校内で米づくりの体験も!「雲雀丘学園小学校」の人間力と感性を養う体験型学習とは

この記事では、特色ある教育に取り組む注目の学校として、兵庫県宝塚市にある共学の私立小学校「雲雀丘(ひばりがおか)学園小学校」をご紹介します。

「高く、豊かに、たくましく」を教育目標に掲げる同校では、自然と触れ合う体験や縦割り活動などを通じて感性や心を育てる教育に取り組んでいるほか、ニュージーランドへの海外研修や、ネイティブの先生と1日学校で過ごす「グローバル研修」など、英語力や国際感覚を養うプログラムも充実しています。

今回は、入試対策部長の小田先生に同校のグローバル教育や心の教育について詳しくお話を伺いました。

「豊かな人間性」と「親孝行」を大切にする雲雀丘学園小学校

雲雀丘学園小学校の児童が校庭に集合するようす

編集部

まず、雲雀丘学園小学校の教育目標について教えてください。

小田先生

本校は、「高く、豊かに、たくましく」と「親孝行ができる子どもに」というふたつの教育目標を掲げています。

私たちは学力だけでなく人間力の成長を大切に考えており、「高く、豊かに、たくましく」には豊かな人間づくりを基調に、個性を伸ばす教育を行い、苦労や困難を乗り越えて前進し、社会の役に立つ人材を育成するという決意が込められています。

親孝行は、本校の初代理事長でサントリー創業者でもある鳥井信治郎氏の「親孝行な人はどんなことでも立派にできる」という考えに基づいた教育目標です。私たちは「孝道」と呼んで、日常的に親孝行を意識づける指導を行っているほか、10月1日の創立記念日は親に対する感謝の気持ちを伝える「親孝行の日」としています。

さらに、これからの時代を生き抜いていくためには考えて動く力も欠かせないと考え、2024年度からは「孝道」に加えて「考動」も意識した教育を行っています。

里山体験や1kmの遠泳も。雲雀丘学園小学校の感性を養う教育

雲雀丘学園小学校の児童が田植えするようす

編集部

人間教育を大切にしている雲雀丘学園小学校では、どのようにして子どもの感性や心を磨いているのでしょうか?

小田先生

特徴的なものとして、学校の敷地内で里山の自然を疑似体験できる「ひばりの里」があります。低学年は草花の観察などを行い、3年生になると米づくり体験として田植えや稲刈り、脱穀まで行い、最後はお米でおにぎりを作って食べています。

また、田んぼでは絶滅危惧種から外来種まで多様な生き物と触れ合うこともできます。「ひばりの里」の取り組みは、豊かな人間性とSDGsへの貢献につながっているとして、2023年には博報堂教育財団から「博報賞」をいただきました。

編集部

自然と触れ合う子どもさんの様子はいかがですか?

小田先生

ドロドロの田んぼに足を入れたり、虫がたくさんいる環境の中に入ったりすることに抵抗を持つ子もいて、はじめは泣いてしまう子もいます。しかし、観察の楽しさや発見の喜びを感じるにつれて次第に積極的に自然と触れ合えるようになっていきます。

編集部

ほかにも体験を通じて心を養う取り組みがあればご紹介いただけますか?

小田先生

5年生は宿泊行事として海へ遠泳に行きます。子どもの足がつかないような海で恐怖心と戦いながら1km泳ぐもので、泳力だけでなくメンタルの成長を主な目的にしています。

学校のプールでは5mしか泳げなかった子が海では1km泳げたということもよくあり、遠泳はたくましさを身につける良い機会になっていると感じます。

雲雀丘学園小学校の児童が遠泳するようす

▲遠泳では、足がつかない海を約50分かけて泳ぐ。

「きょうだい学級」で思いやりや責任感を身につける

雲雀丘学園小学校の6年生が1年生に手作りのメダルをかけるようす

▲入学式では、6年生が1年生に入学のプレゼントを渡す。

編集部

雲雀丘学園小学校では、縦割りの活動も多いと伺いました。

小田先生

1年生と6年生、2年生と4年生、3年生と5年生がペアを組んで活動する「きょうだい学級」があります。

入学式の翌日に1年生の教室をのぞくと、6年生がたくさんいます。先生が指導しているわけでもないのに自ら1年生の面倒を見に行くのです。自分が1年生の時に先輩にお世話してもらって嬉しかった経験があるからこそ、上級生になったら同じことをしてあげるというサイクルが生まれるのだと思います。

編集部

英語教育で幼稚園児との接し方に感動されたというお話がありましたが、きょうだい学級の取り組みがあるからこそ、さまざまな場面で優しい心や面倒見の良さを発揮できるのですね。

小田先生

その通りです。休み時間の様子を見ていても、異なる学年の子どもたちが一緒になって遊んでいることが多いですよ。

保護者の皆さんからは、先生だけでなく上級生も面倒を見てくれる本校の環境に「安心できる」と言っていただいています。

土曜日の「ひばりデー」は児童と保護者、先生が一緒になって遊ぶ

編集部

ほかにも、感性や心の発達につながる特色ある取り組みがあれば、ご紹介ください。

小田先生

2024年度から月に1度、土曜日を「ひばりデー」として、児童と保護者、先生が一緒になって遊ぶ機会を設けています。

公立学校に通う子どもに比べて、私立学校の児童は家の近所に一緒に遊べる友達が少ない傾向があるため、休みの日に学校の友達と遊べる場を作ることは重要です。また、「勉強、勉強」と言われがちな時代ですが、経験も大事にしようという狙いもあります。

編集部

ひばりデーでは、どのような遊びをしましたか?

小田先生

2024年6月に初めて開催したひばりデーでは、学校を会場にした「学校かくれんぼ」をしました。

「先生チーム」と「子ども・保護者チーム」に分かれて対戦したのですが、子どもたちは先生探しに大興奮し、校内を駆け回って楽しんでいました。

雲雀丘学園小学校の児童や保護者が「学校かくれんぼ」の説明を聞くようす

▲「学校かくれんぼ」には児童500名、保護者200名が参加した。

編集部

保護者もたくさん参加したということですが、どのような感想が寄せられましたか?

小田先生

小学校の教育において一番大事なのは、保護者と教員、子どもが互いに信頼し合って動いていくことです。

この企画には、保護者の皆さんに、授業や懇談で見る先生の姿だけでなく、先生のいろいろな面を見てほしいという思いも込められており、参加した方からは「先生が子どもたちのことを本気で考えてくれていることがよくわかった」という声をいただきました。

今後は、巨大なシャボン玉づくりに挑戦する企画などを計画しており、ひばりデーでの友だちや先生との触れ合いを通じて感性や心を磨いていきたいと考えています。

英語漬けの1日を過ごす「グローバル研修」が始動。雲雀丘学園小学校の国際教育

雲雀丘学園小学校の児童が外国人の先生と英語を学ぶようす

編集部

雲雀丘学園小学校が行うグローバル教育の特色についてご紹介いただけますか?

小田先生

本校では「豊かさ」を養うためにいろいろな経験をしてもらうことを大切にしています。その中のひとつとしてグローバル教育があり、その中でもまずは英語教育を紹介させていただきます。

本校では単語など決められたことを暗記するだけではなく、自分が言いたいことを英語で表現するようなアウトプットを重視した授業を行っており、日常的に英語でスピーチする機会があります。1年生は自己紹介から始め、6年生になると「自分の好きなもの」などをテーマに文章を考え、発表できるようになります。

小田先生

また、授業を通じて得た力を発揮する場として、2024年度から3年生から5年生を対象にした「グローバル研修」を導入しました。

ネイティブの先生を外部から招き、1日英語漬けの時間を過ごすことで「英語を話すことの楽しさ」を実感し、 自信をつけることを目的にしています。入学前から英語を習っていた児童向け、小学校から英語を学び始めた児童向けの2つのレベルに分け、それをさらに15名程度の小さなクラスに分けて、ネイティブの先生の英語の授業を体験します。

雲雀丘学園小学校の児童が外国人の先生と英語を学ぶようす

編集部

グローバル研修を受けた児童の皆さんの反応はいかがですか?

小田先生

子どもたちには「うまくいかなくても大丈夫だから、とりあえずやってみよう」と伝えていたので、みんな楽しみながら前向きにチャレンジしていました。アンケートでは「またやりたい」という声がとても多かったので、当初1年に1回の予定だった開催数を増やすことを検討しています。

海外の方と対面すると物怖じしたり身構えたりしてしまいがちですが、ネイティブの方と1日過ごして「楽しかった」と言えることは、英語力に加えて精神的な成長も得られたということだと思います。

心の成長や英語へのやる気につながるニュージーランド研修

編集部

海外研修に行く機会もあるそうですね。

小田先生

5年生の希望者を対象に、ニュージーランド・タウランガでの10日間の海外研修を実施しており、ひとり一家庭にホームステイしながら現地の小学校に通います。

小学校から英語を始めた子も参加しており、ホストファミリーと完璧なコミュニケーションができるわけではありませんが、一生懸命自分の思いを伝えようと頑張っていますし、ホストファミリーもしっかりと向き合ってくれています。

雲雀丘学園小学校の児童が海外研修先のホストファミリーと抱き合ってお別れするようす

▲帰国する頃には、ホストファミリーと涙でお別れするほど仲良しに。

編集部

小学生のうちから海外での生活を経験できることは、とても貴重なことですね。

小田先生

どの子も精神的に強くなって帰ってきますし、現地でうまくいかなかった経験をきっかけに「もっと英語を頑張ろう」とやる気になる子もいますので、実りの多い機会だと思います。

2025年度からは、ニュージーランドの学校の児童が本校児童の家にホームステイしにやってくる予定なので、さらに国際交流の機会が増えると思います。

幼稚園を訪れ英語でコミュニケーションする取り組みも

雲雀丘学園小学校の児童が幼稚園生に英語を教えるようす

▲併設幼稚園を訪れ子どもたちと英語でコミュニケーションする取り組みも。

編集部

ほかに、グローバル教育や英語教育の特徴があればご紹介いただけますか?

小田先生

小中学生を主な対象とした「TOEFL Primary」を受験できる環境を整えているほか、3年生が併設の幼稚園を訪問して子どもたちと英語でお話する取り組みもあります。

お店屋さんごっこを通じて英語でコミュニケーションするもので、3年生が店員役、幼稚園生がお客さん役になって注文したり商品を渡したりする体験をしています。

編集部

幼稚園での様子をご覧になって、小田先生はどのような印象をお持ちですか?

小田先生

年下の子と一緒に英語で遊ぶという経験は、習ったことを実践する場としてとても役に立っていると感じますね。

それに加えて、私は彼らの幼稚園生への接し方に驚かされました。「幼稚園の子も楽しめるように見てあげてね」と伝えただけにも関わらず、自然と膝をついて幼稚園生に目線を合わせて話しかけていたのです。英語力だけではない子どもたちの心の成長を感じ、とても感動しました。

雲雀丘学園小学校からのメッセージ

雲雀丘学園小学校の児童が外国人教師と勉強するようす

編集部

ひばりデーのお話などを伺って、雲雀丘学園小学校は児童と先生の距離がとても近い学校だと感じました。

小田先生

その通りだと思います。本校の先生は教師という仕事を愛し、温かい気持ちで子どもに接する人ばかりです。

私立小学校は、どこも特色ある教育の実現を目指して教育活動の実践を目指しています。本校も様々な企画を実践していますが、本校の最大の魅力は、やはり「教員」です。

保護者の方にとって「安心してここに預けたい」と思えることが一番大切だと思いますが、私自身も「我が子をこの先生たちに見てもらいたい」と心から思える学校です。

雲雀丘学園小学校の児童が演奏するようす

▲「総合発表会」では舞台発表や作品展示などを行う。5年生は合奏や合唱を披露する。

編集部

最後に、記事をご覧の保護者や子どもさんにメッセージをお願いします。

小田先生

雲雀丘学園はサントリー創業者が初代理事長を務めており、現在もサントリー関係者から学校経営に対するアドバイスや指導をしていただいています。サントリーといえば「やってみなはれ」の精神で知られていますが、本校も変化や進化に前向きな姿勢を大切にしています。

また、本校は全国の私立小学校のなかでも珍しい、児童数が800名を超える大きな学校です。たくさんの仲間たちと、フレンドリーな先生たちと一緒に楽しい学校生活を送っていただけると思います。

少しでも興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせや見学にいらしてください。

編集部

本日は、ありがとうございました!

雲雀丘学園小学校の学習指導・進学実績

雲雀丘学園小学校の校門

雲雀丘学園小学校では、「楽しみながら身に付く学習指導」を重視しており、ICTを積極的に活用しながら好奇心や興味を引き出す教育を行っています。

成績ばかりを意識するのではなく、児童が目の前の課題の解決策を自ら導き出せるようにサポートし、さらなる学習意欲へと繋げることを大切にしています。

また、朝と昼には、計算や漢字、英語の復習を目的とした「ひばりタイム」を20分ずつ設けており、短時間で集中することで効率的な学びを実現しています。

過去3年間では、併設の雲雀丘学園中学校へ66名が進学したほか、灘中学校や東大寺学園中学校といった最難関校へも進学者を出しています。

■近年のおもな進学先(公式サイト)
https://hibari-els.ed.jp/education/shinro/

雲雀丘学園小学校へのお問い合わせ

雲雀丘学園の表札

運営 学校法人雲雀丘学園
住所 兵庫県宝塚市雲雀丘4-2-1
電話番号 072-759-3080
公式ページ https://hibari-els.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください