ダブルダッチで世界優勝も果たす進学校「栄光学園中学高等学校」の成長環境|完全中高一貫校

ぽてん読者の皆さまに、特色ある教育プログラムで注目を集める学校を紹介するこの企画。今回紹介するのは、神奈川県鎌倉市にある私立の完全中高一貫校「栄光学園中学高等学校」です。

栄光学園中学高等学校は、1947年に創立したカトリック教のイエズス会を経営母体とする男子校です。東京大学や一橋大学などの難関大学に毎年多数の合格者を輩出する名門進学校である同校は、部活動においても全国・世界レベルでの活躍を見せています。

今回は、同校の教育理念や、世界大会で優勝経験のあるダブルダッチ部の強さの秘訣、その他の特徴的な部活動について、ダブルダッチ部顧問で広報委員長の古賀先生にお話を伺いました。

「他者のために、他者とともに」栄光学園中学高等学校を貫く教育理念

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲お話を伺った、ダブルダッチ部顧問で広報委員長の古賀先生

編集部

初めに、栄光学園中学高等学校の教育理念について教えてください。

古賀先生

栄光学園中学高等学校にはいくつかの教育理念がありますが、中心になっているのは「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS(他者のために、他者とともに)」という言葉です。

「他者」の対象には、自分より立場の弱い人という意味も込められています。他者のために尽くし、問題解決のために自ら動けるリーダーを育てることが、栄光学園中学高等学校の理念です。

編集部

自分のためだけでなく、他者のために活動できるリーダーを育成されているのですね。

古賀先生

はい。栄光学園中学高等学校が目指すリーダーは、「仕えるリーダー」です。他者を従わせるリーダーではなく、自分の力をしっかりと他者のために使い、人に尽くしながら仕え、仕えながら導いていくリーダーを育てたいと思っています。

編集部

近年のリーダーシップ論でよくいわれる「サーバントリーダーシップ(※)」のようなイメージでしょうか。
(※)サーバントリーダーシップ:部下や同僚の意見に耳を傾け、奉仕することで組織としての目標達成を目指すリーダーシップの在り方。

古賀先生

そうですね。本校はイエズス会というカトリック修道会が経営母体であるため、教育の中で他者に奉仕するイエズス会の教えを大切にしています。そのような背景もあり、若い生徒たちを優れたリーダーに育てるという使命のもと、日々の学校教育を行っています。

編集部

イエズス会を経営母体とする栄光学園中学高等学校では、他者に仕え、他者のために活動するリーダーの育成を教育活動の基本理念とされていることがわかりました。

進学校でありながら原則全員参加する、栄光学園中学高等学校の部活動とは

栄光学園中学高等学校の校内風景

▲トラック・フィールドや2つの体育館、サッカーコートなど施設面も充実している

編集部

進学校として有名な栄光学園中学高等学校ですが、部活動にも注力され、優秀な成績を収められています。御校では、部活動をどのような活動と捉えていらっしゃるのでしょうか。

古賀先生

栄光学園中学高等学校では、部活動を人間関係の醸成や目標に向けてチームで力を合わせて遂行する力を養う重要な場と捉え、必ず全員が部活動に所属するように指導しています。もちろん学業が大切なのですが、部活動も同じくらい頑張ろうと伝えています。

部活動は原則として週2日、17時までとしていますが、自主的に練習に励む生徒もたくさんいます。

編集部

進学校として勉強に注力されていると思うのですが、部活動も全員参加なのですね。中学生と高校生が一緒に活動されているのでしょうか。

古賀先生

はい、中高生が一緒に活動しています。本校の部活動は勝つことを第一の目的としていません。コミュニティの中で様々な経験を積み、人間的に大きく成長することを部活動の大きな目的としています。そのため、高校生が中学生を指導したり、面倒を見たりして、お互いが成長できる場でることを大切にしています。

