栃木県栃木市にある國學院大學栃木中学校・高等学校の校舎内と生徒たち

本物から学ぶ。國學院大學栃木中学校・高等学校の体験重視型の教育|中高一貫校

ぽてん読者の皆さまに注目の学校を紹介するこの企画。今回は栃木県栃木市にある中高一貫教育を行なう私立の共学校「國學院大學(こくがくいんだいがく)栃木中学校・高等学校」をご紹介します。

同校は平成8年に國學院大學の系列校として開校しました。世界に貢献する日本人を育てることを目指し、「学力(頭の力)」と「人間力(心と体の力)」を育てる教育を行なっています。

今回は中学校教頭の丸山先生と中高進路学習指導部長の小田先生に、同校が力を入れている理数教育や、国内外の文化に触れることで心を磨く教育、コロナ禍が明け本格化した国際交流について詳しくお話を伺いました。

國學院大學栃木中学校・高等学校の建学の精神

國學院大學栃木中学校・高等学校の校舎

編集部

初めに、國學院大學栃木中学校・高等学校の建学の理念について伺えますでしょうか。

丸山先生

國學院大學栃木中学校・高等学校の建学の精神は、「国体の講明(こうめい)」と「徳性の涵養(かんよう)」です。「国体の講明」とは、この国の成り立ちや文化・伝統を知ること、「徳性の涵養」とは、古来からの人としての道徳心を理解し養うことを意味しています。

これは母体である國學院大學の精神を受け継いだもので、大学の前身である皇典講究所にて、初代総裁の有栖川宮幟仁親王が述べられた「告諭」に示されています。

それらをわかりやすく示したものが「たくましく 直く 明るく さわやかに」という校訓です。「たくましく」とは身体面のみならず、精神的な面も含まれています。素直に明るくさわやかな中学高校生活を送ってほしいという思いのもとで、教育活動を行っています。

実際、生徒たちも明るく真面目で素直に、のびのびと育っています。

國學院大學栃木中学校・高等学校の自然体験学習

▲自然体験学習の様子

國學院大學栃木中学校・高等学校の「体験重視」の理数教育

國學院大學栃木中学校・高等学校の慣性の法則の実験

編集部

次に、國學院大學栃木中学校・高等学校で力を入れているという理数教育の特徴について教えてください。

小田先生

本校、特に國學院大學栃木中学校の理数教育においては、生徒に本物の体験をさせることを重視しています。理科が得意な生徒も不得意な生徒もいますが、幅広い理科の経験を提供することで、最終的には各生徒が自分の経験を発表し議論できるようにすることを目指しています。中学3年間の実験・実習を通じて、生徒がしっかりとレポートをまとめ、議論する力を養います。

実験を通して生徒が科学技術的な知識や問題を解く力を身につけることも重要ですが、さらに重要なことは、生命を尊重する態度を育み感謝の気持ちを持つようになること、実験で扱った事象や観察が特別なことではなく、私たちの日常生活や社会の中で見られることを理解させて、興味・関心を深めていくことです。そのようにすることで、一つひとつの実験を無駄にせず、最後までやり抜く姿勢を持たせることに繋がります。

編集部

無駄にしない実験とは、具体的にどのような実験を行っているのですか?

小田先生

動物のからだを学ぶ分野がありますが、そこでは、動物の腎臓や心臓を実際に解剖させることもあります。最近では、分かりやすく関心を高められるような理科の映像が増えてきましたが、私たちは実際に本物を見せて、構造や触感を実感させることを重視しています。印象を深めることで、身体の各器官のはたらきを「より知りたい」と思うことに繋がっていきます。

このような解剖のあとの振り返りでは、「命をいただいている」という感想を持つ生徒が多いです。そうした感覚が、実験中の集中力や真剣さにつながっていると感じます。

編集部

そのような授業を行うために先生方が工夫していることは何ですか。

小田先生

教科書で扱っている内容だけではなく、ニュースや時事問題を絡めて実験を行うことで、理科室だけではなく、日常生活の中でも自分で考える力を育みます。毎週行っている実験の時間は1時間40分ですが足りないと感じるほどです。授業や実験での内容を、家庭でも話題にしてもらうことで、コミュニケーションが広がることを期待しています。ただ学ぶだけではなく、生徒がどう感じるかを大切にしています。

天文学会のジュニアセッションでの発表も

國學院大學栃木中学校・高等学校の気体発生の実験

編集部

他に特徴的な取り組みはございますか。

丸山先生

中学2年生が毎朝百葉箱で観測を続けており、天文部がそのデータを分析しています。天文部には中学生や高校生が所属しており、何年分もの気温や雨量のデータを蓄積してきました。このデータを用いて、2024年は中学2年生が天文学会のジュニアセッションで発表をしました。

過去にこの天文部での活動を基に、大学の入試でプレゼンを行い合格した卒業生もいます。このように、代々の生徒たちが積み重ねたデータが活用され、さまざまな場所で発表の機会を得ています。

編集部

ジュニアセッションでの発表を経験した生徒たちにはどのような影響がありましたか。

丸山先生

全国から集まった同世代の中高生の研究発表を聞き、大いに刺激を受けたようです。自分たちももっと面白いことをやりたい、他校の取り組みを参考にしたいという意欲が高まりました。他校の生徒との交流や発表を通じて、視野が広がり、やる気が出たようです。

國學院大學栃木中学校・高等学校では国内外の文化に触れることで心を磨く

國學院大學栃木中学校・高等学校の校外学習(日光東照宮)

▲日光東照宮での校外学習

編集部

続いて、國學院大學栃木中学校・高等学校の感性や心を磨く教育についてお話しください。

丸山先生

本校は國學院ですので、日本の文化・歴史を学ばせる校外学習は他校よりも多いと思います。中学1年生は地元・栃木県の日光で東照宮や二荒山神社について学び、2年生は鎌倉で文化について、古典の平家物語などを絡めるなどして学びます。3年生は京都・奈良であたらめて日本の歴史や文化に触れる機会を持ちます。

そのように日本について学んだ上で、3年生の2月にオーストラリアでホームステイをします。1人1家庭で2週間ほど滞在し、異文化を体験します。その際に日本についてきちんと説明できることが必要ですので、日頃から校外学習で日本の文化について学び、学んだことを発表する機会を設けているのです。

また、茶道を体験したり、祖父母に暑中見舞いの葉書を書いてみるカリキュラムもあります。現在の生徒たちはスマホに慣れていて、手紙や葉書を書く機会が少ないため、郵政省の協力を得て手紙の書き方を教える活動を行っています。

國學院大學栃木中学校・高等学校の茶道と百人一首の体験

丸山先生

さらに、栃木市の秋祭りにボランティアとして参加し、地域の文化に関わる機会を設けていますし、博物館や美術館に行ったり、能・狂言の鑑賞など、日本の伝統的な文化に触れる機会を提供しています。特に能・狂言はなかなか鑑賞する機会がないので、生徒たちは楽しんでいるようです。

國學院大學栃木中学校・高等学校の能狂言鑑賞会

▲能狂言鑑賞会

オーストラリアのホームステイや海外研修で視野を広げる

國學院大學栃木中学校・高等学校のホームステイ先のホストファミリーとのお別れ

編集部

日本文化を色々と体験したことは、オーストラリアでどのように活かされるのでしょうか。

丸山先生

現地の学校との文化交流の際に、書道や浴衣の着付け、空手などを教えたりしています。1人1家庭のホームステイですから、生徒たちも初めは緊張しているようですが、翌朝、現地校に通ってきて、本校の生徒同士と日々の経験を共有することで、たくましく成長します。

また、英語を通じて他者とコミュニケーションを図る楽しさを感じ、帰国後も積極的にさまざまなことに挑戦する生徒が多いです。ホストファミリーとの交流が続くこともありますね。

私もオーストラリアに同行したのですが、そこで卒業生と偶然再会したこともありました。その卒業生は日本の大学を休学してオーストラリアに留学し、現地の学校に通いながらアルバイトもしていたということで、改めて生徒たちが国内にとどまらず海外で学び挑戦するハードルが下がっていると感じました。

オーストラリアでの留学やホームステイは、生徒たちにとって大きな意義があり、彼らがまた行きたいと感じるほどの良い経験になっていると思います。

國學院大學栃木中学校・高等学校の留学生との英会話授業

▲英語の時間に留学生と話している様子。校内でも校外でも英語を使う機会がある

編集部

中学3年生のオーストラリア以外には、海外で学ぶ機会はあるのでしょうか。

丸山先生

海外研修に関しては、2024年はロサンゼルスやドイツ、上海、シドニーに行く予定です。これらの研修は修学旅行や語学研修、単なる旅行とも異なるカリキュラムを用意しています。

例えば、現地の大学で講師をしている日本人のお話を聞いたり、ディズニーでのキャスト体験やボランティア活動など、現地の文化を学んだり視野を広げるような体験にしたいと考えています。

國學院大學栃木中学校・高等学校からのメッセージ

編集部

國學院大學栃木中学校・高等学校の校風や特徴について、補足があればお話しいただきたいです。

小田先生

本校の良いところは「国体の講明」と「徳性の涵養」という建学の精神が生徒に根付いている点だと思います。

感謝や道徳心、正義感が育まれ、思いやりを持っている生徒が多いです。また、さまざまな文化に触れる経験が人間性の豊かさにもつながっていると感じます。学んだ文化を他者に伝える力を養い、その経験が卒業後の人生でも活かされていると思います。

編集部

最後にぽてん読者にメッセージをお願いします。

丸山先生

本校の生徒たちは、太平山という山の麓にある自然豊かな場所でのびのびと学校生活を送っています。一度学校を見に来ていただけると、学校の良さもよりわかっていただけると思っています。

小田先生

本校では生徒を大切にしています。生徒と一緒にさまざまな経験を共有し、学ぶことが私たち教員の楽しみや生きがいにもなっています。

職員室でも生徒の話や将来について語り合っています。私は中学校の職員室に常駐していませんが、時々行くと温かみのある職員室だと感じます。こうした環境で育つからこそ、生徒たちも徳性がしっかりと育っているのだと感じます。

編集部

本日はありがとうございました!

國學院大學栃木中学校・高等学校の進学実績

國學院大學栃木中学校・高等学校の歴史の授業

令和6年度入試については、北海道大学2名、東北大学3名など国公立大学に71名、早稲田大、東京理科大、GMARCHに47名、國學院大學に80名が合格しています。

先取り教育により大学入試の実戦力を身につけていることと、特別講習などのバックアップ体制が功を奏したものと考えられます。

■進路実績(國學院大學栃木中学校・高等学校公式サイト)

https://kokugakuintochigi.jp/high/course/

國學院大學栃木中学校・高等学校の在校生・卒業生・保護者の口コミ

國學院大學栃木中学校・高等学校の校舎内と生徒たち

(在校生)日頃は各自で学習をしていますが、特に定期試験前などにクラスの仲間が集まり、団結して学習に取り組んでいます。先生方のサポートが非常に厚く、自学自習での質問に対してメールで対応してくれます。一緒に頑張れる仲間、サポートしてくださる先生に囲まれ、良い環境の中での生活に、居心地の良さを感じています。公式サイトより一部抜粋)

(卒業生)3年間ほぼ同じメンバーだったクラスメイトは、家族のように仲が良く、お互いに声を掛け合いながら頑張った仲間です。コロナ禍ではありましたが、仲間と過ごした毎日がとても良い思い出です。公式サイトより一部抜粋)

(保護者)中高一貫ということもあり、一定の方針に沿って学業・行事が多く行われており、中高6年間を安心して預けられる学校。部活は高校と合同で活動するので、先輩・後輩関係が人間性を育てている。

これらの口コミから、信頼できる仲間に囲まれ、安心して勉学や部活に取り組める環境ということがわかります。

國學院大學栃木中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人 國學院大學栃木学園
住所 栃木県栃木市平井町608番地
電話番号 0282-22-5511
問い合わせ先 https://kokugakuintochigi.jp/contact/
公式ページ https://kokugakuintochigi.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください