリーン、バンカーを備えた本格的なゴルフ練習場があります。
▲テニスコートは9面あり、公式大会でも使われる。
▲共立女子第二のゴルフ部は全国大会に出場するレベルだという。
6万冊の蔵書を誇る図書館には読書を促す仕掛けがたくさん
続いて、校内の特徴あるスポットとして図書館をご紹介いただきます。
図書館の蔵書は6万冊以上にのぼります。学習閲覧スペースもあるので放課後になると自習のために生徒が集まり、指定席のように毎日同じ席で勉強している子もいますよ。
多くの蔵書をお持ちですが、読書を推進するような取り組みもあるのでしょうか?
3年間で100冊読むことを目指す「3-100計画」を行っています。読書の習慣をつけてもらうため、朝読書の時間を設けているほか、スクールバスの車内などちょっとした空き時間を読書に活用することも推奨しています。
▲八王子駅から学校まではスクールバスで約10分。
また教室やオープンスペースなどにも自由に借りられる文庫を設置しているほか、学生向けの電子図書館も運営しており、パソコンやタブレットで読書することができます。
新着本や話題の本を集めたコーナーもありますね。次にどんな本を読もうか迷った時に参考になりそうです。
新着図書だけでなく、「おいしい」をテーマにした小説やエッセイを集めたコーナーや先生おすすめの本を紹介するコーナーなどもあります。
また、政治経済をはじめとする時事問題に関する本もコーナー化しています。最近の大学入試では現代社会の諸課題についても深く幅広く問われるので、日常的な読書を通じても視野を広げてもらいたいと考えています。
身近にファーム体験ができる「ポタジェガーデン」を整備
中庭には手作りの菜園があるんですね。
ここは2021年に整備された菜園「ポタジェガーデン」で、理科の授業で季節の野菜などを育てています。
今は、一緒の土に植えて育てることでお互いの生育に良い影響を与える植物の組み合わせ「コンパニオンプランツ」の栽培を行っています。
教室から簡単に移動できる中庭にあるので、休み時間などに成長の様子を観に来ることができそうですね。
ここに植えられている木は全て桜なので、春になるとお花見も楽しめますよ。
▲馬場が多い八王子の特性を活かし、枯葉と馬糞を用いた有機堆肥づくりも行われていた。
「ELLE」とコラボした制服は生徒からも好評!
共立女子第二の制服の特徴についても、ご紹介いただけますでしょうか?
当校ではデザイナーズブランド「ELLE」とコラボレーションした制服を採用しています。
中学生は若々しい紺色に桜色のパイピング、高校生は落ち着いたグレーに縦長のパイピングを施しています。リボンは中高共通で、共立女子学園のシンボルマークである桜にちなみ、桜色です。
生徒さんからの評判はいかがですか?
卒業する高校生に「当校のアピールポイントはどこですか?」と聞いたところ、「自然環境」に次いで2番目に多かった回答が「制服」でした。
2018年には、受験サイトが企画した東京都の高校の制服コンテストで人気ナンバーワンにも選ばれました。
お気に入りの制服を着ることは、学校生活のモチベーションにもつながりそうですね。
共立女子第二中学校高等学校からご家族・お子様へのメッセージ
最後に、記事をご覧の子どもたちと保護者の皆様にメッセージをお願いします。
共立女子第二は「引き出し」が多い学校です。ここに来れば自分の居場所が見つかり、自分が熱中できるものや、やりたいことに出会えると思います。
また、都心にはない豊かな自然環境も魅力ですので、ぜひ「東京の西」にも目を向けていただけると嬉しいです。
自然に囲まれた環境で過ごすことは、生徒にどのような影響を与えるとお考えですか?
伸びやかな感性が自然と生まれてくると思います。当校を訪れた外部の方にはよく「すれ違った生徒さんが元気に挨拶をしてくれました」と言っていただきます。伸び伸びと過ごすことで心に余裕が生まれ、相手を思いやった行動につながっているのかもしれません。
ご興味をお持ちいただけた方には、ぜひ一度実際に雰囲気を見に来ていただきたいです。見学に来て当校のファンになってくれた受験生もたくさんいます。
▲教室の窓の外には、季節によって表情を変える美しい山並みが広がる。
創立50年を超える伝統ある学校でありながら、セルフリーダーシップを掲げて次世代教育を行う共立女子第二。4技能をバランスよく伸ばす英語教育や科学的思考を養う理科教育など、社会に出たときに役に立つ学びが充実していると感じました。
本日は、ありがとうございました!
共立女子第二中学校高等学校の進学実績
共立女子第二では大学・短大への進学希望者がほぼ100%で、そのほとんどが進学を実現しています。
近年は志望進路が多様化しており、総合進学コースを中心に総合型選抜や学校推薦型選抜で外部大学に進学する生徒が増えています。2023年度は卒業生の38%が共立女子大学・短期大学に進学、54%が外部の大学・短大に進学しました。
また、理科教育に力をいれる同校では、生命科学系や医療系を志望する生徒も増えており、今では4割以上の生徒が理系の学部に進学しています。
早慶やGMARCH、3女子大といった有名私大に進学する生徒もおり、戸口先生は「生徒は、偏差値の高さではなく、興味のあることが学べるかどうかを考えた大学選びをしている」と話します。
■近年の進学実績(共立女子第二中学校高等学校の公式サイトより)
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/course/outline/
共立女子第二中学校高等学校に通う生徒の声
最後に、共立女子第二に通う生徒の声を紹介します。
高校では、どのコースの生徒も進路の実現に向けて仲間と切磋琢磨しながら学習に取り組んでいる様子が伝わってきました。
お問い合わせ
問い合わせ先 | 学校法人 共立女子学園 共立女子第二中学校高等学校 |
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住所 | 東京都八王子市元八王子町1-710 |
電話番号 | 042-661-9952 |
公式サイト | https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/ |