上級生に面倒を見てもらった下級生は、自分たちが進級した後は自然と次の代を指導してくれるようになり、文化が還元していく風土になっていますね。

編集部

栄光学園中学高等学校が目指す「仕えるリーダー」としての成長が期待できそうですね。

古賀先生

はい。私はダブルダッチ(※)部の顧問をしていますが、生徒たちには後輩に横柄な態度を取ったり、無理に従わせたりするのではなく、まずは自分が見本として正しい背中を見せること、言葉を使って丁寧に導くことを常に伝えています。
(※)ダブルダッチ:2本のロープを使い、音楽に合わせてジャンプやアクロバット、ダンスなどを加えたパフォーマンスを披露する競技

このような環境作りが、結果として本校の部活動やダブルダッチ部の強さの秘訣になっていると感じます。やはり自己中心的に行動するのではなく、部全体のことを考えたり他者のために行動したりできる生徒が、大会などで成果を発揮すると感じています。

編集部

他者のために行動する姿勢が、結果として自分や部全体のパフォーマンスを上げることにつながるのですね。

古賀先生

そうですね。ですから、掃除は下級生の役目だと決めつけるようなことはしません。適切な先輩・後輩の関係性は必要ですし、正式な場面では目上の存在に敬語を使うべきです。だからといって、先輩が後輩に横柄な態度を取ったり、雑用を押し付けたりするのは良くありません。

本校の生徒たちは、直接下級生のコミュニティに自分も入って一緒に練習したり、指導したりといった姿勢を自然と見せてくれています。実際に一緒になって練習することで後輩やメンバーをよりを深く理解し、リーダーとして重要な「全体を見渡せる力」の醸成につながっていると感じます。

編集部

栄光学園中学高等学校の部活動は、生徒一人ひとりのリーダーシップや人間関係を醸成し、生徒たちが大きく成長する重要な場となっていることがわかります。

世界大会で何度も優勝経験あり。業界で一目置かれる栄光学園中学高等学校のダブルダッチ部

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の部員たち

編集部

古賀先生は、栄光学園中学高等学校のダブルダッチ部の顧問をされています。ダブルダッチ部の活動概要やこれまでの活躍について、教えてください。

古賀先生

栄光学園中学高等学校では、体操部の中に「体操」と「ダブルダッチ」が分かれており、別の活動として取り組んでいます。

ダブルダッチ部は、毎年「DOUBLE DUTCH CONTEST」という業界最大級の大会に参加し、これまでに世界大会で数度優勝するほど優秀な成績を収めています。「DOUBLE DUTCH CONTEST」は中高生だけでなく、大学生や社会人、プロチームなども参加する大会ですから、このような場で活躍できているのは本当に誇らしいですね。

編集部

中高生が世界大会で受賞するような成績を収められているのは、素晴らしいですね。小さい頃からダブルダッチに親しんできた生徒ばかりが所属しているのでしょうか。

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

古賀先生

中高合わせて現在約50名の部員がいますが、ダブルダッチの経験者はいません。全員が中学からダブルダッチを始めた生徒たちです(2024年7月取材時点)。

入学するまでダブルダッチを知らない生徒も多くいますが、大きな大会で優勝した年の翌年には、多くの生徒が入部を希望してくれますね。2024年度は中学1年生180人のうち14人と、学年の約10分の1ほどの生徒が入部してくれました。

編集部

経験者ゼロの状態から先輩たちのパフォーマンスに憧れて入部し、日本を代表するチームメンバーにまで成長されているのですね。栄光学園中学高等学校のダブルダッチ部のパフォーマンスは、どのような点が特に評価されているのですか。

古賀先生

本校のダブルダッチ部は「ROYAL(ロイヤル)」というチーム名で活動していますが、他のチームとは異なる独特のスタイルを取っています。メンバーの個人技ではなく、ロープトリック(ロープを巧みに操る技術)で勝負しているんです。

ダブルダッチでは、例えば激しいダンスを披露したり、派手なアクロバットで魅了したり、チームによっていろいろな表現の工夫をしています。当校のダブルダッチ部のダンスはシンプルですが、その代わりにロープトリックに難しい技術を詰め込むことで他のチームとは全く異なるパフォーマンスを実現しています。

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲複雑で高度なロープ回しが栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の武器

古賀先生

ロープトリックの圧倒的な技術と、メンバー全員の基礎力が、本校ダブルダッチ部の高い評価につながっていると感じています。

編集部

他のチームとは異なる強みがあるからこそ、大会で高い評価を得られているのですね。

古賀先生

そうですね。多くのチームが個人のダンスやアクロバット技術をアピールします。しかし進学校である本校の生徒は、中学受験に向けて勉強に励んできた生徒が多く、必ずしも運動能力に恵まれていたり、スポーツ経験が豊富であったりするわけではありません。ですから、個人の身体能力をアピールするパフォーマンスには不向きです。

本校の特性を考えたとき、秀でた特定の個人の技量ではなく、全員の基礎力の高さとロープトリックという他にない圧倒的な技術が、大会を勝ち抜く武器になっていると感じています。

編集部

運動に特化した生徒ばかりではないからこそ、個人技とは異なる武器で勝負されているのですね。

古賀先生

はい。長年本校でダブルダッチを指導する中で、約10年前に行き着いたのがロープトリックでした。今では、「栄光学園のロイヤルといえば、とにかくロープ操作が尋常じゃない」という認識を持っていただけるほどになっています。

生徒たちには、受け継がれたロープトリックが自分たちの強みであることを伝え、強みが表に出るような演技を作るように指導しています。

編集部

御校の強さのもう1つの秘訣である、「基礎力の高さ」についても教えてください。

古賀先生

他のチームでは、1,2名のメンバーだけが派手なジャンプやアクロバットを披露することがほとんどです。しかし当校のダブルダッチ部は基礎力を徹底的に強化しているため、全員が複雑な技を披露することができます。

全員が上級レベルの力を持つことで、メンバーそれぞれが魅力的な技を披露できるというチームとしての総合力が、本校の強さだと思っています。

編集部

全員の基礎力を上げるために、特に注意されていることはありますか。

古賀先生

例えば大会前になると本番を想定した演技練習を増やすチームが多いと思うのですが、本校のチームは必ず基礎練習を怠りません。練習時間の約半分は、ロープを回したり飛んだりする決められた基礎練習メニューをひたすらに繰り返しています。

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲大会前でも徹底的な基礎練習を欠かさない

編集部

基礎練習を繰り返すことで、全員が高いレベルの技を披露できるようになるのですね。

古賀先生

はい。ただし、基礎力を高めることで必ずしも全員がオールマイティーな選手になる必要はありません。ジャンプが得意な生徒、アクロバットが好きな生徒などもいますから、自分の特性を理解して伸ばすことが大事です。一方で、一人ひとりが苦手な動きの水準を上げることが、他チームとの差別化につながります。適材適所で強みを伸ばしつつ、全体の底上げを図るために、基礎練習が重要です。

編集部

栄光学園中学高等学校のダブルダッチ部は、もとから身体能力の高い生徒ばかりで構成されているのではなく、伝統的なロープトリックと基礎力という武器を磨き上げることで、世界で活躍するチームにまで成長していることがわかりました。

ダブルダッチ部が徹底的に身につける「上手な人の学び方」とは

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲生徒自身が自ら学び、必要な練習を組み立てていく

編集部

世界的に活躍する栄光学園中学高等学校のダブルダッチ部ですが、古賀先生が指導されるにあたって特に意識されていることはなんでしょうか。

古賀先生

生徒たちには、「上手くなりたければ、上手い人の真似をしよう」と伝えています。いち早く上手な人の仲間入りをするために大切なのは、上手な人のマインドを真似ることです。上手な人の考え方を真似することは、技術が伴っていない段階でも気持ちひとつでできますよね。

編集部

そうですね。具体的に、どのようなマインドを真似することから始まるのでしょうか。

古賀先生

例えば複数人で練習する際、指導者が他の人に対してアドバイスした内容を自分事として吸収することなどがあげられます。一度誰かが受けた注意を自分が意識して改善すれば、次に自分が指導される際には少し上達した状態で、さらに上のアドバイスを受けられますよね。

だから、前の人と同じことを指摘される生徒に対しては叱ります。アドバイスの内容が単純なことであればあるほど、自分事として聞いてさえいれば同じミスを繰り返さないはずです。だから、「待っているときの意識が『上手な人の学び方』じゃなかったね」「うまくなりたかったら、上手な人の学び方を意識しないとだめだよ」と伝えています。

編集部

他者へのアドバイスを聞く姿勢を変えるだけで、同じ時間内でも自分が吸収できる学びが増えますね。

古賀先生

はい。同じように、練習で回っているロープの中に生徒が入るとき、時間がかかりすぎる生徒にも指導します。すっとロープの中に入れるようになるだけで、無駄な時間が削減され、同じ時間でも練習量が1.5倍になります。ロープの中で技を披露できることは大切ですが、そのためにももっと大事なのは、5秒の価値を意識することです。5秒が積み重なれば、1人分の練習時間が捻出できます。

決まった練習時間をどれだけ効率的に使えるかは、意識ひとつで変えられる問題です。だから意識が足りずにモタモタしている生徒がいれば、「今1人分の練習時間が無くなったよ」と言葉にして伝えています。

編集部

小さな意識の積み重ねが、大きな成果につながることをまず意識していくのですね。

古賀先生

はい。技術不足で失敗してしまうことは、仕方がありません。でも、例えば説明をきちんと聞かず、練習のルールが飲み込めずに失敗するのは、メンバーの練習時間を奪う行為です。話を聞かなかったために失敗し、加えて指導を受ける時間をかけるため、不要な時間がどんどん積み重なってしまいます。

そのような意識の在り方を妥協なく指導しているからこそ、生徒たちは自発的にルールを理解するよう集中しますし、時間の使い方をしっかり意識できるようになります。このような意識の持ち方は入部してかなり早い段階で覚えさせる必要がありますから、まずはマインド形成にしっかり時間をかけて指導します。必要な指導にはしっかりと時間をかけ、無駄な時間を省くメリハリが大切です。

編集部

同じ時間でも大きく成長するために、上手な人のマインドである学ぶ姿勢や時間への意識を、徹底的に指導されているのですね。

部活動で鍛えたマインドが、大学やその後の人生にも生かせる力になる

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

編集部

ここまでのお話を伺い、栄光学園中学高等学校の部活動での学びは、普段の学校生活などでも生かせるものだと感じました。先生方が部員たちと接する際には、部活動以外にも応用できる学びとして指導されているのでしょうか。

古賀先生

そうですね、私自身も部活動に限らない生徒の成長を特に意識して指導しています。ある意味、ダブルダッチの技術だけを伸ばすことは簡単です。しかし、栄光学園中学高等学校の部活動の目的は、技術の習得ではありません。学ぶ姿勢や時間を有効利用するマインドが身に着けば、今後その他のフィールドにおいても必ず役に立ちます

ダブルダッチができなくても生活に困ることはありませんが、学ぶ姿勢などが身についていないと、時間を無駄にしたり、効率が悪かったりと、日常生活のあらゆるシーンで困ったり、損をしたりするでしょう。あるいは人の意見を聞けなかったり、今やるべきことを考えて集中したりできません。

部活動を通じて、今後の人生に生かせる力を身につけてほしいと願っています。

編集部

大学受験の際にも、生かせる学びが多そうですね。

古賀先生

はい。例えば志望校合格に向けてやるべきことを自分で整理し、必要なプロセスを考える力につながります。学び上手になることで、同じ50分の授業でも得られる学びの数が大きく増えるでしょう。同時に、授業の中で学べることには限りがあります。授業での学びを受けて、自分の時間でどう学んでいくかが大切です。部活動で得た「学び方」は、受験勉強にも大いに役立っていると思いますね。

また、全校約1,000人の生徒がいて、それぞれの目標は異なります。自分の目標に合ったレールを自分で敷き、自分で進める力を身につけていると感じています。

編集部

学校側が決まったレールを敷いてサポートするのではなく、部活動で身につけたスキルを活用して、生徒が自分で意思決定し、行動することが大切なのですね。

古賀先生

はい。大学受験は、教師の教えに従えば突破できるかもしれません。しかし、自分にとって大事なものを見極める力、目標達成に向けてプロセスを組み立てる力がなければ、大学合格後の人生で苦労するでしょう。生徒たちの将来を長い目で考えたとき、自分自身で考えられる力の育成が大切だと考えています。

ダブルダッチ部で言えば、私はロープトリックについては指導できますが、ダンスについては教えられません。しかしチームとしてダンスが必要だと考えるなら、生徒たちは自分で動画コンテンツを参照したり、外部の練習会に参加したりといった工夫が必要です。そのような試行錯誤の中で、将来にわたって生きる力が身につくと考えています。

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部の練習風景

▲演技に必要な要素や技術を自ら考えて練習に組み込んでいく生徒たち

編集部

自分たちで考えて行動し、良い結果が得られる経験を積むと、生徒たちの自信にもつながりそうですね。

古賀先生

おっしゃるとおりですね。私も生徒たちには、「自分たちの行いに誇りを持ちなさい」と伝えています。

同時に、自分たちで主体的に考えることが、生徒が本当に活動に没頭できる1つの要因になっているとも感じます。押し付けられた練習には主体性がありません。しかし、特に男子生徒は「任せた」と言われたことには主体的に頑張れます。生徒を縛り付けず、ただし道から外れそうになった時には指導することが大切ですね。

編集部

生徒が主体性を発揮して行動する際には、失敗することも多いのではないでしょうか。

古賀先生

もちろん、たくさん失敗もあります。例えば生徒が「明日は祝日で練習ができないから、明後日に練習してもいいですか」と提案してくることがあります。自分で考えて提案できたのは素晴らしいことですが、祝日があることはずっと前からわかっていたはずです。だからこそ、「本当に真剣に練習と向き合っているなら、もっと計画的に早い段階で相談しに来るべきだったよね」と伝えます。

失敗に対してただ優しく受け入れるだけでは不十分です。失礼な行いや改善点があった場合、きちんと生徒に伝えたり、アドバイスしたりするのは教員の役目だと思っています。

編集部

自主性を尊重しつつ、しっかり指導も行うことで、生徒たちの人間的な成長につながっていると感じました。

古賀先生

中学1年生が数年間部活に取り組む中で、大きく成長していると感じます。教員が指示をしなくても、自分たちから考えて提案したり、報告したりしてくれます。生徒たちの成長には、いつも驚かされますね。

編集部

栄光学園中学高等学校の部活動を通じて、生徒たちがあらゆる分野で活躍するスキルを身につけ、人間性を高めているのことがわかりました。

ダブルダッチ部だけじゃない!栄光学園中学高等学校の特徴的な部活動

栄光学園中学高等学校野球部の練習風景

▲専用グラウンドで生き生きと練習に励む野球部

編集部

栄光学園中学高等学校には、その他にもたくさんの運動部や文化部があります。まずは特徴的な運動部をご紹介いただけますか。

古賀先生

どの部活動も真剣に頑張っていますが、今回は野球部をご紹介します。野球部は、中学部が過去に湘南大会に進出、高校の軟式野球部は関東大会に過去14回進出し、全国大会に出場したこともあります(2024年7月取材時点)。

いつも練習終わりにしっかりミーティングを行い、その日の良かったところ、反省点を次に生かしているのが印象的ですね。また、栄光学園中学高等学校の部活動は原則週2日ですが、休憩時間や放課後の短い時間を惜しみなく活用して、キャッチボールなどの練習に打ち込んでいます。

編集部

部活動のない日にも、自主的に練習に取り組んでいるのですね。

古賀先生

はい。本校では部活動のない日は4時まで学校に残ることができます。3時に授業が終わって3時半までに掃除などが完了した場合、残り30分の時間を無駄にせずに練習に励んでいます。

しかし、もしもグラウンドが1つであれば、他の部活動と場所の取り合いになります。本校では野球部やサッカー部などに専用グラウンドがあるため、確実に練習ができます。ですから、野球部の生徒たちは、授業開始前の30分、お昼休みの30分、放課後の30分をかき集めて、1日1時間30分の自主練習に励んでいます。1時間30分あれば、部活のある日の1日分の練習量に相当します。

編集部

生徒自身が自発的に、時間を有効活用されているのですね。

古賀先生

はい。しかも、30分の短い時間で効率的に取り組める練習メニューを考えて実行しています。やはり自らをマネジメントできるチームこそ、強いチームに育つのだと実感します。

編集部

ダブルダッチ部以外の運動部でも、生徒の自主性や創意工夫する力が身についていることがわかります。続いて、特徴的な文化部についても教えてください。

古賀先生

男子校であることもあり、鉄道研究会は人気ですね。学年の垣根がなく、部員同士の仲がとても良いのが特徴です。文化祭の出し物がとても好評で、訪れた子どもたちでにぎわっていますね。

栄光学園中学高等学校鉄道研究会が制作したジオラマ

▲鉄道研究会が制作した線路のあるリアルなジオラマ

古賀先生

鉄道研究会は自分たちでやるべきことを見つけるのが得意で、夏休みに電車を乗り継ぐ旅行を計画したり、旅行記を冊子にまとめたりと、たくさん企画をして活動しています。

編集部

ただ旅行を楽しむだけでなく、旅行記までまとめているのですね。

古賀先生

そうですね、そこが素晴らしいところだと思います。旅を楽しんで終わりにするか、1つの成果として形に残すかは、生徒の意識次第です。自分たちで活動をより有意義なものにするために、考えて行動するマインドが身についているのだと感じます。

栄光学園中学高等学校鉄道研究会のジオラマ制作風景

▲大好きな鉄道のジオラマ制作に向き合う生徒たちの表情は真剣そのもの

古賀先生

その他にも、囲碁将棋部は毎年全国レベルで活躍する生徒がいる強豪クラブです。英語部はディベートの大会で国内優勝し、世界大会に参加したこともあります。物理研究部は科学の甲子園と呼ばれる大会に出場するのですが、全国優勝や準優勝を何度も経験していますね。

編集部

全国大会に出場する強豪文化部が複数あるのですね。

古賀先生

特徴的なのは、栄光学園中学高等学校では科学の甲子園に物理研究部以外の生徒も参加していることです。物理研究部の生徒がチームの核となり、広く参加者を公募します。選抜試験で参加者が選ばれるのですが、試験内容は物理研究部の部員が作っているんですよ。

編集部

物理研究部が中心となって、科学の甲子園で戦えるメンバーを募集しているのは面白い取り組みですね。

古賀先生

はい。ですから年によっては、テニス部や陸上部などの運動部の部員が科学の甲子園に参加することがあります。2024年は、ダブルダッチ部の生徒が科学の甲子園に出場しました。

実はダブルダッチのコンテストと科学の甲子園が同日開催だったのですが、生徒自身が悩み抜いた結果、科学の甲子園への出場を決めました。結果的に、科学の甲子園は優勝、ダブルダッチ部も優勝を勝ち取っています。

編集部

素晴らしい成績ですね。どちらの大会に出場するかは、生徒自身が決定したのですね。

古賀先生

もちろん生徒の選択を尊重します。実際科学の甲子園に出場した生徒は、アクロバティックな動きやスピードの速い技が得意なチームの中心人物でした。ダブルダッチ部としては彼の不在は痛手です。しかし、あくまでも自分で判断しなさいと伝えました。

チームメンバーも、彼の意思を尊重しました。私からも、彼の意思を尊重した結果なのだから、彼の不在を言い訳にしないように準備しよう、と伝えましたね。もし彼がいなかったことを言い訳にしてしまえば、今後同じような選択に迫れる生徒が自分の意思で決断しにくくなってしまいます。

編集部

メンバーがそのように意識して受け入れていくれるからこそ、生徒自身が望む選択をできたのですね。

古賀先生

はい。科学の甲子園への出場を決めた生徒も、隙間時間を見つけては練習のサポートをしたり、マネージャーのような役割を担ったりと、メンバーのために貢献してくれました。普段から活動を掛け持ちする生徒には、両方の活動に対して責任を果たしなさいと伝えています。

編集部

栄光学園中学高等学校では、ダブルダッチ部だけでなく、あらゆる運動部・文化部が自ら考えて、責任ある行動を選択する力を身につけているのですね。自分だけでなく他者のためにも進んで行動する姿は、まさに御校の掲げる教育理念「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」の精神だと感じました。

栄光学園中学高等学校からのメッセージ

栄光学園中学高等学校ダブルダッチ部顧問で広報委員長の古賀先生

編集部

最後に、栄光学園中学高等学校に関心のあるお子さんや保護者に向けて、メッセージをお願いします。

古賀先生

栄光学園中学高等学校は、自分のやりたいことにしっかりと打ち込みたい人にぴったりな学校です。本校に入学すれば、好きなことへの「打ち込み方」が確実に上達するはずです。

ただし、やりたいことに打ち込むからといって、その他のことをおろそかにしてはいけません。全ての行動にきちんと責任を持ち、自分で何をするべきか、どういう行為が人の迷惑になるかを考える中で、自ら思考して実行していく力が身につきます。6年間でとことん打ち込める実行力が身に着くことが、本校の一番の特徴だと思っています。ぜひ、足をお運びください。

編集部

今回の取材を通じて、栄光学園中学高等学校の部活動では、生徒一人ひとりの自主性、学び方、打ち込み方、時間の使い方、他者への貢献など、人生全般で生かせる力が身につくことがわかりました。ありがとうございました!

栄光学園中学高等学校の進学実績

栄光学園中学高等学校は、例年難関大学への合格者を多数輩出する進学校として有名です。

2024年度には、東京大学に合計47名、一橋大学に合計10名、東京工業大学に合計6名など、難関国公立大学に多数の合格者を輩出しています。その他にも、慶應義塾大学に合計77名、早稲田大学に合計87名など、有名私立大学に合格した生徒も多数います。

全員が部活動に参加する中でも、生徒が主体性を発揮して難関大学への合格を果たしていることがわかります。

公式:栄光学園中学高等学校「進路」

栄光学園中学高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ

最後に、栄光学園中学高等学校の卒業生、保護者、在校生の口コミをご紹介します。

(卒業生)自分の頭で考えたことを行動に移すことを大切にする学校ですので、そのような経験をたくさん積んで高校2・3年生になると、人間的に大人になった人としての素晴らしさを感じます(加えてやはり学習面でもとても優秀です)

(保護者)入学前も入学後も印象が変わらず、素敵な学校。のびのびとした校風で、先生方が本当に暖かく見守ってくださり、いろんな個性を持ったクラスメイトと共に楽しそうに過ごせている。子供を自立させていく導きを学校がうまくやってくださっていると感じる。

(在校生)先生や友達という周囲の人的環境がすばらしく、広く教養を高められる雰囲気がある。自主性、自立性が求められる。

栄光学園中学高等学校の自主性を重んじる校風と、高い進学実績、教師や生徒間の人間関係の良さに関する好意的な口コミが多数見つかりました。

栄光学園中学高等学校へのお問い合わせ

栄光学園中学高等学校の校名と正面入り口

運営 栄光学園中学高等学校
住所 神奈川県鎌倉市玉縄4-1-1
電話番号 0467-46-7711
公式ページ https://ekh.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください