ぽてん読者の皆さまに、いま注目の学校を紹介するこの企画。今回は愛知県一宮市にある私立の中高一貫共学校である大成中学・高等学校を紹介します。
中学1年〜6年(※)までの6年間で、学力だけでなく人としての土台を磨くという独自の教育カリキュラムが評判の大成中学・高等学校。活発なグローバル教育が特徴的であるほか、「入学時と比べて飛躍的に成長できる」と評判の手厚いサポートが自慢の学校です。
(※)中学4〜6年は、高校1〜3年に該当。
同校では4〜6年生のうち、約3人に1人が研修・留学経験があり、また2024年度も「トビタテ留学JAPAN(※)」に7名選出されています。
(※)文部科学省が実施する留学促進キャンペーン。
今回は、そんな同校の魅力について、大成中学校教諭の長江美和先生、2023年度の卒業生である鬼頭杏さん、大成中学校3年生の成宮宏尭さんにお話を伺いました。
この記事の目次
“人の土台”を磨く「大成中学・高等学校」の教育方針
はじめに、大成中学・高等学校の建学の精神を教えていただけますか?
本校は、「真剣に取り組む人、知性への憧れに生きる人、友人と手に手を取り合って語り合える人、そんな素晴らしい人間を創造したい」という想いを建学の精神としています。
この精神を表したものが「報恩感謝」「自学自修」「質実剛健」の3つの言葉です。本校では、この3つを体現する人間に成長できるカリキュラムを随所に盛り込んでいます。
根底にあるのは「人としての土台を大切にする」というものです。少々古く聞こえてしまう表現かもしれませんが、「人としてあるべき姿」というものは時代が進んでも変わりません。挨拶ができる、時間を守る、人の気持ちを考えられる、そういった基本的な部分は何よりも大切にしたいと考えています。
また、大成中学・高等学校は学校法人の愛知真和学園に所属しています。愛知真和学園は浄土真宗大谷派の学校法人ですので、本校では毎朝必ず法句経という教えを皆で唱えています。生徒には、悪い心を持てば悪いものがついてくるし、良い心を持てば良いものがついてくると教えています。そういった宗教の心は学校の精神の基盤ですね。
また、宗教の授業の一環として、1年生から5年生まで、年に1度京都の東本願寺の本山参拝に行っています。
面倒見の良さが自慢。生徒の土台を支える、学習サポート体制
大成中学・高等学校は「面倒見の良い学校」として定評があると伺いました。どのような指導をされているのでしょうか?
具体的なカリキュラムはコースによって異なりますが、「生徒の気持ちに応えたい」という熱い教員が多いです。
例えば、本校では恒例となっている光景なんですが、毎朝8時くらいになると、教員に質問するために生徒が職員室前に来ています。担当教員ではない教員にも気軽に質問できるようなアットホームな雰囲気なので、普段授業で顔を合わせていない生徒でも顔なじみになります。ステューディアコースには555名の生徒(※)が在籍していますが、全員顔がわかるレベルです(笑)。
(※)2024年度
また、定期テスト約1週間前になると「弱点教科ゼミ」という定期テスト対策を実施します。曜日ごとに教科の対策が行われ、希望者が受講するシステムです。
きめ細やかな対応が本校のウリだと思っており、ここは私たち教員も自負しています。
大学入試のサポートは中学1年生から。生徒と伴走して支えていく
大学入試に関しても学校としてサポートされていると思いますが、どのようにサポートされているのか教えてください。
大学入試対策が本格的になるのは一般的に高校3年生からですが、中学1年生の段階から大学入試は意識しています。「学校一丸となってやっていこう」という姿勢で、教員が生徒と一緒にフルマラソンを伴走するような、コーチ的な役割を果たすとも言えるかもしれません。
面接指導や小論文・志望理由書の添削のほかに、中学6年生の夏休みと冬休みにも複数の講座授業があります。レベル別の英語講座や、名古屋大学志望の生徒向け講座など、内容はさまざまです。
ただ、中6になってからいきなり受験勉強にぱっと切り替わるというよりは、中学1年生から続けてきた補習や授業がグラデーションのようにつながって、その先に大学入試があるというイメージです。
中学4年生になると、大学入試を意識した授業内容の特別補習がスタートし、実際に大学入試の問題も解き始めます。中学5年生の春になると、大学入試に向けての講座が始まります。
また、東京や関西の大学見学にも行き、モチベーションを上げる機会もあります。
中学1年生の段階から少しずつ大学入試に向けて準備をしていくのですね。
そうですね。ただ、まずは「報恩感謝」「自学自修」「質実剛健」の心を育てることを重視します。学力は大学入試を突破するためではなく、社会に出てから役立つように身に付けるのだと生徒たちには教えていますね。
勉強だけができてもダメで、時間を守れる・挨拶がきちんとできる・お掃除ができるといったような、人としての基本的な部分を忘れてはいけないよと。
ですので、生徒たちには大学入試はゴールではなくひとつの目標として意識づけを行っています。
▲生徒は学業と並行して、ボランティア活動にも熱心に参加している
授業外の特別補習が充実。学び残しゼロで土台を固める「ステューディアコース」
大成中学・高等学校のステューディアコースについて教えてください。
本校では、「学び残しをつくらないこと」を大切にしていますが、ステューディアコースは特にその点に力を入れています。例えばステューディアコースでは授業の理解度をはかるために、1年生から5年生を対象に、週に1回英・数・国3教科の確認テストを行っています。復習を目的としたもので、合格点に届かなかった場合はその週のうちに補充授業を行います。
また、4年生からは希望者を対象とし、放課後17時40分から19時まで授業「ハイレベル授業」を実施し、大学入試を意識した問題を解いて、さらなる学力向上を目指しています。
他にも、学び残しゼロに向けて授業以外で取り組まれていることはありますか?
全学年を対象に、学習合宿を実施しています。1年生は2泊3日、2年から6年生は3泊4日で行い、それぞれの段階に応じて内容を変えています。
1年から3年生は「メリハリ」をテーマに、粘り強く勉強できる習慣と自学自修の態度も養うことを目的としています。そのため、カリキュラムのメインは学習ですが、その他にも基本的な生活態度を身につける・生徒同士の連帯感を高める・規則正しい生活を送ることも大切にしています。
4年生以降は、自学自修の態度や基本的な生活態度が身についているため、学習のみに特化したカリキュラムです。そして6年生になると、大学別やレベル毎に分けた講座制カリキュラムで大学入試に打ち勝つ力を身に付けます。
リクルート主催プログラムに参加も。自分の興味を深掘りする探究型学習
大成中学・高等学校では、探究型学習にも力を入れているそうですね。具体的に教えてください。
1年生から5年生まで、自分の興味を深掘りできるような探究型学習をしています。
1、2年生では校外へ出向き体験学習を行いますが、自分が何に興味を持っているのかを知るところから始めるため、学校が準備した選択肢の中から自分で行き先を選びます。例えば名古屋港水族館でウミガメの生態について学習したり、中部国際空港でグランドスタッフ業務を体験したりしました。体験学習の後は学んだことをグループでまとめ、プレゼンテーションを行います。
このような協働学習を通して、自分の気持ちを表現することや、相手の気持ちに配慮する力が身につきます。
3年生では、自分が興味のある分野について深く学び、同じ分野に興味を持つ生徒でグループになり深掘りしていきます。こちらも自分たちの学びをまとめ、プレゼンテーションを行います。
4、5年生では課題を発見し解決策を考えるまで行います。興味のある分野についてグループで探究しますが、これまでとは違い、ニーズや課題を分析し、ビジネスに紐づけられるような解決策や改善策を起案します。その後は校内でプレゼンテーションを行います。
4、5年生は実施することは同じなのですが、5年生では前年の反省を活かしてさらにブラッシュアップできるため、より本格的な起案をしてくれます。そして5年生はリクルートさんが主催する新規ビジネスプログラム「高校生Ring」に参加します!
ニュージーランド、セブ島、モンゴル。多数の海外研修に参加できる環境
▲海外研修で海外の学生に日本の文化を伝え、一緒に写真撮影。
大成中学・高等学校には、海外研修が多いと伺いました。どのようなものがあるのか教えてください。
海外研修は多いですね。希望者を対象にしたフィリピンのセブ島やアメリカへの短期留学制度や、ニュージーランドへの語学研修などさまざまです。ちなみに、成宮くんはちょうど先日ニュージーランドから帰国しました。
大成中学校に入学してから、モンゴルとニュージーランドに行きました。モンゴルは5日間、ニュージーランドは1ヶ月間です。モンゴルに大成中学校の姉妹校があるので、そこで異文化体験をしました。研修中、遊牧民の住まいであるゲルに寝泊りしたのですが、異国の暮らしを体験できて新鮮でした。
ニュージーランドには1ヶ月いたので、食事の美味しさなど日本の良さを再確認できました。日本から出ることで、初めて気付く日本の魅力がありました。
▲ニュージーランドで研修中の成宮さん。イキイキしたお顔からも素晴らしい体験ができたことが伝わる。
海外研修は単純に海外の文化に触れるというだけでなく、日本という国を外側から見る貴重な体験でもあります。海外で暮らすことで日本の良さを実感したという生徒は多いですね。
▲モンゴルで乗馬体験をすることも
クラス全員で1年間の海外留学ができる「グローバルフューチャーコース」
▲生徒は留学先でクラブ活動に参加することも
グローバルフューチャーコースの特徴について教えてください。
最も特徴的な点は、留学を必ず経験できるということです。
本校は「英語を喋ることができる=グローバル」とは考えていません。世界に出て行ったときに自分の意見をきちんと言える人、他人の意見をきちんと聞いて物事を判断できる人間になってほしいという想いがあるため、「他国の人と良好なコミュニケーションができる」ということも重視しています。
そのような学びを得るためにも留学は外せないと考えており、グローバルフューチャーコースでは、クラス全員で中学4年生の夏の終わりから1年間、カナダのセカンダリースクール(高校)で留学生活を送ります。
ちなみに、本校では留学前の準備にも力を入れています。例えばカナダ留学中はプレゼンテーションをする機会が多いため、留学前に何度も練習します。また、己のアイデンティティーとなる日本文化もしっかり身につけられるよう、家庭科で「日本版カレーライス」「お好み焼き」を作ったり、茶華道などの日本文化を学んだりしてから出発します。
▲日本版カレーライス作り。これで留学前の準備は完璧!
鬼頭さんも留学をご経験されたのですよね。1年間の留学はいかがでしたか?
実は英語がそれほど得意ではなかったのですが、留学を経て英語力が格段にアップしました。
留学してすぐはコミュニケーションが取れずに困ることが多々ありました。話しかけられても聞き取れず、またうまく答えられないことが辛く、外へ出かけることが億劫に感じたんです。でもせっかくの機会を無駄にしたくないという思いで毎日必ず外出して人と会話することを続けました。その結果、半年を過ぎた頃から少しずつ会話を聞き取る力がついてきました。
また、もともと中学3年生でギリギリ準2級が取れたレベルでしたが、留学後、準1級を取得できました。これも留学の影響が大きかったと感じています。
▲留学中の鬼頭さん。外出する機会を増やし英語力を伸ばした。
めげずに努力し続けた結果が出たんですね。辛いときや煮詰まったときに、「この機会を無駄にしたくない」という思い以外に、心の支えになったことはありますか?
クラスメイトの存在が支えになりました。クラスメイトに会って近況を話したり、遊びに行ったりしました。日本語で他愛のない話をするだけでも、1人じゃないと感じられてずいぶん気持ちが楽になりましたね。
高校で留学となると、学校によっては1年遅れで卒業しなければならないケースもあります。大成高等学校の場合はいかがですか?
生徒の望む進路によって異なります。
留学からの帰国後、夏休みを使って進路相談を行い、文系と理系のどちらに進むかを決め、中学4年生の9月から文系と理系にわかれて授業を行います。
文系の場合、1年間の留学期間があっても3年間で高校卒業が可能です。理系だとカリキュラムの都合上、どうしても4年目に差し掛かってしまうのですが、その場合は4年目の授業料の半額を本校がサポートします。
中国語の授業に、少人数英会話の授業も。より濃く外国語を学べる特別カリキュラム
留学以外のカリキュラムについて教えてください。
グローバルフューチャーコースは留学が前提にあるので、ステューディアコースとは異なる特別カリキュラムを行っています。例えば、ステューディアコースでは週7コマ英語の授業がありますが、グローバルフューチャーコースの場合英語授業を週13コマと、多めにとっています。
そして1年間の海外留学を終えたあとは、週13コマの授業のうちの一部が選択制になり、中国語と英会話を選べるようになります。本校には中国語を話せる教員も在籍しているので、より広いグローバル教育ができます。
また、グローバルフューチャーコースは定員20名の少人数クラスですが、さらに分割し、10人1クラスに分ける英会話の授業もあります。このような濃いグローバル教育をしていることもあり、毎年海外大学へ進学する生徒がいるんですよ。
グローバルフューチャーコースに入るには何か条件があるのでしょうか?
やはり留学が前提にありますので、英語力は求められます。具体的には、中学3年生の段階で英検準2級レベルの資格を取っているか、定期テストでの英語の点数が平均点を超えていることのどちらかが挙げられます。
また、1年間親元を離れて外国で生活を送るので、やはり遅刻や欠席日数が少なく、自立心があるという点は重視されます。
オリンピック出場選手の輩出に、全国大会出場も。大成中学・高等学校の部活動
大成中学・高等学校の部活動についても教えてください。
本校は部活動も活発で、ダンス部や鉄道研究会など、部活と同好会を合わせて全部で23個あります。科学部のe-スポーツ班は、過去に全国大会出場経験もあります。
インターアクトクラブではSDGs達成のための活動を行っています。募金活動やゴミ0運動、住みよい街作りのための清掃のほか、子ども食堂のサポートもします。
この他、グローバルコミュニケーションクラブでは、メンバーの一人が第74回高円宮杯全日本中学校英語弁論大会の決勝に進出しました。この生徒は中学1年生のときに英検1級を取得した優秀な生徒で、本校では弁論大会の指導から英検対策の添削、対策授業まで学校で行っています。
また実は本校はこれまでに3人のオリンピック選手を輩出しています。先日も、パリオリンピック柔道男子60キロ級に本校卒業生の永山竜樹選手の出場が決定したことを受け、全校生徒が体育館に集まり、永山竜樹選手に声援を送りました。
▲永山竜樹選手を激励する大成中学・高等学校の柔道部の皆さん
勉強にも力を入れつつ部活動もこれほど熱心に活動されるのはすごいですね。成宮さんは部活動もされていたと聞いています、実際に3年間過ごしてみていかがでしたか?
部活を続けながらでも、無理なく勉強できる環境だと思います。僕はサッカー部に所属していて、引退まで部長を務めていましたが、部活動は週に3日、勉強にも支障が出ない時間帯にやっていました。部活と勉強の両立ができるスケジュールなので、どちらにも集中できたと思います。
▲大成中学・高等学校出身の柔道・永山竜樹選手と柔道部員
大成中学・高等学校からのメッセージ
▲インタビューに応じてくださった長江先生
最後に、ぽてんをご覧の皆さんにメッセージをお願いします。
大成中学・高等学校は、たくさんの機会に恵まれている学校だと思います。また、生徒と教師が同じ志を持つ者同士、一丸となって頑張っていける学校でもあります。
ぜひ自分の知らなかった世界や想像もつかなかった世界に触れて、大成から世界へ旅立っていただきたいと思います。
僕は、大成中学・高等学校は何にでもなれる学校だと思っています。授業が大変な面もありますが、環境も整っていますし、先生方がよく面倒を見てくださるので、ぜひ志を高く持ち続けてほしいと思います。本校でしっかりと学んでいけば、どんな未来もつかめると思います。
大成の先生は、どの分野に関してもサポートしてくれるので、生活しやすいと思います。海外活動もいろいろあり、この学校でしかできない経験が多いと思います。
長江先生、鬼頭さん、成宮さん、本日は貴重なお話ありがとうございました!
大成中学・高等学校の生徒・保護者の声
ここでは、大成中学・高等学校の生徒や保護者の声を一部抜粋して紹介します。
今回の取材のお話でもあった通り、面倒見の良さを評価する声が多く見られました。中学・高校の6年間で学力の向上を目指したいお子さんにとっては、とても頼りになる学校だということがよくわかります。
大成中学・高等学校の進学実績
大成高等学校では、毎年30名以上の生徒が国公立大学へ進学しています。2023年度の進学実績では、名古屋大学をはじめ愛知県立大学、医学部医学科で9名の合格者や東京外国語大学、横浜国立大学に合格者が出ています。(卒業生118名)
私立では慶應義塾大学、上智大学、また、獣医学部のある大学にも4名が合格しています。海外の大学への進学実績もあることから、グローバルな校風もうかがえます。
大成中学・高等学校の基本情報
資料請求 | https://ssl.form-mailer.jp/fms/f4830538755930 |
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住所 | 愛知県一宮市千秋町小山字大福田1878-2 |
電話番号 | 0586-81-1118 |
公式URL | https://www.aichi-shinwa-taisei.ed.jp/junior/ |
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