ぽてん読者の皆さまに注目の学校を紹介するこの企画。今回は神奈川県横浜市にある「武相(ぶそう)中学・高等学校」を取材しました。
武相中学・高等学校は中高一貫教育を行う私立の男子校です。クラブ活動が盛んで、中学生と高校生が共に切磋琢磨しています。特にバレーボール部は強豪として有名です。
今回は広報部副部長の黒須淳先生とバレーボール部副顧問の藤井宏人先生に、クラブ活動の中でもバレーボール部の活動にフォーカスしたほか、ユニークな中学入試などについても詳しくお話を伺いました。
▲広報部副部長の黒須淳先生
▲バレーボール部副顧問の藤井宏人先生
この記事の目次
武相中学・高等学校の建学の精神は「道義昂揚」「個性伸張」「実行徹底」
初めに、武相中学・高等学校の建学の精神について伺えますでしょうか。
建学の精神は「道義昂揚」「個性伸張」「実行徹底」の3つです。
「道義昂揚」は品性を高めて人格形成を重視すること、「個性伸張」は生徒の個性を伸ばすことを目指しています。そして「実行徹底」は自分たちの力で行動できる人間を育てることを意味しています。これらの精神を基に、生徒たちが豊かな人間性を持った社会人に成長してほしいと考えています。
武相中学は小規模な学校で募集人数が60人と少ないですが、高校では360人と多くの生徒が入ってきます。他中学からの入学生が合流することで、良い意味での化学反応が生まれています。
また、中学・高校ともに生徒と教員の距離が非常に近く、コミュニケーションを重視しています。生徒の意見をしっかり聞き、双方向に意見を交わしながら授業を進めることで、生徒の良いところを見つけています。
進路指導も対話を通じて生徒に最適な道に導けるような、アットホームな学校です。勉強以外にいろんな強みを持った生徒に、適した方向性を見つけ出して信頼関係を築きながら、6年間または3年間かけて指導していくことを大切にしています。
神奈川県で圧倒的な実績を残す武相のバレーボール部
次に、クラブ活動についてお話を伺わせてください。武相中学・高等学校ではクラブ活動がとても盛んで、特にバレーボール部は強豪とのことですね。
はい。中学バレーボール部は神奈川県新人大会での優勝経験があり、更に2024年6月には神奈川県中学校バレーボール大会でも優勝しました。また2023年度は神奈川県で唯一の全国大会出場校となりました。高校バレーボール部も横浜市大会5度の優勝や関東大会出場を果たしています。
強さの秘訣はなんでしょうか。
まず、本校のバレーボール部監督の蔦宗(つたむね)浩二が、釜利谷(かまりや)高校で監督として全国大会で6度優勝に導いたり、順天堂大学にインカレ優勝をもたらすなどの、素晴らしい実績を持っています。監督のみならず、元Vリーグ選手のコーチもおり、指導陣は本校バレーボール部の自慢できるポイントです。
それから、バレーボールに集中する環境が整っていることも強さの大きな要因です。体育館は冷暖房が完備されていますし、バレーボールコートも3面使うことができます。
また、本校では、中学バレーボール部と高校バレーボール部が一緒に活動しており、中学生にとっては常に強い高校生と同じ場所で過ごすことになります。日々、上のレベルの選手と一緒に練習ができるという環境も、中学生にとっては大きな成長の機会となっています。
チームが試合に臨むときはどのような雰囲気でしょうか。
日頃から、監督の蔦宗も「声を出したから勝てるものではない」と言っていますし、声で圧倒したり応援で何かするというより淡々と勝負に挑んでいます。身内の私が言うのもおかしいかもしれませんが、強豪特有の圧力のようなものが出てきたなと最近感じています。
ただ練習時間を長くするのではなく、休息と栄養を重視
蔦宗監督は釜利谷高校時代の成功を本にまとめられており、厳しさや甘えを許さない姿勢が紹介されていますが、実際のところ、トレーニングの厳しさはいかがでしょうか。
もちろん厳しいとは思いますが、練習時間は意外と短く、平日は3時間、土日も半日で練習が終わります。それは、バレーボールに必要な能力のひとつとして、しっかり休んで身体を大きくすることも重視されているからです。
そもそも身長が大きい子たちだけを集めてくるのではなく、入部してからどんどん成長していっているのですね。
おっしゃるとおりです。その中では身長を伸ばす器械も使用しています。バレーボールはジャンプを繰り返すスポーツですから、その衝撃や重力などでだんだん関節の間が詰まってくるのですが、身体を上下逆にして伸ばすことで、それを伸ばしていくという仕組みになっています。
