盛岡中央高等学校附属中学校の校門前の風景

1期生が東大合格!未来を担う人材を育む盛岡中央高等学校附属中学校のグローバル教育

ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校をご紹介する本企画。今回ご紹介するのは、岩手県盛岡市にある私立の中高一貫校「盛岡中央高等学校附属中学校」です。

2018年度に開校した同校は、グローバル教育と探究学習を軸に、答えのない時代を生き抜く力を育む特色ある教育を実践しています。グローバル教育プログラムでは、26校もの国際姉妹校と交流。中学1年から実施する探究学習では、中学3年の卒業論文を集大成に位置付け、問題解決能力と表現力を育んでいます。

そんな盛岡中央高等学校附属中学校では、2023年度に卒業した1期生の中に東大合格者も。この記事では同校の教育理念やカリキュラムの特徴について、与座校長にお話を伺いました。

社会変革・未来創造をリードする盛岡中央高等学校附属中学校

盛岡中央高等学校附属中学校の与座校長

▲取材に応じてくださった校長の与座先生

編集部

まず、御校の教育理念についてお聞かせください。

与座校長

本校の教育理念は「グローバル時代において、何にも縛られない独立精神を持ち、時代、社会の流れを見極め、その変化に対応し、常に新しい価値を生み出し、新しいことに取り組むこと。そしてその姿勢を研ぎ澄まし続け、社会変革、未来創造を明るく楽しくリードしていく」というものです。

編集部

理念を実現するために、どのような取り組みをされているのでしょうか?

与座校長

本校には「大学進学を目指した学習指導」「グローバル教育」「探究型の学習」「キャリア教育」の4つ柱があり、これらのプログラムに横断して取り組むことで、日本の未来を担うような人材の育成を図っています。

盛岡中央高等学校附属中学校のグローバル教育

盛岡中央高等学校附属中学校のCHUO国際教育フォーラム&グローバルフェスティバルの様子

▲CHUO国際教育フォーラム&グローバルフェスティバルには国内外の姉妹校から生徒たちが集結

盛岡中央高等学校附属中学校では、世界各国にある姉妹校の生徒と交流の機会を積極的につくるなど、国際的な文化や価値観に触れる機会を多く設けています。

ここからは、同校のグローバル教育の特徴についてお伝えしていきます。

海外の姉妹校は26校!交流を通じて異文化理解を深める

編集部

グローバル教育について、具体的にはどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

与座校長

本校は1学年の定員が70名と比較的小規模な学校ですが、専属のネイティブ教員が1名常駐しています。英語の授業では、ネイティブ教員から教わる英会話を中心としたコミュニケーション力、いわゆる語学運用力の基礎作りを重視しています。

また、年に20回近く、フィリピンのセブ島にいるネイティブの先生たちと1対1でコミュニケーションをとるオンライン授業「イングリッシュタイム」も実施しています。

編集部

海外の生徒とも積極的に交流しているそうですね。

与座校長

はい。本校には国際姉妹校が26校あります。アジアをはじめ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アフリカ、ヨーロッパなど、世界中にある姉妹校との交流を通じて、生徒たちの異文化理解を深めています。

中学3年ではカナダへの研修旅行も実施しています。後ほど詳しくお伝えしますが、これは単なる語学研修ではなく、本校の探究学習の一環として位置づけています。現地で学んだことを探究活動に生かすことで、より深い学びにつなげています。

毎年8月には姉妹校の生徒が来訪。震災や探究学習の学びを共有する

編集部

御校の代表的なグローバル行事だという「CHUO国際教育フォーラム&グローバルフェスティバル」について、詳しく教えていただけますか?

与座校長

「CHUO国際教育フォーラム&グローバルフェスティバル」は毎年8月に開催され、およそ10日間、10カ国ほどの姉妹校の生徒と教員が本校に滞在します。本校の生徒たちと探究学習についての研究発表会をしたり、一緒にフィールドワークをして未来づくりに向けた行動計画をまとめたりします。

このイベントには2つの狙いがあります。ひとつは生徒のグローバルマインドを育むこと、もうひとつはグローバルリーダーの育成につなげることです。

2024年度は、姉妹校の生徒と本校の高校1年生が共に陸前高田市に行き、震災学習を行います。東日本大震災の津波被害などについて学び、ボランティア活動にも参加して、帰校後は避難訓練も一緒に行います。

さらに姉妹校の生徒たちには、日本の学校教育の特徴である、生徒による清掃や、部活動も体験してもらいます。海外の生徒たちに日本の文化や習慣を理解してもらう中で、本校の生徒たちのグローバルマインドも育んでいく狙いです。

編集部

海外の生徒とレクリエーションなどで交流するだけでなく、共に学ぶことで、国際的な視点や価値観が得られそうですね。

与座校長

そうですね。加えて、各参加校が日頃から取り組んでいる探究学習の成果を発表し合う研究発表会も実施します。優秀な団体には、開催期間の最終日に盛岡市民文化ホールで行われるグローバルフェスティバルで代表発表をする機会も設けています。

さらに今後(取材は2024年8月)、これらの探究活動の成果をもとに、生徒同士で「魅力ある将来をつくるために」というテーマでディスカッションを行い、その結果を外部に向けて宣言する予定です。

盛岡中央高等学校附属中学校の探究学習

盛岡中央高等学校附属中学校の中3の卒業論文発表会の様子

▲探究活動の集大成として中3で取り組む卒業論文。その成果をまとめてポスターセッションを行います

盛岡中央高等学校附属中学校では、中学3年間を通して探究学習に取り組みます。集大成となる中学3年では、生徒一人ひとりが自分の興味・関心をもとにテーマを決めて卒業論文を執筆します。

そんな同校の探究学習を紹介します。

地元の偉人や東日本大震災について調べ、主体性や問題解決能力を育む

編集部

探究学習についてどのような取り組みをされているのか、もう少し具体的に伺ってもよろしいですか?

与座校長

本校では、中学1年から段階的に探究学習を進め、生徒たちの主体性と問題解決能力を育むことを目指しています。

中学1年の段階では、盛岡や岩手県出身の偉人たちについて調べる「先人学習」を行っています。例えば、郷土岩手の代表的な先人たち、新渡戸稲造、金田一京助、原敬や米内光政らについて学びます。

また、秋田県を訪れ文化学習をする機会も設けています。地域の歴史や文化を学ぶことで、自分たちのルーツや地域の特性についての理解や関心も深めていきます。

中学2年になると、東日本大震災の被災状況を含めた地域の課題について調べていきます。震災が地域に与えた影響や、復興に向けての取り組みなどを学び、生徒たちは地域が抱える問題を自分事として捉え、解決策を考える力を養っていきます。

中3全員参加の「カナダ研修」と探究学習を結びつける

編集部

中学3年の海外研修が、探究学習に結びついているという話もございました。これは、具体的にどのようなことなのでしょうか?

与座校長

はい。中学3年が全員参加するカナダ研修の事前学習の一環として、世界遺産である岩手県平泉町の中尊寺へフィールドワークに出かけ、東北の奥州、岩手県の地域の歴史を掘り下げて学びます。これは自分の国や地域を知るための取り組みです。

その後のカナダ研修は、それまでの探究学習の総括と位置づけています。現地で学んだことを自分たちの探究テーマに結びつけて考察するんです。

このように、地域の歴史や課題からはじまり、徐々に視野を広げていくことで、生徒たちは自分と世界とのつながりを実感し、より深い学びを得られます。

編集部

3年間を通じて、地域から世界へと視野を広げていく素晴らしいプログラムですね。

与座校長

さらに、これらの学習は中学3年の卒業論文へとつながっていきます。生徒たちは3年間の学びのなかから自分でテーマを設定し、調べ、考察し、提言するまでを行います。なかには仮説を立てて検証するような高度な研究を行う生徒もいます。

「AIが与える影響」「ドラマの評価指標」「地域医療の課題」など卒論は個性豊か

編集部

卒業論文について、もう少し詳しくお聞かせください。

与座校長

はい。3年生には3月の卒論発表会で発表する卒論を書いてもらいます。発表会には、全校生徒に加え、保護者、そして一般の方々にも参加していただきます。

編集部

生徒たちはどのようなテーマで研究しているのでしょうか?

与座校長

生徒一人ひとりの個性が光る、多種多様なテーマの研究となっています。

いくつか例を挙げると、「厚底シューズの進化とタイムの推移」「今までの地図の変遷と今後の地図の工夫のされ方」「ラジオの聴取率の減少とその理由」「AIが今後の社会に与える影響と働き方の選択肢」「群衆の持つ力が社会に与える影響」「ドラマの評価の指標について」「なぜ血液型と性格の関連性は否定されるのか」「ディズニーのデザイン変遷と進化」などがあります。

ほかにも、「地域医療の課題」について調べて提言をした生徒がいました。これはキャリア教育と結びついた良い例だと感じましたね。「オリンピックの開催前・開催期間中・開催後における経済効果について」など、時事的なテーマをあつかったものもあります。

なかには、自分の趣味をどこまでも追求するマニアックな研究をする生徒もいますよ。小さい頃から自動車が好きだった生徒は「日本における自動車製造の歴史」について深く掘り下げました。

編集部

驚くほど幅広いテーマですね。中学生とは思えない深い研究もありそうです。

与座校長

そうですね。例えば「日本の幸福度アップに必要なこと」というテーマで研究した生徒がいました。

世界各国の幸福度ランキングを比較し、日本の現状を分析しました。そこから日本の課題とその対策として、労働人口の減少や少子高齢化への対策などの提言に結びつけました。私自身、この発表を聞いて非常に刺激を受け、関連する本を読んだほどです。

ポスターセッション形式での卒論発表で、学びへの理解がさらに深まる

編集部

発表会はどのような形式で行われるのでしょうか?

与座校長

発表会は、模造紙に研究内容をまとめたポスターを使用し、質疑応答を含めたセッション形式で行います。全員が自分の言葉で、訪れた人に研究内容を説明します。

普段の学校生活では目立たない生徒が、自分の研究テーマについて堂々と説明する姿を見ると、本当に感動します。自分の関心のあるテーマについて深く探究し、それを人に伝えるという経験は、生徒たちに大きな自信と成長をもたらします。

編集部

インプットだけでなく、アウトプットまで行うことで、より深い学びになりそうですね。

与座校長

その通りです。単に調べて終わりではなく、人に説明することで理解が深まり、質問に答えることで新たな気づきが生まれます。これこそが、私たちが目指す「新しい教育的価値」のひとつだと考えています。

この卒業論文と発表会を通じて、生徒たちは探究する力、考える力、表現する力をさらに磨いていきます。

盛岡中央高等学校附属中学校の1期生の進路

2016年度に開校し、2023年度に第1期生が高校卒業を迎えた盛岡中央高等学校附属中学校。6年の一貫教育での学びを糧に、東京大学など最難関大学へと進学した生徒もいました。

そんな同校の第1期生についてもお話を伺いました。

東大理科一類や東北大医学部に合格した生徒も

編集部

御校はすでに素晴らしい進学実績を上げているとお聞きしました。第1期生の成果について教えていただけますか?

与座校長

2023年度で第1期生が卒業し、結果としてとても頼もしい成果を残してくれました。

東京大学の理科一類に合格した生徒がいたんです。この生徒は慶應義塾大学医学部の特待生にも合格した、とても優秀な生徒でした。

また、東北大学の医学部医学科に合格した生徒もいました。東京大学の文系にも1名が挑戦し、惜しくも合格には至りませんでしたが、再挑戦を志し、日々勉強に励んでいます。

編集部

素晴らしい成果ですね。それらの成果にはどんな要因があるとお考えですか?

与座校長

本校で設定した学習指導プログラム、グローバルプログラム、探究プログラム、キャリアプログラムを全力で活用してくれたと感じています。ちなみに、東大に進学した生徒は、学力ももちろん素晴らしかったのですが、人間性も非常に優れていました。

東大に合格した生徒の夢は「人々の生活に影響を与える数学研究者」

編集部

ちなみに、東大に合格した生徒はどのような目標を持って進学したのでしょうか。

与座校長

彼は数学が得意で、数学の研究者になりたいという夢をもっていました。特に印象的だったのは、「数百年先の人々の生活に影響を与えられるような数学的発見をしたい」と話していたことです。長期的な視野を持って、自分の進むべき道を決定してくれたことを嬉しく思います。

編集部

まさに貴校の教育理念を体現しています。

与座校長

そうですね。我々の目指す「社会変革・未来創造」を象徴するような生徒だったと思います。

ただ、この成果ははじまりに過ぎません。生徒たちの主体性をどう引き出し育成していくかは、本校が取り組み続けるべき課題であり、我々も挑戦し続けていかねばならないと考えています。

編集部

本当に素晴らしい教育理念と実践ですね。今後の更なる発展が楽しみです。

盛岡中央高等学校附属中学校からのメッセージ

さんさ踊りパレードに参加する盛岡中央高等学校附属中学校の生徒たち

▲地域活動へも積極的に参加。盛岡のさんさ踊りで開催される高校生のための選手権「さんさ甲子園」では、2023年度の優勝校に!

編集部

最後に、受験生やその保護者の方々にメッセージをお願いします。

与座校長

岩手県は、豊かな自然と文化を持つ非常に魅力的な場所です。近年では大谷翔平選手のような若い世代が世界で活躍しているように、この環境が生徒たちの成長に大きな影響を与えていると感じています。

また、私は教員生活のほとんどを他県で過ごしましたが、本校の生徒たちは特に人間性が豊かで、優しく誠実だと感じます。

岩手の豊かな自然と文化、そして人の温かさ。これらと最先端の教育プログラムを組み合わせることで、私たちは未来を創造できる人材を育てていけると考えています。

本校の教育は、おそらく岩手県だけでなく、県外の人々にとっても非常に大きな魅力になると自負しています。先日のオープンスクールには、青森県から中学校入学を前提に見学に来られた方もいらっしゃいました。県内外の多くの方々に本校の魅力、そして岩手の魅力を知っていただきたいですね。

編集部

岩手の地で、日本の未来を担う人材を育てようという気概が伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

盛岡中央高等学校附属中学校の進学実績

盛岡中央高等学校附属中学校は中高一貫校のため、盛岡中央高等学校へ進学します。ここでは、同校から高等学校へ内部進学した内進生の進学実績をお伝えします。

1期生が卒業を迎えた2023年度は、東京大学理科一類をはじめ、秋田大学、東北大学、岩手医科大学、東北医科薬科大学、杏林大学、慶応義塾大学といった国公立・私立大学の医学部医学科への合格者を多く輩出しました。

そのほかの国公立大学、慶應義塾大学、上智大学、中央大学、東京理科大学、法政大学、明治大学、早稲田大学などの難関私立大学合格者は延べ30名。同校が少人数校であることから、優秀な合格実績をおさめていることがわかります。

盛岡中央高等学校の合格実績 (盛岡中央高等学校附属中学校公式HPより)
https://chuo-hs.ed.jp/jhs/wp-content/uploads/2024/04/2024_goukaku.pdf

盛岡中央高等学校附属中学校の保護者・在校生の声

ここでは、盛岡中央高等学校附属中学校の在校生・保護者の声をお届けします。

(保護者)教員と生徒の関係性が良く、また生徒同士で切磋琢磨する校風のようです。来校するとその雰囲気の良さが分かります。内申点がないので、生徒同士が功績を競って殺伐とすることもなく、お互いを尊重しながら学校生活を送っているようです。

(保護者)全国のレベルで成績を判断してくれるので、子どもも「井の中の蛙」にならずにすんでいると感じています。各学年に全国でもトップクラスの成績をおさめるような生徒がいて、学年全体をひっぱってくれている印象。常に全国を意識して学習に取り組んでいるようで、入学してからの成績の伸びが素晴らしいです。

(在校生)いわゆる「部活動」はなく、希望者が「サークル」に入って活動するスタイル。週1~2回、1時間ほどの活動が主で、勉強との両立も余裕をもってできます。サイエンスサークルは科学分野の甲子園出場を目標に活動しており、全国大会へ出場しました。一部のサークルは高等学校と一緒に活動しています。

(在校生)新しい学校なので校舎がとてもきれいです。校庭は人工芝で水はけがいいです。各教室だけでなく廊下にもエアコンが完備されており一年中快適です。体育館など、一部の施設は高等学校と共有です。

(在校生)勉強面でのフォローがとても手厚いです。先生方は個別質問にも親身に答えてくださり、ときには個室を借りて特別講座を設けてくれることも。定期考査のあとには習熟度別のクラス分けがあり、自分の進度にあった学習ができます。

(在校生)制服のブレザーがかわいい!密かに岩手県一、素敵な制服だと思っています。体操着のジャージのデザインも気に入っています。

勉強面、施設面、制服や校則など、さまざまな面で好意的な意見が多く見られました。なかでも生徒同士で学び合い、高め合うクラスの雰囲気や、勉強のフォローなど熱意ある教員の対応なども高く評価されていました。

盛岡中央高等学校附属中学校へのお問い合わせ

運営 学校法人龍澤学館グループ
住所 岩手県盛岡市みたけ4-26-8
電話番号 019-641-0505
問い合わせ先 https://chuo-hs.ed.jp/jhs/contact/
公式ページ https://chuo-hs.ed.jp/jhs/

※詳しくは公式ページでご確認ください