教養が身につき一生の宝になる「京都光華中学校・高等学校」の伝統文化教育|中高一貫校

ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介するこの企画。今回は京都府京都市にある私立女子校の「京都光華中学校・高等学校」を紹介します。

京都光華中学校・高等学校は、幼稚園から大学院までを擁する学校法人光華女子学園によって運営される中高一貫校です。「美しいひととなろう」をスクールコンセプトとし、真宗大谷派(東本願寺)の仏教精神に基づく教育を行っています。

京都光華中学校・高等学校では中高6年間通じて行われる茶道や華道、和歌などの伝統文化教育や、京都を題材にした独自の探究型学習など、特色ある教育プログラムを展開しています。2022年から高校に「医療貢献コース」「未来創造コース」「国際挑戦科」が設置され、より自分の興味に合った学びを深めていける環境があります。

今回はそんな京都光華中学校・高等学校の教育理念や、仏教教育、伝統文化教育の特徴、専門学科である「国際挑戦科」をはじめとするグローバル教育の内容などについて、同校校長の澤田先生にお話を伺いました。

仏教の精神に基づき「思いやりの心」を育む教育方針

京都光華中学校・高等学校の澤田校長

編集部

まずは京都光華中学校・高等学校がどのような学校なのかを教えてください。

澤田校長

光華女子学園は1939年(昭和14年)、まだ女子教育の必要性が浸透していない時代に、「これからの時代には女性の社会進出が必要だ」と考えた真宗大谷派(東本願寺)第24代門首夫人の大谷智子裏方によって創立されました。そこから80年を経て、現代ではまだまだ少ないながらも徐々に政財界への女性進出が進むなど、智子裏方の思い描いた未来が実現しつつあります。そんな今こそ、本校の6年間の教育を通じてさらに広い世界で活躍できる人材を育んでいけたらと思っています。

編集部

そういった創立時から続く教育への思いは、御校の校訓などにどのように落とし込まれているのでしょうか。

澤田校長

京都光華中学校・高等学校は大谷智子裏方が「仏教精神に基づく女子教育」を発願して設立された学校であることから、本校の教育の根幹には創立時から変わらず仏教の精神があります。本校の校訓である「真実心」が意味するところは仏の心、わかりやすくいうと「思いやりの心」です。御仏に自らを問い、慈愛に満ちた人として生きてほしいという願いを、生徒たちにもわかりやすいように「相手を思いやる心を大切にする」という言葉に乗せて、本校の根幹となる教育理念を伝えています。

豊かな心を育む。京都光華中学校・高等学校の教育プログラム

京都光華中学校・高等学校では、スクールコンセプト「美しいひととなろう」を実現させるため、豊かな心を育むための教育が実施されています。ここからは、そんな同校の特色ある教育プログラムについて紹介します。

毎週の礼拝や宗教行事で仏教の教えが浸透。慈悲心を大切にする文化が根付く

京都光華中学校・高等学校の花まつりの様子

編集部

御校の宗教精神に基づく教育活動の中で、特徴的な行事などはありますか?

澤田校長

お釈迦様が悟りを開かれた12月の成道会(じょうどうえ)、お釈迦様が入滅された2月の涅槃会(ねはんえ)など、大きな仏教行事の際は学校をあげてお祝い事や法要を行っています。その中でも最も大規模なのが、お釈迦様のご誕生を祝う4月の花まつりです。小学校から高校までの全校生徒が集まり、お仏壇をお祀りして献灯献花などを大々的に行っています。

京都光華中学校・高等学校の花まつりの様子

澤田校長

大きな仏教行事の他にも、毎週水曜日の朝には礼拝の時間を設けています。礼拝は仏壇を拝む時間であるとともに、生徒や先生の代表による「感話」を聞く時間でもあります。感話というのは仏様のお話に重ねて、自分の思いや感動した体験をお話するというものです。生徒にとっては、身近な人の話から「よりよく生きる」ためのヒントを得られる時間となっています。

編集部

そういった仏教行事に参加する生徒さんはどのようなご様子なのでしょうか。

澤田校長

花まつりはお釈迦様の教えに基づき、慈悲心を大切に、改めて思いやりの心を持ち続けることを決意する大切な日です。この日は、生徒一人ひとりが自宅から花を1輪持ち寄ってお釈迦様の周りを花でいっぱいにしたり、お釈迦様に甘茶をかけたりして祝福します。日々の生活を振り返り、改めて生き方を考える機会でもありますが、生徒たちは純粋に楽しみながら参加しているなと感じます。

それと同時に、真面目にしっかりと取り組む姿勢があるのも印象的です。涅槃会の際は大きな仏壇のある講堂に全校生徒が集まり、僧籍を持つ理事長の念仏を聞きながら生徒の代表が焼香をしていくのですが、皆本当に真面目に、厳かな雰囲気をつくり上げています。やはり毎週の礼拝の時間を行うことで、仏教行事に対して真剣に向き合う姿勢が育まれているのだと感じます。

豊かな教養が身につき一生の宝になる「伝統文化教育」

京都光華中学校・高等学校の伝統文化教育「華道」の様子

京都光華中学校・高等学校の伝統文化教育「茶道」の様子

京都光華中学校・高等学校の伝統文化教育「邦楽」の様子

京都光華中学校・高等学校の伝統文化教育「書道」の様子

スクロールで写真が見られます→

編集部

京都光華中学校・高等学校では仏教教育を基盤に、感性を磨く教育として「伝統文化教育」を実施されているのも特徴的ですよね。

澤田校長

そうですね。華道や茶道などの体験を行うこと自体は珍しいものではないと思いますが、本校の場合、伝統文化を正課の授業の中において、毎週必ず実施しているのが大きな特徴です。毎週火曜日に、中学校では週2時間、高校では週1時間の伝統文化の授業を実施しています。

編集部

伝統文化教育ではどのような体験ができるのですか?

澤田校長

中学校では茶道、華道、邦楽、書道、和歌、礼法、高校ではそれに加えて、着付け、日舞から選択可能です。これだけ多様な伝統文化を学べるのは、本校ならではの特徴だと思います。どの伝統文化も、各界の著名な先生方にご指導・監修いただき、生徒たちも皆真面目な姿勢で取り組んでいます。

編集部

生徒さんからは伝統文化教育に対してどのような感想が聞かれますか?

澤田校長

卒業して社会に出てからこの伝統文化教育が役に立ったという声はよく聞きますね。社会に出てからは礼儀作法が必要になるシーンが増えますが、そこですでに身についていると大きな差となります。

やはり日本の伝統文化を6年間しっかりと学ぶ中で、しきたりや礼儀作法を身につけることは将来にとって必要な力になるのだと思います。

また茶道や華道は一定期間履修することで許状の申請・取得ができるなど、自身のスキルにつなげられる点もメリットとなっているようです。

京都光華中学校・高等学校独自の探究型学習「京都+ベンチャー(京都アドベンチャー)」

京都光華中学校・高等学校の探究型学習「京都+ベンチャー(アドベンチャー)

編集部

京都光華中学校・高等学校で実施されている探究型学習についても教えてください。

澤田校長

本校では中学校・高校の両方で、京都+ベンチャー(京都アドベンチャー)という「京都」を軸にした独自の探究活動を行っています。自分で探究心を持って切り拓いていく「探究型学習」は全国の学校で重要視されていますが、そこに本校ならではの独自性を付け加えたのがこの京都アドベンチャーです。

編集部

中学校、高校それぞれの京都アドベンチャーの内容も教えていただけますか?

澤田校長

中学校の京都アドベンチャーは、身近な京都の伝統文化をテーマとしています。例えば中学1年生の1学期は京都の祇園祭にフォーカスし、そこから京都の伝統文化を紐解きレポートにまとめていきます。京都を題材にしながら、中学校3年間の中で地域や企業との協働、研修旅行でのフィールドワークを行い、コミュニケーション力や発信力といった探究に必要な力を身につける内容となっています。

高校でも京都をテーマに探究活動を行うのは同様ですが、それをどうビジネスにつなげていけるかというアントレプレナーシップ(起業家精神)を意識した学びを行っています。高校2年次には企業と連携した探究プログラム「クエストエデュケーション」を導入しており、1年間の学びの成果を「クエストカップ」という全国大会で発揮する機会があるのも特徴です。

