中学校受験に興味があるお子さん・保護者に向け、注目の学校を取り上げる本企画。本記事では、宮城県大崎市にある私立の共学校「古川学園中学校・高等学校」について紹介します。
学校法人「古川学園」が運営する同校は、6年間でカリキュラムが組まれた中高一貫校です。国際社会で活躍する人材の輩出を目標に掲げ、中学校からキャリア教育を実施し、生徒たちの「夢を実現させる力」を引き出しています。明確な目標が原動力となり、東京大学をはじめとする国公立大学や、難関とされる医学部にも多数の合格者を輩出しています。
今回は、中学校で副校長を務める黒澤先生に、同校の教育理念や感性・心を育む教育、クラブ活動などについて伺いました。
この記事の目次
古川学園中学校・高等学校の教育目標:県北からのグローバル人材輩出
▲2024年度から、中学校の副校長に着任された黒澤先生
最初に、古川学園中学校・高等学校の教育目標をお聞かせください。
本校は、宮城県の北部(県北)で唯一の私立中高一貫校です。この県北の地から日本、さらには世界で活躍する人材を輩出することを目標に掲げ、生徒たちの指導にあたっています。実は、現在の民主主義の土台を築いた思想家・吉野作造さんは、古川市の出身なんですよ。
日本や世界を舞台にリーダーシップを発揮していくためには、礼儀や規範意識なども重要です。2024年度から本校に着任した校長は、「凡事徹底(当たり前のことをしっかりしよう)」と「英姿颯爽(いずれの場所でも物怖じせず、堂々としよう)」の指針を生徒たちに示しました。生徒たちも校長の話を意識しているようで、自ら進んであいさつをしたり、整理整頓を心がけたりする姿が見られます。
「心ある頭脳」を育む古川学園の特色あるカリキュラム
古川学園中学校・高等学校は、学力と心を育む教育に力を入れています。具体的にどのような活動をしているのか、詳しく伺ってみましょう。
実体験重視の視野を広げるキャリア教育プログラム
▲霞ヶ関にある「外務省」を訪問
古川学園中学校・高等学校は、中学校の段階からキャリア教育を実施されていますよね。キャリア教育といっても幅広いですが、どのような点に力を入れているのでしょうか?
できる限り「本物」に触れる機会を設定し、生徒たちの視野を広げる点を重視しています。例えば中学2年生の宿泊行事では、2泊3日で東京都の中央省庁や国会、企業などを訪問します。
日本の首都・東京都は、国の主要機関や、企業の本社などが集まる地域です。もちろん地元も大切ですが、日本や世界を舞台に活躍するためには「どのようにして国を動かしているか」を知っておくことも大切だと思います。そのため本校ではあえて東京に足を運び、現地で活躍する方々の姿を通して「なぜ働くのか」「自分には何ができるのか」を考えていきます。
早い段階で日本の中枢に触れることで、地元に貢献する意識も変わってくるでしょうね。滞在期間中には、どのような体験ができるのでしょうか?
滞在期間中には、国会議員として活躍する地元出身の議員さんに国会を案内してもらうほか、ANAの工場を見学する機会も設けています。昨年からスタートした「スポーツ&カルチャーコース」の生徒は、日本のアスリートたちが練習に励む「味の素 ナショナルトレーニングセンター」への訪問も可能です。
ここまでは校外で実施するキャリア教育について伺ってきましたが、校内のキャリア教育についても教えていただけますか?
2022年度・2023年度には、本校の体育館で「フォーラム」を開催しました。パネルディスカッション形式のフォーラムでは、社会で活躍している5人の方々がパネラーとなり、生徒たちの前でテーマに沿った意見を出し合います。これまでには地元・古川市出身のオペラ歌手のほか、本校の卒業生でバレーボール全日本の選手として活躍した選手や中日ドラゴンズの元選手にも参加していただきました。
それぞれの分野のプロから話を聞くことで、「あの人のように、世界で活躍したい」と将来の目標が定まってくる生徒もいるようです。
現場で活躍している人の話は、どんな教科書よりも説得力がありますね。中学校を中心にお話を伺ってきましたが、高校のキャリア教育についてもお聞かせください。
高校では現役の医師を迎え、ご自身の体験や現場の話などについて話を伺う機会を設けています。医師の方々の話を聞き、ぼんやりとしていた夢が目標に変わったり、医療の道に興味を持ち始める生徒もいるようです。
また、高校の「情報ビジネス科」では5月ごろに、約20の企業を集めた説明会を開催しています。進路選択はもちろん、就職のサポートも実施できるのは、もともと商業科だった本校の強みです。
強歩大会:忍耐力と仲間意識を養う伝統行事
古川学園中学校・高等学校は、生徒の心を育む教育にも力を入れているそうですね。具体的に、どのような取り組みをされているのでしょうか?
毎年5月に中高合同の「強歩(きょうほ)大会」を実施し、生徒たちの忍耐力や仲間意識を育てているところです。2人1組になり、中学生は「池月」にある道の駅から本校までの約20キロメートルを歩きます。高校生になると、さらにひと駅離れた「鳴子」から、約30キロメートル先の本校を目指します。
大人の足でも中学生のコースは5時間ほど、高校生のコースだと8時間近くかかる道のりなので、生徒たちにとってはつらい行事なんですね。ただ、受験をはじめとする困難を乗り越えるには、「もうダメだ」という諦めに打ち勝つ忍耐力が欠かせません。強歩大会を通して仲間との絆を強め、励まし合いながら受験に立ち向かってほしいと思っています。
ちょうど先週、27回目の強歩大会があり、私も生徒たちと一緒に参加しました。正直なところ、途中で何回も「やめたい」と思いましたね。諦めそうになったときに、沿道から「頑張れー!」と応援してくれている保護者や地域の方々、卒業生の姿が見え、なんとか最後まで歩き切ることができたんです。生徒たちも同じ様子で、「もう少しだから頑張ろう」と声を掛け合っていました。
つらいときの声援は、勇気づけられると同時に「人に支えられている」ことを実感する機会にもなりますね。大会中に、先輩と後輩が関わる機会はあるのでしょうか?
もちろんです。強歩大会には先輩と後輩のつながりを強める目的もあるため、中学3年生と高校1年生というように、他学年の人とペアを組むのが特徴です。
強歩大会の長い距離を一緒に歩くうちに、自己紹介をしながら距離を縮めていくようです。クラブ活動とは違う先輩・後輩の関係を築いていけるのも、強歩大会の魅力だと思います。
全国レベルの実績!古川学園の注目クラブ活動
「文武両道」を重視する古川学園中学校・高等学校は、クラブ活動も活発です。ここからは、同校が特に力を入れている女子バレー部・男子卓球部・吹奏楽部の活動についてお聞きします。
16回の全国優勝!県外生も多い古川学園の女子バレー部
古川学園高等学校といえば、女子バレー部の活躍が注目されていますね。女子バレー部の生徒さんは、県外の生徒も多いそうですね。
高校の女子バレー部員たちはほとんどが県外の出身で、寮生活を送っています。「自分で考えて行動する」意識が育っており、練習で使用する体育館はいつも整理整頓が行き届いているんですよ。
校内では、相手がだれであっても立ち止まって「こんにちは」とあいさつをするバレー部員の姿をよく見かけます。技術面はさることながら、集団生活で培われた自主的な行動や、礼儀正しさなども全国優勝16回という結果につながっていると思います。
中学校のバレー部員たちは、高校生と一緒に練習するのでしょうか?
合同ではありませんが、高校生が練習をする隣のコートで練習します。高校生の近くで練習をすることが、中学生にいい影響を与えているようです。
2023年は地区大会の優勝に至らなかったのですが、2024年の春季大会では大差をつけて県大会で優勝するほどになりました。「わずか1年ほどでこんなに成長するのか」と、中学生たちの吸収力に感心しています。
青森山田高校出身監督が率いる男子卓球部の活躍
女子バレー部以外で、活躍しているクラブ活動を教えていただけますか?
男子卓球部も、全国レベルの結果を残しています。2022年・2023年のインターハイに、団体戦と個人戦ともに出場しました。
実は男子卓球部の監督は、リオオリンピック・東京オリンピックでメダルを獲得した水谷準さんと同じ青森山田高校の出身なんですよ。彼女は小学生のころから卓球を続け、青森山田高校に進学した後に、地元に戻ってきたそうです。経験豊富な監督から指導を受けていることもあり、試合でも結果を出し続けています。
地元で人気の吹奏楽部:満席必至の定期演奏会
体育系のクラブ活動について伺ってきましたが、文化系のクラブ活動はいかがでしょうか?
文化系のクラブでは、吹奏楽部が活発ですね。2022年度には、日本学校合奏コンクール全国大会グランドコンテストで金賞を受賞しました。
本校の吹奏楽部は「地域に愛されるバンド」を目指し、企業の芸術鑑賞イベントや大崎市の新庁舎開設のセレモニーなどでも、演奏を披露しています。
地道な練習から生まれる美しい音色が好評で、地域の小学校やお祭りなどでの演奏を依頼されるケースも多いです。大崎市民会館などで定期演奏会をすると、チケットが売り切れになることもあります。
古川学園の進学実績:医学部や東大・東北大にも多数合格
▲高校3年生「進路ガイダンス」
古川学園中学校・高等学校は、コースや学科の選択肢も多いそうですね。どのようなコースや学科があるのか、紹介していただけますか?
中学校は、難関大学を見据えた「特別進学コース」か、スポーツ・文化・芸術などに特化した「スポーツ&カルチャーコース」から選択が可能です。
高等学校には、進学に焦点をあてた「普通科」と、資格取得から進学または就職を目指す「情報ビジネス科」があります。普通科に進んだ生徒は、国公立・難関私立大学に特化した「進学コース」と、部活動をしながら志望校への現役合格を目標にした「創志コース」、勉強と部活の両立が可能な「総合コース」から好きなコースを選択できます。
中学校にも難関大学に対応したコースがあると、志望校に合格する可能性も高まりますね。卒業生の多くは、どのような大学に進学するのでしょうか?
進学を希望する生徒は、国公立大学や難関私立大学のほか、医学部にも進学しています。2023年度までには、東北大学に240人以上、東京大学には30人以上の卒業生を送り出してきました。
そのほか、早稲田大学や慶應義塾大学へも、トータルで250人以上合格しています。本校は医学部に合格する生徒も多く、これまでに90人近くの生徒が国公立大学の医学部・医学科へ進んでいますよ。
古川学園からのメッセージ
古川学園中学校・高等学校に興味を持っているお子さん・保護者に向け、メッセージをお願いします。
本校は、「夢を叶えるのは、向き合った人だ」をテーマに掲げる学校です。中学校の段階から社会で活躍する方々に触れる機会を設け、生徒たちが「自分の夢」を見つけ出せるようにサポートしています。難関大学への進学からスポーツ・文化に特化したコースも充実しており、生徒たちが抱いた夢に近付いていける環境が整っています。
「とりあえず大学へ行こう」ではなく、明確な目的を持って中学校・高等学校を送ることが可能です。宮城県の中心地・仙台市から、本校のある古川市までの所要時間は、電車で約1時間、新幹線だと約15分です。最近は、新幹線を利用して仙台市や、岩手県の一関市あたりから通学する生徒も増えてきていますよ。
自分の個性を発揮したい方や、将来の夢を見つけたい方は、ぜひ古川学園中学校・高等学校にお越しください。教職員一同、お子さんのご入学を楽しみにしています。
お話からも、「生徒の目標を実現するには何が必要か」を考えて改善を重ねる御校の誠実さが伝わってきました。中学校・高等学校時代に、社会で活躍する人に出会うことで、その後の人生が大きく変わってくることでしょう。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
古川学園中学校・高等学校の保護者からの口コミ
最後に、古川学園中学校・高等学校の保護者から寄せられた口コミを紹介します。
全体的に、個に応じた指導や、将来を見据えたキャリア教育に対する口コミが多く見られました。そのほか、「冷暖房が完備されていて、快適に過ごせる」と設備の充実度を評価する声もありました。
▲高校の普通科・創志コースでは、SDGsを取り入れた探究学習を実施。5月22日の「生物多様性の日」には、校内で植樹活動を行った
古川学園中学校・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人「古川学園」 |
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住所 | 宮城県大崎市古川中里6丁目2-8 |
電話番号 | 0229-22-2545 |
問い合わせ先 | 問い合わせフォーム:https://furukawa-gakuen.ac.jp/highschool/inq/ |
公式サイト | https://furukawa-gakuen.ac.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください