体験重視のカリキュラムが魅力!甲南小学校が力を注ぐ「個性を伸ばす教育」とは

この記事では、特色ある教育に取り組む“注目の学校”として、神戸市東灘区にある「甲南小学校」をご紹介します。

JR神戸線の住吉駅から徒歩で約5分ほどの場所にある同校は、110年以上の歴史を誇る私立の共学小学校です。隣接する幼稚園を含め、中学・高校・大学まで一貫校の流れが確立されており、一貫教育ならではののびのびとした環境のなかで「徳育」「体育」「知育」のバランスを重視した教育指導が展開されています。

教育面においては、毎月5のつく日に英語のミッションにチャレンジする「English Day」や児童が司会進行を英語で行う「英語朝会」をはじめ、姉妹校の子供たちや英国ケンブリッジ大学の学生との交流を毎年行うなどグローバル教育にも尽力。一方で、日本の風習や文化を体験できる「日本文化学習」を全学年において実施しており、礼儀作法と共に自国文化への理解を深められます。

今回、ぽてんでは甲南小学校の入試広報部長および図画工作専任教諭の西岡先生にインタビュー取材を行い、同校の教育方針や学習カリキュラムの特徴、校風などを詳しく教えていただきました!

一人ひとりの個性を大切にする教育を展開する「甲南小学校」

甲南小学校の西岡先生

▲インタビュー取材に応じてくださった西岡先生

編集部

まず、甲南小学校における建学の精神について教えてください。

西岡先生

本校では、1911年の設立当初から「人格の修養と健康の増進を第一義とし、個性に応じて天賦の才能を発揮させる」といった言葉を建学の精神として掲げています。これは創立者である平生釟三郎(ひらおはちさぶろう)先生によって定められた理念であり、平生先生は今から110年以上も前から子供たちの個性に着目されていました。

その理念は大切に受け継がれており、「思いやりのある子、あきらめない子、考える子」という3つのキーワードを子供たちと共有しながら、甲南生一人ひとりの個性を大切にする教育に取り組んでいます。1学年約60人で比較的少人数ということもあり、各児童としっかり向き合いながら指導を進めています。

編集部

「思いやりのある子、あきらめない子、考える子」を育てるために、具体的にどのような指導を行っていらっしゃるのでしょうか?

西岡先生

まず「思いやりのある子」については、相手への思いやりの心と感謝の心を大切にできる豊かな人間性を育成することを意識しています。具体的には仲間との関わりや他学年との交流ができる機会を多く取り入れており、児童たちの間では友達と協力したり、高学年が低学年のお世話をしたりすることは日常茶飯事です。そうした環境の中で、思いやりの心を自然と身につけていると感じます。

甲南小学校の読書朝会の様子

西岡先生

また、「あきらめない子」については何事にも挑戦し、最後まで取り組む姿勢を大切にしており、特に運動会は粘り強さを育成できる大事な行事です。中でも1年生から6年生まで学年ごとに距離のハンデを設け、全員が走って学年ごとに競争する「学年対抗リレー」の競技では、約1か月間学年全体で同じ目標に向かい、バトンパスや走り方の練習に取り組みます。

勝ち負けがハッキリと出ることから喜びも悔しさも大きいですが、それも貴重な経験だと思っています。また、担任や児童たちが一丸になって行う学年の練習を通して、チームワークの大切さを実感できることも大きな魅力です。

他にも、六甲山に登る「鍛錬遠足」を年に2回行っています。険しい山道もありますが、頑張った先にある達成感を味わうことが心身の強化に繋がると考えています。

甲南小学校の運動会で喜んでいる児童たちと鍛錬遠足の様子

▲運動会と鍛錬遠足の様子。鍛錬遠足では雪が残る斜面を助け合いながら登る。同じ目標に向かって努力し、達成できたときの喜びはひとしお

西岡先生

そして「考える子」については、各教科の授業において“自ら考え、自ら学ぶ時間”を多く設けています。また、ペアで協力したり、グループで話し合ったりする機会も意識的に取り入れており、そうすることでこれからの時代を生き抜くために必要な思考力・判断力・問題解決力・表現力・コミュニケーション力を育成することが目標です。

甲南小学校での話し合いの様子

▲意見交換する場がたくさんあることで、他者との価値観や考え方の違いに関する理解も深まります

西岡先生

たとえば私の図工の授業では「テーマ」「材料・用具」「技法」のうちのどれか1つを教員側で決め、その他の2つは子供たちが自分で選べるようにしています。授業のめあてはきちんと子供たちと共有しますが、できる限り自分たちで造形的な試行錯誤を繰り返してほしいと思い取り組んでいます。

ちなみに、甲南小学校には私が担当する図工を含めて英語、体育、音楽、図書などの専任教員も多く在籍しており、各児童の得意なことや好きなことをより伸ばしやすい環境です。そして、児童同士がお互いの個性を認め合っている校風であることも大きな魅力だと感じています。

甲南小学校の図工の活動風景

▲図工の活動を通して、自分自身を表現する力や友達の表現を認める力、クリエイティブな力を育みます

徳育のひとつである「日本文化学習」を通じて人間力の基礎を身につける

日本文化学習の授業風景

編集部

甲南小学校では心を磨く教育の一環として、日本の文化に触れる学習も取り入れていらっしゃるそうですね。

西岡先生

はい。本校には「日本文化学習」というカリキュラムがあり、1年生から6年生まで年間を通して日本の風習や文化を体験します。本校の卒業生でもある小笠原流煎茶道の小笠原秀邦先生にお越しいただき、校内の和室にて盛り花(生け花)体験や日本茶・和室の作法などを学ぶ授業です。

具体的には、1年生は和室での基本的な立ち振る舞いや箸の扱いを学び、2年生は正月の餅花づくりや流し雛など、日本の年間行事を体験しながら学習します。3年生も引き続き年間行事に触れながら茶摘み・七夕の風習や神社の作法なども学び、4年生は旧暦の9月9日の重陽の節句(※)の際に「菊の着綿」を行って健康を祈り、歴や十二支、年祝いに関する知識を深めます。
(※)重陽の節句:五節句のひとつで、菊の花を用いて無病息災を願う行事のこと

そして、5年生は花と向き合いながら生け花を行っておもてなしの花を生けたり、和室で松花堂弁当をいただきながら食べる順番などの作法を習得したりして、6年生は日本茶について学習して急須の使い方や美味しい淹れ方、訪問の作法などを学習する流れです。

実際に体験しながら学ぶことによって心得や作法が自然と身についていき、日本人が古くから大切にしていた心の教育にも繋がると考えています。私たち教員も児童たちと一緒に講義を受けておりますが、非常に興味深い内容で、知らないこともたくさんあるんです。

日本人の相手を思いやる精神や、ひとつひとつの動作を大切にしたり物を丁寧に扱ったりすることは、今の時代だからこそ大切なことだと感じます。卒業までにこれだけ多く日本の文化に触れられることは、甲南小学校ならではの徳育であり、人間力の基礎となっていくと確信しております。

甲南小学校の茶室での作法体験の様子、生け花体験の様子

▲実際にお茶や和菓子をいただきながら作法を習得。本格的な生け花も全児童が体験できる

編集部

こうした日本文化学習は、普段の学校生活でどのように生きていると感じていらっしゃいますか?

西岡先生

身近なところでは、挨拶する際にきちんと止まったり、帽子を取ったりすることが自然とできるようになります。また、物の受け渡し方も学ぶため、手袋なら手を入れるほうを相手に向けて渡す、紙袋なら持ち手ではなく側面を持って渡すなど、大人でも見すごしがちな正しい礼儀作法を身につけています。

編集部

ほかに、人間教育において特徴的な活動があればご紹介ください。

西岡先生

1年生から毎年校外学習を実施しており、1・2年生は1泊、3・4年生は2泊、5・6年生は3泊します。親元を離れ、集団生活のなかで協力し合いながら過ごす時間は貴重な経験であり、私たち教員にとっては児童たちの成長を感じられる大切なイベントです。

また、体育の授業の一環として甲南大学のラグビー部の方にお越しいただき、ラグビーを教えてもらえる機会があるなど、大学との連携を積極的に行っていることも児童に良い刺激を与えていると感じています。

甲南小学校でのラグビーの指導風景

▲ラグビー指導を通じて大学生と交流を深められることは、児童たちにとって貴重な思い出になります

甲南小学校の魅力あふれるグローバル教育

甲南小学校での国際交流についてプレゼンする児童

甲南小学校では各教科における学習指導も手厚く行っており、そのなかで特に力を注いでいるのが国際理解教育や英語教育といった「グローバル教育」です。ここでは、同校におけるグローバル教育の特色について詳しくお話を伺いました。

ケンブリッジ大学の学生やオーストラリアの姉妹校の児童との国際交流が盛ん

甲南小学校の児童たちがケンブリッジ生と交流する様子

編集部

甲南小学校の展開する「国際理解教育」について、目的や特徴を教えてください。

西岡先生

本校の教育理念の中に「世界に通用する紳士淑女たれ」という言葉があり、創設者の平生先生自身も世界で活躍されました。また、これまでの卒業生においても世界的に活躍している方が多く、そういった人材をたくさん生み出していくことを目標として国際交流の機会を多く設けています。

たとえば、毎年ケンブリッジ大学から大学生2名が来校して2週間滞在するのですが、その期間中は英語の授業の中で低学年は「歌の交流」、中学年は「遊びの交流」、高学年は「観光地の交流」といった内容で活動し、ケンブリッジ生に英語で話しかけたり、プレゼンをしたりします。

また、休み時間に遊んでいる様子を見ても、必死に英語で自分たちの思いを伝えようとしている姿は大変微笑ましく、たくましくもあります。

リアルな外国人の学生と交流できるとあって、児童たちはワクワクしながら彼らを迎え、全力で楽しんでいます。英語の得意・不得意に関わらず、非常に良い機会だと思います。

編集部

近い世代の方の英語を聞けたり、若者文化に触れたりできる経験はとても貴重ですね。ほかにもそういった交流の場はありますか?

西岡先生

3校あるオーストラリアの姉妹校からも毎年訪問があり、海外の子供たちともたくさん交流を行えます。また、5年生の春休みには希望者がオーストラリアへ9日間の交流旅行を行い、姉妹校の子供たちと交流したり、ホームステイなどを体験したりします。

交流旅行では親元を離れて英語で過ごすため、チャレンジやハプニングもあるようです。しかし、その分たくましく成長して帰ってくる児童が多いです。

ちなみに交流旅行の定員は20名で、希望者が多い場合は成績などで選考しています。児童にも保護者にも、例年大変人気のあるプログラムです。

甲南小学校でオーストラリアの姉妹校からの留学生が書道をしている様子と姉妹校と交流する甲南小学校の児童たち

▲オーストラリアの姉妹校との交流。日本では日本文化を体験してもらい、オーストラリアではスポーツやゲームで盛り上がる

手厚い英語授業や「English Day」「英語朝会」などのイベントで英語力を磨く

甲南小学校の英語の授業風景

編集部

英語の授業や校内でのイベントなど、グローバル教育の一環として行っていらっしゃることはありますか?

西岡先生

甲南小学校には日本人2名・外国人4名の英語専任教師がおり、多くの目でサポートしながら英語指導を行っています。全学年において週に3回の英語・英会話授業を設け、授業の中では必要に応じてICTを活用したり、ペアやグループ活動を行ったりしながら英語力や国際理解力の育成を目指している形です。

そのほかにも、全校生のイベントとして毎月5のつく日は英語(えい5)の5にちなんで「English Day」と定めており、休み時間になるとダジャレ好きな英語専科のマット先生が考案した英語のミッションにチャレンジします。また、児童が司会進行を英語で行う「英語朝会」も本校ならではの特色で、外国人教員の出身地について学んだり、みんなで英語の歌を歌ったりします。

編集部

甲南小学校では英語をアウトプットする機会が多いのですね。実際に英語力の上達具合はいかがでしょうか?

西岡先生

もともと英語が得意な子も全く経験のない子もいるのですが、甲南小学校の教育活動を通じてそれぞれ伸びています。6年生になると、全員が保護者の方に自分の夢などを英語でプレゼンします。

甲南小学校でのスクールライフ

甲南小学校の休み時間の様子(運動場)

続いては、甲南小学校におけるクラブ活動や校風について教えていただきました。

校内でクラブ活動やアフタースクール、お稽古を楽しめる

編集部

甲南小学校のクラブ活動やアフタースクール、お稽古での活動についてご紹介ください。

西岡先生

4~6年生は隔週でクラブ活動を行っており、サッカーや卓球、バドミントンといった体育的クラブ、図工や科学、音楽などの文化的クラブがあります。

また、アフタースクールは学童のような形で、専門の教員を配置し、卒業生にもサポートしてもらいながら宿題や遊びの見守り等を行っています。さらにお稽古には絵画教室やサッカー教室、陸上教室、書道など現在14種類の習い事を楽しめ、また校内ということで安心して学校生活を充実させることができます。

ちなみに、アフタースクールとお稽古では最長で17:30まで学校に残ることができます。日によっては、クラスの半分ほどの児童がお稽古を受けていることもあるほど人気があります。

児童と教員、児童同士の距離が近いアットホームな校風

甲南小学校の運動会で肩を組む教員と児童

編集部

甲南小学校の子供たちと先生方の関係性はいかがですか?

西岡先生

保護者の方などに「近い距離感ですね」とよく言われます。人懐っこくて積極的にコミュニケーションをとれる児童が多く、担任などいつも一緒にいる教員は家族のような間柄です。

編集部

児童さん同士の関係性についても教えてください。

西岡先生

児童同士の距離も近いです。「思いやりのある子」に関するお話で高学年が低学年の面倒を見る習慣があるとお伝えしましたが、そういった交流によって学年に関係なく仲が良いと感じます。

たとえば甲南小学校では1年生~6年生まで同じ駅を利用する児童たちによる集団登校を行っており、登校班別集会において集合時間や歩くときの並び方などを決めたうえで高学年が低学年を連れて行くことが伝統となっています。そういった班やチームによる行動・活動が校内のいたるところにあり、自然と距離が縮まっているように感じます。

学校と保護者の連携も良好◎

編集部

学校と保護者の連携についてはいかがでしょうか?

西岡先生

まず、保護者の方が学校に来ていただける機会が多いです。参観日も年間6回あるほか、もちろん運動会や発表会などのイベントにも見に来ていただけるため、お子様の学校での様子や教員との関係性などを実際に目で見てご確認いただけます。

また、連絡帳や電話等でも積極的にやりとりしており、できるだけ多く保護者の方とコミュニケーションをとることを心がけています。

甲南小学校からのメッセージ

甲南小学校の図書室での授業風景

編集部

最後に、甲南小学校に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。

西岡先生

甲南小学校には「甲南ファミリー」という言葉があり、学校生活の中で子供同士のつながりをとても大切にしています。その密な関係性は卒業後も続くことが多く、大人になっても交流を楽しめる「一生の仲間」に出会えることは甲南ならではの特徴です。

また、本校は神戸の地で非常に長い歴史と伝統があり、これまで多くの卒業生が関西や日本、世界で活躍されていますが、「甲南のつながりがいろいろなところで支えになった」といったお話を卒業生の方からよく聞きます。授業や課外活動の中で卒業生の方に助けていただく機会も多くて非常に心強いと同時に、そういった素敵なつながりのある環境下で過ごせることに大きな魅力を感じます。

なお、卒業後は多くの児童が内部推薦制度を利用し、男子は甲南中学、女子は甲南女子中学へと進学するため、一貫教育ののびのびとした環境の中でお子様の個性をより伸ばしていただけることもおすすめポイントです。一生の仲間と出会え、個性を磨ける甲南小学校に少しでも魅力を感じていただける方は、ぜひ一度、甲南小学校へ足を運んでみてください。

例年学校説明会やオープンスクールを開催しているため、よろしければ本校のホームページから詳細をご覧になっていただけたら嬉しいです。また、受験を考えてくださっている方を対象に体育科主任の木村が中心となって定期的に行っている「こうなんきっず・うんどうあそび」や年1回の「こうなんきっずまつり(様々な体験学習)」の機会もありますので、ぜひ併せてご確認ください。

ちなみに、インスタグラムや公式LINEなど各種SNSも私や入試広報部の教員が更新しておりますので、そちらで甲南生のリアルな日常もご覧になっていただけると幸いです。

編集部

ひとつひとつの教育活動を丁寧に、そして手厚く実践している甲南小学校なら、学力的にも人間的にも大きく成長できそうだと感じました。

西岡先生、たくさんのお話をありがとうございました!

▼公式SNSはこちら
甲南小公式インスタグラム
甲南の図工の公式インスタグラム「ずこうなん」
甲南小の公式LINE

甲南小学校へのお問い合わせ

甲南小学校の校舎と運動場

運営 学校法人 甲南学園 甲南小学校
住所 神戸市東灘区住吉本町1丁目12番1号
電話番号 078-841-1201(受付時間9:00~16:00)
問い合わせ先 ▼お問い合わせフォーム
https://www.konan-es.ed.jp/contact/
公式ページ https://www.konan-es.ed.jp/elementary/

※詳しくは公式ページでご確認ください