チェンジメーカーを育成する星の杜中学校・高等学校の「唯一無二の教育」とは|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、栃木県宇都宮市にある中高一貫の共学校「星の杜中学校・高等学校」を紹介します。

1954年創立の伝統あるカトリック校、宇都宮海星女子学院が2023年4月に「星の杜中学校・高等学校」として新しく生まれ変わりました。カトリックミッションスクールの精神や伝統を継承しつつ、本当に社会に出て必要とされる資質・能力の育成を目指し、従来とは一線を画す独自の教育スタイルを実践しています。

今回は、そんな星の杜中学校・高等学校の教育方針や取り組みについて、マーケティングチームマネージャーを務める青木さんとマーケティングチーム広報課リーダー木村さんにお話を伺いました。

「チェンジメーカー」の育成を目指す、星の杜中学校・高等学校の教育目標

星の杜中学校・高等学校の授業風景

▲授業はほとんどアイランド形式で行われます

編集部

まずは、星の杜中学校・高等学校の教育目標についてお聞かせください。

青木さん

本校は2023年4月に新しくできた学校で、スクールミッションとして、新たな価値を創造し、社会に貢献する「チェンジメーカー」の育成を掲げています。

チェンジメーカーと言えば、世の中をひっくり返すような発明をしたり、革命を起こしたりするイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。「これはおかしいかもしれない」という身近な気づきや違和感を、見て見ぬふりをせず、仲間を集めて解決するために行動できる、そのような資質・能力を兼ね揃えた人材をチェンジメーカーと呼んでいます。

編集部

仲間と協力して問題解決に向かう、そういった意識を持たれている生徒さんが多いのでしょうか?

青木さん

そうですね。例えば、本校の授業は、生徒全員が前を向く講義型ではなく、ほとんどがアイランド形式で行われています。問題を出されたときに、1人で問題と向き合うのではなく、仲間と一緒に考える、自ら考えながら学び合う姿勢を大切にしています。

アイランド型の授業は学習者にとってさまざまな効果をもたらす学習の手段として用いていますが、そういった習慣からも、何かあったときには仲間と一緒に力を合わせようとする気持ちが育まれていると思います。

主体性を育む生徒主導の学校行事

星の杜中学校・高等学校の星の杜DAY(スポフェス)

▲星の杜DAY(スポフェス)

編集部

生徒さんと教員の距離はいかがでしょうか?

青木さん

近いと思います。現在は高校1年生、2年生は、3クラスで100名ずつぐらいですし、これから入学者が増えても、150名前後だと思うので、生徒の個性や主体性を尊重しながら、いい意味での近い距離感で本校の教育スタイルを維持していきたいと考えています。

本校の先生たちは、生徒が自ら考え何かやりたいと意見を出した時に、頭ごなしに否定したり、やらせないようにすることはまずありません。どうすればそれができるか、できるだけ生徒自身に考えてもらうように問いかけます。生徒の主体性を育むことをとても大切にしているからです。ですから「生徒指導」や「進路指導」ではなく、「生徒支援」や「進路支援」と呼んでいます。

学校行事も基本は生徒主導です。入学式も、大人が喋るのは校長先生だけで、司会も企画も生徒主体で開催しました。在校生も新入生もパフォーマンスを披露し、たいへん盛り上がる楽しい入学式でした。

▼下記から入学式の様子がダイジェストでご覧いただけます
https://youtu.be/FAdflrySkHI

星の杜中学校・高等学校のハロウィンイベント

▲ハロウィンイベント

授業はアウトプットを重視!生徒がやりたいことを実現するためのグローバル教育

星の杜中学校・高等学校の英語の授業

編集部

星の杜中学校・高等学校のグローバル教育についてお聞かせいただけますでしょうか?

青木さん

本校の教育の中でも、英語教育は特に力を入れています。英語の授業は中学校から「ベーシックコース」と「アドバンストコース」に分かれており、自分のレベルや意欲によって選択できます。

本校には海外帰国生もいますので、中学生でも英検準1級や2級を持っている生徒がいます。そういった帰国生や高いレベルで英語を学びたい生徒はアドバンストコースを選び、基礎から丁寧に学んでいきたい生徒はベーシックコースを自分で選びます。

ただどちらの英語の授業も、アウトプットをとても重視しています。ディスカッションやプレゼンテーション、教科書で学んだ内容を使いながら、身近な話題や社会課題などもテーマにしながら、生徒同士で考えながら、英語を発話していく設計となっています。

高校では2年生からコース選択があり、「グローバルラーニングコース」と「ディープラーニングコース」のいずれかを選択します。

グローバルラーニングコースは、高い英語コミュニケーション力を身につけて、「グローバルシチズン」を目指すという明確な目標があります。授業数は、通常の英語の授業にプラス6時間を英語科目の授業として設定しています。

ちなみに、もう一方のディープラーニングコースは、情報収集・分析力、問題発見・解決力などのスキルを伸ばし、自ら問題解決のために行動し、社会で活躍できる人材を育成します。いわゆる探究に重きを置いたコースになります。

星の杜中学校・高等学校の海外の高校との学校交流

▲海外の高校との学校交流

編集部

アウトプット中心に授業をされている中で、生徒さんの英語力はどう成長していくのでしょうか?

青木さん

英語科の先生方は「英語を教える・学ぶ」と言うよりも、「思考しながら英語を使う」という感覚を重視しているので、生徒は文法や発音が正しくなかったとしても、気兼ねなく発話しながら学んでいます。

他にも、日本で働いている外国の方や日本で勉強している留学生に来てもらい、授業で文化交流を行ったり、先生が自分の人脈を活用して、海外各国の人たちに自国についてのクイズを出題してもらい、それを授業で考えるなどの活動も行っています。

このように先生たちも工夫を凝らしながら、生徒たちに常に考えながら英語を使う感覚を身につけようとしてくれています。

期間も行き先も多彩な留学プログラム。海外大への進学事例も

星の杜中学校・高等学校の留学

▲留学中の生徒の様子

編集部

留学については、どのような選択肢があるのでしょうか。

青木さん

留学プログラムは、最短4週間から最長1年間まで、行き先・期間とも多彩です。まず、高校1年の3学期から出発し、6ヶ月もしくは1年間、現地の高校で学ぶ『中長期留学』があります。また、高校2年でグローバルラーニングコースを選ぶと、4週間、8週間、12週間、いずれかの期間で世界10都市の語学学校へ留学する『全世界留学』があります。

中長期留学は、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国から選べます。このうちオーストラリアとカナダが人気です。

全世界留学については、ニューヨーク、ボストン、サンディエゴ、バンクーバー、ホノルル、オックスフォード、セントジュリアン、シドニー、オークランド、セブの10都市の語学学校から選択できます。これは今年の2年生が初めての実施となります。

いずれの都市も語学学校なので、多国籍な人たちが英語を学びに来ています。語学力以外にも、世界各国の人たちと交流が生まれるなど、貴重な経験ができると思っています。

編集部

留学を体験された生徒さんの変化やご様子はいかがでしょうか?

青木さん

留学を経験した生徒は、年齢以上に成長して帰ってくるんだなというのが率直な感想です。英語に対する意欲はもちろん高いですし、視点や発言が日本にいる生徒とはどこか違ってくるので、クラスメイトにも刺激や良い影響を与えていると思います。また、留学でキャリアを明確にするので、落ち着いた大人びた印象を受けるようになります。

このあたりは栃木県という土地柄もあり、比較的保守的な方々が多いと感じているのですが、そうした中で今年も20人近くの生徒が中長期留学に出発していますので、本校はチャレンジ精神旺盛な生徒が学びやすい環境だと思います。

また、留学をした生徒が進路を考える際、海外大学への進学という道もあります。本校では、海外大学指定校推薦制度を通じて、34校の海外大学と提携しています。英語力と本校での成績が一定水準を満たせば、イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アジアの大学から合格を得ることができます。これにより、東大や京大以上のランキングの海外大学に進学するチャンスが提供され、海外の大学に挑戦しやすくなっています。

海外大学進学については定期的にガイダンスやセミナー、カウンセリングを開催し、生徒が適切な進路を選択できるように支援しています。この制度の一番の目的は、生徒の進路やキャリアの選択肢を広げることです。

本校の前身である宇都宮海星女子学院の頃から留学には力を入れており、海外大学の指定校推薦は2年前から行っています。2022年度・2023年度の卒業生は、シドニー大学を含むオーストラリアの大学やマレーシアの大学に合格しています。こうした土壌のもと、在校生においては海外大学にチャレンジしたい生徒は増えていますね。

「超」探究で実践的なスキルを習得する星の杜中学校・高等学校の探究学習

星の杜中学校・高等学校の探究発表会全体発表

▲探究発表会で全体発表に挑む生徒

編集部

探究学習について、星の杜中学校・高等学校の特徴的な取り組みをお聞かせください。

青木さん

まず、何のために探究学習を行うかということですが、最上位にあるのはチェンジメーカーを育成するというスクールミッションを達成するためです。では、そのためにどんな力が必要かといえば、「開発力&創造性」、「共感力&協調性」「課題発見・解決力」「レジリエンス」「メタ認知」の5つの力を卒業までに身につけるグラデュエーションポリシーとして定めています。

これらを養うために本校では、探究学習を重視し「超」探究と呼ばれる独自のプログラムを展開しています。週に3コマの探究の時間があり、まず高校1年では、5つの探究の授業を設定しています。

1つ目は「探究総合」です。これは、課題発見から情報収集、整理、分析、まとめ、発表までの総合的な探究を学びます。2つ目は「デジタルデザイン」。デザインは、課題を解決する力と定義し、ICTやデジタル技術を活用して課題解決の方法を学びます。

3つ目は「リベラルアーツ」です。一般教養として人文学や社会科学、哲学や心理学、地政学から時事問題など幅広い知識を学ぶことで社会への関心を広げていきます。4つ目が「イノベーション」。現代社会でのイノベーションのあり方やイノベーターとしての能力を育成する授業です。そして5つ目は「宗教」です。本校はカトリックミッションスクールですので、宗教をテーマとした探究の時間も設けられています。

これらの探究プログラムは、本校の教員が授業を担当するのではなく、外部の専門家や社会で実践する起業家、情報経営イノベーション専門職大学などの教育機関と連携し、実践的な学びを提供しています。探究総合では探究学習の本筋を学びますが、それ以外の幅広い学びを提供することで、生徒の興味・関心を引き出し、個性や主体性を最大化する狙いもあります。

高校2年生になると、さらに深い学びの機会が提供され、実社会での課題解決や研究に取り組むことができます。

ディープラーニングコースでは、さらに探究を深めていきながら地域や身の回りの課題解決に取り組んだり、関心のある課題研究を深めていくことを目的にしています。自分なりのプロジェクトを進めたり、デジタルの力も活用しながらプロトタイプを作って実践したり、積極的に社会と繋がっていきます。

そういった設計の中で、高校2年生と3年生ではLSS(リベラル&ソーシャルスタディーズ)という学校設定科目の授業もあります。

グローバルラーニングコースは通常の英語の授業にプラスして、異文化理解を深める「Multicultural Understanding」、英語での論文やエッセイなどの自分の考えを書くための力を身につける「Logical Writing」、コミュニケーション力の習得に特化した「Assertive Communication」という授業が、計週6コマ展開されます。

ディープラーニングコースのLSSでは、現在あるサービスをどのようにデジタル化、DX化していくのかを学ぶ「サービスイノベーション」や、高度な動画編集やアプリ開発に取り組む「デジタルスキル」、フェルミ推定などを通して高いレベルで思考力を身につける「論理的思考力」など、社会に出たときに本当に必要な考え方や実践的なスキルを身につけていくことを大きな目的としています。

大学や企業と連携。社会との関わりを持つことで成長が加速する

星の杜中学校・高等学校と上智大学の高大連携の調印式

▲上智大学との高大連携の調印式

編集部

企業や大学の方との関わりも活発なのですね。

青木さん

そうですね。本校は、理事長も校長も起業家ということもあり、社会と学校の接続を重要視しています。いろいろな社会人や教育関係者の方と連携させていただき、生徒が学ぶ機会を設けています。

例えば、本校では客員教員制度を導入しており、実際に社会で活躍している方に授業をしてもらいます。また、「ハイスクールコンソーシアム」では、全国で21世紀型教育に取り組んでいる学校と定期的にミーティングをしながら、学校の垣根を越えて、協働し学びあう機会を模索しています。

今計画しているのは、コンソーシアムの学校間での国内留学です。そのほか高大連携にも力を入れて取り組んでいます。現在は上智大学、情報経営イノベーション専門職大学、さとのば大学といった特色ある大学と協定を組んでおりますが、こちらもさらに展開できればと考えています。

学校だけで完結しない学びをコンセプトとして実践していますので、探究学習においても外部の人に意見を求めやすく、協力してもらいやすい環境かと思います。

編集部

生徒さんが探究活動を通して成長されていると感じることはありますか?

木村さん

今年、株式会社Inspire Highが主催する、探究の全国イベント 「My Inspire High Award 2024」で本校の生徒がMIXI賞を受賞しました。受賞時は中学1年生で、今は2年生です。このときのテーマが「家族とは何か」で、本当に内容が濃くて感心しました。中学1年生から高校3年生までが対象で全国から2,400以上の作品が寄せられた中で、本校生徒がこうして結果を出してくれて本当に嬉しく思っています。

他にも、自然現象や健康などの身近なテーマについて調べるなど、興味深いものがたくさんありました。学校内や身近なところだけではなく、研究されていないことにスポットを当てて自分で調べてみましたという話を聞くと、本校には探究の土壌があり、社会に出てから役に立つスキルを確実に身につけていると感じます。

星の杜中学校・高等学校の探究発表会ブース発表

▲探究発表会でのブース発表

星の杜中学校・高等学校からのメッセージ

星の杜中学校・高等学校のマーケティングチームの青木さんと木村さん

▲取材に対応いただいた、マーケティングチームの青木さんと木村さん

編集部

最後に、御校に興味をもったお子さまや保護者の方にメッセージをお願いいたします。

青木さん

私たちが訴えているのは、学校教育の再定義です。「失われた30年」と揶揄され、日本はすでに世界から取り残されており、誰しもが強い危機感を持っているはずなのに、学校教育は大きく変わってこなかった。

良い大学に進学するための勉強なら塾で十分ですし、高卒の資格だけなら通信制で取得できます。しかし、社会がこれだけ大きく変わっている中で、学校教育が担う役割は何なのか?新たな学校を創り上げるにあたって、それが星の杜の出発点でもあり根幹です。本校では、新しい時代の教育の最前線を目指して、新しい取り組みを進めていきます。ぜひ、新しい時代を一緒に創っていきましょう!

木村さん

激変する現在の社会において、今日の当たり前が明日の当たり前ではない世界になっています。VUCAと言われる時代において、星の杜ではこれから活躍するために本当に必要となるスキルを学べる環境を整えていますので、もし本校に興味をもっていただけたのであれば、ぜひ一度足を運び、学校の雰囲気を感じてみてください。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

星の杜中学校・高等学校のエントランス

星の杜中学校・高等学校のピロティ

星の杜中学校・高等学校のホエール(談話室)

星の杜中学校・高等学校のラウンジ

星の杜中学校・高等学校の自習スペース

星の杜中学校・高等学校の天然芝のグラウンド

▲星の杜中学校・高等学校の校内風景

星の杜中学校・高等学校の進路実績

星の杜中学校・高等学校では、ほとんどの生徒が「総合型」「学校推薦型選抜」で大学に合格しています。2023年度の大学入試結果としては、推薦入試枠(総合型選抜・学校推薦型選抜)で合格した生徒は79.4%、一般選抜での合格者は21.6%です。

現在、同校がもっている推薦枠は300を超えます。また、上智大学をはじめとしたカトリックの大学の推薦枠もあります。2022年からは(株)留学情報館と協働で、海外大学34校の指定校推薦制度を構築しています。

2023年度の合格実績としては、国公立大学では東京外国語大学、宇都宮大学、山形大学、新潟県立大学の合格者を輩出しています。私立大学は、慶應義塾大学、上智大学などの難関私立大学のほか、中央大学、法政大学、成蹊大学、明治学院大学、獨協医科大学ほか数多くの有名大学にも合格しています。

■合格実績(星の杜中学校・高等学校公式サイト)
https://hoshinomori.ed.jp/entrance-exam/passrecord

星の杜中学校・高等学校の在校生の口コミ

星の杜中学校・高等学校のテニスコート

▲校内施設も充実。全米オープンと同じ仕様のテニスコートもあります

ここからは、星の杜中学校・高等学校の在校生の口コミを紹介します。

アデレード大学に合格しました。高校2年生のときから続けてきたTOEFLのスコアを活用したいと思ったことが、海外大学受験に挑戦したきっかけのひとつです。将来は、英語教育の改革に関わりたいと考えています。日本でも実践的な英語力が身につけられる環境を創ることが目標です!(2023年度の卒業生)

中学校から、テニスの強豪校であるこの学校に通っています。テニスは、コートに立ったら1人きりですべて自分で判断し対応しなければなりません。そうした自分で考え判断していく力は学校生活の中でも役立っていると思います。(テニス部所属の在校生)

高校に入ってギターを新調し、軽音楽サークルに入部、今は中学校から続けている弓道部と肉体改造部、3つを掛け持ちしています。高校の説明会で校則もテストもない、という話に衝撃を受け、この学校に来ようと決めましたが、自由な雰囲気の中、楽しく刺激的な毎日が送れています。(軽音楽サークル所属の在校生)

※生徒の声は学校公式サイトおよび公式パンフレットから引用しています。

星の杜中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人 宇都宮海星学園 星の杜中学校・高等学校
住所 栃木県宇都宮市上籠谷町3776番地
電話番号 028-667-0700
公式ページ https://hoshinomori.ed.jp/

※詳しくは公式サイトでご確認ください