編集部

生徒さんにとって身近な京都を舞台にしつつ、学校の外とも連携しながら段階的に探究の力を育んでいけるプログラムとなっているんですね。

多くの生徒が英検2級取得!実践的な英語力を培う英語教育

京都光華中学校・高等学校の「国際挑戦科」の様子

編集部

京都光華中学校・高等学校では英語教育をはじめとするグローバル教育に力を入れていらっしゃるとのことですが、どのような内容を実施されているのでしょうか。

澤田校長

これからの時代、大学受験はもちろん、その先の社会に出た後に活躍していく上でも英語の力は不可欠です。そのため光華女子学園全体で、幼稚園や小学校から英語の大切さや有用性を子どもたちに伝え、英語教育を推進しています。

特に高校からは「国際挑戦科」という専門学科を設けているのが特徴です。国際挑戦科は語学力と教養を身につけグローバルで活躍する人材育成を目的としたクラスで、学年によっては帰国生や海外留学生も含むクラス編成となっています。

国際挑戦科では英語の授業にかなり比重を置いた、普通科の教育課程とはまったく違う教育課程を組んでいます。文法英語を学ぶだけではなく、少人数制の授業で世界の社会情勢をテーマにディスカッションやプレゼンテーションを行う、実践的な英語力を培っています。国際挑戦科の生徒は、やはり進学先も英語を武器として活かせる大学を選択することが多いですね。

編集部

英語力向上の取り組みとして、国際挑戦科だけでなく全校的に実施されている取り組みはありますか?

澤田校長

中学校の放課後の学びの時間である「放課後Sタイム」などを通じて英検2級取得に向けたサポートを行っています。国際挑戦科に限らず多くの生徒は高校卒業までに2級を取得していますし、国際挑戦科の生徒は約半分の生徒が準1級に合格しています。

英語圏以外の国との交流も。海外の学生との交流を通じて、グローバル人材を育成

京都光華中学校・高等学校の「国際挑戦科」の様子

編集部

グローバル教育に関して、英語教育以外の部分で実施している取り組みがあれば教えてください。

澤田校長

異文化の理解やコミュニケーション能力の向上、グローバルな視点を育むため、海外の学生と積極的に交流する機会を設けています。例えばカナダなど海外からの留学生を本校に受け入れ、高校生との交流会を行うというのもその1つです。英語でお互いの文化を紹介し合うことで、コミュニケーションだけでなく実践的な英語力を育む機会にもなっています。

また、英語圏以外の国と文化交流を行っているのも特徴です。中学校ではフィンランドとのオンライン交流を行っていますし、高校の研修旅行では姉妹校提携を締結している台湾の国立台南女子高等学校を訪れ、現地の学生との交流を図っています。

特に台湾に関しては、こちらから出向くだけでなく台湾の学生さんを受け入れる相互交流を行っているんですよ。台南女子高等学校の生徒たちが本校に来てくださった際には箏曲、和太鼓といった日本ならではの音楽文化に触れていただきつつ、向こうの吹奏楽との合同演奏会や茶話会を通じて交流を深めています。

「医療貢献コース」では実際の医療現場でのインターンシップも

京都光華中学校・高等学校の医療貢献コースの「病院インターンシッププログラム」

京都光華中学校・高等学校の医療貢献コースの「病院インターンシッププログラム」

京都光華中学校・高等学校の医療貢献コースの「病院インターンシッププログラム」

スクロールで写真が見られます→

編集部

京都光華中学校・高等学校のその他の特徴的な教育プログラムについても伺います。まず高校から選択できる「医療貢献コース」はどのようなコースなのでしょうか?

澤田校長

医療貢献コースは保健・医療・福祉の専門的な学びに触れ、医療系進路の実現を目指すコースです。「オリジナルプログラム」と「アドバンストプログラム」の2つに分かれ、オリジナルプログラムでは京都光華女子大学への内部進学や私立大学、医療系専門学校を目指し、アドバンストプログラムでは国公立大学の看護学部や国公立・私立大学の薬学部を目指します。

京都光華女子大学には医療・福祉分野の学部・学科が多くあるため、そこへの内部進学を見越して高校の医療貢献コースを選択する生徒も少なくありません。

編集部

医療等の専門的な学びに触れる機会としてはどのようなものがありますか?

澤田校長

医療貢献コースでは、医療現場のリアルを学ぶ「病院インターンシッププログラム」を実施しています。夏季休暇を利用して2か所の病院を2日間ずつ、計4日間体験するもので、他のコースにはない医療貢献コースならではの取り組みとなっています。

実際の医療現場に触れることで、やはり厳しい経験をすることもあります。しかし多くの生徒にとってやりがいを感じ、学習意欲を向上させるきっかけとなっているようです。

京都光華中学校・高等学校からのメッセージ

編集部

最後に、京都光華中学校・高等学校での学校生活に興味を持った読者の方に向けて、メッセージをお願いします。

澤田校長

京都光華中学校・高等学校には、勉強を頑張る生徒や部活動に打ち込む生徒など、さまざまなタイプの生徒がいます。

本校では「放課後の学び」を大切にしているため、夕方5時半頃に本校を訪れていただくと、その特徴がよく分かると思います。「ビュッフェ講座」という幅広いジャンルの講座を受講している生徒もいれば、チューター配置型の自習室で自習をする生徒も、グラウンドでは全国大会出場を目指して部活動を頑張っている生徒を見ることもできますよ。

いろいろなタイプの生徒がいる中で、一人ひとりの個性と能力を尊重し、それを伸ばしていける環境があるのが本校ならではの魅力です。

学習状況や本人の目標を把握しながら希望の進路実現に向けてしっかりサポートしているため、中学校のときに成績が伸び悩んでいても国公立大学に進学する生徒も少なくありません。また学校生活に馴染みづらさを感じる生徒に対しても、しっかりと寄り添いながらサポートしています。生徒一人ひとりを大切にしている学校ですので、そこに魅力を感じるお子様や保護者の方は、ぜひ本校に来ていただけると嬉しいです。

編集部

澤田先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

※今回の情報は取材を行った2024年5月現在のものです。京都光華中学校・高等学校では、2025年度より一部コース名を変更する予定です。詳細は下記をご確認ください。

京都光華中学校・高等学校:コース別授業

京都光華中学校・高等学校の進学実績

京都光華中学校・高等学校のここ数年の進学実績を見ると、東京大学や大阪大学といった国公立の難関大学をはじめ、京都府立医科大学などの医療系大学への合格者も輩出しています。外国語大学や海外大学への進学実績もあることから、同校のグローバル教育の成果がうかがえます。

また、京都光華女子大学に内部進学した卒業生の内訳をみると、健康科学部看護学科が最も多くなっています。

■京都光華中学校・高等学校の進学実績(公式サイト)
https://hs.koka.ac.jp/senior/future/results/

京都光華中学校・高等学校の卒業生の声

ここでは、公式サイトに掲載されている卒業生のメッセージを一部抜粋して紹介します。

校門一礼や授業前後の挨拶、黙想などを通して自然と身についた美しい礼儀作法は、社会人生活でも役立っています。社会に出ることを見据え、そういったご指導をいただけたことにとても感謝しています。

今は保育士として(中略)仕事をしています。京都光華で学んだおもいやりの心や美しい立ち振る舞いを心がけ、子どもも保護者も笑顔で過ごせるよう仕事に励みたいです。

私が志望していた美術系の大学は、専攻や試験科目が特殊で不安でしたが、先生方が親身に相談に乗ってくださいました。また、周りの友人たちが目標に向かって努力する姿に勇気をもらいました。

学校行事、勉強のどちらにも真剣に取り組めるのが京都光華の魅力です。皆さんも自分に合ったカリキュラムで、やりたいことに精一杯チャレンジしてみてください。

京都光華中学校・高等学校の仏教精神に基づく教育や伝統文化教育が、社会に出たときに役立つ力となっていることが卒業生の方のメッセージから伝わってきました。また自分に合ったカリキュラム、進路を選ぶことができ、それに対する手厚いサポートがあることもうかがえます。

■卒業生メッセージ(公式サイト)
https://hs.koka.ac.jp/senior/future/voice/

京都光華中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人光華女子学園
住所 京都府京都市右京区西京極野田町39番地
電話番号 075-325-5223(代表)
問い合わせ先 https://hs.koka.ac.jp/inquiry/
公式ページ https://hs.koka.ac.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください