内部進学を前提としない本庄第一中学校が導入する「3ヶ年完結型」の教育に迫る

未来を担う人材を育成するため、特色ある教育を実施している学校を紹介するこの企画。今回は埼玉県本庄市にある共学の私立中学校「本庄第一中学校」を紹介します。

本庄第一中学校は、内部進学を前提とせず公立トップ高校や外部の難関私立高校など多様な進路を叶えるための「3ヶ年完結型」の教育を行っています。高校の授業の先取りはせず中学で身につけるべき基礎学力の定着を重視し、放課後の特別講座などを通じて中学校の学習内容のパーフェクト習得を目指しています。

また、2024年度からは中学校標準授業時間を5分短縮する45分授業を導入。その分、授業のコマ数を増やすことにより効率的で柔軟な授業展開を推進しています。

今回はそんな本庄第一中学校の教育の魅力や特色について、校長を務める樋口先生、教頭の川部先生、入試相談課の山田先生にお話を伺いました。

高い学力と人間力を養い、希望進路の実現を目指す本庄第一中学校

本庄第一中学校の川部教頭、樋口校長、山田先生が並んで座るようす

▲(左から)インタビューに応じていただいた教頭の川部先生、校長の樋口先生、入試相談課の山田先生

編集部

まず、御校の理念についてお聞かせいただけますか?

樋口先生

本庄第一中学・高校の共通の学園理念は「響生」です。生徒と教職員が目的達成のために影響を与え合うことで柔軟さと豊かさを育み、ともに前進していこうという思いが込められています。この理念のもと、中学では高い学力の養成、人間力の育成、希望進路の実現という3つの教育目標を定めています。

まず、「高い学力の養成」に関しては、反復学習によって中学3年間で学力の徹底定着を目指します。「人間力の育成」では、さまざまな学校行事や部活動を通じて、社会で活躍できるたくましい心身と豊かな心を持った人間力を養います。

「希望進路の実現」に関しては、本庄第一は中高一貫校ではないので、内部進学だけでない自由な進路を叶えられるようなサポートを行っています。

中高一貫校ではない「3ヶ年完結型」だからこそ、多様な進路を選べる

本庄第一中学校の生徒が立つようす

編集部

中高一貫校ではないというお話がありましたが、一貫校と比べてどのような特徴がありますか?

樋口先生

中高一貫校にも素敵な魅力がたくさんありますが、小学6年生の段階でこの先の6年間のことを決めてしまうのは少し早いとお感じのご家庭もあると思います。本校では本庄第一高校への内部進学だけでなく公立トップ高校や難関私立高校など生徒の自由な進路を叶えるため、中学3年間で学ぶべき内容を適切にしっかり深く学んでもらう「3ヶ年完結型」の教育を行っています。

そのため、私立中学としては珍しく高校の学習の先取り授業は行っておらず、代わりに3年生の2学期からは入試対策として繰り返しの演習と解説授業を行っています。

編集部

外部進学も見据え、しっかりとした高校受験対策を行っているのですね。

樋口先生

はい。3年間かけて進路を模索できることは、中学生にとって大きな価値があると考えています。難関トップ校を目指したいとか、部活をしたいからあの高校に行きたいなど、高い目標を持ちながら3年間を過ごすことができます。

もちろん本庄第一高校への進学も可能ですが、中だるみによる学力低下を防止するため、内部進学であっても入学試験を実施しています。

教育目標実現のための本庄第一中学校のカリキュラムと部活動

本庄第一中学校の生徒らが会話するようす

ここからは、3ヶ年完結型の教育を行う本庄第一中学校の特徴的なカリキュラムや、教育目標である「人間力の育成」の観点からも力を入れる部活動についてお話を聞いていきます。

「45分授業」の導入で効率的・柔軟な学びを実現

編集部

本庄第一中学校は2024年度から45分授業を導入したと伺いました。

樋口先生

中学の1単位時間は50分と定められていますが、本校では2024年度から5分短縮しました。集中力を高めて密度の濃い授業に取り組んでもらう狙いがあるほか、授業のコマ数を増やすことで効率的で柔軟な授業展開が可能になり、学力向上に繋げることができると考えています。時間を短縮しても、その分授業数が増えているため、教育課程表で定められた授業の総時間はしっかり確保できています。

編集部

45分授業となると、1日何時間目まで授業があるのでしょうか?

樋口先生

月・火・木曜日の3日間は7時間目まで授業を行っています。水・金曜日は6時間目まで授業を行い、その後は個々が特別講座「TPOゼミ」と部活動のどちらかへの参加を選択できるようにしています。

スモールステップで理解度を深める放課後の「TPOゼミ」で基礎学力を定着

本庄第一中学校の生徒らが授業を受けるようす

編集部

今ご紹介のあった「TPOゼミ」について、詳しくお話しいただけますでしょうか。

樋口先生

TPOゼミは、決まった時間(Time)に決まった場所(Place)で目的(Objective)意識を持って学習に取り組む講座で、演習・解説・重要項目の確認を通じて教科書内容のパーフェクト習得を目指します。授業のダイジェスト版と位置付けており、生徒が授業でつまずいたところをTPOゼミで繰り返し学習してもらうことを大切にしています。

川部先生

通常の授業はどうしてもインプット中心の時間になるので、生徒が「わかった気持ち」になってしまうことがあります。そこで、TPOゼミでは生徒が間違えやすいポイントをあえて出題する小テストを実施しています。小テストでアウトプットすることによって、生徒は初めて「実はわかっていなかったんだ」と気づき、それを克服することができます。

例えば英語であれば、単数形と複数形の違い、現在完了形の使い方など単元ごとにテストをし、スモールステップで生徒の理解を後押ししていくようなイメージです。

編集部

TPOゼミの効果について、どのようにお感じですか?

川部先生

インプット型の通常の授業だけでは、学習内容が身についたかどうかは定期試験の結果が出るまでなかなか分かりません。しかし、本校ではTPOゼミでつまづきを認識し、着実に学力の成果を確かめていくことができます。

樋口先生

卒業生からは、「TPOゼミの先生に毎日勉強をサポートしてもらった」「効率よく短時間でその日の復習をする習慣が身に付いた」という声も上がっています。

高校生との合同練習を通じてスキルアップできる部活動は、人間力形成の場に

本庄第一中学校の生徒が部活を楽しむようす

▲人間力の向上を目指すうえで欠かせない様々な部活動

編集部

本庄第一中学校では、教育目標の1つ「人間力の育成」のために部活動を推奨されているそうですね。

樋口先生

人を思いやる気持ちや協力し合うことの大切さ、やり遂げた時の達成感を知ることができる部活動は、人間力の向上を目指すうえで欠かせない教育活動だと捉えています。そのため、本校は限られた時間の中で積極的に部活動に取り組みたいと考えています。

編集部

活動が盛んな部活動にはどのようなものがありますか?

樋口先生

例えば剣道部は、日本一の経験を持つ本庄第一高校の卒業生から指導を受けることができ、埼玉県大会で優勝した実績を持っています。

私が顧問を務めるチアリーディング部も全国一に輝いており、チアリーディングをするために群馬県などから通う生徒もいます。ほかにも女子バレーボール部や野球部、ダンス部の活動も活発ですし、ラグビー部には県の選抜チームで活躍する選手もいます。

編集部

ハイレベルな部活動が多い理由は何だとお考えですか?

樋口先生

本庄第一高校の生徒と一緒に練習する部活が多いことが理由の一つに挙げられます。自分たちよりレベルが高い先輩たちを目の当たりにすることはモチベーションの向上につながりますし、先輩たちから技術を習得できるためスキルアップにもつながっていると思います。

編集部

先輩から影響を受ける様子からは、御校の学園理念である「響生」を感じます。

川部先生

そうですね。部活動の環境が充実している点も、本校の特徴です。例えば、サッカーやラグビーで使うグラウンドは、人工芝と天然芝がそれぞれ一面ずつあります。また、ラグビー部や女子サッカー部は、専門のトレーナーを招いたフィジカルトレーニングなどにも取り組んでいます。

編集部

恵まれた環境だからこそ、生徒の練習にも一層熱が入りそうですね。

生徒は仲間と共に高め合い、努力を惜しまない

本庄第一中学校の生徒らが体育祭の競技に参加するようす

▲毎年10月に開催される体育祭の様子

編集部

本庄第一中学校にはどのような生徒が多いでしょうか?

川部先生

難関校に合格したい生徒、部活動で全国大会に行きたい生徒など、多くの子どもたちが明確な目標を持って本校に入学してくれます。そのため、努力を惜しまない生徒が多く、保護者の皆さんも協力的な雰囲気があると感じます。

また、先ほどのお話にもあった「響生」の学園理念が生徒に浸透しており、部活動だけでなく勉強でも互いに高め合おうという姿勢があります。私は英語を担当していますが、1年生で英検3級を取った生徒がいると「私も!」「僕も!」と周りが触発され、良い相乗効果が生まれます。そして、素直に力を伸ばしていってくれている印象があります。

本庄第一中学校の生徒らが飛行機の前に集合するようす

▲1年生の社会科見学をした時の様子

編集部

生徒がより良い学校生活を送れるような環境づくりとして、特徴的なものがあればご紹介ください。

川部先生

本校には給食がありませんが、隣接する高校の学食を利用できるようになっています。登校時に15種類ほどあるメニューから選んで注文しておくと、お昼に温かい状態で中学校まで届けてくれるので、朝お弁当を用意する時間がない親御さんにとっては便利なのではないかと思います。また、本庄市内にある人気のパン屋さんが販売に来校し、美味しいパンを購入することも可能です。

編集部

遠方から通う生徒に対する、登下校のサポートはありますか?

川部先生

17方面のスクールバスを中高共用で運行しています。埼玉県内だけでなく隣接する群馬県に住む生徒が利用できるルートもあり、最も長い路線は片道90分ほどの距離があります。

本庄第一中学校からのメッセージ

本庄第一中学校の生徒2名が一緒に本を読むようす

編集部

最後に、本庄第一中学校に興味を持った保護者や子どもさんにメッセージをお願いします。

山田先生

たくさんの可能性を秘めている子どもたちですので、何事にも臆することなく挑戦してほしいと思っています。さまざまなことへのチャレンジを通じて達成することの喜びを知り、トライし続ける忍耐力をつけ、自分の得意なことを見つけて将来に繋げてほしいと願っています。

TPOゼミをご紹介した際、あえて生徒がつまづく問題を出すという話がありましたが、本校の教職員は「成長するためには失敗も必要」という考えのもと前向きな姿勢で生徒たちと接しています。

本校の雰囲気を感じていただける学校説明会をはじめ、たくさんのイベントがありますので、ご興味をお持ちいただけましたらぜひ一度足をお運びください。

■学校説明会などのイベント情報(本庄第一中学校の公式サイトより)
https://www.hon1.ed.jp/jhs/examination/

編集部

中高一貫としない3ヶ年完結型の教育によって幅広い進路が実現する本庄第一中学校は、子どもたちが自分の将来を考え、目標に主体的に取り組むことができる学校だと感じました。

本日は、ありがとうございました!

本庄第一中学校の進路指導・進学実績

本庄第一中学校の生徒3名が図書館に集まるようす

本庄第一中学校には、内部進学だけでなく、公立トップ高校や難関私立高校を目指す生徒も多く、3年次には通常授業に加えて受験に特化した授業を行うなど、外部進学に対応するためのきめ細かな入試対策を行っています。

近年の主な外部進学先には国立の群馬工業高等専門学校や、埼玉県の浦和第一女子高校、熊谷高校、熊谷女子高校、群馬県の桐生高校といった公立進学校のほか、埼玉県トップレベルの私立進学校として知られる栄東高校などがあります。

■進学実績(本庄第一中学校の公式サイトより)
https://www.hon1.ed.jp/jhs/education/

本庄第一中学校の保護者・卒業生の口コミ

最後に、本庄第一中学校に通う生徒の保護者や卒業生の声をご紹介します。

保護者:
少人数で先生の目が行き届いている学校です。ICT教育も充実しており、何かあったときはすぐにオンライン授業を利用できます。

保護者:
外部進学が可能なので、早いうちから将来について考えることが子どもにとってプラスになっていると感じます。

卒業生:
本庄第一中学校は自分のやりたいことが精一杯できる学校だと思います。それは、先生方が私たち以上の気持ちで応援やサポートをしてくれるからです。

卒業生:
本庄第一中学校の良さは、自分から動けば先生方が全力で応えてくださるところです。外部受験者にも手厚いサポートがあり、安心して受験に臨むことができました。

※卒業生の声は、本庄第一中学校の公式サイトより一部抜粋しました。
https://www.hon1.ed.jp/jhs/education/

本庄第一中学校へのお問い合わせ

運営 学校法人塩原学園
住所 埼玉県本庄市仁手2167-1
電話番号 0495-24-1332
公式ページ https://www.hon1.ed.jp/jhs/

※詳しくは公式ページでご確認ください