ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校をご紹介する本企画。今回ご紹介するのは、高知県高知市にある共学の私立中高一貫校「高知中学高等学校」です。
高知中学高等学校は125年の歴史と伝統を誇り、「至誠」の精神のもと、人や社会に信頼される人物の育成を目指しています。特筆すべきは、文武不岐を実現する充実した部活動と、生徒自ら出演するSNS発信などの先進的な取り組みです。野球、サッカー、剣道などの運動部や軽音楽部、ダンス部といった文化部が全国レベルで活躍する一方で、大学進学に向けた学習にも力を入れています。
さらに、熱心な教職員の指導と強力な卒業生ネットワークが、生徒の成長を力強く支えているのも大きな特徴です。中高一貫教育の利点を活かし、6年間を通じて一貫した成長を促す環境が整っています。
今回は、高知中学高等学校の教育理念やカリキュラムの特徴について、校長の田村先生、教頭の橋本先生、社会科教諭・広報情報部長・ICT委員会長の秦泉寺先生にお話を伺いました。
この記事の目次
高知中学高等学校の建学の精神「至誠」と「学校生活三原則」
はじめに、高知中学高等学校の建学の精神や教育目標について、お聞かせいただけますか?
本校の建学の精神は「至誠」です。これは、人や社会に信頼される人物の育成を目指すという意味合いを持っています。つまり、社会に出て役立つ人物を育てたいというのが私たちの一番の目標なんです。
「至誠」の精神を具体的にどのように実践されているのでしょうか?
まず、本校では文武不岐を重視しています。高知中学高等学校は部活動が強いことで知られていますが、勉強も疎かにしないよう指導しています。これは建学の精神を具現化する一つの方法ですね。
そうですね。単に部活動が強いだけでなく、しっかりと勉強もできる生徒を育てることで、将来社会に出てから活躍できる人材を育成しています。
建学の精神を身につけるために、生徒にはどのような言葉で指導をされているのでしょうか?
本校には「正しい身なり」「挨拶の励行」「清掃の徹底」という「学校生活三原則」があります。この3つの言葉を繰り返し伝え、6年間徹底的に指導しています。
3つの原則は、いずれも社会に出てからも必要不可欠なものです。正しい身なりは自己管理能力を、挨拶は他者とのコミュニケーション能力を、そして掃除は周囲への気配りと責任感を養います。これらを日々の生活の中で習慣づけることで、自然と信頼される人物になっていくんです。
プロ野球選手・プロボーカリストも輩出!文武両道を実現する部活動
▲高知高等学校の野球部は甲子園の常連校として有名
高知中学高等学校は、全国レベルで活躍する部活動がたくさんあります。具体的にどのような部活動がありますか?
高知中学高等学校は文武不岐を重視しており、運動部も文化部も非常に活発に活動しています。特に活躍が目覚ましいのは、野球部、サッカー部、剣道部などの運動部と、軽音楽部やダンス部といった文化部です。
まずは運動部の実績について教えてください。
高校では、野球部が甲子園の常連校として知られるほどの実力を誇っています。サッカー部も男女ともに活躍していて、特に女子サッカー部は今年で9年目を迎え、昨年末には初めて全国大会に出場しました(2024年8月取材時点)。剣道部や柔道部も、頻繁に全国大会に出場しています。
▲サッカー部、柔道部、剣道部など、多くの運動部が全国レベルで活躍
最近では陸上部やライフル射撃部でも、個人で全国優勝した生徒が出ています。中学校の部活動も負けていませんよ。今年は、野球部が日本一になったり、サッカー部は先日全国ベスト8を賭けて対戦したり、剣道部も男女団体で新潟の大会に出場したりしています。
野球部のOBには、プロ野球選手として現役で活動している森木大智、榮枝裕貴、木下拓哉などがおり、3人とも高知中学校から高校に進学した生徒たちです(2024年8月取材時点)。
文化部の活動についても教えていただけますか?
特に軽音楽部とダンス部が目覚ましい活躍をしています。軽音楽部は全国大会で準グランプリを獲得しました。また、「ROCK in JAPAN」の出場をかけて戦う「TEENS ROCK」という大会の四国地区高知大会でグランプリを獲得したバンドもあります。
美術部や写真部も積極的に活動していて、写真部は全国で入賞した実績があります。
▲写真部や美術部などの文化部も高い評価を得て活動している
本校では生徒の興味関心を大切にし、基本的には1人でも参加したい生徒がいれば文化部として運営していくスタンスを取っています。先ほどご紹介した軽音楽部も、バンド活動をしたいという生徒たちが10年くらい前に同好会として立ち上げ、現在まで積極的に活動している部活動の1つなんです。
生徒が本当にやりたいことに取り組めているのですね。運動部、文化部ともに全国レベルで活躍される部活動が多いことで、生徒たち同士で良い刺激を受け合っているのではないでしょうか。
そうですね。友人や先輩、後輩たちの活躍を見て、自分も強くなりたい、全国大会に出場したい、という想いが強まっていると感じますね。
また、部活動での活躍を目指して、県外から本校を目指して入学する生徒も増えています。強豪校としての実績が、さらに意欲の高い生徒を集める要因にもなっていますね。
強さの秘訣は、「中高一貫」「OB・OGとのつながり」「教員の熱量」
▲校内には各部活動の成績を称えるトロフィーなどが多数飾られている
高知中学高等学校は特定の部活動だけでなく、多くの部活動が高い成績を上げています。強さの秘訣として、どのような要因があるとお考えですか?
たくさんありますが、中高一貫のメリットを生かしていること、OB・OGとのつながり、教員の献身的な貢献の3つがあると考えています。
例えば野球部では、中学3年生が引退した後に高校生の練習に参加できるようにしています。中学生は軟式のボールを使っていますが、早い段階から硬式球に慣れることができます。公立の学校ではこのように中高をまたぐことはできませんが、私立では可能です。
また、ボールの違いやスペースの問題がある野球部・サッカー部以外の剣道部や柔道部、陸上部などは、中高合同で活動することでお互いに刺激を受け合うことができています。
私立の中高一貫校ならではのメリットがあるのですね。生徒たちの反応はいかがですか?
中学時代から高校の先輩たちの姿を間近で見ることで、自分の将来像を具体的にイメージできているようです。中高で同じユニフォームを着用しているのですが、高校生の先輩たちが甲子園の舞台でのプレーし、結果を出して校歌を歌う姿が、中学生にとって憧れの姿として映っていると感じます。
続いて、OG・OGとの関わりについて教えてください。
本校は125年の歴史がある学校ですので、多くの卒業生が高知県内外で活躍しています。そういった卒業生と現役の生徒たちとの繋がりが、非常に強いんです。
例えば、本校の野球部からはプロ野球選手も輩出していますが、そういった先輩たちが学校に戻ってきて後輩たちを指導する機会があります。中学生のうちから経験豊富なプロの先輩たちと交流できるのは、本当に貴重な経験です。元プロ野球選手の土居龍太郎さんが、中学校の野球部を指導してくれたこともあります。
文化部でも、卒業生が指導に来られることはありますか?
はい、例えば軽音楽部では、同好会時代の卒業生の中に東京で「See You Smile」というバンドでボーカルをしている方がいて、今年8月にフルアルバムをリリースしたんです。その方が学校に来てくれて、現役の部員たちと交流する機会がありました。
▲活躍するOBなどから指導をもらい、活躍する軽音楽部の現役部員
最後に、教員の皆さまのご指導についても教えてください。
本校の教職員は、本当に情熱にあふれています。生徒たちの活動のために、献身的に取り組んでいます。
例えば、長期休暇を利用して生徒を県外の遠征に引率したり、校内の宿泊施設を使って合宿をしたりと、本当に熱心に取り組んでいます。本校には7台のバスがあるのですが、教員の中には大型免許を取得して、自らバスを運転して遠征に向かう先生もいるんですよ。
学校の魅力を生徒が発信!リアルなSNS運用を通じて活躍と学びの場を提供
最近の教育現場ではIT教育が進んでいますが、高知中学高等学校ではどのような取り組みをされていますか?
本校では昨年度から生徒1人1台端末を導入するBYOD(※)を始めました。高校生は自分のパソコンを、中学生には学校からiPadを貸与しています。また、SNSを活用した学校PRにも力を入れていますね。
(※)BYOD:生徒個人が自分のデバイスを学校に持ち込み、利用すること。「Bring Your Own Device」の略。
学校でSNSを活用する取り組みはまだまだ珍しいと思います。どのような活動をされているのでしょうか。
はい、本校ではSNSを学校のPRや生徒の活躍の場として積極的に活用しています。もともとは、ITについて学校が指導していく上で、教員が最新のツールや技術に関する知識・経験を増やす必要があるという問題意識もあり、学校広報の取り組みとしてスタートさせました。
今の時代、SNSやパソコンの操作に関して、生徒の方が経験値も知識も高いという現象が当たり前に起きています。そこで、教員自身がSNSを活用し、発信していく中で、知見を蓄えて生徒への指導に生かしたいと考えました。
もともとは先生たちのスキルアップの意味合いもあったのですね。現在は、高知中学高等学校の生徒たちがどのようにSNS活動に参加されていますか?
現在では、学校のSNSが生徒の活躍の場の1つになっています。学校の広報活動に協力してくれる「キャンパスナビゲーター」というグループがあり、「キャンナビ」という名称でSNSに出演しています。校長先生へのインタビューなども行い、SNSで発信しています。
今年度は当校の野球部が春の選抜甲子園に出場し、NHKが学校紹介をしてくださったのですが、その際もナビゲーターの生徒が出演してくれました。テレビ取材の対応も、生徒が積極的に行ってくれています(2024年8月取材時点)。
生徒がテレビ取材の対応もされているのですね。
はい。ナビゲーターとして活動している生徒たちは、テレビ取材に2、3回出演していますね。すっかり慣れた様子で、「アナウンサーになれるのでは」と思うぐらい上手に対応しています。
テレビに出演したり、取材を受けたりする経験は、普通に学校生活を送っていればなかなか巡り合うことのない機会だと思います。普段の勉強や部活動も大事ですが、それ以外の経験も中高生の時代にたくさん積んでほしいと思っています。
学校がSNS発信などを強化しているからこそできる体験ですね。
はい。ただ高知中学高等学校の生徒たちは日々勉強に部活動にとても熱心に取り組んでおり、ナビゲーターの生徒たちも、進学クラスに所属していたり、部活動で活躍したりしています。それらの学校活動の負担にならないように、「ナビゲーターの活動はおまけくらいの感覚で大丈夫だよ」と伝えるようにしています。
ナビゲーターなどの活動を通じて、生徒たちのどのような成長を期待されていますか?
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、時代は大きく様変わりしました。例えば生成AIツールの普及によって企業活動が急激に発展しましたし、企業のPRにSNSを活用することも当たり前になりつつあります。学校でSNSなどの取り組みに参加した経験が、社会に出た後に少しでも活きてくれると良いなと願っています。
また、SNSの正しい使い方を学ぶ良い機会になってほしいとも思っています。SNSを実際に活用する中で、その可能性と同時に注意点も学べるんです。SNSのスキルやリテラシーは、現代社会を生きていく上で非常に重要なスキルだと考えています。
SNSの良い点だけでなく、気を付けるべき点も実践の中で学べているのですね。
はい。最近の生徒たちは、小学生からSNSを使用しています。良い面も悪い面もあることを知り、正しい使い方を学べるよう、学校の中で指導する必要があると考えています。
高知中学高等学校からのメッセージ
▲お話を伺った秦泉寺先生(左)、田村校長(中)、橋本教頭(右)
最後に、高知中学高等学校に関心のある保護者や学生に向けて、メッセージをお願いします。
高知中学高等学校は、「至誠」の建学の精神のもと、生徒たちの「人作り」に注力しています。本校が目指しているのは、単に部活動が強い学校ではありません。「スポーツの強い進学校」です。つまり、部活動で優れた成績を収めながら、同時に高い学力も身につけられる学校を目指しています。
また、本校は創立125年を迎える高知県内でも歴史と伝統のある私立学校です。この長い歴史の中で培ってきた教育理念や方法を大切にし、現代の教育ニーズに応えながら、熱心な教員が日々指導にあたっています。ぜひ一度本校に足をお運びいただけると嬉しいです。
今回の取材を通じて、勉強に部活動に全力で取り組む高知中学高等学校の強さの秘訣、伝統と先端ツールが融合した教育の取り組みを知ることができました。ありがとうございました!
高知中学高等学校の進学実績
高知中学高等学校は、高知大学や高知県立大学、徳島大学などの国公立大学のほか、慶應義塾大学や青山学院大学、中央大学などの有名私立校にも進学者を輩出しています。
また、高知学園大学、高知リハビリテーション専門職大学など、グループ校への進学実績も豊富です。
公式:合格状況
高知中学高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ
▲在校生・卒業生からは部活動における実績の高さに関する良い評判が多数
最後に、高知中学高等学校の卒業生、保護者、在校生の口コミをご紹介します。
部活動や進学実績、先輩・後輩間や教師との人間関係の良さに対する高評価が複数見つかりました。
高知中学高等学校へのお問い合わせ
運営 | 高知中学高等学校 |
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住所 | 高知県高知市北端町100番地 |
電話番号 | 088-840-1111 |
問い合わせ先 | https://www.kochigakuen.jp/contact.html |
公式ページ | https://www.kochigakuen.jp/ |
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