▲身長を伸ばすのもバレーボールに必要な能力のひとつ。1日3リットルの牛乳を飲み干している
また、栄養指導にもかなり気を配っていますよ。1日3リットル以上の牛乳を飲むよう指示をしていますし、お腹がすいたら小魚、チーズなどカルシウムが摂れるものをすぐに食べるように言っています。カルシウムだけではなくビタミンDも必要になるので、日光浴も積極的に勧めています。
こうした取り組みにより、実際、本校の生徒は他校よりも身体が大きい傾向があると思います。
スポーツだけでなく、人間として成長していくための2つの取り組み
武相中学・高等学校はクラブ活動に非常に力を入れている学校ですが、保護者からすると学習面も気になるところだと思います。そのあたりはいかがでしょうか。
確かに、学校生活はバレーボールだけではありませんから、学習とクラブ活動のバランスが重要です。学習面については、私がすごくいいなと思っている点が2つあります。
1つは部員全員の前で本の紹介をすることです。気になった本を部員が読み、感想や感じたことを60人の部員全員の前で話すのです。これにより、読書の習慣づけができますし、人前で内容を伝わりやすく話すと言う訓練にもなります。これらは人間性を育てるためにはとても重要だと思います。
2つめはテスト期間中はクラブ活動が休みになることです。クラブ活動を勉強しない言い訳にできない状況を作ることで、しっかりテスト勉強をするようになります。
バレーボール部では、このようにして文武両道を目指しています。
▲60人の部員の前で、自分の読んだ本を紹介する。自分の意見を伝わるように話すことはどんな場面でも活きる
運動部も文化部も活発に活動。体育祭などの行事も大盛り上がり
武相中学・高等学校のバレーボール部について伺いましたが、他に実績のあるクラブについても教えてください。
バレーボール部以外にも、5回目の甲子園出場を目標としている硬式野球部や、日本代表選手を輩出している陸上競技部、70年以上の伝統があるボクシング部など、名の知られているクラブはたくさんありますよ。
また、本校は運動部が活躍しているイメージが強いと思いますが、文化部も積極的に活動しています。例えば、企業についてリサーチして各種大会で発表しているビジネス研究部は、2023年度に「高文連社会科専門部研究発表大会」「日経STOCKリーグ」で受賞・入選しています。
その年はテーマパークについて比較・研究し、実際に現地に行ったりもしながら、どのように発展していったかを丁寧に調査したことが評価されました。
吹奏楽部もアットホームな雰囲気で、積極的に活動しているクラブです。校内だけでなく校外の施設でも演奏していますし、野球の応援で球場のスタンドでも吹いています。できれば甲子園に行きたいと生徒も私たち教員も願っています。その他には、写真部も全国大会に出場した実績があります。
▲吹奏楽部の定期演奏会
クラブ活動に参加されている生徒が本当に多いのですね。そうすると、学園祭や体育祭などのイベントは盛り上がるでしょうね。
特に体育祭は盛り上がりますね。クラス対抗の綱引きでは、毎年のように体育コースが上に上がってくるのですが、「体育コース」対「全中学生」で戦って、中学生が勝つということがありました(笑)。人数に差があるので、さすがの体育コースも敵いませんでした。
あとはクラブ対抗リレーが非常に盛り上がります。いろいろなクラブがトラックの周りに集まって、独自の応援をはじめるんです。元々は硬式野球部とサッカー部が対面で応援していたのですが、2023年は多くのクラブが参加し、トラック周りが応援メンバーで囲まれるほどでした。
武相中学独自の「一科目+面接」の入試
▲職員室には壁がなく、生徒が気軽に相談しやすい環境となっている
武相中学・高等学校では入試制度にも特徴があると伺いました。詳しく教えてください。
ユニークなものとしては武相中学校の入試が挙げられます。これはかなり以前から設けている入試制度で、2025年度も前年度を踏襲し、一科目(国語または算数)選択プラス面接型の入試を2025年2月1日に実施する予定です。
この制度では、学力だけでなく、子どもたちの得意なもの、目指すものを評価します。そのため、通常の評価軸以外にも、熱意や今後の成長、コミュニケーション能力などを加味して合格とすることがあります。
そうした入試で入学した生徒の中には、学力面で成長が必要な場合もありますが、自分なりのビジョンを持って学校生活を楽しんだり、クラブ活動に積極的に取り組んでいこうという姿勢が評価されるのですね。
そうですね。先ほどお話ししたバレーボール部にも、この制度を利用して入学し、充実した学校生活を送っている生徒が複数います。
▲オープンキャンパスで授業を受ける参加者
入試の情報はオープンキャンパスやオンライン説明会で得られるのですね。
はい。直近では2024年8月24日に「BUSO TRIAL」というオープンキャンパスを中高含めて開催予定です。先ほども申した通り、本校はクラブ活動が非常に盛んな学校で、最近も硬式野球部が神奈川県で優勝するなどしています。そのため、クラブ活動をメインに本校への入学を検討していただく方も多く、毎年多くの方にオープンキャンパスにご参加いただいています。
2023年には約500組1,000人の方にご来校いただきました。武相中学・高等学校の1日を体験いただこうというコンセプトで、午前は授業を受け、昼食は食堂で召し上がっていただき、午後はクラブ活動の見学という流れで開催しました。
2024年はさらにグレードアップしたものを検討中で、昼休みに吹奏楽部の演奏をしたりと、学園祭風の楽しいオープンキャンパスを企画しています。
■オープンキャンパスの様子はこちらの動画をご覧ください。(武相中学・高等学校の公式YouTubeチャンネル)
武相中学・高等学校からのメッセージ
最後にぽてん読者にメッセージをお願いします。
多感な時期の男子生徒にとって、男子校の環境は学力向上にとても効果的だと考えています。異性の目を気にせず、自分の考えややりたいことを発言できるため、授業中の発言が活発になり、教育効果が高まるのです。このことは中高の説明会でもいつも強調しています。
また、男子校の環境は、現時点で自分をうまく表現できない子にとっても最適です。怖いイメージや硬派なイメージがあるかもしれませんが、実際は自分をしっかり出せて、安心して教育が受けられる環境です。男子校を敬遠するご家庭にも、ぜひ一度見ていただきたいと考えています。
武相中学・高等学校では、バレーボールに真剣に取り組みたい生徒たちに、最高の環境と人間関係を提供しています。指導者や先輩後輩とのレベルの高い関係、優れた施設が整っており、どの学校にも負けない環境です。バレーボールをきっかけに夢を追いかけたい生徒には、最適な学校です。
初心者も各学年に1割から2割ほどおり、初めてでも真剣に取り組みたい生徒たちは歓迎しています。バレーボールには、技術だけでなくデータ収集などさまざまな役割があります。気後れせずにぜひ入部してほしいと思います。
「男子校ってどんなところだろう」と思っている方やバレーボールに興味のあるお子さんには、ぜひオープンキャンパスで校内の雰囲気を体験していただきたいですね。本日はありがとうございました。
武相中学・高等学校の進学実績
▲進路セミナー
武相中学・高等学校はクラブ活動が注目を集めていますが、大学進学率も約80%と高い部類に属する学校です。進学クラスの四年制大学進学者の割合は過去最高の82%であり、総合コースの四年制大学進学者の割合は57%、体育コースの四年制大学進学者の割合は53%です。
2024年3月の卒業生を見ると、特進クラスでは慶應義塾大学に1名、GMARCH(※)に12名が合格しています。その背景としては、少人数教育の導入や基礎力を身につける定着度テストが大きな力となっているものと考えられます。
(※)学習院、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の頭文字を並べたもの
■進路実績(武相中学・高等学校公式サイト)
https://buso.ac.jp/highschool/result_h
武相中学・高等学校の卒業生・保護者の口コミ
▲バレーボール教室や海外の文化を鑑賞するイベント、スキー実習など、さまざまな行事を実施している
武相中学・高等学校の在校生と卒業生、保護者の声から、いくつか抜粋しました。
武相中学・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人武相学園 |
---|---|
住所 | 横浜市港北区仲手原2-34-1 |
電話番号 | 045-401-9042 |
問い合わせ先 | 公式ページからメールにて問い合わせ |
公式ページ | https://buso.ac.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください