特色ある教育や校風で注目を浴びる学校を紹介する本企画。今回は大阪市城東区にある共学の私立小学校「大阪信愛学院小学校」を紹介します。
同校はカトリックの精神に基づいた教育で140年以上の歴史を紡ぐ、認定こども園から大学までの総合学院です。「人としての基礎・基本を大切にし、社会の中で輝く子ども、未来に向かって挑戦する子ども」の育成を目指し、1952年の開校から70年以上に渡って魅力的な教育プログラムを展開しています。
今回は、校長の川端先生、体育担当・募集部長の森島先生、情報担当・募集担当を務める高橋先生にインタビューし、教育方針や力を入れているグローバル教育、学校の雰囲気について詳しくお話を伺いました。
この記事の目次
大阪信愛学院小学校の「賢・謙・健」からなる人間教育
▲インタビューに応じてくださった大阪信愛学院小学校の川端校長先生
まずは、大阪信愛学院小学校の建学の精神や、教育方針について教えてください。
私たちは「キリストに信頼し、愛の実践に生きる」という言葉を建学の精神としています。教職員一同、学院の創立者レーヌ・アンティエの心を受け継ぎ、「信」と「愛」を胸に子供たちの教育を担っております。
6年間の学校生活で、私たちが子供たちに身に付けてほしいと願うのは、「賢」・「謙」・「健」からなる「3つのけん」です。「賢」は基礎学力や判断力、「謙」は謙譲の美しさや奉仕の尊さ、「健」は心と体の健康を表します。この考えをベースに、知・徳・体のバランスがとれた子供の育成を目指し、本校では独自に「Inspire(インスパイヤー)教育」を実施しています。
この教育が目標とするのは、小学校の教育を土壌として人生にやる気や可能性、ひらめきといったキッカケを与えることです。そのために、縦割り活動や教職員が児童に1対1でとことん関わるなど、さまざまな取り組みをしております。
▲インタビューに応じてくださった大阪信愛学院小学校の森島先生
本校の教えの根幹には、カトリックの精神に基づく教育があります。朝礼・終礼でのお祈りや毎週設けられた「宗教の時間」、さらには学校行事などを通して、優しさを育むキリスト教の教えを児童へ伝えています。
また、小学校1年生から「お作法の授業」を設けており、心を落ち着かせる、自分と向き合い、外に発信していく、といった学習ができているのも特徴です。
大阪信愛学院小学校では「体験」をベースとした教育で心を磨く
大阪信愛学院小学校では、教育においてどのような点を重視しているのでしょうか?
本校では、子供たちにできるだけ多くのことを「体験」してもらいたいと考えています。体験型の学習として、宿泊学習や社会見学などを取り入れ、さまざまな面で経験値を上げる場を設けているのが特徴です。こうした体験型の学習は、心や感性を磨くことにもつながっています。
宿泊学習はどの学年でどのような場所へ行くのでしょうか?
3・4年生は滋賀県へ、5年生は広島県へ、6年生は修学旅行で関東地方へ行きます。
3・4年生は縦割りで体験学習をしていて、3年生でお世話してもらい習ったことを4年生になったときに先輩として下級生に還元することで、学年を超えて自然と親しくなる術を学びます。5年生は広島で平和学習、6年生は国会議事堂や登呂遺跡など教科書で学習した場所に実際に足を運ぶ経験をしております。
▲同校では、体験型の学習として3年生から宿泊学習を取り入れている
体験学習を経て、収穫や実際に先生方が肌で感じる変化などはありますか?
低学年のうちは、荷造りがお家の方に頼り切りの児童も多く、荷物が見つからない、荷物を取り違えた、といったアクシデントが多いものです。しかし、高学年になるにつれて自分のものは自分で管理することを学び、旅上手になっていき、6年生になると自分のことは自分でできるようになります。
手際が良い児童はグループ内のほかメンバーの手伝いやサポートまでできるようになり、引率していて協力する心が自然に育まれているな、と感じますね。
また、宿泊先の方々への感謝の気持ちの伝え方においても、我々が言わなくても、訪れたときよりも部屋を綺麗に掃除して退出することが徹底されており、子供同士で「きちんとしよう」と声をかけ合えている証拠かなと思います。
宿泊学習のほかに体験をベースとした“心を磨く”特色ある教育プログラムや行事があれば教えてください。
外部から講師をお呼びして学ぶ多様な機会があります。たとえば、関西電気保安協会様に来ていただき電気の作り方を学習する、講師の方をお呼びして日本の古典芸能である能を体験する、マリンバの世界的な奏者による演奏に触れる音楽鑑賞会などです。音楽鑑賞会は親子で参加できるよう開催し、家庭で感想の伝え合いや会話が弾んだといった感想を多くいただきました。
健康に関する講演も、実際に医療現場で活躍する方や薬剤師の方に講演を依頼し、子供にいま必要なお話や薬の飲み方、がん教育や薬物乱用防止についてなど、幅広く学習しております。
▲外部講師を招き、さまざまな体験ができるのが大阪信愛学院小学校の特徴
大阪信愛学院小学校の“生きた英語”を学べるグローバル教育
ここからは、大阪信愛学院小学校が力を入れるグローバル教育について紹介します。同校では、1952年の創立以来70年以上に渡り英語教育が実施されています。生きた英語の効果的な習得を目指す、オリジナリティ溢れる授業内容が特徴です。
「3つの形態」で効果的な英語授業を実施
▲英語PC室
大阪信愛学院小学校の英語教育についてお聞きします。通常の英語の授業はどのように実施されているのでしょうか?
英語の授業に関しては、低学年は週に1.5時間、高学年は週に2.5時間ほど確保しています。3つの形態で授業を展開しているのが特徴ですね。
1つ目は「ティーム・ティーチング」です。ネイティブの先生と日本人の先生が一緒に授業を行います。オールイングリッシュでは伝わりにくい内容を日本人の先生がカバーしながら授業を進められるのがメリットです。
2つ目は「ハーフ・クラス英会話」です。授業を受ける人数を通常クラスの半分にして、できるだけ少人数で行き届いた授業を目指します。ネイティブの先生と発音の練習や会話をするなど、コミュニケーション重視の授業を展開できるのが特徴です。ちなみに、クラスを半分に分ける際は、英語と情報の授業に振り分け、それぞれの授業を均等に受けております。
3つ目は「英語定着度チェック」です。児童にどれくらい英語が定着したか、理解度を確認しながら授業を進め、より効果的な授業へ反映させています。ネイティブの先生に宿題を見てもらう、日本人の先生と文法的な内容を一緒に勉強する、など教師が寄り添うことでモチベーションアップにつなげています。
「英語劇」や「暗唱大会」といった発表の場や自主的に学べる機会も充実!
▲イングリッシュサマーキャンプのひとコマ
普段の英語授業を超えて、特別なイベントや学んだ英語をアウトプットできる機会、フォローアップとして整えている制度などがあれば教えてください。
培った英語力を発表する場として、3年生による「英語劇」や4年生以上が参加できる「暗唱大会」を設けております。「英語劇」は毎年11月に実施するイベントで、授業中に一生懸命英語のセリフや表現を覚え、劇でお披露目します。4年生以上の暗唱大会は、夏休み中の宿題として覚えた内容をもとに各学年で3人の代表者を決め披露する、毎年10月のコンテストです。
そのほか、6年生を対象とした夏休み前のイングリッシュサマーキャンプもありますよ。ネイティブの先生とともに少人数で2泊3日に渡り英語を勉強する企画で、最終日は観光地に足を運び、実際に外国の方に話しかけて会話にチャレンジします。
英語においても、「体験」の機会を多く作っているのが本校の特徴です。「英語を話したい!」とやる気に満ちた子供はどんどん成長を遂げています。すぐに身にならなくても、大人になってから「こんなことをしたな」と思い出し、経験を糧にしてもらえたら嬉しいですね。
さらに英語能力を伸ばしていける「信愛グローバルコモンズ」
行事のほかに、通常の英語教育のフォローアップとして活用できる制度や取り組みはありますか?
学院内の「信愛グローバルコモンズ」という施設にも注目いただきたいですね。放課後予約制の英語教師が常駐する施設で、ネイティブの先生と1対1で英語の勉強や会話、検定資格の勉強ができる場です。
こちらは、学院の施設で小学生だけでなく中学生、高校生、大学生も利用します。授業だけでは足りない児童や心配な児童も、しっかり学べます。
▲信愛グローバルコモンズでは、自主的な英語学習のサポートや海外文化を体験するイベントを実施している
この信愛グローバルコモンズの協力もあり、メタバース空間を介してフィリピンの先生と交流する授業も始めています。いつも授業で会う先生とは違う、知らない外国の先生やフィリピンの子供たちと話す機会として、2024年度は小学校でクラブ活動として取り入れる方針です。
そのほか、本学院の中学校・高校が提携するオーストラリアの学校からの留学生と交流する機会や、ビデオやiPadで撮影した映像をオーストラリアの子供たちに渡す“ビデオの交換留学”といった取り組みも導入しています。
大阪信愛学院小学校の“考える力”を育みITへのリテラシーアップを支えるICT活用教育
▲ほがらかな笑顔で話をしてくださった情報担当・募集担当の高橋先生
大阪信愛学院小学校では、ICT活用教育をカリキュラムのなかでどう位置付け、どのように授業を進めているのでしょうか?小学校低学年の授業からパソコンやインターネットを使用していますか?
本校では校舎に無線LANを完備し、低学年からICT機器に触れ、慣れ親しむ機会を設けています。ICT活用教育を、情報社会に通用するデジタル市民を目指すための“デジタルシティズンシップ教育”としてとらえ、「情報の授業」と呼びカリキュラム立てしているのが特徴です。
全学年において授業を実施しており、低学年から知識をつけ、3年生でプログラミング教育を開始し、インターネットリテラシーを徐々に底上げしていくようなカリキュラムを組んでいます。
キーボードやマウス操作をはじめとしたパソコンの基本的なスキルはもちろんのこと、コンピューターがなぜ動くか、CPU、GPUとはなにか、ITと生活の関りなど、幅広い知識を伝えていますよ。
御校ならではの特色あるプログラムがあれば教えてください。情報の授業でも「体験型」を重視されているのでしょうか?
本校ならではの特色あるプログラムとしては、情報の授業を介した「キャリア教育」やプログラミング教育を兼ねた「大会」が挙げられるかと思います。
キャリア教育に関しては、外部とコラボして、実際に社会で働いている方を学校に招き、お話をしていただいています。講演いただくのは、プログラマーやIT企業の社員様、マネジメントのプロなどさまざまです。子供は事前にキャリアシートを作り、質問を考え、近い距離で直接的に交流を持ちながら学びます。
仕事をする感覚を知り適正やビジョンを明確にできる、「自分は文系と思っていたけど、理系も面白いと感じた」など新たな気付きを得られる点などがメリットですね。
▲情報の授業の様子
プログラミング教育を兼ねた大会については、コロナ前は外部の企業様主催のロボット大会を2期連続で本校の校舎で開催しておりました。大会に向けて情報の授業で練習したスキルを、ほかの学校の方々の前で披露する“発表の場”として活躍しています。
▲大阪信愛学院小学校が会場となったプレゼンテーション大会。プレゼン能力とともに考える力も磨いている
また、2023年度は外部主催のプレゼンテーション大会を本校で実施し、本校を含めて5校でプレゼンテーションを行い、内容を評価していただきました。プログラミングの知識やプレゼンテーションスキルだけでなく、課題発見力やコミュニケーション能力も問われる大会です。
実践的な内容で、ICTに関わる知識やスキルがしっかり身に付きそうですね。実際にはいかがでしょうか?
プレゼンテーション能力も養えますが、実はこの学習で大事にしているのは、“考え方のプロセスを学ぶ”ことです。たとえば、今話題のシンキングシートの使い方を学びながら、「なぜこう考えるのか」「なぜそう話すのか」という点について、自分で振り返れるものを作っています。また、問題解決能力を育むために、大きな課題を分解し、自分ができる小単位を考えて明確にする、といった授業構築を目指しています。
そこまでできたら、ようやく発表の段階です。これまで勉強したスキルから最適な方法を考え、発表します。プレゼンテーションに至るまでの過程に重きを置いているのが授業の特徴です。
大阪信愛学院小学校の思いやりの心を身に付けられる学校生活
大阪信愛学院小学校では、掃除や遊びの時間といった縦割りグループで行動する機会が多く、さまざまな学年の児童と交流を持つ機会に恵まれています。どんな学びを得て成長できるか、どんな場所で過ごすかなど、スクールライフについて紹介します。
縦割りグループから自然に学ぶ思いやり
▲縦割り活動により、お昼ご飯や運動などさまざまな場面で異学年との交流が生まれている
御校でのスクールライフについて、下級生と上級生の関わりから生まれるメリットや、先生方からご覧になって「いいな」と感じる点などを教えてください。
縦割りグループで1年生の頃はお世話される側だった児童が、学年が上がるにつれて困っている下級生をしっかりお世話してくれるようになる傾向があります。
困っている下級生たちを見つけたら、「ほっとけない」という感覚があるのでしょうね。雑巾の絞り方を教えたり、ほうきでの掃除残しをフォローしたり、過去に自分が“してもらったこと”を自然にしてあげている姿を見て、どの児童も6年間で成長しているなと嬉しく感じます。
児童の皆さんと先生方との関わりについても教えてください。
本校はコンパクトな学校なので、教師の視界に常に子供の姿が映ります。子供たちのことをほとんどの教職員が把握しており、私も実際に体育の授業を受け持っているのは6年生ですが、縦割り活動や下校指導を通して、多くの他学年の児童と関わり、名前を覚えております。どの教職員も児童へ積極的に声掛けをしますし、なにかあれば担任の先生に伝えたり、連携が取れています。
総合学院のため、こども園の園児から大学生までが敷地内にギュッと在籍しており、卒業生もたくさん遊びに来るのが特徴です。小学生が困っていたら、中学生や高校生の生徒が声をかけて付き添ってくれたり、怪我している子供の荷物を持ってくれたり、心温まる光景も頻繁に目にしますよ。
学院全体の充実の施設
▲祈りの部屋
大阪信愛学院小学校の校内施設についても、ぜひお教えいただけますか?
わかりました。本校は敷地内に認定こども園や中学・高校、大学の施設があり、広々とした環境で学校生活を送ることができるのが特徴です。
校舎は中央にアトリウムがある開放的な空間になっており、木材をいろいろな箇所に使用しているので、温かみがあって過ごしやすいと思いますね。また、グラウンドや体育館などの運動施設もゆとりを持って活動できるスペースを備えています。
▲グラウンドと体育館
その他の施設でいうと、約20万冊の蔵書がある図書館や食堂、プールなどがあり、児童は授業や休み時間などに充実した時間を過ごすことができていますね。
▲図書館と食堂
大阪信愛学院小学校からのメッセージ
結びに、大阪信愛学院小学校から入学を検討中の子供さんやその保護者の方々に向けてメッセージをお願いします。
大阪信愛学院小学校の教育は、イエスキリストの生き方から学ぶことをベースとしています。教育プログラムを通して、教科を超えてたくさん「体験」し、学べることが強みです。教職員は、子供たち一人ひとりに“とことん関わる”ことを大切にしております。担任による日々の宿題のフォローは当たり前として、テストもやりっ放しではなく、間違った回答がきちんと正解するまで、丁寧に児童を見ていきます。
教師のなかには、約320名の児童全員の顔と名前を把握している者も多くおり、きめ細やかなフォローとともに成長していける環境を整えて、子供たちを迎えております。
インタビュー内容から、大阪信愛学院小学校の体験を軸とした教育プログラムの魅力や、縦割りグループにより育まれる温かい雰囲気が大変よく伝わりました。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
大阪信愛学院小学校の保護者からの口コミ
ここからは、大阪信愛学院小学校に寄せられている口コミや評価を紹介します。
▲スクールバスは5コースを運行。近隣のどの地域からも通いやすい
大阪信愛学院小学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人大阪信愛女学院 |
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住所 | 大阪市城東区古市2-7-30 |
電話番号 | 06-6939-4391 |
問い合わせ先 | 06-6939-4391(代表) 資料請求:https://el.osaka-shinai.ed.jp/request/ |
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