生徒の“個性”を引き出す「京華中学・高等学校」の教育方針とグローバル教育の魅力

ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介するこの企画。今回は東京都文京区白山にある私立中高一貫校(男子校)の「京華中学・高等学校」を紹介します。

京華中学・高等学校は1897年(明治30年)に創立された、130年弱の歴史を持つ伝統校です。生徒の“個性”に重点を置き、学習面だけでなく行事やクラブ活動などあらゆる活動を通じて生徒の人間的成長を促す教育を展開しています。

今回は入試広報主任の池本先生に、2016年から進められている同校オリジナルの「グローバルエデュケーション」や、クラブ活動の魅力について詳しくお話を伺いました。

“英才=生徒それぞれの個性”を引き出す、京華中学・高等学校の教育方針

京華中学・高等学校入試広報主任の池本先生

▲インタビューにご対応いただいた池本先生

編集部

まずは御校の建学の精神について教えてください。

池本先生

京華中学・高等学校では1897年の創立以来、「天下の英才を得て之を教育す」を建学の精神に掲げて教育を推進しています。「天下の英才」とは人より優れた才能や天才のことではなく、本校では「生徒それぞれの個性」と捉えています。中高6年間を通じて生徒一人ひとりが自分の持つ個性や可能性に気づき、それを磨き上げていけるよう導いていくのが本校の教育方針です。

京華中学・高等学校の建学の精神

▲京華中学・高等学校の建学の精神

編集部

御校の建学の精神は、実際の教育活動にどのように落とし込まれているのでしょうか。

池本先生

特定の活動というよりも、勉強や行事、部活動などあらゆる教育活動の根幹にこの建学の精神を据えています。「部活動に打ち込んで結果を出した」「苦手だと思っていた教科が得意になった」、そういう一つひとつの経験を生徒が自信や強みに変えていけるような教育を展開しています。

本校は全体的に、控え目で優しい子が多い学校です。そういう穏やかな雰囲気が本校の魅力ではありますが、一方で自信を持ち切れていない子が多いという面もあるんですね。自信がないとどうしても苦手なこと、経験の少ないことを避けてしまう傾向があります。だからこそ我々がさまざまなことへのチャレンジを働きかけ、生徒一人ひとりの自信や強みを引き出していきたいと考えています。

そのために大切にしているのが、安心・安全な環境づくりです。学校生活の中で何か不安があると、どうしてもチャレンジに二の足を踏んでしまいますよね。生徒がのびのびとチャレンジできるよう、安心して学校生活を送れる環境づくりを心がけています。

生徒の人間的な成長を見据える「ネバー・ダイ」「ヤングジェントルマン」の校訓

編集部

京華中学・高等学校は校則も特徴的ですが、そちらについても意味や込められた想いをお聞かせいただけますか?

池本先生

本校の校訓は「ネバー・ダイ」と「ヤングジェントルマン」の2つです。「ネバー・ダイ」は、本校の創立者である磯江潤氏が晩年病に伏しながらも教育に尽力し叫んだメッセージで、「最後まで諦めない」精神を表しています。生徒が自身の個性や可能性を磨いていく上でも、この「ネバー・ダイ」の精神は欠かせません。

「ヤングジェントルマン」は「若くても紳士たれ」という意味が込められた言葉です。学生の間は子どもらしさを発揮できる期間でありつつ、同時に社会に出るまでの準備期間でもあります。そのため身だしなみや言葉遣い、礼儀や礼節を中高の時代に身に付けられるよう指導を行っています。制服の着こなしや頭髪検査も学期ごとに数回実施し、生徒に見た目を整えることの大切さを伝えています。

編集部

中高の6年間そういった指導をすることで、生徒の皆さんの変化は見られますか?

池本先生

学生時代よりもむしろ卒業した後に、「ヤングジェントルマン」の指導の意義を実感する生徒が多いようです。実際に卒業した生徒からも「京華中学・高等学校での指導が社会人になってからの振る舞いにつながっている」という言葉を聞くことも良くあるため、大変意味のある指導なのだなと感じています。

中学校から海外での生きた英語に触れる「グローバルエデュケーション」

京華中学・高等学校のシンガーポールの研修旅行

編集部

続いてグローバル教育のテーマについて伺います。御校の取り組まれている「グローバルエデュケーション」について、概要を簡単に教えていただけますか?

池本先生

「グローバルエデュケーション」は京華中学・高等学校が2016年から実施している英語・国際理解プログラムです。中学校から高校にかけて学年に応じたさまざまなグローバルプログラムを実施し、英語や国際社会への興味・関心を喚起しながら英語力、国際感覚を高めています。

まず中学1年生では「イングリッシュ・デイ」というプログラムを実施しています。年に2回、外部から招いたネイティブ教員20名弱と一緒にオールイングリッシュの環境で英語に親しむ体験を行うもので、ゲームなどのレクリエーションを通じて英語でコミュニケーションを取る楽しさを体感してしてもらっています。

中学2年生ではそれをさらに進化させた「イングリッシュ・キャンプ」という3泊4日の宿泊プログラムを実施しています。「イングリッシュ・デイ」と同様にネイティブ教員に入ってもらい、英語を使って生活をすることでリスニングやスピーキングの能力を鍛えています。

中学1、2年のプログラムを経て、中学3年生ではより実践的に英語を話すプログラムを実施します。その1つが「B&Sプログラム」という、留学生との交流プログラムです。本校の生徒が留学生と英語でコミュニケーションを取りながら上野動物園や浅草寺、お台場といった東京の街を案内する内容になっています。

編集部

海外の学生と長い時間コミュニケーションを取るということで、「イングリッシュ・デイ」や「イングリッシュ・キャンプ」以上に英語力が求められますよね。

池本先生

はい。しかしそれまで積み上げてきた英語力を発揮する場として、皆堂々とコミュニケ―ションを取っていますよ。物怖じせずに英語を話している生徒の姿を見ると、本当に3年間の成長を感じます。

編集部

中学3年生では、他にどのようなプログラムを実施されているのでしょうか。

池本先生

3年間のグローバルエデュケーションの集大成として、全校生徒を対象としたシンガポールへの3泊4日の研修旅行を行っています。元々本校には希望制の海外研修プログラムしかなかったのですが、実際に海外を経験することは、語学力向上の上でも異文化理解を深める上でも非常に大切なんですね。全員参加のシンガポール研修の機会ができたことは、学校全体のグローバル教育を底上げする上で大きな役割を果たしています。

希望制、選抜制の海外研修・留学制度で、さらなる英語力の向上につなげる

京華中学・高等学校の授業の様子

編集部

全員参加のシンガポール研修以外に、海外を経験できる機会としてはどのようなものがありますか?

池本先生

中学校では2年生から、「特別選抜クラス」、「中高一貫クラス」、より重点的な英語教育を行う「国際先進クラス」の3クラス制となるのですが、「国際先進クラス」ではシンガポールに加え、セブ島での語学研修も行っています。また高校ではニュージーランドを中心としたさまざまな国への短期、長期留学プログラムがあるため、中学校での海外研修に刺激を受けさらに学びを深めたいと思った生徒は選抜制でそちらに参加することも可能です。

それらに加えて、中学3年生から高校2年生の希望者を対象に「オーストラリア夏季海外研修プログラム」も実施しています。これは10年以上の歴史を持つ、京華オリジナルのグローバルプログラムです。

このオーストラリア研修で特徴的なのが、約2週間のプログラム中、参加生徒1人につき1家庭のホームステイを行うことです。ホームステイ先での英語を使ったコミュニケーションが生活に必須になるという点で、シンガポールの研修旅行よりもさらにハードルの高い海外体験ができます。

研修中の平日は現地校に通い、午前中は向こうの授業を英語で受け、午後からは現地校の一角でネイティブ教員からの英語レッスンを受けています。現地校では向こうの生徒が1人バディとして付いてくれており、授業やアクティビティなどの際には一緒に行動してサポートをしてくれるのが特徴です。この2週間の中でホームステイ先のご家族やバディの学生との親交を深め、帰国の際にお別れを惜しむ姿もよく見られます。帰ってきてからもメールでやり取りを続け、大学進学後に個人的に尋ねる生徒もいますよ。

海外経験が英語学習へのモチベーションを高め、生徒の進路にも影響を与える

編集部

これらのグローバルエデュケーションプログラムを経て、生徒の皆さんにはどのような変化が見られますか?

池本先生

やはり海外を実際に経験することは、生徒の成長に多くの影響を与えていると感じます。特にオーストラリア研修は2週間の海外生活を1人で乗り切る経験をするため、語学力はもちろんのこと、自立心など精神的な面で特に成長が見られます。ご家族の方からも「自分のことは自分でするようになった」という声をよく聞きますね。

また海外の文化や価値観に触れて刺激を受け、英語学習のモチベーションを高める生徒も少なくありません。実際に英語外部検定試験利用型で合格をする生徒が増えてきており、グローバルエデュケーションで培った力が大学受験の場でも結実していることを実感します。

編集部

まさにこのグローバルエデュケーションの経験が、冒頭にもお話されていた生徒さんの強みや個性を引き出しているんですね。

池本先生

その通りです。グローバルエデュケーションに限らず、本校のさまざまな経験が、生徒にとって夢中になれるものを見つけるきっかけとなれたらと思っています。それに向かって一生懸命努力したことが本人の自信や強みになり、将来の道を切り拓くことにつながっていくのではないでしょうか。

全国大会での実績も!生徒の自信を育む「京華中学・高等学校」のクラブ活動

京華高等学校のバスケットボール部の様子

編集部

自慢のクラブ活動についても伺います。まず御校のクラブ活動の全体的な方針を教えていただけますか?

池本先生

最初にお話したように、クラブ活動に打ち込んで結果を出した経験というのは生徒の確かな自信につながり、心を成長させてくれます。そしてその中で「ネバー・ダイ」の精神も培われていくことでしょう。それらの経験はクラブ活動の場だけでなく、大学受験など将来自分の道を選び取る際にも活きてくるはずです。そのため、本校では中学校のときからなるべくクラブ活動に打ち込み、高校でそれをさらに磨いていく道筋をつくっていけたらと考えています。

中学生と高校生では体の大きさや身体能力が異なるため、本校では運動部の多くが、基本的に中高別々に活動を行っています。中学校の間は結果を求めすぎず、さまざまな種目に興味を持つことや部活動を通じた仲間との関係性づくりに重点を置いた指導を行い、高校ではそれぞれの種目の専門性を突き詰めて結果を求める指導を行うというのがそれぞれの指導方針です。

編集部

実績をあげているクラブや、その秘訣についてもお聞かせください。

池本先生

高校では水泳部でインターハイ入賞、ソフトボール部で全国私学大会ベスト4などの結果を出しています。ソフトボール部に関しては、東京都ソフトボール協会の強化本部のコーチも兼任している指導力の高い顧問が率いていることで結果につながっている部分は大きいと思います。

京華中学・高等学校のソフトボール部の様子

▲全国私学大会でベスト4の実績を持つソフトボール部

池本先生

水泳部に関しては中学校で実績をあげた生徒を中心に、高校でも大きな大会で結果を出しています。また本校にはプールがないという事情もあり、スイミングクラブでの活動も一部認めています。それが結果的に個人の能力を高める結果につながっている面もあるのではないでしょうか。

編集部

一部のクラブは「統合部」として、学校法人京華学園の運営する御校、京華商業高等学校、京華女子中学校・高等学校との3校合同で実施されているんですよね。

池本先生

はい。「統合部」として3校合同で実施することで少人数だからできなかったことができるようになったり、男女混合で実施するからこそ活動の幅が広がったりというメリットが見られます。

特に吹奏楽部に関しては演奏人数を確保できるだけでなく、女性、男性の演奏の特徴がうまく融合し、さらに音楽の幅が広がっています。それが結果にもつながっているという点で、統合部が非常に良い方に作用している事例といえるでしょう。

京華中学・高等学校の吹奏楽部・剣道部の様子

▲水泳部や吹奏楽部など「統合部」として男女混合で活動を行うクラブも多数

京華中学・高等学校からのメッセージ

京華中学・高等学校の外観

編集部

最後に、京華中学・高等学校での学校生活に興味を持った保護者の方、お子様に向けてメッセージをお願いします。

池本先生

本校の建学の精神に象徴されるように、京華中学・高等学校ではお子様本人や保護者の方も気づいていないような生徒の個性を大切に教育を行っています。まだ自分に自信を持てないお子様も、京華でさまざまな経験を積んで、自分ならではの個性、自信を見つけて磨き上げていってもらえたらと思います。少しでも京華の教育方針に共感していただける方は、ぜひ学校説明会やオープンキャンパスにご参加いただけると嬉しいです。

編集部

池本先生、本日は貴重なお話しをお聞かせいただきありがとうございました!

京華中学・高等学校の進学実績

京華中学・高等学校の体育館

京華中学・高等学校ではコース別にきめ細かい進路指導を行い、生徒一人ひとりの希望する進路の実現をサポートしています。2023年度の合格実績をみると、関東の有名私立大学である日東駒専(※)を中心に、宇都宮大学をはじめとする国公立大学、関東最難関私立大学の早慶上理(※)など幅広い進路が実現しています。
※日東駒専…日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学の総称
※早慶上理…早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学の総称

■京華中学・高等学校の進学実績(公式サイト)

https://www.keika.ed.jp/result/

京華中学・高等学校の生徒・保護者の口コミ

京華中学・高等学校のテニスコート

ここでは、公式サイトに寄せられた京華中学・高等学校OBからのメッセージを紹介します。

京華の授業は演習が多いため、習ったことを実践する機会が多く、学力が定着しやすかったと感じます。わからないところを先生方に質問したときには、理解するまでつきあってくださいました。

京華は特に先生との距離が近く、わからないところは積極的に先生に教えを乞う、という姿勢が身につきました。

京華では様々な行事に対して、全力で楽しむことを心がけました。先生と仲間に恵まれ、遊びも勉強も両立できました。大学生活も、いろんなことにチャレンジし、困難に直面してもネバー・ダイの精神で諦めず、成長できる人間になりたいと思います。

学校全体としての「面倒見の良さ」の評判が名高い京華中学・高等学校。OBのメッセージからも、教員による学習面での手厚いフォローがあることが伝わってきました。また勉強だけでなく行事やクラブ活動など何事にも「ネバー・ダイ」の精神で取り組むという同校の教育方針が実践されていることも、メッセージから読み取れました。

京華中学・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人京華学園
住所 東京都文京区白山5-6-6
電話番号 03-3946-4451
問い合わせ先 https://www.keika.ed.jp/contact/
公式ページ https://www.keika.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください