生きた英語力・国際感覚が身につく「浜松学院中学校・高等学校」のグローバル教育

特色ある教育プログラムで注目を集める学校を特集するこの企画。今回は静岡県浜松市にある私立共学校「浜松学院中学校・高等学校」を紹介します。

浜松学院中学校・高等学校は1933年に開校した、90年超の歴史を持つ伝統校です。外国人教員による学級運営や中学3年生全員が経験する10日間の海外研修など、英語力向上と異文化理解促進に向けたグローバル教育が特徴です。また全国大会での実績を持つ強豪のバスケットボール部をはじめ、部活動も盛んに行われています。

今回はそんな浜松学院中学校・高等学校の教育方針やグローバル教育の特徴、また特色ある部活動や文武両道の秘訣などについて、浜松学院中学校校長の鈴木清吾先生、中学校副主任の鈴木翔大先生に詳しくお話を伺いました。

生徒一人ひとりの「好き」「得意」を伸ばす『マイビジョン教育』

浜松学院中学校・高等学校の創立者・廿日出庬先生の像

▲創立者・廿日出庬(はつかで・ひろし)先生の像

編集部

まずは御校の建学の精神を教えてください。

鈴木校長

本校は1933年、興誠商業学校として開校しました。創立者である廿日出庬(はつかで・ひろし)先生の志である「誠の精神」を建学の精神に掲げています。これは「人のために誠実に行動することを通じて広く社会に貢献する人材育成を目指す人間教育」を意味しており、本校の教育方針の根幹をなす考えです。

また、もともと地域発展を目指す商業学校を前身としていることから、本校を運営する学校法人興誠学園全体で「地域を共に創る」をキーワードに、地域の産業や教育を支える人材の育成に取り組んでいます。2023年度に90周年を迎えた今、改めて「誠実な人材」「地域を担う人材」の育成を胸に、100周年に向けて進んでいけたらと考えています。

浜松学院中学校・高等学校の90周年記念ライトアップの様子

▲2023年度に90周年を迎えた際の記念ライトアップの様子

編集部

「誠の精神」の建学の精神に基づき、御校ではどのような教育方針を掲げていらっしゃるのでしょうか。

鈴木校長

本校が打ち出している教育の柱が「マイビジョン教育」です。生徒一人ひとりが「なりたい自分」、つまり“マイビジョン”を見つけ、それに向けてチャレンジする力を培っていく教育を目指しています。

編集部

「マイビジョン教育」として実際に行っている教育活動の例を教えてください。

鈴木校長

生徒が自分の夢を見つけるきっかけとなるよう、中学校の段階から多彩な経験ができる機会を提供しています。後ほどお話するグローバル教育をはじめ、中学1年生の浜松学院大学付属幼稚園への実習や、中学2年生の職場体験などキャリア教育の機会を充実させているのも特徴です。

そして高校からは生徒の「好き」「得意」をより深められるよう、「特進」「ドリーム実現」「子ども教育」の3コースに分かれます。それぞれのコースで生徒の夢の実現に向けたきめ細かな教育活動、進路指導を展開しています。特に「総合的な探究の時間」においては、特進コースでは「課題解決能力」にフォーカスした探究活動を行うなど、コースの特性に合わせた多様な体験・探究活動を実施しています。それらの教育を通じて、卒業時にはマイビジョンを確立し、自身の将来に向かってチャレンジできる生徒を送り出していくことが本校のマイビジョン教育の目標です。

日常的に英語に触れる浜松学院中学校のグローバル教育

浜松学院中学校・高等学校の外国人教員

編集部

御校のグローバル教育について伺います。御校では英語の授業時間以外も日常的に英語や異文化に触れられる環境があるとのことですが、こちらについて詳しく教えていただけますか?

鈴木翔大先生

浜松学院中学校では各クラス複数担任制を取っているのですが、外国人教員にも担任として入ってもらっています。日常的に外国人教員と触れ合う中でネイティブの発音に触れたり、その国の文化を教えてもらったりできる環境があるのが本校の英語教育の特徴です。

他にも日常的に英語に触れられるよう、教室の時間割表などの掲示物をできるかぎり英語にするなど随所に工夫を凝らしています。また生徒が積極的に英語を使用する機会として、持ち回り式で行う朝の会・帰りの会の進行を英語でしてもらったり、当番日誌を英語で書いてもらったりしています。

編集部

中学校から英語を使って朝の会や帰りの会の進行をするというのはなかなか大変だと思いますが、生徒さんの反応はいかがですか?

鈴木翔大先生

最初のうちは、やはり戸惑う生徒が多いですね。しかし外国人教員のフォローのもとで司会進行表を見ながら進めていくため、やっていく内にだんだんと慣れていきます。3年生になると司会進行表がなくても進められるくらい上達する生徒も少なくありません。朝の会・帰りの会で使用していた文言が後から授業で出てくるケースもあり、実践的な英語と授業がうまく連携しているなと感じますね。

浜松学院中学校・高等学校の外国人教員の授業の様子

編集部

英語の授業には、御校ならではの特徴はありますか?

鈴木校長

本校では英語の授業の時間を他の学校よりも多く取っており、また「英会話」という独自科目を設けています。英語の授業は日本人教員と外国人教員の2人で行うティーム・ティーチングが基本です。授業中は教員と生徒のやり取りも、教員同士のやりとりも英語を使うように努めています。生徒たちもわからないなりに英語を話すことで必然的に発信力が高まっていきますし、教員同士のやりとりを聞くことでリスニング力や表現力を培う機会にもなっています。

浜松学院中学校・高等学校のティーム・ティーチングの様子

▲日本人英語教員と、外国人英語教員で行うティーム・ティーチング

生徒全員で参加!3年間の英語教育の集大成となる10日間の海外研修

浜松学院中学校の海外研修の様子

編集部

御校のグローバル教育では、実際に海外に行く機会もありますか?

鈴木翔大先生

中学校の英語教育の集大成として、中学3年生の秋に全員参加の10日間の海外研修を実施しています。現地でホームステイをしながら学校に通うというのがこの海外研修プログラムの内容です。海外研修の行き先はカナダのバンクーバーやオーストラリアのパースなど、治安が良く住みやすい街を条件に数年単位で検討しており、現在はオーストラリアのシドニーに行っています。

編集部

中学生で10日間海外で生活するということに不安を感じる生徒さんや保護者の方も多いのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

鈴木翔大先生

学校行事として教員が引率し、全員参加で行くものであるため、通常の海外留学よりも安心できる面はあると思います。他の学校ではなかなかできない体験のため、そこに魅力を感じて本校に入学してくれる生徒も多くいますよ。

また本校の教育はこの3年生の海外研修に照準を合わせて行っている部分もあるため、生徒にとっては不安が先に立つというよりも、3年間で培った英語力を試せる場だという位置づけになっていると思います。もちろん行く前は不安を感じる生徒もいますが「行ってみたら何とかなった」という感想を聞くことが多いですね。10日間という長い海外生活の中でさまざまなことを乗り越えた経験は、生徒たちにとって自信にもつながっているようです。

鈴木校長

ホームステイ先のご家庭や現地の学校がとても協力的なのも、本校の生徒にとってより良い海外経験になっている大きな要因だと思います。特に現地の学校では、バディと呼ばれる向こうの学生のサポートのもとで海外の学校生活を体験できるんです。英語の授業を受けられるだけでなく、現地の生徒との交流機会も多いため、英語力の向上に加えて異文化理解を深めることにつながっています。

浜松学院中学校・高等学校の海外研修の様子

編集部

海外研修の中で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

鈴木翔大先生

この海外研修を経てリスニング力に自信をつけ、帰国後もリスニングを重点的に勉強するようになった生徒が印象に残っています。本校でも日常的に英語を使う機会はありますが、やはり本場の英語環境に身を置いて経験したことというのはその後の学習姿勢を変えてしまうくらい、とてもインパクトがあるのだなと感じました。

英語力だけでなくコミュニケーションの部分でも印象に残っているエピソードがあります。この海外研修は全員参加で行くこともあり、向こうでも生徒同士で固まってしまうケースがあるんですね。そんな中で、スポーツをきっかけにどんどん現地の学生を巻き込んで交流している生徒がいたんです。現地の学生と一緒にサッカーを行い、点が入ると喜び合うという交流を自然に行っていました。その生徒はとてもスポーツが好きな生徒だったのですが、自分の好きなものを国を超えた交流のきっかけにできるのは素晴らしいことだと感じましたね。

編集部

なるほど。スポーツが盛んで、生徒の「好き」「得意」を大切にしている御校の教育が国際交流にも活きたエピソードですね。

強豪のバスケットボール部をはじめ、特徴的な部活動が精力的に活動

浜松学院中学校・高等学校の男子バスケットボール部

編集部

御校の部活動についてもお聞きしたいと思います。運動部・文化部とさまざまな部活動がある中でも、特徴的な部活動をいくつかご紹介いただけますでしょうか。

鈴木翔大先生

たくさんありますが、特に男女バスケットボール部は県大会、全国大会でも結果を残す強豪です。男子の方は2013年に日本一になった実績があり、男女ともに東海大会、全国大会進出をテーマに精力的に活動しています。

編集部

バスケットボール部の強さの秘訣は何だと思われますか?

鈴木翔大先生

豊富な練習量もさることながら、卒業生たちが残してくれた実績が今につながっているのも大きいと思います。実績を残した卒業生が指導者として帰ってきてくれるケースもあり、良いサイクルが出来上がってきているなと感じます。Bリーグで活躍している卒業生が本校に足を運んでくれることもあるため、そういった部分も在校生の刺激になっているのではないでしょうか。

編集部

強豪校としての歴史が、また新たな強さにつながっているんですね。他にも特徴的な部活動があれば教えてください。

鈴木校長

自転車競技部があるのは、自転車競技が盛んな静岡県ならではの特徴ですね。現在は高校生しか入部していませんが、今後は中学生の内から体づくりの基礎を行って高校のインターハイ、全国大会にまでつなげていくような流れができたら面白いなと思っています。

鈴木翔大先生

同じく中学生の入部はないものの、ダイビング部があるのも珍しいのではないかと思います。以前に中学校で全国大会に出場した生徒は、今でもダイビングの競技で活躍していますよ。

文化部では、津軽三味線部は静岡県内で本校にしかない珍しい部活動です。また1988年から活動している鉄道研究部も県内では珍しい部活動ですね。ジオラマの風景の中をミニチュアの電車を走らせたり、実際に路線に鉄道のシステムを見に行ったりと、興味関心を深く掘り下げるような活動をしているのが印象的です。

浜松学院中学校・高等学校の鉄道研究部

部活動で得た自信が勉強にも好影響を与える、浜松学院中学校・高等学校の文武両道の秘訣

浜松学院中学校・高等学校の授業中の様子

編集部

御校では部活動と学業を両立させる上でどのような工夫をされていますか?

鈴木校長

本校では強豪部活動であっても、「やるべきことはやってから部活動を行う」という姿勢を徹底しています。顧問の先生もそのように指導していますし、また保護者の方にもその考えをしっかりと理解してもらっています。だからこそ生徒自身にも、「部活だけやっていれば良い」と思わずしっかりと勉強に取り組む姿勢が生まれているのだと思います。

鈴木翔大先生

顧問の先生は「学業も含めた学校生活をきちんと送ることが強い部活動をつくる」ということを必ず伝えてくれているんです。だからこそ部活動と勉強が相互に好影響を与え、文武両道が実現しているのではないでしょうか。

編集部

部活動に真剣に取り組む上で、その前提となる学校生活を大切にしているからこそ、さらにそれが強い部活動をつくっていくという好循環が生まれているのですね。他にも、部活動が学校全体に与える影響はありますか?

鈴木校長

本校では体力や技能的な部分で不都合が生じる部活動を除き、多くの部活動が中高合同で行われています。そういう縦のつながりの中で、人のためにアドバイスをしたり行動したりという、「誠の精神」が培われていると感じます。また純粋に、かなりの経験値を持つ先輩からアドバイスを受けながら成長できるというのも魅力ですね。

鈴木翔大先生

部活動を通じて「好き」「得意」を見つけられるというのも、「マイビジョン教育」において重要なポイントです。特に近年初心者で吹奏楽部に入部する生徒が増えているのですが、段々と上達する中で活躍の場が増えて、学校生活を送る上での楽しさを見つけられたという生徒も多くいます。部活動で得た自信が勉強を頑張ることにもつながっていく、そんなサイクルが生まれているなと実感しています。

浜松学院中学校・高等学校からのメッセージ

浜松学院中学校・高等学校の鈴木鈴木清吾校長、鈴木翔大先生

▲インタビューにご対応いただいた鈴木校長(左)、鈴木翔大先生(右)

編集部

最後に、浜松学院中学校・高等学校での学校生活に興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。

鈴木校長

本校では、生徒一人ひとりをよく見ながらきめ細かな教育を行っています。教員との距離感も近く、良い関係性の中でお子様に楽しく学校生活を送っていただけるような環境があるのが魅力です。

学区の垣根を超えさまざまな場所から生徒が集まってくる私立校だからこそ、それぞれの地域の良さ、多様な人間性を活かして楽しく新しいものをつくっていくことができます。「明日も通いたい」と思ってもらえる楽しい学校であり続けられるようにこれからも学校経営を行っていくため、ぜひ魅力を感じた方は本校をお選びいただけると嬉しいです。

鈴木翔大先生

浜松学院中学校は英語教育と国際理解に特に重点を置いているため、そこに興味がある生徒にはとても良い環境があります。一方でまだ好きなもの、得意なものが見つかっていない場合でも、本校でのさまざまな経験を通じて「マイビジョン」を見つけていくことができます。好きなものを見つけたい方、得意なことを伸ばしていきたい方は、ぜひ本校にお越しいただければと思います。

編集部

鈴木清吾校長先生、鈴木翔大先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

浜松学院中学校・高等学校の進学実績

浜松学院中学校・高等学校の図書館

浜松学院高等学校はコースによって多様な進路希望にわかれており、大学、短期大学、専門学校、就職と一人ひとりの進路希望に応じてきめ細かな進路指導が行われています。

実際の進学実績を見ると、特進コースでは静岡大学、浜松医科大学といった国公立大学、青山学院大学、南山大学などの難関私立大学への合格者を輩出しているのが特徴です。ドリーム実現コースでは約4割が四年制大学に進学している他、短期大学や専門学校への進学、就職など多様な進路が実現しています。子ども教育コースでは保育者育成校である浜松学院大学短期大学部・浜松学院大学に進学しています。

■浜松学院中学校・高等学校の進学実績(公式サイト)

https://www.hamagaku.ac.jp/gakuin/high_examinee/performance/

浜松学院中学校・高等学校生徒の声

ここでは、公式サイトに掲載されている浜松学院中学校・高等学校の生徒からのメッセージを一部抜粋して紹介します。

浜松学院中学校では、外国人の先生が朝から帰りまで一緒に生活をしているので英語を重点的に教えてもらうことができます。英会話の授業などを通して外国の文化を教えてもらうことも自分の視野を広げる意味で大きな学びになっています。(後略)

私は浜松学院中学校で部活動と生徒会活動を頑張っています。女子バスケットボール部では、声を出し合い、協力して同じ目標に向かって日々練習しています。先輩・後輩の仲が良いチームです。生徒会では、「けじめのある、明るく楽しい学校づくり」をテーマに活動しています。今年度は、学校だけでなく世界にも協力できることはないかと話し合い、ユニセフの募金活動に参加することを計画しています。

インタビューにもあったように、外国人教員が学級運営も行うという浜松学院中学校ならではの環境が英語力向上・異文化理解につながっていることが生徒のメッセージからも伝わってきました。また部活動や生徒会活動などさまざまなことにチャレンジすることで新たな活動にもつながっているという声もあり、浜松学院中学校・高等学校のマイビジョン教育が結実していることが伺えます。

■在校生の声(公式サイト)

https://www.hamagaku.ac.jp/gakuin/highschool/voice/

浜松学院中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人興誠学園
住所 静岡県浜松市中央区高林1-17-2
電話番号 053-471-4136
資料請求 https://www.hamagaku.ac.jp/gakuin/contact/
公式ページ https://www.hamagaku.ac.jp/gakuin/

※詳しくは公式ページでご確認ください